ザブ・ジュダー名試合ベスト3を決める。3R限定の最強脳筋野郎。怒りの沸点の低さもスピードスターな着火マン

ザブ・ジュダー名試合ベスト3を決める。3R限定の最強脳筋野郎。怒りの沸点の低さもスピードスターな着火マン

フィットネスイメージ
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世界中で相次ぐスポーツイベントの中止・延期により、この数週間、“週末のボクシング観戦”という僕のささやかな趣味も削られている。

 

2020年7月に開催予定だったデオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリーVol.3も延期が濃厚とのことで、いよいよ再開の見通しが立たない状況である。
仕方ないので相変わらずレジェンドの試合をわちゃわちゃと漁っているのだが、それはそれで楽しかったりもするww

年代も選手も好き勝手に選べる分、ネタ切れすることもない。時間が空いたときにサッとできるのもいいし、非常にコストパフォーマンスに優れた趣味と言えるのではないか()

で、その中から僕がおもしろいと思った選手、試合を先日から適当にピックアップしているのだが、今回はその第四弾「ザブ・ジュダー」である。

1977年10月生まれのサウスポーで、最終戦績は56戦44勝10敗30KO2無効試合。
鋭い左ストレートやアッパーを武器に2019年6月まで現役を続けた息の長い選手なのだが、中でも僕がベストバウトだと思う3試合をランキング形式で発表していこうと思う。

なお、毎度申し上げているようにあくまで僕のランキングなので、あれやこれやと言わずに適当に聞き流していただければ幸いである。

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ザブ・ジュダー(僕の)名試合:第3位

×ザブ・ジュダーvsフロイド・メイウェザー○

まずは第3位。
2006年4月に米・ネバダ州で行われたIBF世界ウェルター級タイトルマッチ。同級王者ザブ・ジュダーがフロイド・メイウェザーと対戦し、3-0(119-109、116-112、117-111)でメイウェザーが勝利した一戦である。

 

ザブ・ジュダーが抜群のコンディションで臨んだこの試合。2Rに鋭い右フックで幻のダウンを奪うなど、序盤はメイウェザーをスピードで上回るほどのキレを発揮する。

ご存知の通りザブ・ジュダーという選手は好不調の波が激しく、好調時には手の付けられない輝きを見せる。だがその反面、集中力が切れると力を発揮しきれず、フラストレーションが溜まる試合を披露してしまう傾向が強い。

また、自分を抑制できない側面があり、試合中や試合前に相手陣営と乱闘騒ぎを起こすこともしばしば。
そして、このメイウェザー戦に関しては、ザブ・ジュダーのいい面が出た試合と言える。

刃物のような右リードでメイウェザーの顔面を跳ね上げ、切れ味鋭い左をガードの間からねじ込む。

相手の踏み込みをわずかなバックステップと抜群のカウンターで何度も迎撃するなど、序盤はメイウェザーにほぼ付け入る隙を与えなかった。

2Rに幻のダウンを奪った右フックはもはや神業と言ってもいいレベル。
あの動きだけを切り取れば、この選手のキャリアが「失敗」と言われてしまうのもわからないでもない。冗談でも何でもなく、ボクシングの世界戦が3R制ならジュダーに勝てる選手は歴代見渡しても存在しないのではないか。

だが4Rあたりから徐々にメイウェザーに対応され、コーナーでくぎ付けになるシーンが目立ち始める。
後半は完全に前手の差し合いで打ち負け、あっさりロープを背負わされて亀になるばかり。終盤4Rはほぼメイウェザーのワンサイドのまま時間が過ぎ去り、試合終了のゴングが鳴らされている。

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恐らくだが、ザブ・ジュダーの最大の欠点は強弱のなさ。
天性のスピードと当て勘を持ちながらも攻撃パターンが一辺倒でパンチの種類も少ない。その上インファイトでできることが乏しく、ひたすらガードを上げて耐えるのみという。

