目を奪われる魅力、華のある選手5選。倒し方だけでなく、倒され方にも華があってこそのスター性。PFPとは別次元のランキング遊び

目を奪われる魅力、華のある選手5選。倒し方だけでなく、倒され方にも華があってこそのスター性。PFPとは別次元のランキング遊び

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先日WBO世界フライ級王者中谷潤人が米・アリゾナ州で元L・フライ級王者アンヘル・アコスタを下して初防衛に成功したわけだが、その際に「中谷潤人がめちゃくちゃ強いのはわかった」「でも、井上尚弥に次ぐスター候補と言われてもいまいちピンとこない」と申し上げている。
 
中谷潤人vsアンヘル・アコスタ。「中谷強かったね」しか感想がないんですよね。井上尚弥に次ぐスター候補と言われてもピンとこない
 
個人的に中谷潤人はスターというより癒し要素が多い選手だと思っていて、井上尚弥とは少し毛色が違う。正直、今後どれだけ勝ち進んでも井上尚弥のように試合後数日間に渡って話題になることはない気がしている。
 
 
というわけで表題の件。
今回は「目を奪われる魅力、華のある選手5選」と題して、僕が「コイツは華があるよね」「何か知らんけど、目を奪われる魅力があったよね」という選手をランキング形式で発表していきたいと思う。
 
選出の条件としては、
・倒し方がド派手
・倒され方はもっとド派手
・適度に打たれ弱い
・そのネタだけで年単位で飯が食える試合がある
の4つ。
 
ファイトスタイルは見栄えがすこぶるよく、絶好調時は誰にも勝てないと思うほどの鮮烈な強さを発揮する。
その反面穴も多く、精神的にもやや不安定。特に防御面に弱点を抱えているケースが多く、負けるときは「うっそだろ」と声が出るほどの豪快さでぶっ倒される。
 
そして何より「○○と言えばこの試合」という代表的な試合があることが重要になる。
 
PFPの何位、誰に勝ったなどの話とは別次元の魅力、「勝っても負けてもド派手」「負け方にも華がある」選手を独断と偏見で選んでいくことにする。
 
 
ちなみに上記の条件で最初に思いつくのは元2階級制覇王者アミール・カーンだが、この選手はあまりにベタなので今回は割愛させていただいた。
 
というより、彼は2012年7月のダニー・ガルシア戦、2016年5月のカネロ戦の倒されっぷりだけで殿堂入りが確定しているので、他の選手と同列に扱うこと自体がおこがましいのである()
 

目を奪われる魅力、華のある選手5選:第5位

「フェリックス・ベルデホ」
 
この選手については「まさに」というか、デビュー初期の鮮烈さはとにかく凄まじいものがあった。
 
甘いマスクにぱっちり二重のお目々、全身から発する“陽”のオーラに加え、試合運びは持ち前のスピードを活かした鮮やかなカウンタースタイルという。
格下相手にKOを量産するだけでなく、強烈なパンチを食った相手が一瞬遅れてマットに沈む光景は思わず声が漏れてしまうほど。
 
インタビューでの好青年っぷりを含め、冗談抜きでオスカー・デラホーヤやマニー・パッキャオと同種のスター性を持った選手“だった”と断言できる。
 
 
また、プエルトリコの選手らしく顎弱族なのも素晴らしい。
 
2020年12月の中谷正義戦では序盤に飛ばしまくったせいで中盤以降はバテバテ。動きが鈍ったところに左リードを顎に被弾し、その1発だけで足腰が立たない状態に。
で、再開直後にオーバーハンドの右を側頭部に被弾してジ・エンド。
 
前半あれだけリードした状況からのド派手な逆転負けは格闘技の醍醐味とでも言うべきものだったし、あの試合は今後も語り草になるのではないか。
 
スピードもパワーもセンスもベルデホの方が上だけど、勝ったのは中谷正義なんですよ。やっぱり中量級以上の日本人には気持ちが入るよね
 
才能に溢れた華やかさと脆さを兼ね備えた元スター候補、フェリックス・ベルデホ。
擁護できないレベルの犯罪者へと身を落としてしまったのは何とも残念である。


 

