ジャロン・エニスvsザンダー・ザヤス。そのうち頭打ちになると思ってたザヤスだけど予想を超えてきた。エニスはロイ・ジョーンズよりも強化版レイモント・ピーターソン【結果・感想】
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2026年6月27日(日本時間28日)に米・ニューヨーク州で行われたWBA・WBO世界S・ウェルター級タイトルマッチ。同級二団体統一王者ザンダー・ザヤスに元ウェルター級王者ジャロン・エニスが挑戦、エニスが7R1分49秒TKOで勝利した試合である。
Highlights of Jaron Ennis' total domination of Xander Zayas to become world champion 👑 pic.twitter.com/ucJsLF1851
— Ring Magazine (@ringmagazine) June 28, 2026
エニスvsザヤス。
ビッグマッチがなかなか決まらず機を逃すケースが多いボクシングだが、この試合は話が浮上してから短期間で正式発表された印象。
エニスはバージル・オルティスJr.との対戦が濃厚と言われていた覚えがあるが、いつの間にか決裂→ザヤスとの対戦にすり替わっていた笑
バージル・オルティスJr.vsジャロン・エニス締結間近らしいぞ。とにかく正式発表を待ってますよ。長引く交渉、プロモーターや中継局とのゴタゴタが「これぞボクシング!!」ですねw
そんな感じでボクシングにしては珍しく(笑)「お? もう決まったの?」「え? 今週末?」という流れで実現した試合の感想を言っていく。
おもしろかった。でも、当初の見立て通りエニスの完勝だったね
まず、今回は(も?)試合としておもしろかった。
両者が射程内で激しく打ち合う展開で、最初から最後まで退屈する時間は皆無。
ザヤスの打たれ方、ダメージは心配だが、全体を通して満足度は高い。
そして内容的にはジャロン・エニスの完勝。
3Rにザヤスの右を浴びてガクッときた以外は常に優勢をキープ。5、6Rなどは「おいおい、ザヤス大丈夫か?」と思うほど。
当初言われていた「ザヤスはエニスと対戦するのはまだ早いのではないか」「両者の力の差は大きいのでは?」という見立て通りの内容、結果となった。
打ち終わりのカウンターを狙うザヤスだけど、エニスが速すぎて間に合わない
ザヤスの狙いというか、作戦は恐らくカウンター。
エニスのジャブ、ワンツーの打ち終わりに得意のフックを合わせる。
で、エニスが怯んだ瞬間にコンビネーションを浴びせる流れ。
だが、このジャブが速すぎてカウンターが間に合わない。
しかも遠間から伸びてくるためその場で迎撃するだけでは届かない。
1Rはエニスのスピード、距離を測っているうちにダウンを喫した印象である。
ジェシー・ロドリゲスvsアントニロ・バルガス。ロドリゲスの完勝だけど階級アップの影響はモロに感じた。バルガスの対策もロマチェンコvsリナレスっぽくてよかった
普通の差し合いではかなわないと判断したザヤスは2Rから打ち合いを挑む。
(サウスポーにスイッチした)エニスの右ジャブの戻り際に距離を詰め、頭を振りながら左右のコンビネーション。ボディを見せつつ左フックを振り回す。
1Rはエニスの速さ、長さに面食らったザヤスだが、2Rはそれを承知した上で立ち回っていた(気がする)。
右1発でグラついたエニス。そこからうまく立ち回ってラウンド終了
そして、3Rに入ると両者の距離が半歩ほど縮まる。
1、2Rでペースを掴んだエニスが近づいたのだと思うが、それが裏目に出てしまう。
1分半に差し掛かるところでザヤスの右がカウンターで顔面にズドン。
一瞬棒立ちになったエニスがフラ~ッと後退する。
そこからエニスは前に出ての打ち合いを選択→ザヤスが反撃してくればクリンチで時間を稼ぐ。
あえて距離を詰めることでザヤスに糞詰まりを起こさせる判断である。
ザヤスも強引に引きはがそうとするが、エニスはクネクネ巻き付くように立ち回ってそれをさせない。
何だかんだラウンド終了まで致命打を許さなかった。
