ロマチェンコ無双キタコレ。リチャード・コミーを遊びながらフルボッコで大差判定勝利。性格の悪さを隠そうともしなかったよなコイツ笑【結果・感想】

ロマチェンコ無双キタコレ。リチャード・コミーを遊びながらフルボッコで大差判定勝利。性格の悪さを隠そうともしなかったよなコイツ笑【結果・感想】

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2021年12月11日(日本時間12日)、米・ニューヨーク州で行われたWBOライト級インターコンチネンタル王座戦。元同級統一王者ワシル・ロマチェンコと元IBF王者リチャード・コミーが対戦し、3-0(119-108、119-108、117-110)の判定でロマチェンコが勝利。2021年6月の中谷正義戦に続いての連勝を飾った一戦である。
 
 
ボクシングの注目試合が多数行われた先週末。
このロマチェンコvsコミー戦もその中の一つだったわけだが、僕自身は試合の存在をコロッと忘れていた。
 
 
ドバイで予定されていたWBO世界バンタム級タイトルマッチ、ジョン・リエル・カシメロvsポール・バトラー戦はカシメロが体調不良を理由に前日計量を欠席。代役のジョセフ・アグベコとバトラーによる暫定王座戦に変更されたものの、これを不服としたバトラーが出場を辞退。試合そのものが消滅するというまさかの結果に。
 
同興行を生中継したWOWOWエキサイトマッチも放送数時間前にメインがすっ飛んだことで急遽内容の大幅な変更を強いられるという。
 
深夜の放送だったのでチラッとしか観ていないが、だいぶ悲惨なことになっていたなぁと。
先日のジャーボンティ・デービスvsイサック・クルス戦のダイジェストを流したり、井上尚弥の過去の試合を振り返ったり。
こんな時間にいい歳こいた大人ががん首そろえて何やっとんねんw と言いたくなるようなスカスカっぷりだった。
 
そのドタバタのせいもあり(関係ない)、翌日のロマチェンコvsリチャード・コミー戦をすっかり忘れてしまった次第である。
 
で、後追いながらもようやく視聴を終えたので今回はその感想を言っていくことにする。
 
2021年、僕のベストバウトTOP10。コロナの影響で注目試合が中止になったり観戦熱が減退もしたけれど、私は元気です()第10〜6位まで発表
 

身体能力が高く射程が長いリチャード・コミー。でも、その分カウンターとサイドへの動きに弱い?

リチャード・コミーという選手は身長173cmに対してリーチが180cmのサイズを活かした遠い位置からの強打を武器とする。
 
高い身体能力と長い腕、身体を目いっぱい伸ばして打ち出す右はクソほど長く、遠間にいる相手にも楽々届く。
 
また中間距離での左ジャブにも鋭さがあり、この左で相手を射程の外(自分のパンチは届く)に釘付けにすることが可能。
 
左リードで距離を調整し、身体を伸ばしてボディ。
タイミングを測って鋭く踏み込み顔面にワンツーをヒットしてさっと離れる。
 
やや前傾姿勢気味の構えから打ち込む強烈なパンチでKOを量産するファイターである。
 
 
ただ、遠間から踏み込む+1発1発のモーションも大きく、そのためカウンター狙いの“待ち”の相手はやや苦手。
2019年12月のテオフィモ・ロペス戦では、ロペスの懐に立ち入った瞬間を狙われてのカウンターで盛大にKO負けを喫している。
 
テオフィモを観てると筋トレしたくなる。リチャード・コミーを2RTKOに下して初戴冠。やっぱり中谷正義引退は惜しいよね
 
射程が長い分連打が利く方でもなく、左右への動きにも対応が遅れそうな印象。
前後左右に縦横無尽に動き回るロマチェンコのようなタイプには置いてきぼりを食う可能性が高いのではないか。
さらに懐に入られた際は連打で滅多打ちにされるパターンも……。
 
元王者対決ではあるものの、正直今回はロマチェンコがどんな勝ち方をするかが一番の見どころだと思っていた。
 

ロマチェンコに対抗するには? ハンドスピードで遅れを取らないことが大前提かな

以前から何度か申し上げているが、ロマチェンコに対抗するにはとにかくハンドスピードで遅れを取らないことが重要になる。
 
前後左右に動きながら距離を詰め、懐で連打を浴びせて根負けさせるのがロマチェンコの基本的な勝ちパターン。
この部分で圧倒されてしまうと、そもそもの土俵に立つことが難しくなってしまう。
 
