ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ。デービスの動きがちょっと悪かった? ロメロの作戦がハマったけど、タイミングを覚えられてからが…【結果・感想】

ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ。デービスの動きがちょっと悪かった? ロメロの作戦がハマったけど、タイミングを覚えられてからが…【結果・感想】

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2022年5月28日(日本時間29日)、米・ニューヨーク州で行われたWBA世界ライト級タイトルマッチ。同級レギュラー王者ジャーボンティ・デービスにランキング1位のローランド・ロメロが挑んだ試合は6R2分39秒TKOでデービスが勝利。3度目の防衛に成功するとともに戦績を27戦全勝25KOとした一戦である。
 
 
4月中旬から5月にかけて生中継ラッシュとなったWOWOWエキサイトマッチ。
だが、先日も申し上げたように僕の琴線に触れる試合がなくいまいちテンションが上がらないまま日々を過ごしていた。
 
・エロール・スペンスJr.vsヨルデニス・ウガス(4月17日)
→忙しくて手が回らん
 
・タイソン・フューリーvsディリアン・ホワイト(4月24日)
→ホワイトがフューリーに勝てるわけねえだろ
 
・シャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス(5月1日)
→バルデスがシャクールに勝てるわけねえだろ
 
・ジャーメル・チャーロvsブライアン・カスターニョ(5月15日)
→ コイツらは一回でお腹いっぱいですよ
 
だいたいこんな感じなのだが、その中で唯一僕が楽しみにしていたのが今回のジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ戦である。
 
本来2021年12月に対戦が予定されていた両者だが、試合1ヶ月前にロメロが性的被害を告発されて中止に。急遽デービスの相手がイサック・クルスに変更となり、約半年遅れでようやくデービスvsロメロ戦が実現した次第である。
 
イサック・クルスvsローランド・ロメロ。ここまで一方的になるとは。フックぶん回し同士の対戦。得意な距離とディフェンスに差があった
 

めちゃくちゃおもしろい試合だった。この両者はおもしろくなるという謎の確信があったけど

まず試合の感想だが、めちゃくちゃおもしろかった
 
最初にこのマッチメークを聞いた際は絶対におもしろくなるという謎の確信があったのだが、結果としては期待以上だった。
 
前日計量でコケにされたローランド・ロメロの気合いは凄まじかったし、打倒デービスの戦略も機能していた。
 
対するジャーボンティ・デービスは相変わらずの殺傷能力。
一瞬で相手を切って落とす稲妻のようなカウンターとそれを打ち出すバネ、ここぞの局面を逃さない勝負強さは間違いなく全階級No.1。持ち前のイキり倒した試合運びを含めて「やっぱすげえなコイツ」と思わされる。


以前から何度か申し上げているが、ヤンキー気質の人間がイケイケの無敵状態になったときが一番おっかない。ヤンキー版の“ゾーン”とでも呼べばいいか。
 
井上尚弥はもともと座間のヤンキーだからな。「舐めたやつはぶちのめす」でええんちゃう? 映画「スラムダンク」にクレームが入りそうなのが…
 
ローランド・ロメロのクズ度もかなりのものだが、デービスに関しては桁が違う。特に今回はリングサイドに知り合いがたくさん詰め掛けていたようだし精神面で後押ししてくれる要素が多かったのだろうと。
 

デービスの動きがちょっと悪かった? 身体つきも顔つきもボテっとしていたような…

ただ、今回のデービスは少々動きが悪かったような……。
 
試合を通して身体が重そうでサイドへの動きも鈍かった(気がする)。
顔つきや身体つきにもいまいち締まりがなく、試合の中で「おや?」と思うシーンが目についた。
 
全体的にシルエットがボテっとしていて幅広だったというか。
 
いや、髪型と異様に増えたタトゥのせいでそう見えただけかもしれないが。
 
前回のイサック・クルス戦もそうだが、ここ最近ちょっとデービスらしくないパフォーマンスが続いているように思える。
 
デービスvsクルス感想。デービスは4Rくらいに左手をおかしくしてたっぽいな。自分より小さい相手に苦戦。そろそろビッグマッチを…
 
今回も試合中にリングサイドの知り合いと話したりインターバルでセコンドの話を聞かずに客席に怒鳴り返したりと集中しきれていない面が見えた。もしかしたらああいう部分から綻びが始まるのかもしれない。
 
