那須川天心vs与那覇勇気現地観戦。天心すごかった。Amazonの中継は絶対に必要だよね。試合順は「打順」なんだよ【結果・感想】

那須川天心vs与那覇勇気現地観戦。天心すごかった。Amazonの中継は絶対に必要だよね。試合順は「打順」なんだよ【結果・感想】

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2023年4月8日に東京・有明アリーナで行われた「Prime Video Presents Live Boxing 4」。
キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心が4試合目に登場、S・バンタム級6回戦で日本バンタム級2位の与那覇勇気と対戦し、3-0(59-55、60-53、60-53)の判定で勝利した試合である。
 
那須川天心vs与那覇勇気戦を再視聴したら天心のすごさにオドレエタ。これは相当すごいな。試しに誰が天心を攻略できそうかを考えてみた
 
キックボクシングで無敗を誇った那須川天心のボクシング転向初戦ということで「これは直に観なきゃいかんな」と思い足を運んだ今回。


だが対戦が発表されて以降、試合順やチケットの売れ行き等でだいぶゴタゴタが……。
僕も一連の流れには相当ムカついていたのだが、それはそれ。当日を含めて言いたいことは山ほどあるが、また別の機会にしようと思う。
 
 
ただ、一つだけ言えるのはAmazonのボクシング中継は今後も必要だなと。
Amazonのサービス自体がスタンダードと言えるレベルで浸透しているし、手軽に何度も視聴できるのもいい。
 
 
内容で言えば、中量級の選手が毎回爪痕を残しているのが大きい。
前回の吉野修一郎や今回の佐々木尽など、実力はあっても地上波だけでは先が見えにくい立場の選手がきっかけをつかむ場としてAmazonは最適。
 
吉野修一郎vs中谷正義現地観戦。凄みを感じさせた中谷、割り切りとタフネスの吉野。めちゃくちゃ感動したけど中谷敗北のショックも大きい
 
今後もこの場所を維持するためにも井上尚弥、村田諒太以外のドル箱スターを早急に作り出すべきだと思っている。
 

天心のデビュー戦で与那覇勇気を選んだことに驚いた。この相手に勝てば実力を疑問視する声も覆せる?

まず試合の全編は下記↓

 
上述の通り3-0(59-55、60-53、60-53)の判定で那須川天心が与那覇勇気を下したわけだが。
 
下記でも申し上げているが、僕は天心がデビュー戦にこの相手をチョイスしたことにめちゃくちゃ驚かされた。
 
那須川天心vs与那覇勇気はバチクソ熱い。南出仁戦でアウトボクシングされたのを受けて選んだかな。5戦目でOPBF王座を獲得した武居由樹を意識してる? かも?
 
普通に考えればタイorフィリピンの選手を連れてきて無難に勝たせるのがベター。
で、「思ったより強かったねこのタイ(フィリピン)人」とでもなるのかなぁと。
 
なので一階級下とはいえ日本の上位ランカーと対戦すると聞いたときはガチでびっくりした。「うっそ、マジで!!」と声が出たほどである。
 
 
と同時に、天心がこの相手に勝てば実力を疑問視する声も覆せる。
 
一部のボクシング関係者の言う「ボクシングは甘くない」「日本ランカーになること自体が相当すごい」「いくら何でも天心を持ち上げすぎ」という主張、それに同調したファンが「まあ、デビュー戦でわかるよ笑」と半笑いで小馬鹿にする姿に違和感を感じていた身としては、いきなりの与那覇勇気戦はまさにドンピシャ。
 
これでいろいろなものに答えが出ると思った次第である。


 
拳四朗vsカニサレス、那須川天心vsロブレス、ユーリ阿久井vsダラキアン。カニサレスのアップセット、ロブレスのぶん回し、ユーリ阿久井の右に期待
 

実はクレバーなチョイスだったよね。与那覇勇気vs南出仁戦を参考にしたんだろうな

改めて与那覇勇気が抜擢された理由を考えると、実はかなりクレバーな選択であることがわかる。
 
上記の記事で申し上げている通り一番の要因は2022年10月の与那覇勇気vs南出仁戦だと思っている。
与那覇がサウスポーの南出のアウトボクシングについていけず判定負けを喫した試合である。
 
