ワイルダー、ジョシュア、フューリー、クリチコ。2010年代後半ヘビー級名勝負振り返り。コイツらの直接対決はさぞかし盛り上がったんだろうなぁ()

ワイルダー、ジョシュア、フューリー、クリチコ。2010年代後半ヘビー級名勝負振り返り。コイツらの直接対決はさぞかし盛り上がったんだろうなぁ()

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先週末のアイスホッケー、今週末のラグビーと2週連続で現地観戦を予定していたスポーツイベントが中止になり、愕然としているわけだが。


しかもラグビーに関しては前日の中止決定。
チケット発券も金曜日まで引きつけたというのに、さらにその上があるとは思わなかった。
 
新型コロナウイルスの変異株オミクロン株が風邪と同義だとまでは言わないが、さすがにこれだけ予定が立たないのはお話にならない。スポーツイベントの現地観戦はしばらく控えた方がよさそうである。
 
しかも突然予定が飛んだ腹いせにヤケクソで買い物をしてしまうというね。
2021年末のボクシング、井岡一翔vs福永亮次戦のチケット購入がうまくいかなかった直後にも似たようなことをやらかしている。


 
井岡一翔vs福永亮次感想。福永は中間距離で勝負しちゃったか…。その位置の井岡は達人級。でも井岡が下降線に入ってるのは間違いなさそう
 
現地観戦の目論見が外れるたびに大赤字が出るシステム、何とかならんかね(知らんがな笑)。
 
 
で、表題の件。
こういうモヤモヤしたテンションのときはわかりやすいものを観るのが一番いい。
 
ということで、2010年代後半に最強のヘビー級として君臨したデオンティ・ワイルダー、アンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリーの軌跡をボーッと振り返ってみた次第である。
 
今回はその中から個人的に名勝負だと思う3試合をそれぞれ挙げていくことにする。
 
 
今さらだが、個性と強さを両立した3人が同時期に全盛期を迎えていた2010年代後半のヘビー級はとんでもないミラクルだった。
 
それだけに……。
 

○タイソン・フューリーvsウラジミール・クリチコ×(判定3-0 ※115-1112、116-111、115-112)

2015年11月にドイツ・デュッセルドルフで行われたこの試合。10年以上ヘビー級の頂点に君臨していた最強王者ウラジミール・クリチコに当時27歳の新鋭? タイソン・フューリーが挑戦し、判定勝利を挙げて度肝を抜いた一戦である。
 
 
この試合はもう衝撃的すぎたというか、それから僕はタイソン・フューリーのことを“神”と呼んでいる。それほど驚かされた一戦だったことをお伝えしておく。
 
 
もともと僕は「ボクシングはデカくて動けるヤツが最強」だと思っていて、その結論に達したのがウラジミール・クリチコの存在だった。
 
身長198cm、リーチ206cmの巨体ながらも前後左右に動くスピードとバネの持ち主。しかも12Rを通してその動きをキープするスタミナも兼ね備える。
 
当時のヘビー級はだいたい190cm前後の選手が中心で、クリチコにとっては完全に小柄な相手。奥足体重で身長差、リーチ差を活かしてワンツーを打ち下ろしているだけで無双できる状態が続いていた。
たまに2mオーバーの相手と遭遇しても、たいていはクリチコほどのスピードもなければ長いラウンドを動けるスタミナもない。
 
スピードとバネを両立しつつ、それを12Rキープするにはクリチコの体格がギリギリ許容範囲というか。それよりも小さければサイズ差でねじ伏せられるし、大きい場合はスピードとスタミナが追いつかない。
 
要するにウラジミール・クリチコは僕の中ではボクシングの最終形態
もはやこの選手はボクシングを終わらせてしまったとまで思っていたところ……。
 
まさかのタイソン・フューリーの登場である。
身長206cm、リーチ216cmとクリチコよりも大きな身体でクリチコよりもさらに動ける。それを12Rにわたって継続するスタミナもある。
 
