モーゼス・イタウマvsフィリップ・フルゴビッチ。イタウマが化け物すぎて驚いてたらみるみる失速して余計に驚いた。フルゴビッチの粘りと“わからせ”が…【結果・感想】
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2026年8月29日(日本時間30日)にロンドン・O2アリーナで行われたIBF世界ヘビー級王座決定戦。同級3位モーゼス・イタウマと同4位フィリップ・フルゴビッチが対戦し、9R2分27秒TKOでフルゴビッチが勝利した試合である。
フルコビッチが新王者 ガス欠イタウマに大逆転9回TKO勝ち
英国のIBFヘビー級王座決定戦https://t.co/NZfUTPsf7Q pic.twitter.com/mssk14W9TE— ボクシングビート (@beat_macc) August 29, 2026
僕は最近のヘビー級トップ戦線をいっさい追っていない。
基本的にアンソニー・ジョシュアやオレクサンドル・ウシクといった“キャリアの締めに入った有名人”ばかり眺めている。
アンソニー・ジョシュアがクリスティアン・プレンガに逆転KO勝ち。ジョシュアの脆さ、危うさがバダ・ハリと被る。圧倒的な攻撃力を兼ね備えた“打たれ弱い人族”には独特の味わい深さがある
モーゼス・イタウマという名前はたびたび耳にしていたが、これまで試合を観たことはなく。
で、初見でいきなり豪快なTKO負けを目撃したわけだが、今回はその感想を言っていく。
イタウマすげえ。フルゴビッチも強い。今のヘビー級ってこんなことになってんのか!!
まず試合を観て思ったのが、イタウマがすげえ。
サウスポーでスピードがある。
ジャブが多彩、左も鋭い。
さらに距離の管理が抜群。
相手が前に出ればその分下がる、動き出しを狙ってカウンターを当てる、相手が怯んだ瞬間顎に左をヒットする。
尋常じゃないバネと見切り、当て勘に驚いた次第である。
一方、対戦相手のフルゴビッチもちゃんと強い。
約10年前までのヘビー級と違って動きがキビキビしていて、いわゆる“デカくて動けるヤツ”を標準装備している。
おいおい、すげえなマジで。
ヘビー級って今こんな感じなのか。
上述の通り僕は最近アンソニー・ジョシュアやウシク(やリコ・ヴァーホーヴェン)ばかり観ていて、ここ数年で台頭してきた選手をほとんど知らない。
オレクサンドル・ウシクvsリコ・ヴァーホーベン。他競技(キック、MMA)のトップ選手のポテンシャルは改めて凄まじい。ウシクが舐めてたかは知らんけど苦戦すら許されない立場で実質負けだよね
ヘビー級と言えば、当時は「クルーザー級が適正のヤツが無理やり増量」するか「図体はデカいが鈍重」のどちらかだった印象。
そこにアンソニー・ジョシュア、デオンティ・ワイルダー、タイソン・フューリーが登場したことで景色が一変した。“デカくて動ける個性派”としてこの3人が君臨していたのが2010年代半ばのヘビー級である。
だが今回のイタウマvsフルゴビッチ戦を観る限り今のヘビー級において“デカくて動ける”ことは最低条件。トップに立つにはそこからもう一段違いを見せる必要がありそうである。
みるみる失速するイタウマ。確かに最長ラウンドはプロ3、4戦目の6Rだけど
そして何よりイタウマのバテ具合である。
1Rの機動力、ジャブの多彩さ、鋭さに「何だコイツ、すげえ!!」となったが、2Rに入った途端に「おや?」と。
開始直後に見せた前後の動きが目減りし、射程内に留まる時間が増える。
それに伴いジャブを被弾して顔が上がるシーンが散見され……。
ラウンドが進むごとに動きが鈍り、4ラウンド終盤には自分の拳に振られて身体が流れてしまう。
ポイントこそ取っているが、あそこまで露骨にバテるとは思わなかった。
イタウマのキャリアを振り返ると最長ラウンドはプロ3、4戦目の6R。
前戦を観ていないので何とも言えないが、相手のレベルが上がったことでスタミナの消費も激しくなったのだろうか。
もともと腕を思い切り振るタイプなので燃費は悪そうだが。
え? 小國以載負けたの? 前回最高の勝ち方をして、今回はサンティシマ弟との前哨戦。完全に勝つ流れだったのに。最初から動き、反応が悪すぎたね
何度か持ち直したけど…。8Rにエンジンを吹かして仕留めきれず9Rに力尽きた
早い時間に失速したイタウマだが、そこから持ち直して何回も踏みとどまる。
5Rは開始直後からキレッキレの動きが戻り、再びスピードでフルゴビッチを翻弄。
で、ラウンド後半から徐々に失速→6Rに入るとまた怪しくなる(以下ループ)。
8Rにフルパワーで勝負をかけたが仕留めきれず。逆にいいパンチをもらってグラつかされる。
9R序盤に力を振り絞って腕を振った結果、ついにHPが底をついた。
最後は身体が言うことを聞かずギブアップ。
レフェリーのストップと同時にタオルが投入されたが、要するに誰が見ても「何も残っていない」ことが明白だったのだろうと。
粘り勝ちのフルゴビッチ。ノリノリの若手に“わからせ”るベテランは味わい深い
勝利したフルゴビッチだが、こちらはもう完全に粘り勝ち。
イタウマの当て勘、パンチの鋭さ、スピードはヘビー級ではずば抜けている。
HP満タンのときは手も足も出ずに危険な被弾もあったが、2Rのダウン以外にはっきりと効かされたシーンはない。
ウィリアム・セペダvsラモント・ローチ。サウスポーの連打型のセペダ。シャクールでも手を焼いた連打にローチは対応が間に合わず。低重心のファイター型サウスポー、結構好き
それでも「うっ」となる瞬間は何度もあったし、「よーいドン」で走ればイタウマとの力の差は明らかである。
だが、それだけで終わらないのが12Rの世界戦。
しかも1発ですべてがひっくり返るヘビー級である。
アマチュア20戦全勝、プロ入り後もノリノリでKOを重ねてきた若人(わこうど)に“わからせる”ためにフルゴビッチはひたすらチャンスを待ち続ける。
もらう瞬間に腕(と肘)を使って軌道をズラすことでダメージを半減させたのだと思うが、改めてすごい粘りだった。
劣勢の中でも諦めず、8R終了間際にイタウマに力が残っていないことを感じ、9Rのラッシュにつなぐ。
ハイカロリーでねじ伏せにいって失敗したイタウマとは真逆。ド派手な逆転劇と同時にめちゃくちゃ味わい深い試合だった。
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