オレクサンドル・ウシクvsリコ・ヴァーホーベン。他競技(キック、MMA)のトップ選手のポテンシャルは改めて凄まじい。ウシクが舐めてたかは知らんけど苦戦すら許されない立場で実質負けだよね【結果・感想】

オレクサンドル・ウシクvsリコ・ヴァーホーベン。他競技(キック、MMA)のトップ選手のポテンシャルは改めて凄まじい。ウシクが舐めてたかは知らんけど苦戦すら許されない立場で実質負けだよね【結果・感想】

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2026年5月23日(日本時間24日)にエジプト・ギザで行われたWBA/WBC世界ヘビー級タイトルマッチ。同級3団体(WBA/WBC/IBF)統一王者オレクサンドル・ウシクが元キックボクサーのリコ・ヴァーホーベン(ベホーベン)と対戦、11R2分59秒TKOで勝利し防衛に成功している。
 
ただ、内容は大苦戦。
序盤から低い姿勢で向かってくるヴァーホーベンをウシクは持て余し、10R終了時点の採点では95-95、95-95、96-94とリードを許す。
 
「3団体統一ヘビー級王者ウシクあわや…元キックボクサーに大苦戦 11回にダウン奪いTKO勝ち」
 
さらに11Rのストップに対してもアレは早かったのではないか、ゴング間際のタイミングだったので続けさせるべきだったのでは? という声も出ているとか。
 
 
2023年10月のタイソン・フューリーvsフランシス・ガヌー戦に続き、他競技からの参戦組にトップ選手が苦戦を強いられる事態となっている。
 
佐々木尽vs田中空再視聴。佐々木尽が成長? 進化? してたような…。変わってないと言われてたけど。ブライアン・ノーマンJr.の復帰戦を観てやっぱり差があるなオモタ
 

ヴァーホーベンがゴツい。キック選手はボクサーに比べて装甲が厚いんだろうね

オレクサンドル・ウシクvsリコ・ヴァーホーベン(ベホーベン)。
 
まず開始直後に思ったのが、ヴァーホーベンが分厚い
太く長い腕と分厚い胸板、下半身もウシクと比べて明らかにゴツい。しかもただ太い、大きいだけでなく全体的にゴツゴツしている。いわゆるボクサーとは別物の体型である。
 
フューリーvsガヌー戦の際にも思ったが、キックや組みを含んだルールで戦っている選手はパンチのみで勝負している選手に比べて身体が強い
 
フューリーがガヌーにダウンを奪われ辛勝。競技のトップがポッと出のMMA選手に大苦戦って。自分の土俵に立たせた時点で言い訳はできないんだよ
 
急所を打ち抜く的確さ、接近戦でのバリエーション、1発の精度で上回っても、単純なフィジカル勝負ではボクサー側が不利になりやすい。
特にキックボクサーは日常的に腕や胸、腹にキックを受けている分、装甲の厚さ、耐性が段違い。
 
もっと言うと、軽量級に比べて重量級はフィジカルの比重が高く1発で流れが変わる。
ウシクが馬力で勝負するタイプではないことも含めて今回の大激戦が生まれたのだろうと。
 

腕と頭を動かしながらの出入り勝負。近づきさえすれば正気が生まれると思ったんだろうね

内容的には、ヴァーホーベンの立ち回りがよかった気がする。
 
大きな身体を丸めて低く構え、前に掲げた腕を上下に(左右交互に)動かしつつ絶えず顔の位置を変える。
そこにサイドステップを織り交ぜての出入り勝負。
 
太く長い腕でウシクのジャブを防ぎ、的を絞らせないように動き続ける。
申し上げたようにウシクはパワーで圧倒するタイプではなくフィジカル面では分がある。
急所を打ち抜かれさえしなければある程度絶えられる、距離を詰めればウシクは確実に糞詰まりを起こす。
馬力勝負、体力勝負に持ち込めば勝機が生まれると考えたのだろうと。
 
