サッカーW杯2026総括。アメリカ色が濃かった大会。儲かるとわかれば躊躇なく全額ベットするメリケンのスピード感、スケール感はさすが。今後は中盤のゲームメイカーの価値、試合のテンポが一段上がる?【感想】

サッカーW杯2026総括。アメリカ色が濃かった大会。儲かるとわかれば躊躇なく全額ベットするメリケンのスピード感、スケール感はさすが。今後は中盤のゲームメイカーの価値、試合のテンポが一段上がる?【感想】

2026年7月19日(日本時間20日)に終了したサッカーW杯2026、北中米3カ国大会。スペインが延長戦の末にアルゼンチンを下し16年ぶり2度目の優勝を決めたわけだが。
 
日本では森保監督の来年2月までの続投が決定、それ以降は大岩剛氏が監督を務めることが発表されている。


今回の人事や選手のインタビューを受けてSNSでは森保監督の総評が飛び交っている。
 
特に目立つのがブラジル戦での采配。
後半に守りを固める判断が適切だったかどうかが論じられている。
 
これについては僕もあれこれ言ったが、それはそれとして。
今大会を観て(全部ではないけど)感じたこと、今後トレンドがどう移り変わるのかについてあれこれ言っていく。
 
日本vsブラジル感想。ブラジルは強かった。個の差を随所で感じた。日本は堂安律を下げてから得点の匂いが消えた。森保監督は勝負師としては少し足りなかった?
 
4年に一度しかサッカーを観ないクソニワカだが、気が向いたらお付き合いいただければ幸いである笑
 

アメリカの色が濃い大会だった。ハイドレーションブレイクはいい。でもハーフタイム27分はダメだ

まず何よりアメリカの色が濃く出た大会だった。
 
主に目立ったのは
・ハイドレーションブレイク
・優勝国にチャンピオンリング贈呈
・決勝戦ハーフタイムショー
・出場国48カ国、歴代最多の全104試合
 
前後半で1回ずつのハイドレーションブレイクは事前にFIFAクラブワールドカップ2025等で試した上での導入だったとのこと。
MLBでもまずは影響の少ないマイナーリーグで試すなど、新しいことをやる前には必ず実験を挟むアメリカのスタンスは素晴らしい。時代背景を考えても給水タイムはアリだと思っている。
 
また優勝国へのチャンピオンリング贈呈も決勝戦ハーフタイムショーも悪いとは思わない。エンタメと競技性のバランスさえ崩さなければ独自色を出すのは僕の中ではOKである。
 
ただ、決勝戦のハーフタイムが17分と宣言しておきながら実際には27分かかったのはアカン。
もともと30分に設定されていたものを(批判を受けて)後付けで17分に短縮したわけだが、正直ぶっつけ本番でそんなことができるの? という懸念はあった。
出演者、演目の変更が利かない中で時間だけを約半分にするなんて可能なの? と。
 
で、当日は案の定大幅な時間超過という。
これをやってしまうと伝統を守るべき派、反対派に「それ見ろ」と言う材料を与えてしまう。
ハイドレーションブレイクやチャンピオンリング等、「そこはいいんじゃない?」という部分まで批判、否定されかねないわけで。
 
スペインvsアルゼンチン感想。あえて展開を遅くしたスペイン。自陣のパス回しを封じられたアルゼンチンは支配されっぱなしでも90分無失点。やっぱり引きこもりのプロだった。メッシ神を下げる選択肢?
 

出場国48カ国、全104試合は多い。予選のヌルゲー、最高峰の舞台にそぐわないイリオモテヤマネコ枠

そして何より出場国48カ国、全104試合は多すぎる。
僕が一番気になったのが予選のヌルゲーっぷり。4チーム中最弱の1チームを蹴落とすだけのゆる〜いリーグ戦で、最終試合の空気感は耐え難いものがあった。
 
最終戦が1位と3位のチームの対戦となった場合、1位のチームは失点すると2位に転落する恐れがあるため守りを固める。
3位のチームは最低限引き分けによる勝ち点1がほしい。点は取りたいのだが、それで失点すると4位に転落する恐れがあるためこちらも引きこもり戦術になる。
あの妙〜な空気はマジで見るに耐えない。
 
しかも次回2030年大会では64カ国に拡大する構想もあるとか。
 
いやいや、勘弁してくれよ。
今大会でさえ最高峰の舞台にそぐわないチームがちらほら混じっていたのに。
大会中にフランスを「百獣の王」、ブラジルを「ネコ科の猛獣(チーターや豹)」だと申し上げたが、そういった猛獣の中にイリオモテヤマネコ枠が紛れ込んでいたわけで。
 
