テオフィモ・ロペス陥落。カンボソスの研究と覚悟に無策のロペス。あれだけ顔面丸出しで攻めればw スペックの高さは文句なしだから復活を期待するよ【結果・感想】

テオフィモ・ロペス陥落。カンボソスの研究と覚悟に無策のロペス。あれだけ顔面丸出しで攻めればw スペックの高さは文句なしだから復活を期待するよ【結果・感想】

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2021年11月27日(日本時間28日)、米・ニューヨーク州で行われたWBAスーパー/WBO/IBF世界ライト級タイトルマッチ。同級統一王者テオフィモ・ロペスがIBF1位ジョージ・カンボソスと対戦し、2-1(115-112、115-111、114-113)でカンボソスが勝利。下馬評を覆す大金星を挙げた一戦である。
 
 
開始のゴングと同時に一直線に突進し、全力で右を振り回す王者ロペス。ガードもお構いなしにフルスイングで襲いかかる。
 
対するカンボソスはいきなりのアタックに面食らったもののすぐさま対応。左フックをカウンターで当てると、ラウンド後半にはロペスの顔面にカウンターの右をヒットしダウンを奪う。
 
2R以降、左リードと渾身の右で攻め込むロペスだが、カンボソスはそのつどオーバーハンドの右を合わせていく。
また中盤からはスピーディな左リードを中心にヒットを重ねるなど、終始試合を優位に進める。
 
10Rにはロペスの猛攻でダウンを喫するもすぐさま回復して応戦。両者が顔面から流血する大激闘の末に2-1の僅差判定でカンボソスが勝利した。
 
 
なお、敗れたロペスは試合後のインタビューで12R中10Rを自分が取っていたと主張している。


 
ヘイニーがPFP1位で異論ないよな? “あの”カンボソスを塩漬けにしたんだぞ。井上尚弥、カネロがはるか彼方にふっ飛ぶ偉業。ジャブ、ダッキング、クリンチが最強。以上!!
 

ようやくテオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソス戦を視聴。「さっさとやれよ」と思ってましたよ

先日ちょろっと申し上げたようにここ最近の僕はまあまあ忙しい日々を送っており、スポーツ観戦にまで手が回らず。
先週末のボクシングも尾川堅一vsアジンガ・フジレ戦だけは大急ぎで視聴したものの、それ以外は放置状態である。
 
尾川堅一vsアジンガ・フジレ。2021年ベストバウト(僕の中で)出たか? 全盛期の動き、3度のダウンを奪っての判定勝利にクッソ感動しました
 
そんな中、テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソス戦をようやく観終わったので今回はその感想を言っていくことにする。
 
 
ただ、僕はもともとこの試合にあまりテンションが上がっていない。
ジョージ・カンボソスのことをよく知らないのもそうだが、王者ロペスの試合間隔が空き過ぎて冷めていたのが大きい。
 
ワシル・ロマチェンコに勝利して4団体統一を果たしたのが2020年10月。
本人がコロナに感染したことはもちろん、試合をプロモートする会社が二転三転したことも影響して何だかんだで1年以上ブランクを作ってしまった。
 
対戦相手がジョージ・カンボソスというのは割と早い段階で決まっていたのに、肝心の日程や開催場所がちっとも確定しない。
 
いつの間にか興味が薄れたというか、僕のテンションが徐々に「テオフィモ・ロペスの次戦が楽しみ」から「どうでもいいからさっさとやれよめんどくせえな」に変わっていったことをお伝えしておく。
 

ジョージ・カンボソスはいい選手だった。低いガードと見切り、鞭のような左が特徴のカウンター使い

僕はジョージ・カンボソスという選手を観たのは今回が初めてだったのだが、なるほど、これはいい選手ですね。
 
戦績も19戦全勝10KOとかなり優秀。2018年からルー・ディベラの興行で各国を回り始め、直近の試合では元王者リー・セルビーに勝利するなどアウェイの立場にも慣れているっぽい。
 
 
具体的な感想としては、とにかくカンボソスの研究の成果が素晴らしかったなと。
 
前回のセルビー戦もそうだが、この選手はもともとガードを低く構えて見切りとスピードで勝負するタイプ。
前手の左を下げた状態から鞭のように使い、多彩なジャブで多方向から顔面を削る。
そのジャブで相手の出足を止め、鋭く踏み右を打ち込んでいく。
 