4R以降、接近戦中心に切り替えたエニスはうまかった。ハラハラしたけどいけると判断したんだろうね
4R以降、エニスは接近戦中心のファイトに切り替える。
3Rである程度手ごたえを掴んだのだと思うが、アレはうまかった(と思う)。
ザンダー・ザヤスの持ち味は中間距離のコンビネーション。
スペースのある位置で気持ちよく腕を振りたいタイプで、今回のようにぴったりくっつかれるとどうしても窮屈になる。
一方のエニスももともとディフェンス面に危なっかしさがある選手。あれだけ近い位置で打ち合えば当然被弾も増える。
だが、身体を寄せたままスルスルとアングルを変えたり、「おお、すげえ」というタイミングでアッパーをねじ込んだり。
パンチの精度や瞬間的な動きでは明確に上回っていた。
序盤で自分との力関係を把握し“勝てる場所”で勝負したというか。リスクをリターンが上回ると判断したのだろうと。
ジャロン・エニスがウイスマ・リマを1RTKO。階級アップでスピードに力強さが上乗せされたエニス。これは一段スケールアップしたかも? でも、ビッグマッチは当分なさそうですよね…
ザンダー・ザヤスにピンとこなかった。プエルトリコ出身と聞いて「ああ、なるほど」となった
実を言うと僕はこれまでザンダー・ザヤスにあまり興味がなかった。
プロスペクトとして紹介されていた何年か前にちょろっと眺めたものの、あまりピンとこず。
で、プエルトリコ出身だと知り「ああ、なるほど」となった。
以前申し上げた覚えがあるが、プエルトリコ出身のボクサーはド派手でスピーディなコンビネーションが得意な選手が多い。
キャリア初期はスピード差で圧倒&豪快に倒す姿に期待値が爆上がりするが、相手のレベルが一定以上になると途端に頭打ちになる(傾向が強い)。
しかも面長の顔の選手が多く、異様に顎が弱い(気がする)。
井上尚弥に2RKO負けしたエマヌエル・ロドリゲスもその系譜である。
第2のファンマを探す旅。俺たちのプエルトリコ期待の5人。彼らの散り際の美学は瞬間芸術と言っても過言ではない()
そんな感じで、ザンダー・ザヤスも近いうちに頭打ちになるのではないか、カウンターで盛大にぶっ倒されるのではないかと予想していた。
つまり、僕がザンダー・ザヤスに興味を抱くとすれば一回負けた後。
我ながら死ぬほど失礼なことを考えていた笑
そして今回、ジャロン・エニスに初黒星を喫したわけだが。
頭打ちと言ってもザヤスはすでに2団体統一王者。
3Rにエニスをグラつかせてもいる。
KO負けには違いないが、あれだけ立ち続ければ“顎弱い族”とは言い難い。
僕の(失礼極まりない)予想を超えてきたというのがファイナルアンサーだったりする。
前から思ってた。ジャロン・エニスはロイ・ジョーンズJr.よりも強化版レイモント・ピーターソン
これは余談だが、僕は以前からジャロン・エニスは強化版レイモント・ピーターソンだと思っていた。
当初「“ネクスト”ロイ・ジョーンズJr.」として売り出されていた(僕も言った覚えがある)ジャロン・エニス。
ただ、ファイトスタイルはロイ・ジョーンズよりもレイモント・ピーターソンに近い。
アウトボクシングとインファイトを局面ごとに使い分ける。
特に後半は近場で打ち合うケースが多く、意表をついて出すアッパーがめちゃくちゃシャープ。
ジャロン・エニスvsスタニオニスは相性が悪すぎたな。エニスのディフェンスは盤石ではないけど効いた素振りがまったくない。佐々木尽はこんなヤツにどうやって勝つんだ?
ピーターソンはトップ中のトップに比べるとやや落ちる選手だったが、ジャロン・エニスにはそこを突き抜ける強度がある。
つまり強化版レイモント・ピーターソンである。
(僕が)ピーターソンのベストバウト(だと思っている試合)の一つ、2011年のアミール・カーン戦。
序盤に距離を取っての差し合いでダウンを奪われ、中盤からインファイトに切り替える→打たれながらもボディ、アッパーを交えたコンビネーションを駆使して競り勝った試合。
今回のエニスvsザヤス戦を観て思い出したことをお伝えする。
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