エロール・スペンスJr.vsティム・チュー。スペンスが遅すぎて驚いた。スローなジャブ、もっさりした動きがバンタム級の井岡一翔と被る。3Rに勝負をかけたけど実質そこまでだったね【結果・感想】

エロール・スペンスJr.vsティム・チュー。スペンスが遅すぎて驚いた。スローなジャブ、もっさりした動きがバンタム級の井岡一翔と被る。3Rに勝負をかけたけど実質そこまでだったね【結果・感想】

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2026年7月25日にオーストラリアで開催されたノー・リミット・ボクシング主催興行。メインイベントで元ウェルター級3団体統一王者エロール・スペンスJr.と元WBO世界S・ウェルター級王者ティム・チューが対戦し、3-0(118-110、117-111、117-111)の判定でティム・チューが勝利した試合である。


「USA vs AUS」の対抗戦として開催された同興行。
ところが試合前1週間のうちにセミとセミセミが中止に。メインのスペンスvsチュー戦もスペンス側の要望で契約体重が変更になるなど、“なかなか”の事態となっている。
 
僕はメインイベント以外には興味がなくあまり気にしなかったのだが、まあ、大変だなと。興行主はたまったもんじゃないし、現地観戦予定の観客も気の毒。
 
そして、それがまたボクシングらしいというか。
僕の中ではいつも通り「ボクシングがボクシングしとる」のひと言で消化できている笑
 
ジェフ・ホーンvsマニー・パッキャオ戦を久しぶりに視聴したら、僕の印象よりもはるかに泥仕合だった。あの試合で人生が変わったジェフ・ホーンさんはいまだに擦り続けててよき
 

スペンスおっせえ…。もっさりした感じが井岡一翔と被る

試合開始直後に思ったのが、
「スペンスおっせえ……」
 
腹周りが膨らんでかつてのシャープさは見る影もない。
全体的にもっさりしていて、開始数十秒で早くもブランクの影響を感じさせた。
 
何よりキツかったのが、ジャブにまったくスピードがないこと。
この選手は長い足を広げて侵入を防ぎ、正面に立った相手の顔面に右を突き刺して釘付けにするのがいつものパターン。
 
ところがその右ジャブがびっくりするくらい遅い。
僕の記憶ではもっと“スパッ”と切り裂くイメージだったのだが。
 
しかもチューは多少の被弾ではビクともしない。
逆にスペンスはチューが無造作に出した右をもらって早くも膝が落ちかける。
 
もともと両者には1階級の差があり、なおかつスペンス側から契約体重の変更を打診したとのこと。
正面衝突で押し込まれる、パンチ力で上を行かれるのはある程度予想がついた。
 
 
何となくだが、この日のスペンスはバンタム級の井岡一翔とイメージが被った
加齢と階級アップの影響でキレを失い、相手のスピード&パワーに置いてきぼりを食う。
井岡もフットワークが“のそのそ”という感じになっていたが、スペンスも同じ匂いがした。
 
井上拓真vs井岡一翔戦再視聴。思った以上に井岡が遅かった。去年の大晦日にも「遅いな」と思ったけど。拓真の稲妻みたいな右に対応できず。最後まで勝負しない拓真には改めて失望したけど
 

フルスイングでどうにか均衡を保つスペンス。チューはのしのし前進して…

それでも3Rまでは辛うじて“まだわからない”状態ではあった。
 
チューはスペンスのジャブをガードで弾きながら前進。
そこにスペンスが左を合わせ、さらに中に入ってボディを連打。わずかにスペースができれば再び左ストレートを伸ばす。
クリンチを織り交ぜながらどうにか均衡を保っていた(気がする)。
 
だが申し上げたようにチューは多少の被弾では動じない。
全弾フルスイングのスペンスに対し、力感のないフック、ストレートで顔を跳ね上げていく。
 
出入りとジャブでバタバタするスペンスと、のしのし前進して落ち着いてパンチを返すチュー。
スペンスがエンジンを吹かすことで無理やり体力の違いを埋めている状態である。
 
オシャキー・フォスターvsレイモンド・フォード、アクションが多くておもしろかった。“The King”藤木勇我のデビュー戦勝利を受けて、この階級のトップの試合を観てみた
 

3Rにスペンスが勝負をかけたけど、チューは動じず。この時点ですう勢が決まったかな?

3Rに入ると、スペンスは早くも勝負をかける。
リング中央で踏ん張りジャブ、左ストレート。チューのフックをダッキングで避け、起き上がり際に左右フック。そこから身体を寄せてボディやフックを浴びせる。
 
いかなければ押し切られると感じたのか、1、2Rに比べて一段ギアが上がっている。
 
そして、ここでもチューに動じた様子はない。
ある程度の被弾はOKで、スペンスのパンチをガードで弾きつつ打ち終わりにショートのフックを返す。
 
声を挙げながら腕を振るスペンスに対してチューは落ち着いて力感のないパンチで応戦する。
正直、3Rでスペンスが流れを掴めなかった時点ですう勢は決まった気がする。
 
オレクサンドル・ウシクvsリコ・ベホーベン(ヴァンホーベン)、ガヌー相手に醜態を晒したフューリーの影響は大きいよな。ウシクに許されるのは“最低でも圧勝”。ヘビー級王者は別格じゃなきゃダメだろ
 

スペンスのジャブにチューが左を合わせる。これで試合は一方的に

4Rに入るとチューがタイミングを掴んだか、スペンスのジャブに左を合わせ始める。
 
スペンスの右に外側から左を被せて顔面を揺らし、一瞬怯んだところに追撃の右ストレート。
クリンチにくれば今度はボディを突き刺す。
 
一方のスペンスは生命線の右にカウンターを合わせられて攻撃の起点を失う。3Rのフルスロットルの影響もあってか、ギアも上がらない。
 
で、それ以降はほぼ一方的な展開。
スペンスはよく12Rまでもったなというくらいで、左をもらいまくるせいで右目がどんどん腫れていく。これはなかなかの光景だった。
 
キース・サーマンがセバスチャン・フンドラに勝った世界線から正気に戻った僕。サーマンが勝つのは難しいと思ってたけど、思った以上に何もできなかったね
 

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加齢、ブランクと階級アップの影響は大きかった。この負け方なら引退も仕方ない?

上述の通りエロール・スペンスJr.は長い足を広げて侵入を防ぎ、自分のパンチだけが届く位置からジャブを刺すのが勝ちパターンの選手。
 
だが今回はブランクと加齢のせいか右ジャブにキレがなく、階級アップの影響でサイズ、フィジカルのアドバンテージも失われた。
 
容易に中に入られ、生命線のジャブは効果が薄い。
再三顔面を跳ね上げられて後退、クリンチに行けばボディで身体を丸められる。
決死の覚悟で打ち合いを挑むも、流れを変えるには至らず。
 
いろいろとしんどい復帰戦だった。
 
何より得意な距離をキープできなかったのが厳しい。相当厳しい。
正直、左構えのテレンス・クロフォードに攻略されたよりも深刻な負け方に思える。
 
クロフォードよ、お前がNo.1だ(1年8か月ぶり2回目)。スペンスを2Rでほぼ攻略、赤子扱いする。スペンスにとっては相性最悪だったかも?
 
なお試合後に引退を示唆したとのことで、これも仕方ないのではないか。
キース・サーマン、ショーン・ポーター、ケル・ブルック、アミール・カーン、ダニー・ガルシアといった世代の中ではテレンス・クロフォードと双璧の存在だったが、ある意味諦めのつく最後(?)である。
 
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