ブラジルvsノルウェーが楽しみすぎて脳汁が止まらない。最強フランスは1988年から改革に着手した。ブラジルがネコ科の猛獣(豹、チーター)ならフランスは百獣の王だね
 
いや、だって。
「参加することに意義がある」のはオリンピックの役目でしょ?
サッカーW杯は選ばれし国、超人たちがしのぎを削る最高峰の大会であるべきじゃないの?
あそこは年間数億、数十億を稼ぐスペシャルな猛獣たちが死に物狂いでぶつかり合う舞台であって、イリオモテヤマネコの出る幕ではないはず。
 
要するにメリケンさんが“やればやるほど儲かることに気づいてしまった”のだと思うが。
 
 
大きな変化(ハイドレーションブレイク)を加える前の準備、予行演習等の周到さ。
その反面、ハーフタイムの大幅超過や雑な出場国の拡大案。
 
よくも悪くもアメリカ色満載の大会だった。
 

メッシのインテル・マイアミ入りのタイムリーさ。やり手のベッカムと本気になったアメリカのスケール感

そしてもっともアメリカの商魂を感じたのがリオネル・メッシのインテル・マイアミ移籍。
 
2023年7月にPSGからメッシを獲得したインテル・マイアミの現在のクラブ評価額は約10億〜12億ドル(約1,500億〜1,850億円)。加入前の約5億8500万ドル(約900億円)から倍増している。
 
しかもメッシの契約にはApple TVのMLSシーズンパスの収益分配や将来的なオーナー権等、オプションが山ほどついているとのこと。
 
これはデビッド・ベッカムが2007年にLAギャラクシーに加入した際に盛り込まれた条項(将来的に割安な価格でMLSの新規チームを創設・保有できるオプション)と似ている。
もっと言うとインテル・マイアミはベッカムがその権利を行使して参入を果たしたチームである。
 
参入時の価格は2500万ドル(当時約27億円)で、上記の通り現在のクラブ評価額は約10億〜12億ドル。ベッカムがメッシを口説き落としたことでクラブの価値が跳ね上がったわけだが、2026年のW杯を見据えて動いたことは想像に難くない。
 
ベッカムがやり手ビジネスマン+サッカー大好きおじさんなのはもちろん、この辺はやはり本気になったアメリカのスケール感である。
いったん儲かると見れば躊躇なくベットする、訴訟社会という背景を考えればリスク管理もしっかりしているはず。
 
一過性のバブルで盛り上がった中国のCSLとはひと味違う。
 
アルゼンチンvsイングランド感想。計算して煽るアルゼンチン。血の気の多いイケイケなイングランドは引いて守る適性がない? トゥヘル監督のキャリアを見ると…
 

スペインの優勝でトレンドに変化が起きる? 縦パス→サイドから切れ込むのが定番だったけど…

プレーについては、スペインの優勝によってトレンドに変化が起きるのでは? と感じている。
 
2022年大会でフランスが準優勝を果たして以降、サッカーはスピード&パワーの重要性がさらに増した印象。
 
トップ下がゲームを創造する王様サッカーから全員で攻める+全員で守るサッカーに移行したのが2000年代後半〜2010年代前半。
そこからフランスチームの躍動により、身体が大きく筋肉質&足元の技術も兼ね備えたバトルサイボーグたちのシステマチックなバトルが一気に加速した。
 
中盤は一番の窒息ゾーンとなり、“ボールを受けたトップ下がパスコースを探す”暇はどこにもない。「優雅に前を向く→味方を探して〜」などとやっていたら1秒後には筋肉ダルマに囲まれて終わる。
 
結果、ピッチ上に残されたスペースはサイドのみ。
最後列でU字にパスを回しながら隙を見て縦へロングパス→サイドから走り込んだプレイヤーが中へ切れ込む、もしくはクロスを上げてゴールになだれ込むのが定番のパターンとなった。
 
キリアン・エムバペやアーリング・ハーランドといった怪物FWを始め、ジュード・ベリンガム、ラミン・ヤマル、ヴィニシウス・ジュニオール、ジェレミー・ドク、その他。
各チームが推進力のあるエースをどれだけ自由に走らせるかが勝利の鍵になる。
 
ノルウェーvsブラジル感想。巨大冷蔵庫軍団がネコ科の猛獣の技巧を粉砕。(いい意味で)イカれた試合だった。PA内タッチ数はブラジル41:ノルウェー11とかいう異常値
 