その典型的な例が逆に2019年4月のアンソニー・クローラや2021年6月の中谷正義。彼らはロマチェンコのスピードについていけず、懐で自由自在に動かれまくった末にKO負けを喫した。
 
一方で2018年5月のホルヘ・リナレス、同年12月のホセ・ペドラサは中間距離での差し合いである程度食い下がったおかげでそこそこいい勝負に持ち込むことができた。
 
 
そして、今回のリチャード・コミーはどちらかと言えば“ついていけない”側。近場で翻弄され、左右に動き回られた上でつるべ打ちに合う可能性が高そう……。
 

立ち上がりはコミーのロマチェンコ対策が機能した。え? これで一方的になるの? というくらいに

実際の試合についてだが、はっきり言って一方的だった。
 
KOこそならなかったものの、ロマチェンコの動きはPFP No.1と言われた頃の“ハイテク”そのもの。前回の中谷正義戦に続いて「こりゃあ強えわ」と思わされるパフォーマンスだった。
 
中谷正義がロマチェンコにTKO負け…。「悔しい」しか感想が出てこない理由? 中谷正義が負けて悔しいからですよ。完全に攻略されてたな
 
とは言え、リチャード・コミーも十分対策を練ってリングに上がっていたとは思う。
 
中間距離での左は極力ダブルで、とにかく引きを速く。
中谷正義は単発のジャブの引きに合わせて距離を詰められたが、コミーはこの部分でなるべく間を作らないことを意識していた。
 
また、接近戦ではとにかく手数を重視する。カウンターを取られないハンドスピードと1発の威力を両立しつつ、ロマチェンコを懐で自由にさせない、連打を発動させない作戦を実行していた。
 
さらに距離を詰められた際には左足を軸にクルッと身体を入れ替え、すぐさま元の位置へ。レスリング仕込みのクリンチほどきに対しても「この腕は絶対に離さない」という強い意志が感じられた。
 
ロマチェンコの過去の試合を参考に正面を外さない、背後に回られないための対策を相当練習してきたのだと想像する。
 
 
僕はこの試合を結果を知った上で視聴したのだが、1Rの時点では「え? ここからそんなに一方的になるの?」と思うほどコミーの動きはよかった。
 

あっさり均衡が崩れる。2Rからフルスロットルのロマチェンコにコミーはついていけず…

ところが2Rに入るとさっそく均衡が崩れる。
 
1分過ぎあたりからロマチェンコが一段ギアを上げ、力強い足取りで前進。頭を下げて全力で腕を振るコミーのど真ん中を突き抜ける。近場での1発にも力を込めた連打を浴びせていく。
 
 
はっきり言って、今回のロマチェンコ(2〜7Rあたりまで)は鬼神のような強さだったと思う。
 
もともとこの選手は序盤3Rを戦力解析? 様子見? に使う傾向が強く、その分若干スロースターター気味なところがある。
2020年10月のテオフィモ・ロペス戦では、ロペスの圧力を警戒するあまり仕掛けが遅れ、追い上げが間に合わずに判定負けを喫した。
 
ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス感想。115-113ロペスかな。ロペスの対策が素晴らしかったしやっぱりスピード&パワー大正義
 
ところがこの日は2Rの時点でいきなりフルスロットル。
1Rがギア2くらいだとしたら、そこから一気にギア5まで跳ね上がった印象である。
 
コミーもフルスイングで何とか対抗していたものの、徐々に凌ぎきれなくなりガードを固めて亀になる流れ。
 
 
てか、ホントにすごかったですねロマチェンコ。
コミーのパンチも普通に当たっているのだが、まったく意に介さずさらに強力なパンチを打ち込んでいく。
 
圧倒的な力の差を見せて勝つという意気込み、エゴイストと言っても差し支えないほどの強烈なプライドが端々から感じられた。
 
 
あとはまあ、リチャード・コミーには最初から余裕がなかったですよね。
 
申し上げたようにロマチェンコに対抗するには近場での連打で置いてきぼりを食わないこと、サイドに回られないことが重要になる。
 
今回のコミーはその対策もしっかり練った上で試合に臨んでいたが、それでも。
本来のスタイルとは違うことをやっているせいか、開始直後からMAXの力を振り絞っていたように見える。
 
