アンディ・ルイスの怖さと愛らしさが減退。ルイス・オルティスを3度ダウンさせての勝利。ルイスvsワイルダー戦はめちゃくちゃ興味があるけど決定戦ばかりなのが…【結果・感想】

アンディ・ルイスの怖さと愛らしさが減退。ルイス・オルティスを3度ダウンさせての勝利。ルイスvsワイルダー戦はめちゃくちゃ興味があるけど決定戦ばかりなのが…【結果・感想】

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2022年9月4日(日本時間5日)に米・カリフォルニア州で行われたWBC世界ヘビー級挑戦者決定戦。元同級3団体統一王者アンディ・ルイスJr.と元WBA同級暫定王者ルイス・オルティスの一戦は3-0(114-111、114-111、113-112)の判定でアンディ・ルイスが勝利。2021年5月のクリス・アレオーラ戦以来、約1年5か月ぶりの試合でキャリア35勝目を挙げた試合である。
 
 
2019年6月にアンソニー・ジョシュアに勝利し3団体統一王者となったアンディ・ルイス。
ところがダイレクトリマッチでジョシュアに敗れて以降は試合枯れが続き、今回が約2年9か月で2試合目となる。
 
対するルイス・オルティスは前戦のチャールズ・マーティン戦では2度のダウンを喫しながらも左1発で局面をひっくり返す劇的勝利。王座挑戦権獲得を目指してこの試合に臨んでいる。
 
 
試合は序盤2Rにアンディ・ルイスが2度のダウンを奪うが、すぐに回復したオルティスがカウンターを駆使して流れを引き戻す展開。
7Rにはルイスが右フックでこの日3度目のダウンを奪ったもののそこから先が続かず。全体を通して観ればオルティス寄りと言える試合で、3度のダウンがなければ勝敗は逆だったのでは? と思えるほど。
再度の王者戴冠を目指すアンディ・ルイスにとっては消化不良の試合と言えそうである。
 
エストラーダvsコルテス。エストラーダは調子悪そうだったな。コルテスもよく研究してた。でも、勝負強さと二番底を見せつけての勝利はさすが
 

アンディ・ルイスとルイス・オルティスの一戦にはかなり興味を引かれた。勝っても次の展開が見えにくいけど

アンディ・ルイスJr.vsルイス・オルティス。
 
WBC挑戦者決定戦として行われた一戦だったわけだが、今は肝心の王者タイソン・フューリーがエア引退とエア復帰を繰り返している状況。勝利したルイスも次の展開がなかなか見えてこない。
 
ただ、それはそれとして。
組み合わせとしてはおもしろそうな試合なので、それなりに楽しみにしていた次第である。
 
ずんぐり体型に見合わぬダッシュ力とハンドスピードでアンソニー・ジョシュアから大金星を挙げたアンディ・ルイスと、デオンティ・ワイルダーとの2戦はいずれもKO負けながらもポイントではリードしていたルイス・オルティス。
個性的な選手が揃うヘビー級の中でもさらに尖った両者の対戦には自然とテンションが上がる笑
 
世の中には二種類のボクサーがいる。ワイルダーとそれ以外である。天才ワイルダーがオルティスとの再戦を右1発で制する
 

アンディ・ルイスの怖さが目減りした気が…。コンディションの不安定さは相変わらずだよね

試合の感想としては、アンディ・ルイスの怖さが目減りしたなぁと。
 
3度のダウンがなければルイス・オルティスが勝っていたとのことだが、マジでそんな感じ。2Rと7R以外はほぼオルティスが支配していた印象である。
 
本人はブランクによる不調を口にしていたようだが、ここら辺のコンディションの不安定さは相変わらずか。
 
アンソニー・ジョシュアとの初戦ではヘビー級離れしたダッシュ力と連打で勝利→動けるデブ最高だぜ!! となったアンディ・ルイスだが、よかったのはそこまで。リマッチでは肉がトランクスから垂れ下がるほどだらしない身体つきでリングに上がり、案の定大差判定負けを喫するという。
 