この頃のクリチコが若干下降線に入っており、前戦のブライアント・ジェニングス戦でも「おや?」と思わせるパフォーマンスだったことを差し引いても。
 
クリチコの身体が浮き上がってのけぞるシーンを目にする日が来るとはね(「Tyson Fury vs Wladimir Klitschko Full Fight Highlights HD」から引用)。

↑これだけを見ればどうってことない、左も当たってないじゃないかという話なのだが、それをやられているのがクリチコなのが問題なわけで。
 
デカくて動けるヤツに勝つには? の答えが「もっとデカくて動けるヤツが出てくるのを待つ」という本末転倒なものだった事実に唖然とさせられた次第である。
 
2m級のビッグマン2人によるスピーディなジャブとスウェイの応酬なんて、今考えても意味がわからない。
「あれ? 今よりもこの頃の方が速いんじゃねえか?」というくらいのフューリーのスピード感に開いた口が塞がらない笑。
 
ワイルダー陥落! フューリーがヘビー級史上最強でいいよな。オラが町のごんたくれは“パーフェクトな2秒”を与えられず
 
フューリー自身がこの頃からしっかりクズなのもいいですよね。
 
クリンチ際で頭を相手にグリグリ擦り付けるのもそうだし、ラウンドが終わるたびに一言声をかけて挑発するのもそう。
勝つためには手段を選ばない割り切りはもちろん、“王者は人格者であるべき”というクソ理論を真っ向否定してくるメンタルは最高である笑
 

○アンソニー・ジョシュアvsウラジミール・クリチコ×(11R2分25秒TKO)

2017年7月に英・ロンドンで行われた一戦。クリチコにとっては2015年11月のタイソン・フューリー戦以来約1年9ヶ月ぶりの復帰戦であるともに、結果的に現役最終戦となった試合である。
 
 
試合は倒し倒されの末に11Rに力を振り絞ったジョシュアが粘るクリチコを振り切ってレフェリーストップを呼び込む劇的な結末を迎えたわけだが。
 
何というか、とにかく王道中の王道の試合だったなと。
 
ジャブの差し合い、ペースの奪い合いからスタートし、5Rにギアを上げたジョシュアが最初のダウンを奪う。
ところがこのラッシュでジョシュアは一気に失速。立ち上がったクリチコのカウンターを何発か被弾し、ラウンド終盤にはフラフラのジョシュアをクリチコが攻め立てる逆転現象が。
で、次のラウンドでクリチコがジョシュアの顔面に右を打ち込み、ジョシュアが膝から崩れ落ちるという。
 
これでクリチコが決めきるかと思われたものの……。
7、8Rとジョシュアが有効打を許さず、9Rあたりで徐々に回復を見せる。
 
一方、失速気味のクリチコはそこからペースアップすることができず。
11Rにもう一度ギアを上げたジョシュアのラッシュに耐えきれずにレフェリーストップ。
 
両者が自分の持ち味を最大限に発揮し、お互いの長所をすべて受け切った上でジョシュアがわずかに上回った一戦。
 
それこそ上述のフューリーvsクリチコ戦のように、フューリーが自分の長所を最大化する戦法(アウトボクシング、クリンチ、ダーティなファイトなど)で勝利したのとは真逆。
 
ここまで見事な世代交代マッチがあっていいの? というくらい、ヘビー級新時代を感じさせる一戦だった。
 
ウシクがジョシュアを翻弄して偉業達成。凄まじい勝利なのはもちろんだけど、ウシクがちっとも僕の視界に入ってこない…。ヘビー級の不純物
 
正直に申し上げると、僕はこの試合では断然クリチコを応援していた。6Rにダウンを奪った右にはめちゃくちゃ興奮したことを覚えている。
 
ジョシュアの右がやや外旋回の軌道なのに対し、クリチコの右は肩口から最短距離を通って相手の顎を打ち抜く。
5R序盤のラッシュでの攻め疲れ&カウンターを何発も被弾したことでフラフラ状態のジョシュアは鋭い踏み込みからのクリチコの右に反応できず。
 
逆にクリチコは一度目のダウンからの回復がすこぶる早かった。
フューリー戦での敗北から2年近くもリングから離れていたにも関わらず、これだけのコンディションを作ってきたのは賞賛に値する。
 
