左だけ? 違うわ! スティーブンソンがウィリアムスを4RKOで下す!! L・ヘビー級たまらんな。この選手の総合力の高さは相当なものじゃない?【結果】

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2016年7月27日(日本時間28日)にカナダのケベックシティのビデオトロン・センターで行われたWBC世界L・ヘビー級タイトルマッチ。

王者アドニス・スティーブンソンに同級8位の挑戦者トーマス・ウィリアムスが挑んだ一戦は激しい打ち合いの末、4R2分54秒でスティーブンソンが貫禄のKO勝ちを収めた。

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1Rにダウンを奪い、スティーブンソンが優勢に試合を進めると思われた矢先、2Rからはウィリアムスがガードを上げてプレッシャーをかけ始める。ウィリアムスの前進を真正面から受けて立ったスティーブンソンがボディを中心に攻めて徐々にペースを掴み、最後は得意の左でノックアウト勝ちを収める。

“スーパーマン”の異名を持ち、必殺の左でKOを量産する王者スティーブンソンの期待にたがわぬ試合ぶりに場内は大盛り上がり。
セルゲイ・コバレフvsアンドレ・ウォードの一騎打ちに盛り上がるL・ヘビー級戦線において、対抗王者としての存在感をしっかりと示した形である。

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インファイトに切り替えてスティーブンソンを攻略しかけたが、ウィリアムスにはフィジカルが足りなかった

ガードを高く上げて距離を詰め、ガードの上を打たせて打ち終わりにコンパクトなパンチを返す。スティーブンソンのパンチのインサイドから最短距離で自分の拳をねじ込む。時おりアングルを変えてアッパーなど、下からの攻撃を織り交ぜる。

これが今回ウィリアムスが選択した作戦だが、恐らくスティーブンソンを攻略するには一番いい戦い方なのだろう。どことなくワイルダーvsアレオーラ戦と共通する部分があるように思えたが。

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だが、残念ながらウィリアムスは決してインファイトが得意な選手ではなかった。インファイトに切り替えた2R以降、確かにスティーブンソンを攻略しかけてはいた。だが、それでも最後の一歩を踏み込むことができなかった。そして、逆にスティーブンソンの左に撃沈してしまったのである。

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作戦自体は完璧。
ただ、それを実行するフィジカルが足りなかった。パワフルなスティーブンソンを相手に、前進し続けるだけの身体の強さがウィリアムスにはなかった。
自分の得意ではないスタイルを必死に貫こうとする姿勢は非常に好感が持てたが、スティーブンソンとの体力差は明らかだったと言わざるを得ない。

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左だけじゃない。総合力の高さと試合巧者ぶりが際立つスティーブンソン

対するスティーブンソン。
この選手はウィニングショットの左ばかりに注目が集まるが、実は総合力の非常に高い選手だと思う。リードの右はキレがよくスピーディで多彩。今回の試合でもフットワークを使うウィリアムスの動きをあっさりと寸断するなど、試合のペースを握るのには十分な精度を兼ね備えている。

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右のリードで相手の出鼻をくじき、細かいシフトウェイトを繰り返しながら必殺の左を打ち込むチャンスをうかがう。
スティーブンソンの右はあくまで得意の左につなぐためのものだが、それでもあれだけ相手をコントロールできるのだから素晴らしい右であることは明白である。

そして、今回のスティーブンソンがうまかったのは至近距離でのボディ。
ガードを上げて距離を詰めるウィリアムスに対し、要所でボディをヒットして勢いを止める。顔面のガードが堅い反面、ボディへの注意が散漫になっていたウィリアムスの癖を見逃さないクレバーさである。

効果が顕著に表れはじめたのが3R後半。必殺の左を顔面ではなくボディに打ち込むことで、ウィリアムスのダメージを確実に蓄積させていったのである。

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ボディに意識を集中させたところで顔面に必殺の左。すべてがスティーブンソンのシナリオ通り

ガードを上げて至近距離での打ち合いを挑むウィリアムス。
それを真正面から受け止めるスティーブンソン。頭を下げて執拗にボディフックを打ち込む。そのたびに両者の頭が当たり、ウィリアムスが盛んにレフェリーにバッティグをアピールする。

不満げな表情でスティーブンソンに文句を言うウィリアムス。
いや、ホントにしょーもない。
パワフルな王者にパワーで対抗する作戦を選択したのだから、頭がぶつかることなど最低限の代償である。その程度のリスクも許容できないでどうする。正直、あのアピールを見てウィリアムスの勝利はないと確信してしまった。

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ボディを十分に効かせ、顔面への意識が薄れたところでスティーブンソンがウィリアムスの左側へ回り込む。高く上げたガードのさらに外側。ウィリアムスのテンプルがよく見える位置へ移動し、必殺の左をドカン!!