初戦の大金星で浸透した「太っている=ダメは勝手な思い込み」論を自らの手で上書きしてしまう残念な結果に。
 
あの試合以降、体重にはぼちぼち気を配っているようだが、今度はブランクが影響したとのこと。
思わず「いや、今度はそっちかい」「いつになったら絶好調のお前に会えるんだよ」とツッコミを入れたくなってくる笑
 
 
ついでに言うと、髪が伸びて髭も濃くなったおかげで2019年当時の愛らしさも目減りしているのが……。
 
ワシル・ロマチェンコ復帰戦。ジャーメイン・オルティス意外とがんばるんじゃないの? この際だから勝っちまえよ。足を止めないことが重要になりそう
 

ややディフェンシブに寄ったせいか迫力が足りない…。アンソニー・ジョシュアとの初戦ではもっとアグレッシブだったけど

上述の通りこの試合のアンディ・ルイスはやや怖さが目減りした印象を受けたのだが、試しに2019年6月のアンソニー・ジョシュア戦と2021年5月のクリス・アレオーラ戦を眺めてみたところ、若干ディフェンシブに寄っているような……。
 
前回のアレオーラ戦、今回のオルティス戦はどちらかと言えば後ろ体重なのに対し、ジョシュアとの初戦ではだいたい前と後ろ半々くらい。いついかなるときでもあのダッシュを発動できる状態をキープしていた。
 
また、この選手のもう一つの持ち味であるハンドスピードもジョシュア戦のド迫力には遠く及ばない。
猛ダッシュで懐に侵入→クリンチされようがお構いなしで腕を振り回す流れがアンディ・ルイスの勝ちパターンだったはずが、この2戦では基本的に連打は2発まで。常に3連打を浴びせていたジョシュア戦に比べればずいぶんおとなしい。
 
もしかしたら2020年5月からトレーナーをエディ・レイノソに代えてからディフェンシブに寄ったのかもしれないが、いや、これはどうなんだ?
オルティスの左をどれだけもらっても効いた素振りすら見せないタフネス、安全運転っぷりはわかるが、肝心の爆発力に陰りが見えるのが……。
 
ジョシュアとの初戦では踏み込み際に何度もカウンターを合わされたし3Rにはダウンも喫した。
ただ、その一方で接近戦での馬力は凄まじいものがあった。
 
それに比べてこの2戦のアンディ・ルイスは誰が相手でも何かを起こしそうな意外性が感じられない。これが何とも残念である。
 
PFP No.1デビン・ヘイニーがカンボソスと再戦決定。ウシク? 井上? クロフォード? ちげえよ。再びヘイニーがPFPに返り咲くんだろ()
 
7Rのダウンも近場の連打によるものだったしね。
何だかんだであの強引さがアンディ・ルイスの最大の武器だと思うんですよねボカァ。
 

打たれ弱さが目立ち始めたオルティス。ギリギリ引き付けてのカウンター狙いだからどうしてもミスは出るよね

対するルイス・オルティスだが、なるほど。こちらは多くの方がおっしゃるように少々打たれ弱くなっているっぽい。
2Rのダウンなどは膝からカクっと落ちたイメージで、すでにダウンがクセになっている感も……。
 
またこの選手は基本的に左右へ動きながらのカウンターが持ち味なので、想定を超える踏み込みスピードや連打にはどうしても反応が遅れる。
 
右を小刻み動かして前進を阻み、相手の踏み込みを引き付けてサイドにステップ→ギリギリのタイミングでカウンターを合わせる。
これを12Rやり続ければどこかでミスも出るだろうし、疲れで動きが鈍る後半はその確率はさらに上がる。
 