また相手の打ち終わり、腕を引くタイミングに合わせて右を被せるのが上手く、カウンターをチラつかせることでプレッシャーを与える流れを得意とする。
 
 
この試合でもロペスの打ち終わりを狙う作戦が見事に機能していた。
 
ジョー小泉を避けることをズミヨケと呼ぶことにする。フィゲロアvsフルトン、ヘイニーvsディアス、アリーム、モンタナ・ラブ振り返り
 

踏み込みスピードとパンチの威力が抜群のテオフィモ・ロペス。カンボソスと同じカウンター使いだけど、カンボソスほど左の多彩さはない

テオフィモ・ロペスはカンボソス同様、左腕を下げた構え+見切りのよさとカウンターで圧力をかけるスタイル。
踏み込みスピード、1発の威力、カウンターのセンスは凄まじいものがあり、前回敗れたワシル・ロマチェンコはロペスの馬力を警戒してなかなか近づくことができずにいた。
 
ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス感想。115-113ロペスかな。ロペスの対策が素晴らしかったしやっぱりスピード&パワー大正義
 
ただ、攻撃パターンは割と単調だったりもする。
 
基本はカウンター使いなので追い足があるわけではなく、今回のように“待ち”の相手を追い詰めるには踏み込みスピードに依存しがちになる。
動きもやや直線的でパンチの種類も真正面からのワンツーがほとんど。左リードもカンボソスほどの多彩さはない。
 
ロペスのスピードについていける身のこなしと見切り、カウンターの精度を両立できるカンボソスにとっては“まさに”という相手だったのかもしれない。
 

ワンツーの合間を狙って右のオーバーハンドをヒットするカンボソス。攻撃パターンの少ないテオフィモの動きを読み切っていた印象

リング中央、ロペスのパンチが届かない位置で対峙し、相手に先に手を出させてそこにカウンターを合わせる。
 
ロペスの左をガードすると同時に頭を下げ、オーバーハンドの右を外側から叩きつける。いわゆるワンツーの“ワン”と“ツー”の間、ロペスの右が飛んでくる直前のタイミングを狙ってのカウンターである。
 
申し上げたようにテオフィモ・ロペスは基本的にカウンター使いなので、自分から攻める際のバリエーションは決して多くはない。
 
動きが直線的な上に初弾の左の次は右というのがいつものパターンで、踏み込みスピードと1発の威力さえ警戒しておけばカウンターを合わせるのはそこまで難しくなかったのではないか。
 
さらに2019年7月の中谷正義戦でもわかるようにガードが低くディフェンスは見切り中心。そのためジャブを得意とする相手との相性はあまりいいとは言えない。
 
カンボソス陣営もそれを読んでいたのだと思うが、5Rあたりから左リード中心に自分から手を出すスタイルに切り替えたのがうまかった。
 
ちょうどロペスが左のダブルや身体を伸ばしてのボディなど、攻撃にバリエーションを加え始めていたところだった分、効果は絶大だった。
 
ロマチェンコ無双キタコレ。リチャード・コミーを遊びながらフルボッコで大差判定勝利。性格の悪さを隠そうともしなかったよなコイツ笑
 
もちろんテオフィモ・ロペスの懐に飛び込み強打の右にカウンターを合わせまくったカンボソスの勇気と覚悟はとんでもない。
 
1発目の左は身体のどこかで受けることが前提なので、ある程度のダメージは想定済み。案の定試合後は病院に直行だったらしいし、心身の疲労も相当なものだったはず。
 
10Rのダウン後、11、12Rと当たり前のように動き回っていたが、実際にはかなり厳しい中での反撃だったのだろうと。
 
 
王者ロペスを山ほど研究し、勇気と覚悟を持って作戦を実行。ピンチの局面でも引かずに腕を振り続け、最後は気持ちで押し切ってみせた。
ああいう強靭なメンタルを含め、この日は完全に“ジョージ・カンボソスの日だった”と言えそうである。
 

無策過ぎたテオフィモ・ロペス。カッコよく倒してアピール! のつもりが術中にハマりまくった末に…

一方、敗れたテオフィモ・ロペスだが、こちらはあまりに無策だった。
 
1R開始直後から一直線に襲い掛かって右をぶん回したが、あそこまで顔面丸出しのゴン詰めではさすがに……。
「ジョージ・カンボソスとかいう無名のポッと出を圧倒してやんよ」的な考えだったのだと思うが、ちょっと指名挑戦者を舐め過ぎである。
 