目を奪われる魅力、華のある選手5選:第4位

「ザブ・ジュダー」
 
前半5Rまでなら歴代最強と言われ続け、最後まで脳筋ファイトからの脱却を拒否し続けた男、ザブ・ジュダー。
 
矢のような右リードと追撃の左、高い身体能力と目のよさを活かした抜群の見切り、その他。
 
絶好調時は誰も寄せ付けないほどのスピードとキレを発揮し、「誰がコイツに勝てんねん」と思わせるくらいの強さを見せつける。
 
持って生まれた才能は文句のつけようがなく、2006年4月のフロイド・メイェザー戦では前半4Rまでメイウェザーを圧倒。2Rにはメイウェザーにキャリア唯一のダウン(判定はスリップ)を食らわせるなど、あらゆる局面で無敗王者をぶっちぎってみせた。
 
 
だが、攻撃パターンが単調過ぎるせいで中盤以降に動きを見切られることも多く、トップ中のトップにはことごとく遅れを取るのが常。
 
また性格的にやや不安定なところがあり、格下相手に舐め腐った態度を取ったり、調子が悪いときはクソつまらない試合を披露するのもこの選手の特徴となっている。
 
そして、そういうムラっけの多さを含めたすべてがザブ・ジュダーの魅力である。
 
 
もちろん倒されっぷりも「さすがジュダー」のひと言。
2001年1月のコンスタンチン・チュー戦での2RTKO負けは21世紀のボクシング史に残るKO劇と言っても過言ではない。
 
開始直後からスピード差で煽りまくったものの、2R残り5秒を切ったところでチューの右を顎に被弾し頭からダウン。
すぐに立ち上がって問題なしをアピールするが、膝がガクガクと揺れてその場に立っていられずもつれるようにうつ伏せに崩れ落ちる。
 
で、その姿を見たレフェリーがすぐさま両手を交差して試合をストップするという。
 
このストップに納得がいかないジュダーはレフェリーに掴みかかったり、椅子を投げつけたりとやりたい放題やったせいで出場停止処分を喰らうわけだが、それらを引っくるめて最高であるww
 
 
調子こいて飛ばしまくる→豪快に被弾してダウン→ノーダメージをアピール→膝が笑って立っていられずレフェリーストップ→試合を止めたレフェリーに激昂、乱闘をおっ始める→出場停止
 
完璧すぎる
 
 
誇張抜きでザブ・ジュダーは2001年1月のコンスタンチン・チュー戦と2006年4月のフロイド・メイェザー戦だけで10年は飯が食える。
 
ザブ・ジュダー名試合ベスト3を決める。3R限定の最強脳筋野郎。怒りの沸点の低さもスピードスターな着火マン
 

目を奪われる魅力、華のある選手5選:第3位

「長谷川穂積」
 
かつて“日本のエース”と呼ばれ、WBCバンタム級王座を10度防衛した長谷川穂積。
2016年9月にウーゴ・ルイスに勝利し、約5年半ぶりに世界王座に返り咲いた試合は今でもファンの間に強い印象を残している。
 
 
この選手も「倒し方に華があった」典型的なボクサーだと思っている。
 
特に2006年3月のウィラポン・ナンコルアンプロモーションVol.2でのKO勝利のインパクトはとんでもない。僕はこの試合をリアルタイムでは観ていないのだが、のちのち映像で観てあまりの鮮やかさに度肝を抜かれた記憶がある。
 
また、2008年から2009年にかけての5連続KO防衛はまさしく長谷川穂積のハイライト。
 
長谷川穂積のことは好きじゃないけど“世界”を見せてくれた選手だった。興味がなくてあまり観てなかったけど
 
率直に申し上げて、長谷川穂積の顔面偏差値はそこまで高くない。
だが、それを補って余りあるというか、この選手にはボクシングの才能のみで「カッコいい」と思わせる華があった。
 
いわゆる地位が人を作り上げたパターン。マニー・パッキャオ同様、後天的にスター性を身につけた選手と言えるのではないか。
 
 
そして、これはあまり言われていないのだが、長谷川穂積は実は倒され方にも人を惹きつけるものがあったと思う。
 
長谷川ファンを絶望させた2010年4月のフェルナンド・モンティエル戦、華麗な復活から再びどん底へ突き落とされた2011年4月のジョニー・ゴンサレス戦、「今度こそは!」というファンの祈りが無残に砕かれた2014年4月のキコ・マルティネス戦。
 
