オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン感想。コンセイサンの作戦とピーキングの勝利()バルデスはベルチェルト戦をうまく参考にされたかな【結果・感想】

オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン感想。コンセイサンの作戦とピーキングの勝利()バルデスはベルチェルト戦をうまく参考にされたかな【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2021年9月10日(日本時間11日)、米・アリゾナ州で行われたWBC世界S・フェザー級タイトルマッチ。同級王者オスカル・バルデスと同級14位でリオ五輪金メダリストのロブソン・コンセイサンが対戦し、3-0(117-110、115-112、115-112)の判定でバルデスが勝利。初防衛に成功した一戦である。
 
 
開始直後から高くガードを上げ、ジリジリと距離を詰めて力強い左を打ち込むコンセイサン。
 
一方のバルデスは左リードを起点に対抗するが、コンセイサンが同時打ちのタイミングで打ち出す左にうまく対処できず。
 
距離が近づけばさっとクリンチ、遠い位置からは身体を伸ばしてのワンツー。
圧力と連打でバルデスを圧倒するコンセイサンだが、中盤からバルデスも得意のフックで反撃。時おり強烈なヒットでコンセイサンをロープに吹き飛ばすなど、後半は一進一退の攻防が続く。
 
 
疲労困憊ながらも最終ラウンドを走り抜けたコンセイサンは終了ゴングとともに大きくガッツポーズを見せる。
 
ところが、判定はまさかの3-0でバルデスの勝利。
驚きと不満の表情を浮かべるコンセイサンを尻目に、初防衛に成功したバルデスは全身で喜びを表現した。
 
中谷潤人vsアンヘル・アコスタ。「中谷強かったね」しか感想がないんですよね。井上尚弥に次ぐスター候補と言われてもピンとこない
 

勝敗予想はバルデスのKO勝利だったけど、コンセイサンの仕上がり次第では可能性も?

オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン。
 
当初はあまり興味がなかったこの試合だが、本番数日前にバルデスの検体から禁止薬物が検出されたものの、試合は予定通り開催されると聞いて「何じゃそら笑」と俄然興味がわいた経緯がある。
 
で、当日はWOWOWエキサイトマッチの中継を後追いで視聴させていただいた。
 
 
なお、僕の勝敗予想はバルデスの後半KO勝利。
 
オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン。バルデス有利に見えるけどアマ時代にコンセイサンが勝ってるのね。って、中止じゃないんかい笑
 
ただ、挑戦者のロブソン・コンセイサンも言われているほどイージーな選手ではない。
デビュー当初はアマっぽさが目立っていたが、ここ最近の試合ではかなりプロのリングにマッチしている印象。
 
特に直近のヘスス・アントニオ・アウマダ戦ではジャブを起点に距離とアングルを調整しつつ、自分の間合いをキープしながら相手を削った上での見事なKO勝利。
 
これならバルデス相手でもそこそこやるのではないか。
あのサイズ差を活かした左ジャブが機能すれば、接戦に持ち込める可能性も全然ある。
 
とは言え、全体的に脆さを感じるのもこの選手の特徴だったりする。
右ガードの低さ、外旋回のスイングに加え、どことなく1発もらうとガクッといきそうな頼りなさが……。
 
これだと出足が鈍った後半にバルデスのフックを浴びて撃沈させられる気がするけど、その辺どうなのよ?
みたいな。
 
 
つまり、今回の試合でコンセイサンが勝機を見出すには、
・遠間での左リードの差し合いで上回る
・得意な間合いでの打ち合いでバルデスをタジタジにさせる
のが条件かなと思っていた次第である。
 

コンセイサンのパフォーマンスが素晴らしかった。身体つきからもこの試合にかける意気込みが伝わってきた

実際の試合についてだが、はっきり言ってコンセイサンのパフォーマンスは素晴らしかった。
 
 
まず最初にリング上のコンセイサンを観て思ったのが、
「あれ? デケえなコイツ」
 
過去の試合に比べて肩周りが一回り大きく、身体つきも筋骨隆々。
この試合に向けて相当厳しいトレーニングを積んできたことがわかる仕上がりである。
 
さらにバルデスと対峙した際のガードの高さにも「おや?」と思わされた。
 
エキサイトマッチの解説も言っていたようにコンセイサンはもともと腕を下げてリラックスして構える選手で、それがスムーズな連打を発動する要因にもなっていた。
 
だが、この試合では立ち上がりからガードを高く上げてどっしり構え、1発1発に力を込めた左を打ち出していく。
 
中でも僕が「バルデスの左フックと合いそう」だと思っていた右のガードは顔の前からほとんど動かない。
 
1発1発のパンチを全力で打ち込むことでバルデスの出足を挫きつつ、極力射程の一歩外で対峙。
大胆さと慎重さを両立するというか、厳しいトレーニングと並行して相当バルデスを研究してきたんだろうなと思わせる立ち上がりである。
 

バルデスの長所をことごとく消していくコンセイサン。サイズ差と左リード、クリンチでアクションを起こさせない

そして何より「おお、すげえ」と思ったのが、コンセイサンがバルデスの左リードをことごとく封じていたこと。
 
前回のバルデスvsベルチェルト戦ではバルデスの左リードがベルチェルトの前進をそのつど寸断し、疲弊して出足が鈍ったところにバルデスの左フックが豪快にヒットした。
 
バルデスの左フック一閃。ベルチェルトに失神KO勝利。左リードとの緩急が絶妙でこれまでとは別人レベル。相当研究してきたんだろうな
 
なので、今回のコンセイサンが勝機を見出すにはこのバルデスの左リードを何とかする必要がある、遠間の差し合いで上回らなければコンセイサンが勝つのは難しいのでは? と思っていたところ。
 