与那覇勇気vs南出仁戦現地観戦。与那覇選手の圧力と南出選手のフットワーク。なかなか間合いに入れず得意のフルスイングががが。でもいい試合でしたね
 
1発の威力は抜きん出ている与那覇だが、動く相手(サウスポー)を追いかける足はいまいち。
また過去のダウンシーンを漁ると近い位置でのフルスイングばかりで、とにかく自分の間合いを作ることが前提となる。
 
そう考えると南出と同じサウスポー&南出以上のスピード、カウンターを兼ね備える天心は相当有利。色気を出して無理やり倒しにいかなければ大丈夫と考えたのではないか。
 
スケジュール的に与那覇しかいなかったのもあると思うが、リスクを負いつつ勝率を最大化するクレバーさが垣間見える。
 
 
まあでも、KOで勝つのはちょっと難しいかな?
 
南出戦を観る限り与那覇勇気はめちゃくちゃ打たれ強い。
何発もらっても効いたそぶりを見せずにピンピンしていたし、恐らくあの選手をKOするのは困難を極める。
 
 
てか、そもそも論として日本の上位ランカーとの対戦を“相性”やスピード、タイミング等で語れる時点で天心の実力が「ボクシングは甘くない」論者の主張を凌駕しちゃってるんですけどね。
 
今回のマッチメークに対する印象はこんな感じである。
 
佐々木尽vs小原佳太→100点満点、阿部麗也vsキコマル→微妙、井上拓真vsリボリオ・ソリス→ダントツ最下位。天心、オラスクアガ、佐々木尽がこの日の功労者
 

天心すごかったんじゃないっすかね。瞬間的なセンス? と接近戦での強さががが

実際の試合についてだが、いや、すごかった。
これはかな〜りすごいんじゃないっすかね。
 
ほぼ何もさせずに与那覇勇気を完封。
それこそ軽く流して完走した印象すらある。
 
先日の公開スパーリングで最低限日本の上位ランカー以上の実力があることはわかったのだが、そのはるか上を行くとは。
 
単純なスピードやタイミングはもちろん、瞬間的な嗅覚? センス? に秀でていたのが印象的。
 
ゲストの村田諒太が「天心は虚を突くのがうまい」「相手が“フッ”と気を抜いたり離れ際に目を切った瞬間を狙ってスパッと打つ」「ああいうのを格闘センスと呼ぶんでしょうね」と言っていたが、まさにそれ。
 
攻防のつなぎやロープ際のもみ合いから抜ける瞬間、その他。
局面ごとのちょっとした間というか、具体的な名前がついていない部分での強さ、反応の速さに驚かされた。
 
与那覇勇気の会見がめちゃくちゃイケてた件。「ボクシングからの果たし状」の言葉で外敵感を強調する那須川天心への「俺は甘くないよ」には心底震えたね笑
 
さらに接近戦で思った以上の強さを発揮したのが……。
 
頭がぶつかる位置で打ち合うシーンが何度かあったと思うが、基本的に当たるのは天心のパンチのみ。与那覇のスイングはことごとく空を切る。
誇張抜きで与那覇が1発出す間に天心は1.5〜2発出していたのではないか。
 
与那覇が活路を見出すにはとにかく自分の距離に入ること。
右をフルスイングできる位置まで入ることさえできれば……。
などと思っていたが、その位置ですら天心の独壇場だったという。
 
しかもキック出身だけあってもみ合いにも強いんですよね。
ラフなホールドから与那覇が簡単にコカされる姿はなかなかの衝撃だった。
 
THE MATCHでの武尊戦でも必要以上に離れずに勝負していたが、追いかける展開を想定していた側があの動きをやられるのは本当にしんどいだろうなぁと。
 

“和製パーネル・ウィテカー”が一番芯を食ってたかな。天心攻略にはラフプレーかもしれないね

今回の試合を受けて色々な方が「ロマチェンコの路線を目指せば」「手数の多いリゴンドー」「メイウェザーが〜」等、あれこれ例えていたが、個人的にもっともピンときたのが下記。