モンティエルにはラウンド終了間際の1発で意識を飛ばされ、ロープ際で棒立ちのまま滅多打ちに。
ジョニゴンには外旋回のフックでロープまでふっ飛ばされてそのまま戻って来られず。
キコマルには重厚なプレスで袋小路に追い込まれた末に苦し紛れの打ち合い勝負を挑んで撃沈。
 
日本人なだけあって悲壮感や絶望感の方が先に立つが、これだけ鮮やかな倒され方をする選手はなかなか稀有な存在。
最初に申し上げた「倒され方はもっとド派手」という条件に見事に合致する。
 
 
なお、こういう取り上げ方をすると気分を害される方もいるかもしれないが、そこは大目に見ていただきたい。
 
なぜなら「スターは倒され方もド派手でなくてはならない」から。
 

目を奪われる魅力、華のある選手5選:第2位

「セルゲイ・コバレフ」
 
これは完全に僕の独断と偏見(そもそもこのランキング自体が独断と偏見だけど)なのだが、やはりこういうランキングにセルゲイ・コバレフは外せない。
 
以前から何度も申し上げているが、僕はセルゲイ・コバレフが大好きである。
 
セルゲイ・コバレフベストバウト3選。やっぱりコバレフ超カッコいい。圧倒的な“クラッシャー”っぷりと人間味溢れるコバレフが大好きですww
 
静かな殺気とハングリーさに満ちた佇まい。
中間距離での圧倒的な殺傷能力。
 
見た目からは想像できないほどのジャブの強烈さと、L・ヘビー級では完全に威力がカンストしていた右のカウンター。
 
2013〜2015年あたりの最強っぷり、万能感は尋常じゃないものがあったし、あの頃の殺し屋のようなオーラは今思い出しても脳汁が止まらない笑
 
 
また、2019年2月のエレイダー・アルバレスとの再戦でのモデルチェンジ、2019年8月のアンソニー・ヤード戦での大逆転には心底痺れた。
一度倒されたアルバレスにアウトボクシングを貫徹して勝利し、最強の挑戦者アンソニー・ヤードにはダウン寸前まで追い詰められながらも地道にジャブを当てての逆転TKO。
 
「本物は全盛期が2度ある」「一度落ちてから知力と経験を総動員して復活する」を地でいくようなコバレフの返り咲きに身体中の毛穴がすべて開くほど感動させていただいた。
 
 
僕の中でのコバレフのベストバウトを挙げるなら、
・2014年11月のバーナード・ホプキンス戦
・2016年11月のアンドレ・ウォード戦
・2019年8月のアンソニー・ヤード戦
で決まりかなと。
 
 
そして、ご多聞に漏れず倒されっぷりも素晴らしい。
長谷川穂積やザブ・ジュダーのような豪快なダウンを喫するわけではないが、劣勢での脆さがとにかくとんでもない。
 
ザブ・ジュダー同様、コバレフも完全に前半型の選手で、それこそ5Rまでなら歴代最強のL・ヘビー級と呼んでもいいくらい。
 
ところが6Rを超えると一気に動きが悪くなり、なおかつボディ攻撃、ローブローにやたらと神経質になるのも特徴的。
ボディを効かされて後退する際の切なさと哀しさ、寂しさが同居する表情は何度観ても「おおう…」となってしまう。
 
きわめつけは2019年11月のカネロ戦。あの試合のコバレフは11Rに強打を側頭部に浴びて意識を失い、コーナーで座り込むようにダウン。そのままピクリとも動かずレフェリーに試合を止められている。
 
 
殺気混じりの凶悪なボクシングと劣勢時に見せる迷子のような気弱さ、脆弱さ。
“破壊神”の異名にふさわしい強さと孤独な哀愁が同居するセルゲイ・コバレフはやっぱり人間臭くてカッコいい。
 
 
まあ近年は飲酒運転や暴行事件、試合前の禁止薬物陽性など、しょーもない出来事も増えているが。
しかも2020年12月には自身のSNSに有料配信チャンネルの動画を無断転載したとかで、配信チャンネル側を大激怒させたり……。
 