あらゆる意味でクリチコを応援せざるを得ない試合だった。
 
 
2010年代を代表する1発(「Anthony Joshua v Wladimir Klitschko | Full Fight! | 29th April 2017」から引用)。

 
ただ、あそこで決めきれなかったのが何とも……。
恐らくジョシュアのパンチ力に対する警戒心が残っていたのだと思うが、結果的にあの躊躇がジョシュアを回復させてしまった。
 
 
両者の戦力としては、
・中間距離では互角orややジョシュア
・接近戦ではジョシュア
・打たれ強さ、試合運びのうまさはクリチコ
という感じだったかなと。
 
で、この試合ではクリチコの経験値が裏目に出てしまったというか。
 
豊富な経験ゆえの試合運びのうまさにより、6、7Rに勝負をかけられなかった。
 
で、徐々に体力を消耗し、11Rにはすでに反撃の力は残っておらず。
ジョシュアの2度目のラッシュに撃沈させられる流れ。
 
 
 
一方、この試合で勝利したアンソニー・ジョシュアは名実ともにヘビー級の主人公の座を手に入れた。
 
次の標的は当然ブルックリンで猛威を振るうアイツしかいない。
 
9万人のスタジアムを超満員にする地元の王子がついに北米のビッグ・ブラザーとの一騎打ちを迎える。
 
その名も。
 
カルロスゥゥ……、タカムウウゥゥゥ……!!
 
何でやねん!!
 

○デオンティ・ワイルダーvsルイス・オルティス×(10R2分5秒TKO)

2018年3月に米・ニューヨーク州で行われたWBC世界ヘビー級タイトルマッチ。王者デオンティ・ワイルダーが挑戦者ルイス・オルティスを10R2分5秒TKOで下した一戦である。
 
 
39勝全勝38KOのワイルダーがサウスポーの技巧派オルティスを迎えたこの試合。
戦前はやりにくさと1発の威力を兼ね備えるオルティスがワイルダーを空転させるのでは? と言われたわけだが……。
 
結果としては、ワイルダーの右がオルティスの積み重ねてきたものをすべて粉砕してしまった。
 
 
正直、ボクサーとしてのクオリティ? はオルティスの方が上だったと思う。
 
序盤のジャブの差し合いで上回ったオルティス。
うまく外側のポジションをキープしつつ、中盤には「右で牽制→中に入って左をヒット→サッと離れて射程外に退避」の流れを確立する。
 
ワイルダーも右のフルスイングでカウンターを狙うものの、オルティスのポジショニングと見切りのよさを攻略できず。
5Rにダウンを奪われはしたが、きっちり立て直して7Rには左のカウンターでワイルダーをダウン寸前まで追い詰める。
 
ところが10Rにまたしてもワイルダーの右が……。
右と左の相打ちから一瞬早く立ち直ったワイルダーが猛然と襲いかかり、野獣のような連打で一気に勝負を決めてしまった。
 
序盤のジャブ合戦から左カウンターを当てる流れを作り、ワイルダーをダウン寸前まで追い詰めたオルティス。8割型勝利していた試合だったが、結局ワイルダーの理不尽な1発ですべてをご破算にされてしまった。
 
世の中には二種類のボクサーがいる。ワイルダーとそれ以外である。天才ワイルダーがオルティスとの再戦を右1発で制する
 
しかし、改めてワイルダーの際立ちっぷりは尋常じゃない。
申し上げたように選手としての完成度はルイス・オルティスの方が上だったし、ウラジミール・クリチコやアンソニー・ジョシュアのバランスのよさとは比べるまでもない。
 