そして、実際その通りの展開になっていた。
ウシクは正面衝突で当たり負けし、ロープ際のクリンチでも押し返せない。
ラウンド終了時にしんどそうな表情を浮かべるなどヴァーホーベンの作戦が機能しているのは明らかだった。
 
オレクサンドル・ウシクvsタイソン・フューリー2。判定はわからん。僕は117-111だけど…。“動けるヘビー級”のアドバンテージを崩されたフューリーと重量級のロマチェンコ化が完了したウシク
 

他競技のトップ選手のポテンシャルは凄まじい。その選手が情報ゼロ+過去一のモチベーションで向かってくる

ウシクが今回の試合をどう捉えていたかはよくわからない。
動きが悪かったという声も多いが、そこも何とも言えない。
 
一方でヴァーホーベンはめちゃくちゃよかった。
この選手のキックの試合をいくつか観たが、どちらかと言えば背筋を伸ばして構える(アップライトまではいかないけど)印象。
なので、これだけ前傾姿勢に振り切ったことは驚きである。
 
以前から何度か申し上げているが、キックボクシングやMMAで王者になる(頂点を取る)選手のポテンシャルは凄まじい。マジで凄まじい。
競技人口や競技レベルという話はともかくボクシング王者と同等、もしくは上回る才能の持ち主なのだと思う。
 
それだけのポテンシャルを兼ね備えた怪物が過去最高とも言えるモチベーションで研ぎ澄ませてリングに上がる。しかも情報はほぼゼロ。
 
一方迎え打つボクシング側はある意味”アガリ”に近い立場。こういう試合に出ること自体がやるべきことをやり尽くした証明で、いわゆる引退前の金儲けマッチの意味合いが強い。
 
その微妙なモチベーション、コンディションで自分と同等もしくはそれ以上の怪物と(事前情報もないまま)対峙する。
これは結構危ないのではないか。
 
武居由樹がモロニーに勝利、キック出身選手で初の世界王者に。要は「ボクシングは甘くない」勢が他競技のトップ選手のポテンシャルを舐めてたんでしょ
 

リマッチになったら厳しいかも? 思った以上にヴァーホーベンがやれることが判明した

逆に言うとフランシス・ガヌー同様「1回目だからここまでやれた」というのは大いにあると思う。
 
リコ・ヴァーホーベンは
・思った以上にデカくてゴツい
・思った以上に動ける
・思った以上にディフェンスもできる
・思った以上にパンチの精度が高い
ことが今回で判明した。
 
仮にリマッチとなった場合、ウシクはそれらを想定して準備ができる。
実際10、11Rあたりは動きに慣れていたし、次回はその状態からスタートすることが可能。
 
ヴァーホーベンにとってはこの試合が実質最初で最後のチャンスだったかもしれない。
 
アンソニー・ジョシュアvsフランシス・ガヌー。ジョシュアが戻ってきやがったw ここにきてフューリーvsジョシュアが楽しみになるとは。ヘビー3強時代の締めくくり
 

「ウシクに許されるのは最低圧勝。それ以外は負けに等しい」「やるならちゃんとやれ」と喚き散らしたけど…

ここからは試合の位置付けというか、ウシクの大苦戦について。
 
ウシクvsヴァーホーベン戦が発表された際に僕は「ウシクに許されるのは最低圧勝」と申し上げている。
 
オレクサンドル・ウシクvsリコ・ベホーベン(ヴァンホーベン)、ガヌー相手に醜態を晒したフューリーの影響は大きいよな。ウシクに許されるのは“最低でも圧勝”。ヘビー級王者は別格じゃなきゃダメだろ
 
理想は序盤KO。
苦戦などもってのほか、圧勝以外は負けに等しい。
倒せないにしても終始圧倒して完膚なきまでに叩きのめせ。
 
 
僕は金儲けマッチや異種格闘技戦が悪いとは思わない。
マニー・パッキャオがろくに練習せずに安保瑠輝也にボコられようが、謹慎中のライアン・ガルシアが日本で小遣い稼ぎしようがお好きにどうぞ。
ランキング制度やベルトの権威どうこうも「今さら何言ってんの?」「ボクシングってそんなもんでしょ?」である。
 
