映画「ゴジラvsコング」感想。最終ステージを香港にするために伏線を張りまくった結果、怪獣おバカ映画感が薄れたのが残念だった
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映画「ゴジラvsコング」を観た。
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「ゴジラvsコング」(2021年)
ゴジラとキングギドラの対戦から5年。
怪獣調査を行う研究機関「モナーク」は、古からのゴジラの宿敵と言われるコングを「ゴジラから守る」という名目で髑髏島内の基地に収容していた。
だが、成長を続けるコングは基地に収まりきらないほど巨大化し、苛立ちを募らせる日々が続いている。
一方、巨大テクノロジー企業「エイペックス」のCEOウォルター・シモンズは、主任研究員の芹沢蓮とともにかつてモナークに在籍していたネイサン・リンドを訪ねる。
そして、ゴジラを倒す新兵器を開発するため、怪獣たちの故郷である地底大空洞の探索に協力するよう求めるのであった。
以前洞窟で兄を失ったネイサンは一度は彼らの申し出を固辞するものの、反重力機能を備えた空洞飛行探査機HEAV(ヒーヴ)の存在を知らされ一転してやる気に。
髑髏島の施設でコングの研究を続けるアイリーン・アンドリューズにコングの帰巣本能を利用して地下空洞を案内させるようけしかけるのだが……。
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楽しみにしていた「ゴジラvsコング」をさっそく観てきたぞ。公開延期はガックリきたからな
先日公開された「ゴジラvsコング」。
2014年「GODZILLA ゴジラ」、2017年「キングコング: 髑髏島の巨神」、2019年「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」から続くモンスターバース第4作目の映画である。
僕自身も「キングコング: 髑髏島の巨神」「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の2作は非常にお気に入りで、今回の「ゴジラvsコング」もめちゃくちゃ楽しみにしていた経緯がある。
キングコング:髑髏島の巨神が最高におもしろかった3つの理由。出し惜しみなく、アグレッシブにヘリを打ち落とせ
それを受けて、ついに迎えた公開とともにさっそく映画館に足を運んできた次第である。
なかなかよかった。でも不満もいくつか。最終ステージを香港にするための画策がタルかったな
映画を観た感想だが、なかなかよかった。
ゴジラとコングのど迫力満点のバトルは文句なしに素晴らしかったし、無遠慮に街を破壊していく怪獣たちの姿も壮観。ゴジラが放射能を吐く瞬間に背びれが光るアレも健在で、日米の巨大怪獣の融合は完璧だったと言っても過言ではない。
ただ、不満な点があったことも事実。
以前「公開された予告映像を観たら不安しかない」と申し上げたが、その不安がほんの少しだけ当たってしまった印象である。
映画「ゴジラVSコング」に不安しかない件。また陰キャラコングに戻るのか? 頼むぜオイ。割と期待してんだよ。番長ゴジラが悪役?
具体的には「最終ステージを香港に移すための画策がタルい」。
映画をご覧になった方はご存知だと思うが、今作はラストバトルの舞台が香港のど真ん中となる。
ところが最初にゴジラが上陸するのはエイペックスのある米本土で、コングが髑髏島から移送される地下大空洞の入り口は南極。
本来、香港などかすりもしないのである。
ところが大人の事情を考えるとそうもいかない。
香港へ舞台を移すために前作のヒロインを陰謀論の信者に仕立て上げ、ネット上で影響力を持つ巨漢とともに危険地帯に駆り出す。
コングに手話で大空洞の場所を教えるため“だけ”に髑髏島の先住民を全滅させ、耳の不自由な少女を生き残りとして登場させる。
カプセルに入れられたスカルクローラーの移送先が香港だった時点でいろいろと察したが、なるほど。経済力の差というのはこういう部分に表れるわけね。
僕が求めているのは怪獣同士がひたすらどつき合うだけのおバカ映画。コングにインディ・ジョーンズをやらせてどうする
何度か申し上げているが、僕が観たいのは巨大な怪獣同士がひたすらどつき合うだけのおバカ映画。
ごっつい怪獣が街を壊しまくり、火を噴きまくってひたすら人間を蹂躙する。
全編2時間のうち、1時間15分くらいをバトルに割くくらいの勢いで。
それこそストーリーなどは適当でいい。