デオンティ・ワイルダーとの2戦や前回のチャールズ・マーティン戦、今回のアンディ・ルイス戦といずれもカウンターをミスった刹那にダウンを喫しているわけだが、ああいうギリギリを狙うスタイルを続ける以上仕方ないのかもしれない。
 
まあ、それを踏まえた上で以前に比べてコテンコテンとよく倒れている気はするが。
 
ダウンからの回復スピード、試合をコントロールする巧さは健在だし逆転を狙った12Rの猛攻はさすがのひと言。やろうと思えば今後も現役を続けられるとは思うが、そこは本人次第なので何とも言えない。
 
矢吹正道がタノンサックに7RTKOで勝利。でも攻略法がバレた感があるな。タノンサックはめちゃくちゃ応援してたし実際強かったけど、残念だった
 

ワイルダーvsヘレニウス戦の勝者がアンディ・ルイスと? それ決定戦じゃねえじゃんww だから暫定王座は必要だと何度言えば…。

微妙な出来ながらも挑戦者決定戦を制したアンディ・ルイスJr.。
次はいよいよ王者タイソン・フューリーに挑戦!!
となればいいのだが、残念ながらそううまくはいかないらしい。
 
タイソン・フューリーとの3戦目に敗れた元王者デオンティ・ワイルダーが10月にロバート・ヘレニウスとの復帰戦を予定しているとのことで、どうやらこちらもWBCの挑戦者決定戦と銘打たれるとか。
で、ワイルダーとヘレニウスの勝者がアンディ・ルイスとの一騎打ちに進み、勝った方がいよいよ……。
 
って、それ挑戦者決定戦じゃねえじゃん笑
 
タイソン・フューリーの去就がはっきりしない&プロモーションが異なるせいでなかなか話が進まないのはわかるが、いちいち“挑戦者決定戦”と銘打つ意味は?
 
違うんだよ。
むしろこういう時こそ暫定王座の登場だろと。
 
以前から何度も申し上げているように僕は暫定王座はどう考えても必要、今回のように現王者の動向がはっきりしない場合は上位ランカー同士で決定戦を行うべきだと思っている。
 
“1階級につき王者は1人”の理想は大いに結構だが、現実問題として不可能に近い。ランキングの停滞を防ぐためにもある程度の割り切りは大事だよねという話である。
 
挑戦者決定戦を連発して引き延ばすのと、暫定だろうが“タイトルマッチ”と名の付く試合を組むのとでは選手側のモチベーションも違ってくるだろうしね。
 
WBAが暫定王座廃止? いや、暫定王座はいるだろw ここまでビジネスが肥大化すれば王座乱立も仕方ない? L・フライ級の上位ランカーに注目してみた
 

アンディ・ルイスvsワイルダー戦は興味深い。というよりアンディ・ルイスの相手はワイルダー以外に興味がわかない

ただ、それでもアンディ・ルイスJr.vsデオンティ・ワイルダー戦にはめちゃくちゃ興味がある。
というより、今回のvsオルティスを観る限りアンディ・ルイスはワイルダー戦以外にはあまり食指が動かない。
 
正直、あの感じだとオレクサンドル・ウシクにはひらひらと誤魔化されそうだしタイソン・フューリーにはジャブとのしかかりクリンチで糞詰まりにされそう。ないとは思うが、vsアンソニー・ジョシュアVol.3など言語道断である笑
 
 
その点ワイルダーが相手であれば、クネクネと誤魔化されることなく“倒すか倒されるか”の試合になりそう。
 
ワイルダーが稲妻のような右でヘレニウスを1RKO。やっぱりワイルダーは動けてナンボの規格外マンだった。それだけにフューリーの人外っぷりが際立つ
 
遠い間合いでの1発で試合を終わらせるワイルダーと、懐に侵入しての連打でねじ伏せるアンディ・ルイス。
どちらが自分の間合いで勝負できるかを含めて見どころ満載の組み合わせ。両者ともにPBC所属で対戦も組みやすいはずなので、ぜひとも実現していただければ。
 
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