ロドリ、ダニ・オルモが中盤を窒息ゾーンから「相手を壊すゾーン」に変えた

そして、その現代サッカーの象徴のようなフランスを下したのがスペインである。
 
自陣から凄まじいスピードでボールを運ぶ縦への推進力、大型家電のような図体で追いかけてくるディフェンス陣。
スペインはこのチームを持ち味のパスワーク、横の揺さぶりで置いてきぼりにした。
 
中でも印象に残ったのが16番ロドリと10番ダニ・オルモ。
中盤にひょこっと顔を出してボールをつなぐ。
一番の窒息ゾーンであるはずの中央、中盤でゲームを組み立てるプレーはオールドスクール的な懐かしさと新鮮さを感じさせた。
 
かつてのトップ下と彼らの決定的な違いはタッチの少なさ
「後ろを向いてボールをもらう→前を向く→味方を探す」のが従来のトップ下なら、彼らは「顔を出してボールをもらう→次のタッチでパスを出す」感じ。
これまでよりもアクションが一つ少なく、ボールを受けたときにはすでに出す方向が決まっている。
 
つまり、
「受ける→止める→見る→出す」
ではなく
「見る→受ける→出す」
 
背中に目があるというか、ボールを受けたときにはピッチのスキャニングが終了しているのでワンタッチ、ツータッチで完結できる。
そのため筋肉ダルマに囲まれる前に味方にボールを離せる、相手のディフェンスが整うより先に裏に出ることが可能になる。
 
ひょこっと顔を出してサクッと仕事をしてサッと消える。
彼らは中盤の窒息ゾーンを「相手を壊すゾーン」に変えてみせた。
 
フランスvsスペイン最高のスタイルバトル。個でも勝利したスペイン。フランスは緩急に振り回され、引いて守ってカウンターが不発
 

中盤の重要度が爆上がり? 点取り屋の価値は変わらない。そこにバリエーションが加わるかもしれない

何が言いたいかというと、スペインが優勝したこと(ポゼッションサッカーがフィジカル重視のカウンターサッカーを上回ったこと)で今後は中盤の重要度が爆上がりするのではないか。
 
ロドリやダニ・オルモの躍動によって中盤にも十分なチャンスが残っていることが判明した。
中盤は人口密度が高すぎて身動きが取れない場所ではなく“やり方次第では”一番強い場所だと証明された。
 
フランスvsイングランドとかいう前代未聞のクソ試合。やる気ねえならやめちまえ。エムバペ「3位決定戦はいらない」←でも得点王を辞退する気はないんだろ? こんな舐め腐った試合は記憶にない
 
当たり前だが、エムバペやハーランドのように1人で局面をぶっ壊せる選手がピッチの主役であることに変わりはない。
ジュード・ベリンガム、ラミン・ヤマル、ヴィニシウス・ジュニオール、ジェレミー・ドクといったエース級の価値も高いまま。
 
だが、今後は中盤でゲームを作れる選手の価値も上がっていくのではないかと申し上げている。
 
もちろん遠藤保仁や中村俊輔のようなタイプが再び脚光を浴びるわけではない。少ないタッチと広い視野、当たり負けしないフィジカル、90分走れる走力を兼ね備えている必要がある。
 

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カウンター全盛時代へのアンチテーゼ、時計の針を進めた大会。日本がどの方向に進むかは知らん

スペインの優勝によってサッカーの中心地が身体を当てまくるプレミアからラ・リーガに移るかは何とも言えない。
 
森保監督の言う「スペインは日本が目指すサッカー」が正しいのかも不明。
国を挙げて育成プロジェクトを立ち上げても成果が出るまでには10〜15年。その間もトレンドは移り変わるし、現にスペインは16年ぶりの優勝である。
 
日本vsスウェーデン、1-1で引き分けで2位通過決定。出来はよくなかったよね? 「ブラジル戦大丈夫?」って思っちゃった。チュニジア戦後のセルジオ越後さんの記事が身に沁みるw
 
今後日本がどの方向に進むべきかは僕にはまったくわからないが、とにかく前回同様、今大会も一つの節目になるのではないか。
 
カウンター全盛時代への強烈なアンチテーゼというか、時計の針を進めた大会。
フィジカルサッカーの時代が終わったわけではなく、その上で中盤を制する新しい可能性が見えた大会だった。
試合のテンポは確実に一段上がると予想する。
 
 
なお僕は向こう4年間サッカーを観ない自信がある笑
 

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