豪快さと哀愁が同居する凶悪ボクシング野郎がどんどんアホなおもしろおじさん化していく光景には、さすがの僕もコメントしにくいものがあるww
 

目を奪われる魅力、華のある選手5選:第1位

「ファンマ・ロペス」
 
長々と続けてきた「目を奪われる魅力、華のある選手5選」だが、ついにここまでたどり着いた。
 
堂々の1位はファンマ・ロペス(ファン・マヌエル・ロペス)である。
 
 
これまであまり言ってこなかったのだが、僕はファンマ・ロペスが好きである。
 
理由はもちろん「華があるから」
 
2021年9月現在の戦績が36勝6敗1分32KO。36勝のうちKOが32、喫した6敗はすべてKO負けという、今回のランキング遊びのテーマに限って言えばパーフェクトなキャリアと断言できる。
 
 
倒しっぷりはもちろん豪快でド派手。
 
ガードを高く上げてゴリゴリプレッシャーをかけ、中間距離で左右フックを全力で打ち込むファイタータイプ。
中でも得意の右フックの強烈さ、当て勘は特筆もので、これまでダニエル・ポンセ・デ・レオン、オルランド・サリドなどの強豪をマットを這わせている。
 
その反面、プエルトリコ出身の選手らしくディフェンスのヌルさが目立つのもこの選手の特徴。
申し上げたようにこれまで喫した6敗はすべてKO負けで、そのうち4RまでのKO負けが3つあることからもそれは明らかである。
 
フックが得意な割に頭の位置があまり動かないせいでカウンターを芯で食いやすく、ダメージが表面化するとあっという間に足が動かなくなる。
しかもあまりクリンチを使わないので、効いた状態で追撃をもらってしまう悪循環。膝をガクガクさせたまま空振りを繰り返し、致命的な被弾で前のめりに倒れる。
 
また、困ったことにこの選手は何度倒されても立ち上がる根性の持ち主でもある。
空中で気を失い、そのまま事切れるようにダウンする光景は殿堂入りを果たした()アミール・カーンを彷彿とさせるが、ファンマ・ロペスはそこからがんばってしまう。
 
「これはダメだろ」というダウンを食った直後にフラフラになりながら立ち上がり、止められるかどうかの瀬戸際でギリギリ踏ん張る。
 
で、再開とともに被弾→決定的なダウンを喫する流れ。
本来なら一度目のダウンで終わっておけばいいのに、本能的に負けを拒否してしまうのが……。
 
 
ただ、華がある
ダントツで華がある。
 
繰り返しになるが、ファンマ・ロペスの倒しっぷり、倒されっぷりにはめちゃくちゃ華がある。
 
好調時のファンマはホントにすごいんですよね。

 
2011年4月のオルランド・サリド戦。ファンマが初黒星を喫するとともに防御の甘さが白日のもとに晒された試合。

 
2014年3月、ダニエル・ポンセ・デ・レオンとの再戦。ファンマはこの試合だけで間違いなく10年は飯が食えるし、このハイライトは一生眺めていられる笑

 
続く2014年7月のフランシスコ・バルガス戦。バルガスは翌年日本の三浦隆司に挑戦するわけだが、恐らくこの頃のバルガスはキャリアを通して一番強かった。

 
いや〜、やっぱりファンマはいいっすねぇ〜。
 
先日、キックボクサーのバダ・ハリが絶対有利の状況からハイキック1発で逆転負けを喫していたが、あの選手の華やかさもファンマ・ロペスやアミール・カーンに通じるものがある。
 
10対0からでも逆転できる(逆もある)のが格闘技のいいところだし、ファンマ・ロペスの華やかさにはやはり目を奪われてしまう。
 
 
 
 
以上でございます。
 
結果的にランク入りした5人のうち4人が犯罪者という史上稀に見る最低なランキングとなったわけだが、まあ、楽しかったから別にいいやw
 
 
つか、冗談抜きで何で闇落ちしちゃうんでしょうね。
 
それこそファンマなんて“2階級制覇王者”の肩書きとダニエル・ポンセ・デ・レオンとの2戦、オルランド・サリド戦、マイキー・ガルシア戦のネタだけでも一生食うのに困らない気がするけど。
 
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