スペースのある位置では鋭い踏み込みとナイフのようなカウンターが大いに機能するが、そこを踏み越えられると途端にできることがなくなってしまう。

この試合のメイウェザーも開始直後より半歩ほど間合いを詰めてジュダーの動きを封じ、それ以降は試合を支配してみせた。

・動きの強弱のなさ
・攻撃パターンの少なさ
・インファイトのダメダメさ

序盤はどの選手もジュダーのスピードに面食らうのだが、ある程度ラウンドが進むとぼちぼち対応できてしまう。メイウェザーを含め、レベルが一定以上の相手にことごとく勝てなかったのもそれが理由なのではないか。
タイプは違うが、この引き出しの少なさは亀田和毅とも共通する部分かもしれない。

ザブ・ジュダー(僕の)名試合:第2位

×ザブ・ジュダーvsミゲール・コット○

続いて第2位はコレ。
2007年6月に米・ネバダ州で行われたWBA世界ウェルター級タイトルマッチ。同級王者ミゲール・コットにザブ・ジュダーが挑戦し、11RTKOでコットが勝利した一戦である。

この試合も上記のメイウェザー戦同様、ザブ・ジュダーの持ち味が山ほど発揮された一戦と言える。
開始直後からジュダーが鋭い右の連打とフットワークでコットを翻弄し、期待感いっぱいの立ち上がりを見せる。

身体を振りながら距離を詰めるコットに対し、ジュダーは外側にステップしながら右フックを放つ。これはメイウェザーから幻のダウンを奪ったパンチでもあるが、一瞬の切れ味に関しては惚れ惚れするほどの鮮やかさである。

また、1R1分半あたりにコットを大きくグラつかせた左アッパー。あれもジュダーの得意なパンチの一つで、ハの字型のガードを駆使するコットとの相性も抜群にいい。
後半のローブローで流れが止まってしまったものの、ジュダーにとってはこの試合のベストラウンドだったのではないか。

だが、2Rに入ると徐々にコットが対応力を見せ始める。前に出て連打を浴びせるシーンが目立ち、ジュダーの表情から余裕が失われる。時おり左ストレートやアッパーのカウンターでコットの動きが止まるが、全体を通して見ればコットが流れを引き寄せたラウンドである。

そして、それ以降は完全にコットのペースで試合が進む。
連打とプレスに散々追い回され、たっぷり疲弊させられ9R、11Rに2度のダウン。そのまま反撃できずにTKO負けという流れ。

中盤にローブローで再びジュダーが倒れ込むシーンがあったが、実際あれはどうなんだろうか。めちゃくちゃ痛かったとは思うが、逆に流れを渡してしまうきっかけにもなっていたように思うのだが……。

もともとコットは連打とプレスが得意でサウスポーも苦にしないタイプで、ザブ・ジュダーにとっては天敵の部類。

初回こそスピードと持ち前のセンスで圧倒してみせたが、それ以降はほぼなすすべなく敗れている。はっきり言って、ジュダーにとっては2006年のメイウェザー戦よりもキツい試合だった。

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ザブ・ジュダー(僕の)名試合:第1位

×ザブ・ジュダーvsコンスタンチン・チュー○

いよいよ第1位はこの試合。
2001年11月に米・ネバダ州で行われたWBC/WBA/IBF世界S・ライト級統一戦。WBC/WBA王者コンスタンチン・チューとIBC王者ザブ・ジュダーが対戦し、2RTKOでコンスタンチン・チューが勝利し王座統一に成功した一戦である。

まあ、この試合はね。
ザブ・ジュダーを語るなら絶対に外せない一戦だろうと。

開始直後からハイスピードな動きでチューを翻弄し、ロープ際でガードの間から左ストレートを突き刺すジュダー。

このときのザブ・ジュダーは27勝21KOと無敗街道驀進中で、年齢も若くイケイケな時期。メイウェザー戦やコット戦と同じくカウンター狙いが基本ではあるが、自ら前に出て腕を振る大胆さも持ち合わせる。

1発KOの破壊力を持つチューの懐に躊躇なく飛び込む怖いもの知らずな状態で、動きの端々からも自信が満ち溢れていた。

特に1Rの残り50秒あたりでの動きすごかった。チューのクリンチを無理やり振りほどき、そのまま近場でフルスイング→自分の拳に振り回されるほどの大振りでリングの端から端まですっ飛んでいく。こういう怒涛の攻撃はこの時期ならではの荒々しさだったのだと思う。

1Rを観る限り、このままジュダーの一方的な展開が続くのではないかと思わざるを得ないほど、ジュダーのキレ、爆発力は凄まじいものがあった。

ところが2Rに入ると、少し様子が変わる。
このラウンドも遠い位置で対峙するジュダーだが、微妙に動きがおかしい。
軽快なステップで正面を外すのだが、1Rに見せた鋭いカウンターがなかなか出ない。
自分から手が出せないジュダーはジグザグに距離を詰めるチューのプレスに追い回され、徐々に逃げ場を失っていく。

そして、コーナーを背負った状態でチューの右を被弾。若干当たりは浅かったものの、1Rとは明確に流れが変わったことがわかる。

ほほお、なるほど。
さてはコイツ、バテとるな?