バッタリと頭からリングに崩れ落ちるウィリアムス。
ロープをつかんで立ち上がろうとするものの、足が言うことを効かずにそのままカウントアウト!!
4R2分54秒スティーブンソンのKO勝利!!

いや、凄まじい。
ホントにすごいダウンだった。

これは仕方ない。
あのタイミングで死角からスティーブンソンのフックをもらってしまえば立っていられるわけがない。

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アディオス、トーマス・ウィリアムス。
スティーブンソンとの真っ向勝負は見応え十分だった。
君はホントに勇敢だった。
スティーブンソンの引き立て役としての役割をまっとうしてくれた。
勇気あるウォリアーとして歴史に名を刻んだことを誇りに思うべき。
 
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というか、普通によかったよなスティーブンソン。
WOWOWエキサイトマッチの解説者はしきりに「左を当てさえすればいいと思っている選手」と言うのだが、決してそんなことはない。今回の試合も左を当てるまでの道筋をしっかり立てた上でKOしている。

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相手の状態を測る観察眼や試合の流れを読むクレバーさ。
そして驚異的な左の破壊力を生み出すバネとフィジカル。
リードの右の精度や試合の組み立て。スティーブンソンは決しておおざっぱな選手ではない。最初に申し上げた通り、総合力の高さは相当なものだと思う。

まあそもそも、おおざっぱで荒っぽいだけの選手がL・ヘビー級の王座に君臨し続けられるわけはないのだが。

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ハイレベルなL・ヘビー級。コバレフやベテルビエフ、アンドレ・ウォードと比べてどうよ?

会心の勝利を飾ったスティーブンソンだが、統一王者であるセルゲイ・コバレフと比べてどちらが強いだろうか。今回の試合を観る限り、コバレフと比べるとやや落ちるのではないかと思うのだが。

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左の一発の破壊力。これは確かにすごい。
だが、両手に反則的な攻撃力を持ち、個体能力の高さとクレバーさを兼ね備えたコバレフが相手ではさすがにキツい。左一本のスティーブンソンに対し、両手に大砲を搭載するコバレフ。勝つのはちょっと難しいと言わざるを得ない。

では「化け物」との呼び声が高いアルツール・ベテルビエフはどうだろうか。

う〜ん……。
やっぱりこれも厳しいか。

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ガードを高く上げて距離を詰め、シフトウェイトしながら至近距離でコンビネーションを打ち込む。ベテルビエフは今回のウィリアムスがやろうとしたことを高次元で実行できる能力を持った選手である。サウスポーとオーソドックスの違いはあるものの、スティーブンソンは手も足も出せずに終わる可能性すらあるのではないだろうか。相性的に考えてもかなり分が悪いように思えるが。
もちろん左の一発で大逆転を起こす可能性は残っているので何とも言えないが。

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そして11月にセルゲイ・コバレフとの一騎打ちが内定しているアンドレ・ウォード。
あの選手のクレバーさとスティーブンソンのスタイルを比較すると、どう見てもスティーブンソンの勝ち目は薄い。だが、何度も言うようにスティーブンソンには必殺の左がある。12Rの2分30秒までフルマークでとられていても、左の一発で奇跡を起こす可能性は十分に考えられる。

「え、コイツと? アンドレ・ウォードがアレクサンデル・ブランドと激突」

いや、むしろウォードを倒すことができるのはスティーブンソンのようなタイプかもしれない。突出した武器を持っているというのはそれだけで大きな強みである。

そう考えると、アンドレ・ウォードはそもそもスティーブンソンとの試合を避ける可能性もある。同じリングに立たなければ負けることはない。クレバーが服を着ているようなウォードならやりそうな気がする。

「最強のクソ試合製造機アンドレ・ウォードさんが本日も安定の完封。ブランドを寄せつけず」

左の一発という期待感。
統一王者コバレフやウォードに比べて若干の格落ち感は否めないが、化け物揃いのL・ヘビー級においておもしろい存在であることは間違いない。
というか、何より普通に試合がおもしろいというのがデカい。

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コバレフとウォード、ベテルビエフを中心に展開するL・ヘビー級において、蚊帳の外に置かれている感じがちょっと残念である。

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