 
ダウン以降、左を中心にカンボソスを追いかけるも、ワンツーのタイミングを狙われ被弾を重ねる。
初弾の左にカウンターを合わされ、自分から手が出せなくなったところで鞭のような左で顔を跳ね上げられる。
で、強引な踏み込みで間合いを詰めればバックステップでサッと距離を取られてしまう。
 
カッコよくKOして階級アップorさらなるビッグマッチのアピールどころか、カンボソスの術中にことごとくハマってしまうという。
前手の左でカンボソスの左を払うようなしぐさが再三見られたが、実際あの左は相当鬱陶しかったのだろうと。
 

右の打ち下ろしでダウンを奪ったけど、そこから左中心に戻ったのが…。右で攻めまくればKOできていた可能性も?

カンボソスに疲労が見え始め、流れがロペスに傾きつつある中で迎えた10R。
 
遠間から踏み込んだロペスがサイドに回り込み、打ち下ろし気味の右を側頭部にヒット。カンボソスの動きが止まった瞬間を逃さず追撃の右を打ち込む。
これでカンボソスがふっ飛ぶようにダウン!!
 
すぐに立ち上がってニュートラルコーナーで続行の意思を示したカンボソスだが、ダメージの大きさは明らか。
 
再開直後、ペースアップしたロペスが一気に攻め込む。
 
ただ、カンボソスも手を出し続けることで致命打を許さない。
 
クロフォードvsポーター感想。クロフォードはカッコよくカウンターで倒したかったんだろな。ポーターの凄まじい方向転換に苦労
 
結局このラウンドで仕留めきれずにカンボソスに回復を許してしまったわけだが、残り2Rのロペスにもいまいち工夫が感じられなかった。
 
申し上げたようにロペスがダウンを奪ったのは右の打ち下ろし。
カンボソスは序盤から初弾の左にカウンターを合わせてきていたわけで、あの時点でのいきなりの右はかなり効果的だった。
 
ところが11、12Rとなぜかワンツー中心の組み立てに戻してしまう。
マジな話、あのまま右中心で攻めていればKOまで持っていけた可能性もあったと思うのだが。
 
1Rにいきなり右のぶん回しにカウンターを合わせられたのが影響したのかは不明だが、あそこで切り替えられなかったのが何とも残念だった。
 

ロペスは今のところ若さと勢いに依存した選手。この負けをきっかけに一段成長して戻ってくることを期待する

要するにテオフィモ・ロペスはまだまだ若さと勢いに依存した選手なのだろうと。
 
踏み込みの鋭さ、1発の威力、カウンターのセンスに文句をつけるところは見当たらない。1R中盤で見せたカウンターのアッパーなど、スペックの高さだけなら階級No.1と言っても過言ではなさそう。
 
ただ、上述の通りワンパターン気味の攻撃や勝負どころでの判断力等、引き出しの少なさが目に付くことも確か。
特に今回はジョージ・カンボソスを舐めていた部分もあり、ほぼ無策のままリングに上がって見事に攻略されてしまった。
 
デビン・ヘイニー案外危なそう? ジョージ・カンボソスのカウンターに回避が間に合うか、ジャブでどれだけアドバンテージを取れるかだけど
 
ノッているときは凄まじい強さを発揮する。
ところが調子乗りな分、ムラっけの多さをつかれて足元をすくわれる展開も普通にある。
 
この試合を受けて「テオフィモ・ロペスは過大評価」「前回はロマチェンコが警戒し過ぎた」旨の意見が散見されたが、さすがにそれは極端過ぎると思う。
 
ボディを中心にロマチェンコの出足を止め、終盤のピンチをしのぎ切るほど研ぎ澄まされたアイツもテオフィモ・ロペス。
ほぼ無策でリングに上がり、顔面丸出しで腕を振りまくって返り討ちを食らったコイツもテオフィモ・ロペス。
 
4団体統一王者として条件を吟味しているうちに研究し尽くされ、結果的にドツボにハマったというか。
 
この敗戦をきっかけに一段円熟味を増して戻ってくることを期待しておく。
 
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