安保瑠輝也vsマニー・パッキャオ感想。「ボクシングは甘くない」風に言うなら「いくらレジェンドでもちょろっと練習したくらいで勝てるほどキックのトップ選手は甘くない」
 
だが現役の世界王者、それも競技の象徴とも言えるヘビー級の王者がやるなら話は別。
 
もっと言うとオレクサンドル・ウシクはダントツのPFP、オールタイムベストと言っても過言ではない選手である。
本人のモチベーションが低かろうが相性が悪かろうが、思った以上にヴァーホーベンが“できる”ヤツだろうが関係ない。
重量級は軽量級に比べてフィジカルの比重が高く番狂せが起きやすかろうが、知らん。
 
本人が望まなくてもこういう試合をすれば必然的に「ボクシングを背負う」立場になる。
 
だから、やるならちゃんとやれ。
できないなら軽々しく金儲けマッチを受けるんじゃねえ。
 
ヘビー級王者は他の階級の王者とは別格であり、他競技からの転向組がいきなり挑んでいい存在ではない。ヴァーホーベンにはそのことをわからせなくてはダメ。
 
 
でも、ヴァーホーベンがウシクを追い詰めるパターンもそれはそれで悪くない。
仮にそうなったときの真のボクシングハァン()の見苦しい釈明が楽しみでもある。
 
歴代ボクサーの中でもダントツの実績、実力を兼ね備えたオレクサンドル・ウシクがプロ戦績1勝0敗の元キックボクサーに苦戦した場合、ゴールポストを動かしようがない中であいつらは何に縋るのか。
 

不動のPFPだったウシクは陥落(僕の中で)。井上尚弥が1位になった(僕の中で)けど、そんなことよりも…

そして、結果としてウシクは大苦戦という。
圧勝以外は負けに等しいどころか負けと言われてもおかしくない内容である。
 
 
少し前に
「テレンス・クロフォードが引退した今、オレクサンドル・ウシクは不動のPFP。井上尚弥がどれだけ圧倒的なパフォーマンスを見せてもウシクの偉業には追いつかない。
多少ブランクをつくろうが金儲けマッチをやろうがそこは揺るがない。
負けるか、それに近い低調なパフォーマンスを見せない限り引退まで1位」
だと申し上げている。


いや〜、やらかしましたね〜。
完全にやらかしましたね〜。
 
ブランク明けの金儲けマッチで負けに等しい内容。
この時点で僕の中でのPFPは1位井上尚弥、2位ウシクとなったことをお伝えする。
 
と同時に、こんな数字遊びよりも現役最強のヘビー級王者がプロ2戦目の元キックボクサーに負けそうになった(実質負け)方がよほど重大事件だと思っている。
 
いや、井上とウシクどちらが上だとか、そんなことを言ってる場合か?
もっととんでもないことが起きたんちゃうんか?
みたいな。
 
井上尚弥vs中谷潤人戦再視聴。会場ではわからなかった細かいペース争いがめちゃくちゃ伝わってきた。やっぱり10Rのバッティングが勝負を決めたと思うんだよな
 

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フューリーvsガヌー戦ほどのショックがない。それどころかヴァーホーベンが勝った方がおもしろいとすら思ってしまった

しかも困ったことに今回はあまりショックがない。
 
それどころかヴァーホーベンに勝ってもらいたかったとすら思っている。
歴代PFPがポッと出の元キックボクサーに負ける、いきなり2本のベルトを持っていかれる。
この結末はある意味爽快感がある。
 
タイソン・フューリーvsフランシス・ガヌー戦はフューリーの低調っぷりに(ダウンを食らう、ゼーハーしながらアウトボクシング、肘を使う)に吐き気がしたが、あの試合のおかげで今回は耐性ができた次第である。
 
 
ついでに言っておくと、真のボクシングハァン()が「ランキング制度の冒涜」「王座の権威が」と憤っていたが、蓋を開けてみたら挑戦者の資格ありありだったじゃねえかと笑
 
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