土屋修平パイセンの“和製パーネル・ウィテカー”が一番芯を食っていた気がする。
 
那須川天心に全部を背負わせた日。天心のことが嫌いなのは構わんけど、ウジウジ揚げ足取ってる場合じゃないでしょ。佐々木尽の振る舞いには感情移入できたよ
 
なお天心攻略にはやはり近場でのラフプレーなのかな? と思う。
 
キック時代から偶然のバッティングやラビットパンチには神経質なところがあったし、今回もたびたび頭を押さえてアピールする姿が目についた。
 
強引に前に出て懐で暴れる、頭が当たることも辞さない覚悟で突っ込めば何かが起きる? かも?
 


 
寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ。MVPはオラスクアガで決まり!! 驚異の粘りで拳四朗の心を折りかける。フライ級なら京口よりも強いかもしれんな
 

Amazonのボクシング中継は絶対に必須だけど、今回で終了かな? とも。セミファイナルの拓真vsソリス戦が酷い

そして表題の件。
 
最初に申し上げた通り僕はAmazonのボクシング中継は絶対に必要だと思っている。
 
だが、残念ながら今回で終了する可能性もかなり高いとも思っていた。
 
そして当日会場で観ていて「これはホントに最後かもしれんな」と思ったことをお伝えしておく。
セミファイナルまでは!!
 
上述の通り那須川天心vs与那覇勇気戦は第4試合(セミセミ)。
セミファイナルに井上拓真vsリボリオ・ソリス、メインに寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガの順で行われたわけだが……。
 
ご存知のようにセミファイナルの拓真vsソリス戦がまあ酷かった
拓真はなかなか手が出ずにサークルするのみ。ソリスはソリスでうまさは感じるものの、流れを変えるまでには至らず。
どちらとも言えない微妙な展開のまま12R終了のゴングを聞くという。
 
第4試合の天心vs与那覇戦で温まった会場をあっという間に氷点下まで下げてみせた。
 
佐々木尽vs小原佳太、阿部麗也vsキコマルは興味深い。拳四朗vsゴンサレス、拓真vsソリスは正直…。那須川天心vs与那覇勇気戦以外の展望
 

天心戦終了後に残っている天心ファンをつなぎとめる努力をしろよw なんでセミファイナルが拓真vsソリスなんだよ

試合順が決定したときから来場者の途中帰宅や配信視聴数の減少が懸念されていたが、今回に関してはしゃーない。マジでしゃーない。
 
天心にしか興味のない人間は一定数いるし、そういう人たちは天心の出番が終われば何をしようが帰る&視聴を止める。
天心の試合をメインにしなかった以上、多少の途中帰宅や視聴数減は受け入れるしかない。
 
だが、そこで離脱しなかった人をつなぎ止める努力は絶対に必要。
それこそが天心の影響でボクシングに興味を持った人を取り込む努力というヤツである。
 
 
で、何?
その努力の結果が天心vs与那覇のあとに拓真vsソリス?
正気ですか?
 
この両者ならああいう展開になるのは容易に想像できたと思うのだが。
 
 
僕の近くにも天心ファンっぽいお姉ちゃんの2人組がいたのだが、拓真vsソリス戦の3Rが終わったところでおもむろに席を立ち……。
 
だから!!!!
ああいう人たちをつなぎとめる努力をしろって言ってんの笑
 
メインの拳四朗vsオラスクアガ、もっと言うと代役のオラスクアガにかろうじて救われたものの、あのままいけばAmazonの撤退は決定的だったと思う(実際には不明)。


退場の際に拓真がコーナーでベルトを掲げて「うおー!!」ってやったときは軽く殺意を覚えましたからね。
 
いや、どのツラ下げてそんな真似しとんねんと笑
この試合でAmazonのボクシング中継が終わっちまうんだぞ、わかっとんのか?
今あるものが当たり前だなんて思うなよ? お?
 