開始直後からこの部分に注目していわけだが、ほほう、なるほど。
同時打ちのタイミングで封じるわけね。
 
以前のバルデスはどちらかと言えば左右フック一辺倒で、左リードはあまり使わないタイプだった。
絶えず左右に動きながら相手を呼び込み、ぶん回しのフックを叩き込んでねじ伏せるのが基本的な勝ちパターン。
 
だがその反面、連打型の相手やリーチの長いジャブ使いには苦労させられる可能性が高い。
僕がバルデスがベルチェルトに勝つのは難しいと思っていた理由が、この左リードの少なさである。
 
ところがS・フェザー級進出以降のバルデスは左右の動きを抑えめにしつつ、左リードでペースを掴むスタイルへの移行が見られた。
 
恐らくベルチェルト戦を見越した上でのスタイルチェンジだったと想像するが、これはコンセイサンにも十分通用すると考えていたはず。
 
オスカル・バルデスvsジェイソン・ベレス感想。これって仮想ベルチェルトか? ベルチェルトに勝つにはこれしかないって試合だったな
 
だが、今回のコンセイサンはその左リードに同時打ちのタイミングでカウンターを被せて封じてみせた。
 
アクションを起こすまでにやや溜めのできるのがバルデスの弱点だが、コンセイサンの狙いはまさにここ。バルデスの動き出しを狙って左を打ち込むことで出鼻を挫き、そのまま身体を寄せて次のパンチを出させない作戦。
 
・動き出しを狙って先に手を出す
・左リードには同時打ちでカウンターを被せる
・距離が近づけばさっとクリンチで動きを封じる
 
遠間では全力のワンツー、同時打ちのカウンター。
近場では腕を絡めて動きを封じ、次のアクションを起こさせない。
 
ガードを高く上げて得意のフックに注意を払いつつ、片っ端からバルデスの長所を消していく流れはお見事としか言いようがない。
 

中盤以降のごまかしもよかった。入念な作戦を立ててそれを実行するための身体を作り上げたコンセイサンに感動したよ

また、スタミナ切れを起こした中盤以降もうまくごまかしていたと思う。
 
アウトボクシングを諦めて距離を詰めてきたバルデスに対し、クリンチを多用したりよそ見をしながら足を使ったり。
要所で効かされたパンチもあったが、そのつど時間稼ぎをしながら乗り切ったのは文句なしに素晴らしかった。
 
高いガードと全力のワンツーという、本来のスタイルとは違う試合運びは疲労感も相当だったはず。
それでも遠間からの左リードだけは最後まで機能していたし、ラウンド前半の固め打ちによってバルデスの警戒心を煽ることにも成功した。
 
7、8、9Rなどはリングに大の字で寝っ転がりたいくらいの疲労度だったと思うが、それでも何とか走り抜けたのはこの試合にかける意気込みの強さからだろうと。
 
 
立ち上がりにカマして相手を警戒させ、中盤の失速を根性で乗り切る。で、ラスト3Rを勢いで走り抜けてゴールテープを切る。
前回のベルチェルト戦を踏まえて入念な作戦を立て、それを実行するためのコンディションを作り上げてきたコンセイサンの雄姿は感動的ですらあった。
 
先日、日本の井岡一翔に挑戦したフランシスコ・ロドリゲスJr.もそうだが、12Rを3分割してギリギリで逃げ切るプランは格上の足元をすくう際の王道と言えそうである。
 
井岡は実質負けかな…。ロドリゲスの踏み込みと圧力に大苦戦。勝ちはしたけど衰えも見えたような。判定に物議を醸した時点でアウト
 
 
って、負けたの!?
 

コンセイサンの勝ちだと思ったけどな。ビバ・メヒコ云々はどうでもいいけど、こんなにズレがある試合だったか…

正直、今回の判定結果にはまあまあ驚かされている。
上述の通り僕は結果を知った状態で後追いで視聴したのだが、それを踏まえた上で。
 
ホームアドバンテージの存在を現役のジャッジが公式に認めたのはすげえな。コンセイサンがバルデスに勝つにはわずかな希望すら与えちゃダメだった
 
一応申し上げておくと、僕のグダグダ素人採点では115-112でコンセイサンの勝利。
と言いつつ9Rの減点1も「え? 今ので?」と思ったくらいで、僕の中では正味4ポイント差でコンセイサンの勝利となっている。
 
まあ、エキサイトマッチの解説者が「コンセイサンにつけたけど、かなり迷った」と言っていた10、11Rを僕は断然コンセイサンのラウンドだと思ったので、恐らくだいぶコンセイサン寄りで観ていたのだとは思う。
 
ただ、115-112までいくのはちょっと意外だった。
115-112ということは減点1を除けば「バルデス7-5コンセイサン」。
僕の素人採点が「バルデス4-8コンセイサン」なので、都合3Rのズレがあったわけか。
 
いや〜、よくわからんっすねぇ。
 
はっきり言ってビバ・メヒコ云々はどうでもいいし、117-110をつけたジャッジに関しても先日のパッキャオvsウガス戦のジョー小泉を見れば「そういう人もいるのね」と思うしかない。
 
落ちたなパッキャオ…。ウガスに3-0の判定負け。仮に現役続行するなら王座を狙うよりも“生き様を見せる”方向にシフトしていけば
 
それでも内容的にも流れ的にもコンセイサン勝利は動かない気がしたのだが。
 
再視聴してみればいいんだろうけど、それもめんどくさいのよね……。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 


 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!