開始直後からいきなりフルスロットルで攻めまくったせいであっという間にバテやがったのかw
いや、そりゃそうだよな。

あんなハイテンションな動きで12Rもつわけがない。それどころか、前半を乗り切れるかすら怪しいくらい。
初の統一戦ではりきっていたのか、序盤でカッコよく決めようと思ったのかは定かではないが、やらかした感は尋常じゃない。

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その後もチューの右とプレスに後退させられ、最後はスウェーが間に合わずに仰向けにダウン。
すぐに立ち上がって「利いてませんけど、何か?」とアピールしている最中に膝がガクガクと揺れ、千鳥足でよろけて再びダウンを喫する。

それを見たレフェリーがすかさず試合をストップして試合終了。コンスタンチン・チューが王座統一に成功すると同時に、ジャッジに不服なジュダーが我慢できずに乱闘騒ぎを起こしてしまうわけだが……。

え? 何なの? この試合ww
超おもしれえんだけどww

1Rに狙ったオーバーキールが不発に終わり、2R開始とともに失速。苦手なインファイトで追い回され、バックステップが間に合わずに後頭部からダウンを喫する。一度は立ち上がるも、三半規管が機能せずにマットに転がりそのまま試合終了。

先ほど「3R制ならジュダーに勝てる選手は歴代見渡しても存在しないのでは?」と申し上げたが、いきなりいたじゃねえか!!

この一戦には“前半型の脳筋ファイト”というザブ・ジュダーの魅力がすべて詰まっていたと言っても過言ではない。

仮にボクシングが「積んでいるエンジンの性能を競うスポーツ」なら、ザブ・ジュダーは文句なしのNo.1だった? かも?

超前半型の脳筋着火マンは愛されキャラ。本当におもしろいキャリアだった

以上が僕の思うザブ・ジュダー名試合ベスト3なのだが、いかがだろうか。

全部負け試合だけどな!!

いや、まあ……。
2005年2月のコーリー・スピンクス戦や2010年11月のルーカス・マティセ戦など。勝利した試合の中にも名試合と呼べる試合はいくつかあるのだが……。

もっとも印象に残っている試合は? と聞かれれば、やはり上記の3戦を挙げざるを得ないのかなと。
また、改めて振り返ると、この選手のキャリアは本当におもしろい。

迸る才能を盛大に無駄使いした燃費の悪い脳筋ファイトに加え、それと連動するような沸点の低い着火マンっぷり。

動きの速さ。
バテる早さ。
ブチ切れる速さ。
いろいろな意味で“スピードスター”という呼び名がピッタリである。

さらにメイウェザー、コット、チューを始め、アミール・カーンやジョシュア・クロッティ、コーリー・スピンクス、ダニー・ガルシア、ポール・マリナッジなどなど。強敵との対戦にいっさい躊躇がない潔さも持ち合わせる。

溢れる才能を活かしきれないもどかしさがある反面、駆け引きゼロのまっすぐさは重要な愛され要素でもある。

奥さんへのDV疑惑で逮捕されたりと私生活では問答無用のクズではあるが、リング上のジュダーは確かにいいキャラをしていたのだと思う。

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だってアレだろ?
メイウェザー戦の10Rの乱闘なんて、マジで意味わからんですからね。
散々追い詰めれて、ラスト2RでKOしなきゃ勝てないってのに。乱闘なんて疲れることをやってる場合じゃないでしょw

例のローブローと追撃が偶然か故意かは不明だが、改めて自分を制御できんヤツだなと。
コーナーで休憩中のメイウェザーの「え? 何で?」という顔がめちゃくちゃ印象的でございます。

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