スピードもパワーもセンスもベルデホの方が上だけど、勝ったのは中谷正義なんですよ。やっぱり中量級以上の日本人には気持ちが入るよね【結果・感想】

スピードもパワーもセンスもベルデホの方が上だけど、勝ったのは中谷正義なんですよ。やっぱり中量級以上の日本人には気持ちが入るよね【結果・感想】

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2020年12月12日(日本時間13日)、米・ネバダ州ラスベガスで行われたライト級10回戦。WBO同級12位フェリックス・ベルデホと15位中谷正義が対戦し、9R1分45秒TKOで中谷が勝利。2度のダウンを喫しながらも終盤の劇的な逆転勝利で復帰戦を飾った一戦である。

2019年7月以来、約1年半ぶりの現役復帰となった中谷正義。
対戦相手のフェリックス・ベルデホは27勝1敗17KOの戦績を持つ元トップアマ。2018年3月にアントニオ・ロサダにKO負けを喫したものの、そこから1年半で4連勝と波に乗る。
 
 
試合は開始直後から長身の中谷が自ら前に出て腕を振っていくが、ベルデホは持ち前のスピードを活かして迎撃。1Rに右フックで豪快にダウンを奪うと、それ以降も鋭い左リードとカウンターの右を駆使して試合をコントロール。4Rには凄まじい右クロスをカウンターでヒットしこの日2度目のダウンを奪う。
 
だが7Rに中谷がシャープな右でベルデホをグラつかせると、そこから強引に前に出て勝負をかける。
サイドに動きながらカウンターで対抗するベルデホだが、中谷がコツコツと積み重ねてきたダメージと疲労で足取りの重さを隠せず。
 
そして9R。
中盤に再び左でダウンを奪った中谷に対し、ベルデホもダメージを負いながらもどうにか立ち上がるが、すでに反撃の力は残っておらず。最後は左リードからのオーバーハンドの右でうつ伏せにダウンを喫し、その瞬間にレフェリーが試合をストップする。
 

スポーツには心を動かす力がある。叫んで泣いて笑ってまた泣いたww

ここ最近(恐らく2020年で)、僕がもっとも楽しみにしていたのがこの試合、中谷正義vsフェリックス・ベルデホ戦である。
 
中谷正義については以前から「期待している」「中量級で通用する選手」と喚き散らしており、2019年7月のテオフィモ・ロペス戦での善戦はめちゃくちゃ感動させられた経緯がある。
 
中谷正義惜しい! テオフィモ・ロペスに判定負け。でも間違いなく通用するとは思ったよね。5Rまで粘れば大健闘とか言われてたけど
 
残念ながらあの試合を最後に引退してしまったものの、SNS等での発言や振る舞いを見ると、端々に現役への未練が感じられる。
 
部外者の無責任な願望だが、近々の現役復帰もなくはないと思っていた次第である。


で、数ヶ月後。
テオフィモ・ロペス戦をプロモートしたトップランク社の関係者が「近日中に中谷正義vsフェリックス・ベルデホ戦がセットされる」とSNSで匂わせ、それから数日後に本人が正式発表するという。
 
僕自身、フェリックス・ベルデホに勝てる可能性は十分あると思っていたし、対戦カードとしてもめちゃくちゃおもしろい。
 
ロペス戦直後から中谷vsベルデホ戦を言及していたのだが……。
 
まさか本当に実現するとは思わねえじゃんかww
しかもこんなにあっさりとww


この時点ですでに尿もれ吐血嘔吐が止まらなかったわけだが、その上であんな試合を見せられたらね……。
 
叫んで泣いて笑ってまた泣いてw


改めて「スポーツには人の心を動かす力がある」ことを実感させられた試合だった。
 

今回のベルデホはマジで強かった。両者のスピード&パワーの差が顕著に表れた序盤

試合の感想だが、まず今回のフェリックス・ベルデホはかなり強かったと思う。
 
 
試合前に中谷本人がしきりに「KOを狙う」「インパクトを残さないと、こちら(アメリカ)のリングでは勝てない」と言っていたが、開始直後からグリグリ前に出ていたのもそのためだったと想像する。
 
