ワイルダーが稲妻のような右でヘレニウスを1RKO。やっぱりワイルダーは動けてナンボの規格外マンだった。それだけにフューリーの人外っぷりが際立つ【結果・感想】

ワイルダーが稲妻のような右でヘレニウスを1RKO。やっぱりワイルダーは動けてナンボの規格外マンだった。それだけにフューリーの人外っぷりが際立つ【結果・感想】

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2022年10月15日(日本時間16日)に米・ニューヨーク州で行われたWBC世界ヘビー級挑戦者決定戦。前王者デオンティ・ワイルダーが同級2位ロバート・ヘレニウスと対戦し、1R2分57秒KOで勝利した試合である。
 
 
2021年10月のタイソン・フューリー戦以来約1年ぶりの復帰戦を迎えたワイルダー。対戦相手のヘレニウスは戦績31勝3敗20KOの強豪で、かつて将来を期待されていたアダム・コウナツキを2度KOした実績を持つ。
 
 
ただ僕はこの試合にあまり興味がわかず、リアルタイム視聴どころか今まで見逃し配信すら観ていなかった。
アンダーカードのゲイリー・アントワン・ラッセルvsエマヌエル・ロドリゲス戦は早々に視聴したのだが、なぜかメインイベントには食指が伸びない笑
 
エマヌエル・ロドリゲスvsアントニオ・ラッセル。ロドリゲスうますぎた。ラッセルの高速ジャブを攻略。改めてルイス・ネリvsロドリゲス戦がポシャったのが…
 
もともとワイルダーの復帰戦の相手にはオット・ワリンが名乗りを挙げていた。オット・ワリンは2019年9月にタイソン・フューリー相手に大健闘した選手で、これが決まればめちゃくちゃテンションが上がったところ。
 
ところがいつの間にかワイルダーvsヘレニウス戦が正式発表されて「あ~、そっちか」と。あっという間に興味が薄れた経緯がある。
 
で、U-NEXTでの配信期間が11月15日までだと知りようやく視聴に至った次第である。
 

ワイルダーが速かった。やっぱり動けてナンボの人なんだろうな。そしてフューリーの人外っぷりが…

試合の感想だが、この日のワイルダーはめちゃくちゃ速かった
 
フィニッシュを決めた稲妻のような右カウンターにも驚かされたが、そこに至るまでのアウトボクシング? にはここ最近にはない躍動感があった。
今回のワイルダーは体重を軽めに仕上げてきたと聞いたが、なるほど。やはりこの選手は動けてナンボの人なのだろうと。
 
2mオーバーの図体で機敏に動き回るタイソン・フューリーに対抗するために身体をデカくしたものの、それ以外の相手ならむしろ身軽な方が有利。“右1発で絶対倒すマン”の本領発揮である。
 
てか、実はロバート・ヘレニウスもワイルダーと変わらないくらいデカい(身長2m、リーチ201cm)んですね。
それであれだけスピードが違うのだから、改めてワイルダーのヤバさが際立つ。
 
 
と同時にワイルダーの右を何発もらってもケロッと立ち上がってきたフューリーがいかに人間を辞めていたかという話。
 
通常体重のままではいくら右を当ててもフューリーは立ち上がってくる。
逆に体重を減らしてスピード勝負を挑んでも12Rは持たない。
 
かと言って、いつもよりも重く仕上げてパンチ力をアップさせてもとどめを刺すまでには至らない。それどころかさらにデカいフューリーに追いつかれ、徐々に圧をかけられジ・エンド。
 
ワイルダーは3度の対戦でやれることをやり尽くしたが、人外フューリーはそれらをすべて跳ね返してしまった。
 
 
なおWBCがクルーザー級とヘビー級の間にブリッジャー級なるものを新設したが、これはもしかしたらフューリーの怪物っぷりも影響しているのではないか。
無理な増量でヘビー級を名乗っている選手がタイソン・フューリーと同じ土俵に立つべきじゃないとか、そんな感じで。
 
それくらい2020年2月のフューリーvsワイルダーVol.2は衝撃的だったことを覚えている。
 
ワイルダーコケたよ。パーカーに3-0の判定負け。手が出ない、反応が遅れる、足が動かない。2016年のアルツール・スピルカ戦と違いすぎて哀しくなる
 

オット・ワリンならワイルダーを攻略できるのでは? ヘビー級らしからぬ“うまさ”がある

上述の通り僕はワイルダーvsオット・ワリン戦に期待していた人間で、オット・ワリンが相手ならワイルダーも危ないのでは? とひそかに思っていた。
 
 
オット・ワリンは身長197cm、リーチ198cmとワイルダーにも負けないサイズの持ち主。
しかもその巨体に似あわず? 近場での細かいコンビネーションを得意とする。
動きはやや鈍重、1発の威力も感じないが、とにかくうまい。
 
