デービスvsクルス感想。デービスは4Rくらいに左手をおかしくしてたっぽいな。自分より小さい相手に苦戦。そろそろビッグマッチを…【結果・感想】
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2021年12月5日(日本時間6日)、米・カリフォルニア州で行われたWBA世界ライト級タイトルマッチ。同級レギュラー王者ジャーボンティ・デービスとランキング9位イサック・クルスの一戦は3-0(115-113、115-113、116-112)の判定でデービスが勝利。2度目の防衛に成功した一戦である。
開始のゴングとともにガードを高く上げ、リング中央で向かい合う両者。
デービスの右リードに合わせてクルスは左をぶつけるように牽制のジャブを出しつつ、踏み込みのタイミングを探る。そして一気に出力を上げて距離を詰め、低い姿勢から右をボディに伸ばす。
デービスはバックステップでこれを避けるも、クルスの勢いに押されてコーナーを背負わされてしまう。
だが、すぐに身体を入れ替え再びリング中央で対峙する流れに。
それ以降もがっちりとガードを固めたクルスの前進に手を焼かされるデービス。
得意のカウンターがなかなか機能せず、常にロープ際での攻防を強いられる。
8、9Rと攻勢を強めてクルスの動きを鈍らせるシーンを作ったものの、左手を痛めた影響もあり終盤は防戦一方に。最後まで気の抜けない激戦の末に結果は僅差判定勝利。2014年10月以来、キャリア2度目の判定となった。
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ。デービスの動きがちょっと悪かった? ロメロの作戦がハマったけど、タイミングを覚えられてからが…
デービスvsクルス。楽しみにしていたローランド・ロメロが性的暴行を告発されたことにより…。ボクシング界は相変わらずクズの吹き溜まり笑
ジャーボンティ・デービスvsイサック・クルス。
当初デービスへの挑戦を予定していたローランド・ロメロが複数女性からの性的暴行の告発を受け、それにより急遽代役としてイサック・クルスが抜擢された試合である。
デービスに関しては前回のマリオ・バリオス戦があまりに素晴らしく、なおかつローランド・ロメロとはスタイル的に噛み合いそうということでかなり楽しみにしていたのだが……。
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロはおもしろそう。デービスは中量級のカネロになれるよ。ロメロとは噛み合うんじゃないの?
複数女性への性的暴行という、事実だとすればまったくシャレにならないやらかしによって離脱。
「おいおい、何やっとんねん」と。
デービスはデービスでひき逃げを含む余罪14件の重犯罪者という話だし、ボクシング界のクズの吹き溜まりっぷりは相変わらずである笑
というか、この試合は珍しく日曜開催だったんですね。
WOWOWエキサイトマッチで中継することは知っていたが、月曜日(日本時間)だとは思わず完全に失念していた次第である(ちゃんと確認してなかっただけ)。
イサック・クルスの突貫ファイトが目を引いた。顎をがっちり守るガードと鋭い方向転換
具体的な感想だが、挑戦者イサック・クルスのがんばりが目を引いたのと、デービスが久しぶりの? 自分より小さい相手との対戦で苦労していた印象である。
特に低身長ながらも筋肉がぎっしり詰まったクルスの前進、フルスイングは目を引くものがあった。
ガードをがっちり固めて身体を低くかがめ、その姿勢を保ったまま上体を振りながら前に出る。
中でも下からの攻撃、顎を守る意識が高く、これによってデービスが得意とする左アッパーをほぼ封じてみせた。
真正面からのパンチは顎を引いて一番固い額で受ける。
下から突き上げるアッパーは低い姿勢とがっちり固めたガードでブロック。
で、フック系のパンチは同時打ちのタイミングで腕を振る+そのまま懐に侵入することで大幅に威力を軽減する。
ロマチェンコ無双キタコレ。リチャード・コミーを遊びながらフルボッコで大差判定勝利。性格の悪さを隠そうともしなかったよなコイツ笑
ジャーボンティ・デービスは基本的にカウンター使いなので、右リードが多い方ではない。
威力のあるパンチを打つにはある程度スペースが必要になるが、クルスは持ち前の突進力と強フィジカル、躊躇のないフルスイングですべてをチャラにしてしまう。
そして、この思い切りのよさを支えていたのが方向転換のスピード。
一瞬一瞬の動きが速くサイドへの足運びもスムーズなデービスだが、クルスはその動きにも楽々ついていく。コーナーを背負った位置からスルッと身体を入れ替えて距離を取るデービスに対し、ほぼタイムラグなくカクっと向きを変えて追いかける。
先日テレンス・クロフォードに挑戦したショーン・ポーターもそうだが、ああいう急激なストップ&ゴーが利くタイプは本当に素晴らしい。左右の動きに振り回されることがないので中間距離からの思い切った踏み込みを実現できる。
クロフォードvsポーター感想。クロフォードはカッコよくカウンターで倒したかったんだろな。ポーターの凄まじい方向転換に苦労