対するロマチェンコはまだまだ様子見の段階。
ギリギリのフルパワーで様子見のロマチェンコにようやく追いつける状態では、さすがに勝つのは難しかったなと。
 

今回のロマチェンコは性格の悪さを隠そうともしなかった。さんざん圧倒した末に“オレ様ルール”で恫喝する

表題の通りだが、今回のロマチェンコは性格の悪さをまったく隠そうとしなかったのが印象的だった。
 
もともとこの選手は試合中にマタドールのゼスチャーをしたり自分からコーナーに詰まってみたりと性格の悪さは随所に見られたのだが、この試合に関してはちょっとケタが違った。
 
1R終了間際、まだ数秒残っているのに勝手にファイトを中断、コミーを制してスタスタと自身のコーナーに引き上げる。
7Rにダウンを奪った直後に相手陣営にゼスチャーでストップを進め、それがかなわないとわかると腕を広げて「はぁ〜あ」と。
 
 
以前、バーナード・ホプキンスがコーナーでパンチを避けながら相手陣営に話しかけたり、フロイド・メイウェザーが時間になってもわざと入場を遅らせたりといったパフォーマンスをやっていた記憶があるが、今回のロマチェンコの傍若無人っぷりはそれらをはるかに上回る。
 
 
要するにアレは「今の自分はそれが許される場所にいる」という自負? アピール? なのだと思う。
 
プロスポーツには「強者は大抵のことが許される」「“オレ様ルール”がまかり通る」側面が往往にして存在する。
 
プロ野球界には落合博満が打席に立つと異様にストライクゾーンが狭くなったという逸話が残っていたり、「こいつが言うのであれば正しいはず」と周りが勝手に解釈してしまうケースが普通にある。
 
で、それがエスカレートすると今度は強者側が“オレ様ルール”を周りに押し付けるということが起きる。
 
強烈な雄っぷりというか、自らの縄張りを盛大に主張するというか。
「お前らは黙ってオレの言うことを聞いておけばいいんだよ」
「オレがルールなんだからおとなしく従いやがれ」
 
今回のロマチェンコはまさにそういう感じだったし、今の自分はそれが許される位置まできたという自負があるのだろうと。
 
デービスvsクルス感想。デービスは4Rくらいに左手をおかしくしてたっぽいな。自分より小さい相手に苦戦。そろそろビッグマッチを…
 
この試合に向けて対策を練ってきたリチャード・コミーの力をすべて出させた上で圧倒し、さらにちょっと遊んだあとに“オレ様ルール”で恫喝する。
 
いいか悪いかは別として、ここまで性格の悪さを包み隠さず出してきたのはなかなかである。


 

後半のコミーの粘りは見応えがあった。舐められた怒りがダメージを凌駕したんだろうな

ついでに言うと、後半のリチャード・コミーの粘りも見応え十分だった。
 
自身の対策をあっさり跳ね返され、散々ボコられた末にセコンドにストップまで進言される。
 
ここまで舐められれば怒りも湧くだろうし、実際後半のがんばりは凄まじいものがあった。
 
7Rにクリンチ際で盛大に倒され、普通に立っているだけで膝が落ちるほどダメージは深い。
 
そのダメージを怒りでねじ伏せ、被弾も気にせずフルスイングで襲いかかる。
 
ロマチェンコの反撃を受けて何度もダメージが噴き出しそうになっていたが、「オレを舐めるな」の怒りはすべてを上回る。
いわゆる“精神が肉体を凌駕した”というヤツ。
 
ベテルビエフ怖えよ笑 顔面流血の冷血漢。マーカス・ブラウンをボロ雑巾に。お前の血も赤かったんだな…。ひょっとしたら危ないんじゃないか? とか言ってスマンw
 
もちろんライト級のロマチェンコが適正階級を超えているというのもあったとは思うが、あの状態で倒されることなく試合終了のゴングを聞いたのは文句なしに素晴らしい。
割と冗談抜きで、終盤のコミーの気迫、精神力はいろいろなものを超越していた。
 
 
てか、ロマチェンコに勝つにはあれこれ対策するより怒りに任せて腕をぶん回した方がいいまでありましたよね。
 
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