そして、その作戦は決して間違いではなかったとも思う。
基本的にベルデホという選手はカウンター使いで接近戦はやや苦手。長身のアントニオ・ロサダにKOされたことからも、同じ長身の中谷が体格差を活かして上からスペースを潰すやり方は有効に思える。
 
中谷正義復帰!? フェリックス・ベルデホとサバイバルマッチ!? そりゃすげえ。中谷勝利は確定しているけど、お互いに容易い試合じゃなさそうだよね
 
だが、この日のベルデホは想定以上にスピード&パワーがあり、中谷本人もだいぶ度肝を抜かれたのではないか。
 
開始直後に中谷が放ったジャブにカウンターを合わせ、すぐさま連打に移行するベルデホ。
さらに遠い位置から身体をかがめてボディに左をねじ込み、中谷の身体をくの字に折る。
 
左右フックで中谷のガードを揺らし、近場でのコンビネーションの打ち終わりにカウンターの右を返す。
 
中谷も何とかヘッドスリップで威力を逃すものの、危ないタイミングで鼻先をかすめたパンチに緊張感が走る。
 
あ、ヤバい。
ベルデホ強いわ。
 
中谷の反応がまったく間に合ってない。
これはちょっとマズい。想定以上に速いぞ。
 
と思って観ていると……。
 
残り1分強でベルデホの放ったスピーディなワンツーの右が顔面を捉え、中谷が豪快にダウン!!
ヘッドスリップでダメージを逃してはいたが、倒れ方がド派手で見栄えはすこぶる悪い。
 
すぐに立ち上がり、クリンチを駆使しながら1Rをしのぎ切った中谷だが、両者のスピード&パワーの差が顕著に表れたラウンドだった。
 
 
てか序盤のベルデホ、ガチで強かったっすよね。
開始直後にこれ↓を言おうとした途端にダウンさせられましたからね。


エキサイトマッチの解説者が「左のカウンターを狙われてるから、左を囮にして右を狙えばいい」と言っていたが、いや簡単に言うなよと。ベルデホのワンツーのつなぎが速すぎて中谷の右が間に合わねえんだよと。


 

ボクサーとして持っているものはベルデホの方が上だった。でも、勝ったのは中谷正義。選手としての重厚感が違う

ただ、それでもチャンスは必ずくるとは思っていた。
 
以前にも申し上げたようにすべてのアクションがド派手で見栄えもいいベルデホに対し、中谷正義のファイトスタイルは若干地味。
前回のテオフィモ・ロペス戦でも微妙なラウンドはすべてテオフィモに流れていたし、正直ポイント勝負で勝つのは相当厳しいと思っていた。
 
中谷正義vsフェリックス・ベルデホ戦実現を願う会解散とともに中谷正義のフェリックス・ベルデホ戦での勝利を願う会発足を宣言します
 
なので、中谷が勝つとすればKO勝利。もしくは数度のダウンを奪った上での明確な判定勝ち。
前半はベルデホにリードを許したとしても、猛攻に耐えつつボディやジャブをコツコツ当てていけば流れは確実にくる。
勝負は2018年7月の富岡樹戦と同じ後半だろうと。
 
 
そして、実際その通りになったわけで。
 
地味ながらも中谷のジャブは確実にベルデホの顔面を揺らしていたし、近場でのボディもしっかりと入っていた。ベルデホのド派手なアクションやダウンのインパクトが強すぎて印象には残りにくいが、実はロペス戦同様、序盤から中盤の中谷はそこそこやれていたのである。
 
 
で、ベルデホに疲れが見え始めた7R。
リング中央で放った中谷のワンツーがベルデホの顎を捉え、そこから一気に流れが変わる。
 
怪しい足運びで左右に逃げるベルデホに対し、被弾覚悟で前に出て腕を振る中谷。
何度かカウンターでグラつかされたものの、まったく意に返さずに足を踏ん張って前進を続ける。
 
マジな話、あそこは両者の気持ちの強さ、打たれ強さがモロに出た局面だったと思う。
 
どれだけ効かされても一切怯むことなく、前半苦しめられたベルデホの射程に躊躇なく踏み込む中谷。
対するベルデホはダメージの蓄積と前半から飛ばしまくったツケが一気に吹き出した印象。攻めに転じた中谷とは真逆で、ポイントアウト狙いの後ろ向きなメンタルになっていた。
 