あそこで身体が流れるようだと単なる鬼ごっこになるし、スピードスターに翻弄されまくるインファイターという構図は過去に何度も観たことがある。
詰めのうまさもあったとは思うが、それ以上に下半身の強さ、全体的なバランスに優れているのだろうと。
苦労したなぁデービス。4Rあたりで左手を痛めたっぽい。クルスは天敵中の天敵だったかな
一方のデービスだが、申し上げたように今回はかなり苦労した試合だった。
珍しく自分よりも小さい&低い姿勢で突進してくる相手に得意の左アッパーがなかなか機能しない。
ある程度の位置にくるまで手を出さずに同時打ちのタイミングで「せーの」で飛びかかってくるためカウンターを狙う余裕もない。
多少の被弾ではビクともしない身体の強さもあり、最後まで気が抜けない展開が続いた。
さらに序盤で左手を痛めてしまったのも大きかった。
上述の通りイサック・クルスはガードの間から飛んでくるパンチを額で受けることを意識しており、それによって拳を痛めたのではないか。
表題の通りだが、デービスは恐らく4Rあたりですでに左手をおかしくしていた(気がする)。
あのラウンド付近から左を使う頻度が減っていたし、狙うのもボディが中心。上に打ち込む際はグローブの内側を狙うなど、主にガードを開けるための布石として使用していた。
完全に「これはアカン」となったのは10Rだと思うが、そこに至るまでにも蓄積があったと想像する。
がっちり顎を固めたガード+低身長を活かした突進でスペースを潰され、下から突き上げるアッパーが機能しない。
サイドに逃げて距離をリセットしようにも、スピーディな方向転換によって安全圏で対峙することを許されない。
中盤7、8Rにペースアップしてフィニッシュを狙うも、クルスのタフさを崩せず終盤にかけて逆襲に合ってしまうという。
僕は現時点でもジャーボンティ・デービスはPFPトップ10に入る実力者だと思っているが、今回のイサック・クルスはまさに天敵中の天敵だった(と思う)。
イサック・クルスvsローランド・ロメロ。ここまで一方的になるとは。フックぶん回し同士の対戦。得意な距離とディフェンスに差があった
まあでもアレか。
仮にこれがカネロであれば、中間距離の左リードでハチの巣にしていたのかな? という気もする。
鋭い左リードで出足を止め、ガードの間からカウンターを通しまくって踏み込みのタイミングを奪う。
何となくだが、2021年2月のカネロvsアブニ・イルディリム戦のイルディリムが粘るバージョンというか……。それこそ日本の村田諒太がカネロに挑戦したらこんな感じになりそうだよね。みたいな。
デービスもそろそろビッグマッチをだな…。“激戦区のライト級”、煽り合いばっかりでちっともビッグマッチが決まらねえじゃねえか笑
この日の勝利でデービスはライト級、S・ライト級の2冠保持が継続されたわけだが、やはりそろそろビッグマッチがほしいところ。
現在ライト級にはジョジョ・ディアスに勝利したデビン・ヘイニーや元4団体統一王者のテオフィモ・ロペス、以前からSNSでデービスにウザ絡みを繰り返しているライアン・ガルシア、12月11日に元王者リチャード・コミーとの12回戦に臨むワシル・ロマチェンコといった面々がいる。
有名選手が顔を揃えることで“激戦区のライト級”などと言われているが、今のところ実現したのは2020年10月のロマチェンコvsテオフィモ・ロペス戦のみである。
ヘイニーとガルシア、ロペスとデービス、ヘイニーとロペス、などなど。
それぞれがそれぞれを意識した発言を繰り返すものの、具体的な話が持ち上がることはなく。
ロマチェンコに勝って株を上げたテオフィモ・ロペスもコロナによる停滞&ダラダラと値打ちをこいているうちに伏兵のジョージ・カンボソスにコロッと負けてしまった。
ライト級が面白い! 4冠王者ロペスの狙いは?
デイビス、ヘイニー、ガルシア…2021年展望https://t.co/Jbocn4JEk4— ボクシングビート (@beat_macc) January 7, 2021
相変わらず駆け引きばかりでちっとも話が進まないボクシング界。この通常運転っぷりにはもはや安心感すら漂っている笑
テオフィモ・ロペス陥落。カンボソスの研究と覚悟に無策のロペス。あれだけ顔面丸出しで攻めればw スペックの高さは文句なしだから復活を期待するよ
ちなみにだが、長年待ち望まれてきた? アミール・カーンvsケル・ブルック戦が2022年2月に英国で開催されるとのこと。
ただ、正直に申し上げてこれは引退前の両者の思い出マッチとしか思えない。
“戦わざるライバル”とか、やっかましいわww
“戦わざるライバル”カーンvs.ブルックついに実現 2.19マンチェスターhttps://t.co/ZiqUMkiCfB
Photo by Lawrence Lustig— ボクシングビート (@beat_macc) November 30, 2021
てか、2012年当時からこんなことやってますからねコイツら。
2034年8月あたりにテオフィモ・ロペスとジャーボンティ・デービスが「元王者対決!!」と銘打たれた会見の席で罵り合うようなことがないよう、切に願っている。
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