 
個人的に2021年8月のジョン・リエル・カシメロvsギジェルモ・リゴンドー戦に匹敵する“アレ”な試合でしたね。
 
カシメロvsリゴンドーとかいう放送事故。ハリー「こんな競技好きな人がいるんだね」←これは完全に正しいw 別にどっちの勝ちでもいいよ
 

試合順は野球の打順なんだよ。得点効率を上げるには打率の高い打者をくっつけるのが基本

僕は基本、誰がメインだろうがどうでもいい人間なのだが、イベントの流れを考えると試合順はめちゃくちゃ大事。今回のようにメインよりもデビュー戦の選手の方が人気がある場合は特にである。
 
 
試合順を野球の打順と考えるとわかりやすい。
 
得点効率を上げるには打率の高い打者をくっつけるのが基本。
 
好調な打者の間にポツンと不調な打者がいると、そこでチャンスが途切れて打線が“線”にならなくなる。
いわゆる先日のWBCで言うところの村上宗隆である。
 
1番ヌートバー、2番近藤、3番大谷までが好調なのに、4番村上が打たないせいで毎回攻撃がそこで途切れる。
 
選手の格や実績は大事だが、現時点での調子も同じくらい大事。ここの見極めは首脳陣の腕の見せどころとなる。
 
侍ジャパンがメキシコにサヨナラ勝ち。不調の村上宗隆が守護神を打ち崩す。終盤の逆転力、日本は世界一ドラマチックなチーム
 
で、今回で言えばNo.1の強打者はもちろん那須川天心。
ミッションとしては、天心目当てで来場した人をどれだけ取り込めるか、天心の試合後の離脱者をどこまで減らせるか。
 
つまり天心の前後を天心に次ぐ強打者(“アタリ試合”の可能性が高い選手)で囲むことが必須となる。
 
それを踏まえると、パッと思いつくのは下記。
1.拓真vsソリス
2.阿部vsキコマル
3.佐々木vs小原
4.天心vs与那覇
5.拳四朗vsオラスクアガ
 
もっともハズレの可能性が高い拓真vsソリスをあえて一番最初に持ってくる。
極論、この試合はガラガラでもOK。天心戦目当てに視聴する層も「まだ時間があるからいいか」と考えるかもしれない。
 
キコマルの後半KOも考えられる阿部vsキコマルは2試合目。判定になる可能性は高いものの、キコマルのスタイル的にクソ退屈とまではならないはず。
 
で、ハズレなしの佐々木尽を天心の前に(この試合順はよかった。休憩が邪魔だったけど)置き、オラスクアガの抜擢によって激闘が約束された拳四朗で蓋をする。
 
もっとも扱いの難しい拓真vsソリス戦を極力天心から遠ざけつつメインの拳四朗で“ボクシングの面子”とやらをギリギリ保つ。その上で競技としてのおもしろさを浸透させる&離脱者を最小化できる試合順かなぁと。
 

縛りがあるなら拓真vsソリスをメインに持っていって「佐々木→天心→オラスクアガ」のクリーンアップでもいいかな

なお「天心の試合時間=地上波ゴールデン」「世界戦は絶対に天心より後ろ」という縛りがある(たぶんある)なら、
 
1.阿部vsキコマル
2.佐々木vs小原
3.天心vs与那覇
4.拳四朗vsオラスクアガ
5.拓真vsソリス
 
しかなさそう。
 
拳四朗vsオラスクアガと拓真vsソリスを入れ替えることで「佐々木vs小原→天心vs与那覇→拳四朗vsオラスクアガ」のクリーンアップを形成する。
 
うん。
メインは潔く諦めよう。
 
 
繰り返しになるが、得点効率を上げるには打率の高い打者をくっつける、そうでない打者は下位に置くのが基本である。
 
那須川天心vsルイス・グスマン。天心の2戦目を現地観戦してきた。才能は完全に和製ウィテカー。次は“崩し”と“配分”かな。メリハリが重要?
 
そんな感じで今回はイベントにおける“流れ”の大事さをクソほど思い知らされた。
それぞれの試合はハイレベルでおもしろいのにイベントとして散らかりまくっていたというか。
 
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