ただ、ワイルダーには1発ですべてをひっくり返す右がある。その右を活かすための最低限のジャブ、見切り、間合いも併せ持つ。
 
競技にもよるが、プロスポーツ選手の現役生活は長くても15年〜20年。そのうち全盛期と呼べる時期は5年あるかないか。
 
すべてのパラメータをまんべんなく伸ばす時間などあるわけもなく、逆に「これなら誰にも負けない」というくらい際立ったものが一つあれば十分な結果を残せたりする。
 
 
さらに言うと、一撃必殺の右と並ぶワイルダーの最大の武器は勝負どころでの“野獣性”だと思う。
 
どれだけ疲れていても、相手が効いたとわかれば一気にトップギアまで戻せる。
そして、試合開始直後か? と思うような勢いで相手を仕留め切ってしまう。
 
この試合も11Rにオルティスがピヨった瞬間のフルパワーと言ったら……。
 
肉食獣を思わせる表情に短距離走のスタートのような猛ダッシュ(「Wilder vs Ortiz 1 – Full Fight: : March 3, 2018 – PBC on Showtime」から引用)。

 
その場で大の字になりたいほど疲労していたと想像するが、そんなことは微塵も感じさせない。
 
この辺の野獣性はタイソン・フューリーにもアンソニー・ジョシュアにもないものだったなぁと。
 
 
ついでに言うと、前戦(2017年11月)でバーメイン・スティバーンを1RKOしたアレもすごかったですよね。
 
あの試合のスティバーンは約2年ぶりのリングで、見るからに身体に締まりがなく動きも悪い。
恐らくワイルダーvsジョシュア戦がポシャったことで急遽抜擢されたのだと思うが、とにかく準備不足は誰が見ても明らかだった。
 
で、スティバーンの準備不足に気づいた(っぽい)ワイルダーが怒りに任せて剛腕をぶっ放してのKO勝利。
ビッグマッチが決まらない不満もあったのだと思うが、「今さらこんなヤツを俺の前に立たせやがって」と言わんばかりのフルボッコだった。
 

準備万端のジョシュアとワイルダー。復帰したフューリーとの三つ巴が完成。コイツらの直接対決はさぞかし盛り上がったんだろうな()

クリチコとの激闘の後、カルロス・タカムを10RTKOで下したアンソニー・ジョシュア。
次戦では「コイツならジョシュアを何とかできるんじゃないか?」と言われたジョセフ・パーカーに文句なしの判定で勝利し、WBO王座も獲得。ついに頂上決戦への準備が整う。
 
一方のデオンティ・ワイルダーはキャリアで唯一KOを逃したバーメイン・スティバーンに借りを返し、ルイス・オルティスとの無敗対決を制してさらに勢いを増している。
 
ジョシュアvsパーカー戦が2018年3月31日(現地時間)。
ワイルダーvsオルティス戦が2018年3月3日(現地時間)。
 
両者の試合間隔もちょうどいい。
条件は完全に五分と五分と言っていい。
 
2017年時点ではジョシュアがWBOタイトルを吸収しておらず、ワイルダーにも無敗の技巧派オルティスとの対決が残っていたが、それも過去の話。
 
 
そして迎えた2018年夏。
一度引退したタイソン・フューリーも復帰を果たし、ジョシュアとワイルダーもすべてのやり残しを済ませた。
「もう少し引っ張った方がより盛り上がる」というプロモーター側の思惑がその通りになったのがまさに今。
 
 
来たぜおい。
待ちに待った夢の対決がついに。
 
アンソニー・ジョシュア対……
 
アレクサンドル・ポベトキン!!!
 
え?
 
 
確かこの時期に
「今焦ってジョシュアvsワイルダーをやってしまうとヘビー級が更地になっちゃう」
「いや、やった方がいい。更地になったらその時はその時だよ」
というやり取りをSNSだか掲示板だかで見かけた記憶がある。
 
実を言うと、僕もこれを見て「なるほど一理ある。ジョシュアvsワイルダーはそこまで急ぐ必要はないかもしれない」と思ったことを告白しておく。
 
タイソン・フューリーにディリアン・ホワイトが勝てるわけねえだろ。誰が興味あんねんこの試合→き、9万人!? 実況の絶叫が聞こえて気づいたらホワイトが大の字で寝てた
 
なあ、知ってるか? 2018年の俺。
2022年1月現在、いまだにジョシュアvsワイルダー戦は動く気配すらないんだぜ……?
 
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