まあでも、デービスなら大丈夫かな。
さすがにエイドリアン・ブローナーほど救いようのない輩ではないと思っているのだが。
 
何と言っても僕はこの選手には期待しているのでね。
クズには違いないけど、どうせならスペシャルなクズを極めてほしい笑
 
尾川堅一がジョー・コーディナの狙いすました右で撃沈。距離の遠さとタイミングに慣れる前にもらったな。フラグになるから勝敗予想をしなかったのに笑
 

ローランド・ロメロはよかった。カウンターをチラつかせながら前進し、打ち終わりを狙われない位置からワンツーを打ち込む

対するローランド・ロメロだが、こちらはなかなかいい動きをしていた。
 
L字気味の構えでジリジリと前進。ボディへの攻撃は低く掲げた左で受け止め、顔面に飛んでくるパンチは距離と見切りで対応。
右のカウンターをチラつかせながらプレッシャーをかけ、スピーディな踏み込みと抜群の当て勘を兼ね備えるデービスの持ち味をうまく封じていた。
 
この選手は追い足もなくディフェンスがいい方でもない、動きもそこまで速くはないと思うが、とにかく身体能力が高く1発1発の躊躇がない。静→動の転換がスムーズで一瞬の出力も半端ない。
 
普段は割と不用意に右を出す→打ち終わりを狙われる傾向が目立つが、この試合はその部分も問題なし。
自分の射程に入るまでは極力手を出さず、なるべく空振りをしない距離からワンツーを打ち出す。おかげである程度モーションが大きくてもデービスにカウンターを打つ余裕を与えないことに成功していた。
 
実際ロメロがカウンターの右を打ったのは2回あったかないかだと思うが、デービスの警戒っぷりをみるとうまく圧力をかけられていたのだろうと。
前日計量でコケにされたことに煮え繰り返っていたとは思うが、そこを堪えて自分のやるべきことに集中していたのは素晴らしい。比較的手数が少なくカウンターの1発に依存する傾向があるデービスの特徴をよく研究していた。
 
若干ボテっとした体型でいまいちキレがないデービスに対し、気合い十分ながらも冷静に作戦を遂行するロメロ。
正直、序盤3Rを観た限りではロメロ勝利もあり得る内容だった。
 
ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。ライアン・ガルシアの強者のメンタル? 相手をリスペクトし過ぎて卑屈になるな。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭かも?
 

4Rあたりでタイミングを読まれてたかな。最後の1発は待ってましたな感じか

だが、4Rあたりからデービスにタイミングを読まれていたのが……。
 
勝負を決めた6Rの左カウンターだが、スローで確認するとロメロのワンツーの“ツー”に合わせていることがわかる。
ロメロが遠間から打ち込むワンツーは序盤から何度か見せていたもので、デービスとしては完全に待ってましたのタイミング。自然と身体が反応した1発だったと想像する。
 
また、4Rに両者の距離がグッと縮まったのも印象的。
これまでよりも攻撃偏重に切り替えたデービスが近い間合いで対峙し、いきなりの左をロメロの顔面に当てていく。恐らくロメロのパンチの精度やスピード、威力をある程度把握したのだと思うが、あそこでデービスの危険度が一段増した気がする。
 
距離が近づいた分被弾も増えたが、それ以上にパンチが深く入るように。
カウンターが届くか届かないかのギリギリの距離をキープしながらプレッシャーをかけていたロメロにとってはちょっと想定外だったかもしれない。
 
前手が交差する位置で前進を続け、デービスのボディストレートに右打ち下ろしを合わせるロメロ。
対するデービスは右を前に掲げて距離を測りながらサイドへ移動。ロープ際で踏み込みを誘い、ロメロの右にカウンターの左をズドン。
居合いの達人同士のような空気感を切り裂く1発で勝負を決めてしまった。
 
 
いや、やっぱりすげえなジャーボンティ・デービス。
動きがちょっとよくなかったとか、身体に締まりがないとか。
僕のような素人が並べるご託など何の意味もない。
 
繰り返しになるが、ここぞの場面での勝負強さ、一瞬の爆発力は間違いなく全階級No.1。あの稲妻のような1発がそれまでの雑な試合運び、粗さをすべて帳消しにしてしまう。
 
ジャーボンティ・デービスは寝起きに人を殴ったその足で朝マックするヤツ。マリオ・バリオスをパワフルに粉砕。小型のカネロじゃんコイツ
 

期待通りの試合内容に期待以上の結末。大満足っすよボカァ笑

逆にロメロとしては、タイミングを読まれ始めた4、5Rあたりで何かの策を講じていれば……といったとろか。
序盤のデービス対策は間違いなくうまくいっていたので、そこからもう一段引き出しがあれば。
 
 
とはいえ、試合自体は文句なしにおもしろかった。
KO必至の両者が期待通りの試合を展開し、期待以上の結末を見せてくれた。
 
・ロメロのフルスイングでデービスがビビれば可能性がある
・デービスのカウンターでロメロが豪快に沈むパターンもいいよね
 
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロはおもしろそう。デービスは中量級のカネロになれるよ。ロメロとは噛み合うんじゃないの?
 
何となくこんな展望(希望)を考えていたわけだが、どちらの要素も入った試合に大満足である笑
 
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