というより、話の流れがガバガバであればあるほど臨場感は増し、僕の求めるおバカ映画の完成に近づく()
ムスカさん風に言うのであれば、
「見ろ! 人がゴミのようだ!!」
でいいのである。
そして、前回の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」がまさにそれだったのだが……。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」感想。ゴジラ番長のブラザーソウルが迸るぜ。オールドスクールなヤンキーによる熱き友情物語
いや、ストーリーのガバガバさ加減に関しては結構いい味を出していたのである。
コングの研究をしながらジアを我が娘のように可愛がっていたアイリーン・アンドリューズが、元同僚の「地球を救うため」という一言でコロッとコングを差し出したり。
息子を失う原因を作ったゴジラを憎んでいたはずのマーク・ラッセルがしれっとモナークに復帰していたり。
兄を失い人生に失望していたネイサン・リンドがポッと出のおっさん2人に説得されて突然前向きになったり。
冒頭の「コングが収容施設に収まりきらないほど巨大化して困っている」設定などは特にそう。ああいう強引さ加減は導入部分としては最高としか言いようがない。
「そんなバカな」と思うようなご都合主義はおバカ映画の基本中の基本。
全体を通したガバガバ感は個人的にはめちゃくちゃ好みであるww
ただ、上述のように「最終ステージを香港にするため」の画策が露骨過ぎて、ラストバトルのおバカっぷりが薄れてしまったのが……。
アレなんですよね。
「伝説の武器を見つけた!!」とか「王の帰還!!」「約束の地に到達したで」みたいなアドベンチャー要素は怪獣映画には必要ないんですよ。
「この鍵穴にキーパーツを設置したら開かずの扉が開きまっせ」的なインディ・ジョーンズのノリをキングコングにやらせてどうするよ? という。
そんなことよりラドンやムートーを登場させて、大小入り乱れての怪獣バトルに発展させた方がよかったんじゃないの?
せっかくスカルクローラーも近くにいたことだし。
ゴジラが放射能を地面に向けて打ったら、真下にコングがいましたって……。
それはさすがに無理があるでしょと思いましたけどね。
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ゴジラの男気番長っぷりが健在だったのがよかった。今回はベジータ的な立ち位置だったね。あと、小栗旬の役どころウェーイ
それでも映画自体は普通におもしろかった。
物足りないとはいってもおバカ映画の要素は満たしていたし、ムカつく高飛車女をゴミのようにポイ捨てするメシウマ展開もある。
中でも前作から続くゴジラの男気番長っぷりが健在だったのが素晴らしい。
コングにストンピングをかまして「二度と俺に楯突くんじゃねえぞ」と凄んだり、メカゴジラに苦戦するコングを見て「俺の力を使え」と斧に向けて放射能を放ったり、メカゴジラを撃退したあとに「今日は引いてやるが、次は容赦しねえぞ」と言い残して去っていったり。
要所で見せるゴジラパイセンの男気溢れる人間臭さ、王者の振る舞い()にワクワクが止まらないww
映画「パシフィック・リム」感想。誰一人欠けても地球の平和は守れなかった(キリッ! カイジューの醜さを見るとゴジラの造形美が際立たつよな
なお前作は他校の襲撃から縄張りを守る番長的な立ち位置だったが、今作はどちらかと言えばアウェイ。
己のプライドのため、将来脅威となり得る敵を潰しにきた孤独な戦士というか、ドラゴンボールで言うところのベジータ的なキャラだった気がする。
いずれにしろ、訳のわからんガキに入れ込んでヒステリーを起こす陰キャなコングよりもよっぽど僕の好みである。
あとはまあ、小栗旬の役どころがね。
芹沢猪四郎の息子である必要性がいっさいなかったなと。
日本のファンからの注目を集めるための起用だったのかもしれないが、それならもう少し英語が堪能なヤツを使えばよかったのに。
僕のゴミ英語力でも小栗旬の発音がダメダメなのはわかったし、なるべく小栗旬にしゃべらせないように仕向ける演出側の努力も垣間見えた。
で、最後は劣化版エヴァンゲリオンのような幕引き。せっかくもったいつけてスカしまくって登場したのに、特に活躍する場面もなく散ってしまった。
正直、小栗旬にとってはハリウッドデビュー以外にメリットがある役には思えなかったのが本音である。
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