以前「中谷のOPBFタイトル11度防衛はちょっと長過ぎた」と言ったことがあるが、あの局面で踏ん張れたのも長期間にわたってOPBF王座を守り続けた経験があってこそなのかもしれない。


序盤のベルデホは確かに想定を超えていたが、これまで経験してきたことを踏まえればしのげないほどではない。
 
中谷正義とベルデホの成熟度が段違い。やっぱりOPBF王座11度防衛は伊達じゃねえな。そして井岡パパの名コーチ属性
 
序盤から前に出るも、カウンターで返り討ちにされてダウン

中盤からジャブ中心に切り替え、再度ダウンさせられながらも諦めずに地道にダメージを与えていく

疲労とダメージが噴き出しかけるが、ギリギリで踏みとどまる

1発効かせた直後にペースアップ。ダウンを奪い返し、一気にKO勝利を手繰り寄せる
 
多彩なバリエーション、局面ごとの切り替えの早さは「鋭いワンツー+スペシャルなカウンター」以外に引き出しを持たなかったベルデホとは明らかに別物である。
 
 
表題の通りなのだが、純粋なスピード&パワーやセンスははっきり言ってベルデホの方が上だった。
 
だが、それでも勝利したのは中谷正義。
選手としての重厚感がまったく違うのである。
 
 
散々「中谷正義はファイトスタイルが地味」だと言ったが、最後はその地味呼ばわりしたジャブで決めちゃった。
もう、たまらないっすよね。


あとはまあ、トップ選手とそこに一歩届かない選手の差というものを感じた試合でもあった。
 
先日のエロール・スペンスJr.vsダニー・ガルシア戦は序盤4Rの時点でダニガルが逆転する光景がまったく想像できなかったが、今回のベルデホはまだまだ付け入る隙があるように思えた。


要は、勝負どころの後半でミスをするかしないか、相手の力量に合わせたペース配分ができるかどうかが一流と超一流を分ける分岐点でもあるのだろうと。
 
ロール・スペンスがうまかったなオイ。ダニー・ガルシアにカウンターのチャンスを最後まで与えず。なお、おもしろい試合ではない
 
メインのシャクール・スティーブンソンvsトカ・カーン・クレイリー戦なんて無風もいいところでしたからね。
そよ風すら吹く気配なく終了のゴングが鳴らされましたとさww
 
亀田和毅vsゲイリー・ラッセルJr.だと!? 本当に実現するなら西岡vsドネア戦に匹敵するビッグマッチ。でもラッセルさんはクソつええぞぉ?
 

中量級以上の選手にはどうしても思い入れが強くなる。ガタイで敵わない日本人は海外では〜って言い分が大嫌いでね

しかし毎回そうなのだが、中量級以上の日本人選手にはどうしても思い入れが強くなってしまう。
 
井上尚弥や井岡一翔といった軽量級の選手ももちろんすごいのだが、やはり重いクラスの選手に対しては別格の感情がある。
 
特にコンタクトスポーツにおいては、「日本人はガタイの大きい海外の選手には敵わない」という長年の提言を覆してもらいたい思いを常に持っている。
 
僕がボクシングで言えばライト級〜ウェルター級あたりの体重を行き来しているせいもあるが、「海外では日本人は〜」「パワーで敵わない分を技術で補う」という言い分には昔から「ウッキー!!」となっていた。


しかもトップランク社のSNSを見ると、この試合がベルデホのために用意されたものであることは明らか。
 
計量シーンではベルデホのSNSのみを載せたり、メインの「#StevensonClary」のタグを使用してみたり。


トップランク社の中谷に対する態度にはずーっとイライラさせられていたことを報告しておく。
 
契約選手ではないとは言え、もう少しあんだろ。
舐めてる暇ちゃうぞ、あ?
みたいな。
 
2020年ボクシングベストマッチ5選(僕の)。コロナとかいろいろあったけど、いい試合が多かったよね。なお異論は認めない
 
だからもう、中谷がKOで勝った瞬間の爽快感はマジでヤバかったですよね。


はい。
「日本の誇り」という言葉が大嫌いなくせに「日本人を舐めんじゃねえぞ」と思っているめんどくさい人間が僕なのでありますww
 
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