2021年2月のドミニク・ブリージール戦でもブリージールの豪快な攻めをさばいて大差判定で勝利している。
 
“接近戦が得意なサウスポー”という希少性(ヘビー級内での)に加え、ワイルダーは2016年1月に同じサウスポーのアルツール・スピルカに苦戦を強いられている。
なので、スピルカよりも一回り大きいオット・ワリンならそこそこ可能性はあるのではないか。
 
ジョシュア、ワイルダー揃い踏み+フューリーvsウシクもリスケ。唐突なヘビー級出血大サービスにびっくり。でもすまん、僕には“フランシス・ガヌー杯”に見えてしまうのが…
 

やっぱり難しいかなぁ…。サウスポーとは言え、ヘレニウスとそこまで変わらない気がしたよ

だがこの試合を観ると、オット・ワリンでは打倒ワイルダーを果たすのは難しいかな? と思い始めている。
 
申し上げたように今回のワイルダーは体重を減らしたせいか動きに躍動感があった。
 
極力その場に留まらず、リングを回り込むように動きながらチャンスを待つ。
なるべく近づいて勝負したいヘレニウスだが、ワイルダーはバスケ選手を思わせるバネと長いリーチを駆使したジャブでヘレニウスを寄せ付けない。
 
ヘレニウスが体重の乗ったパンチを当てるにはもう一歩近づかなくてはならないのだが、それをやるにはワイルダーの危険地帯を通過する必要がある。
 
左ボディを伸ばしつつ徐々に距離を詰めていくヘレニウスはラウンド終了間際にワイルダーをコーナーに追い詰める。そしてもう一度左ボディを見せパンチにして右を振りかぶり……。
 
その0.2秒後、リング上には全身を硬直させて横たわるヘレニウスさんの姿が。
 
 
スピード、リーチの長さ、1発の威力。
人外タイソン・フューリーとの3戦で忘れかけていたが、ワイルダーもヘビー級としては十分規格外。
自分の距離で勝負する、近場の打ち合いに持ち込むだけでも大仕事になる。
 
仮にワイルダーvsオット・ワリン戦が決まったとして。
恐らくオット・ワリンも接近戦で勝負をかけるとは思うが、何となく今回のヘレニウスと似た結末を迎えそうな……。
 
オーソドックスとサウスポーの違いこそあるものの、ワイルダーの危険地帯に立ち入ることには変わりない。むしろサウスポーのオット・ワリンの方があの右をもらいやすい? かも?
 
フューリーがガヌーにダウンを奪われ辛勝。競技のトップがポッと出のMMA選手に大苦戦って。自分の土俵に立たせた時点で言い訳はできないんだよ
 

ワイルダーの次戦はアンディ・ルイスJr.? そこをクリアしたら仕切り直しのvsアンソニー・ジョシュアとかやらねえかな

ワイルダーの次戦についてだが、ちょっと前に聞いた話ではアンディ・ルイスJr.との挑戦者決定戦が噂されているとか。
 
アンディ・ルイスの怖さと愛らしさが減退。ルイス・オルティスを3度ダウンさせての勝利。ルイスvsワイルダー戦はめちゃくちゃ興味があるけど決定戦ばかりなのが…
 
うん、これはぜひとも実現してほしい。
今回の試合でワイルダーが相変わらずの化け物だということがわかったので、アンディ・ルイスJr.相手にも十分期待できる。両者のスタイル的にワイルダーの稲妻のような右が再び炸裂する可能性は十分あり得る。
 
 
そしてその次はいよいよというか、仕切り直しのワイルダーvsアンソニー・ジョシュアはどうよ? と。
 
僕がボクシングのマッチメイクに過度な期待をかけなくなった一番の原因が2018年にデオンティ・ワイルダーとアンソニー・ジョシュアの無敗対決がかなわなかったことなのだが、それはそれとして。
 
次期はだいぶ逃したものの、決まれば大きな注目を集めることは間違いない。
キャリア集大成の一戦としてどちらにとっても悪い話ではないと思うのだが。
 
ワイルダー、ジョシュア、フューリー、クリチコ。2010年代後半ヘビー級名勝負振り返り。コイツらの直接対決はさぞかし盛り上がったんだろうなぁ()
 
てか、たまには「キタコレ!!」なニュースを出せよな重量級ボクシング。
テレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.戦の延期にまったく動じてない僕の冷めきった心を動かしやがれ笑
 
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