バルデスの左フック一閃。ベルチェルトに失神KO勝利。左リードとの緩急が絶妙でこれまでとは別人レベル。相当研究してきたんだろうな【結果・感想】

バルデスの左フック一閃。ベルチェルトに失神KO勝利。左リードとの緩急が絶妙でこれまでとは別人レベル。相当研究してきたんだろうな【結果・感想】

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2021年2月20日(日本時間21日)、米・ネバダ州ラスベガスのMGMグランド・カンファレンス・センターで行われたWBC世界S・フェザー級タイトルマッチ。同級王者ミゲール・ベルチェルトがランキング1位オスカル・バルデスと対戦し、10R2分59秒でバルデスがKO勝利。戦前の不利予想を覆して見事2階級制覇を達成した一戦である。
 
 
注目のメキシカン対決となった今回。
序盤からガードを高く上げ、鋭い左リードで距離を取るバルデスに対し、王者ベルチェルトも得意の左リードで対抗。だがバルデスの左で再三顔面を揺らされなかなか自分の距離に入れない。
 
そのままバルデスがペースを掴んで迎えた中盤4R。
バルデスのいきなりの左フックがベルチェルトの側頭部を捉え、ベルチェルトが豪快にたたらを踏む。それを見たバルデスが一気にペースアップし、近場で両フックの連打を浴びせてダウンを奪取。
 
それ以降、ベルチェルトも逆転を狙って腕を振るも、9、10Rと徐々に失速。足が止まった10R終盤、バルデスの左フックをカウンターで被弾し崩れ落ちるようにダウンを喫する。
レフェリーもカウントを数えず、すぐさま試合をストップしてバルデスの勝利を告げている。
 
選手としてのブローナーには何の期待もないけど、ブローナーという生き物には少し興味がある。約2年ぶりの復帰戦でサンティアゴに勝利
 

オスカル・バルデスすごかった。ベルチェルト有利は動かないと思っていたが…

以前から待望されていたミゲール・ベルチェルトとオスカル・バルデスによるWBC世界S・フェザー級タイトルマッチ。一時は2020年12月開催で内定していたものの、ベルチェルトが新型コロナウイルスに感染したため延期に。この日にリスケされた経緯がある。
 
なお僕はと言うと、試合の存在自体を忘れてウッキウキでラグビーを現地観戦していたww
 
TJ・ペレナラカッチョよすぎて気絶しそうw マピンピさんはこのチームには合わないとあれほど…。NTTドコモvsキヤノン現地観戦感想
 
帰宅後に「ああ、そういえば今日だったんか」と思い出し、後追いで視聴を終えるとともにバルデス勝利にめちゃくちゃ驚かされたという。
 
 
うん。
すごかったっすねオスカル・バルデス。
 
正直、十中八九ベルチェルトの勝利は動かないと思っていたが。
ここまで一方的に叩きのめした上でのKO勝利とは。
 
多くのボクシングファンから約半日遅れでテンションが上がり倒した次第である。
 

バルデスの成長っぷりが別人レベル。もともとは左右への動きとフックのマン振りが持ち味の選手だったが…

まず今回の試合、オスカル・バルデスが別人レベルで成長していたのが大きかった気がする。
 
この選手はもともと左右フックのマン振りが持ち味で、どちらかと言えば左リードは少ない。
 
ガードを上げたまま絶えず左右に動き、相手の踏み込みに合わせて同時打ちでフックを浴びせる。
 
思い切りのいいスイングは迫力満点だが、その分やや強弱に乏しく打ち終わりの隙も多い。
ここまで無敗をキープしているものの、たびたびダウンを食うなど盤石とは言い難い試合も目立つ。
 
またS・フェザー級としては身体も小さくフィジカル面も若干心もとない。
 
これだとベルチェルト相手では相当苦労するのではないか。
身体を投げ出すようにして打ち込むベルチェルトの連打に巻き込まれ、防戦一方になる流れが濃厚に思える。
 
得意のフックがカウンターでヒットする可能性もあるが、どちらかと言えばベルチェルトが試合を支配する確率が高い?
 
仮にバルデスが勝つとすれば左フックをぶち当てての後半KO。だが、普通に考えればベルチェルトの判定勝利が無難じゃないの?
 
などと思っていたのだが……。
 
ベルチェルトにオスカル・バルデスが勝つには? 後半KO狙いしかないと思うけど、ベレスとはリーチが違うからなぁ。左フック当たるかなぁ
 
マジで左フックでKOしてしまうとは。
バルデス自身の成長はもちろん、陣営が山ほどベルチェルトを研究してきたことがよくわかる試合運びだった。
 

力感のない左リードが鮮やか過ぎた。あの左でベルチェルトの連打の発動を抑え込んだ

この試合でのバルデスの勝因は、何と言っても左リードの精度(だと思う)。
 
中間距離よりやや離れた位置で対峙し、鋭い左リードでベルチェルトの顔面を何度も揺らす。
申し上げたようにオスカル・バルデスの持ち味は躊躇のない左右フックのフルスイングだが、今回に関してはむしろ力みのない左リードが中心。
 
この左によってベルチェルトは早々に出足を挫かれ、なかなか自分の距離に入ることができない。
ベルチェルトが得意の連打を発動するにはあと半歩ほど近づく必要があるのだが、バルデスの左リードをかいくぐれずそのつど前進を阻まれてしまう。
 
基本的に「バルデス=フック」のイメージが強く、恐らくベルチェルト陣営もあれだけスムーズな左を多用してきたのは誤算だったのではないか。
「容易に連打の距離に入れるはず」という目論見がいきなり崩れたことで、そこからのプランを一気に狂わされた印象である。
 
 
で、ベルチェルトに左リードを強く意識させたまま迎えた中盤4R。
 
同じ距離、同じタイミングで今度は外旋回の左フックを打ち込むバルデス。
それまでのラウンドでまっすぐの軌道を意識させられていたベルチェルトはこのパンチに反応できず、側頭部にモロに被弾してしまう。
それも死角からの一撃だったせいで盛大に下半身を揺らされるという。
 
結果的にベルチェルトは4Rのダメージを最後まで引きずってしまったわけだが、改めて振り返ってもあの緩急はお見事だったと思う。
 

前回のジェイソン・ベレス戦からスタイルチェンジを図ってたんだなぁ。“普通にやれば勝てる”と考えていたベルチェルトとは大違い

と同時に、バルデスのあまりの豹変っぷりに驚いたので、前回のジェイソン・ベレス戦を観直してみたところ……。
 
ああ、なるほど。
冷静に振り返ると、確かにベルチェルト戦に向けていろいろ試している最中だったっぽい。
 
左右への動きや力み返ったフックは抑え気味に、むしろスムーズな左リードをまっすぐ出すことを意識していることがわかる。
バックステップと左リードを併用してベレスを懐に入れないようにうまく距離を取り、極力離れた位置でヒットを重ねる試合運び。
 
ジェイソン・ベレスは背格好やファイトスタイルがベルチェルトと少し似ており、これは「仮想ベルチェルトなのでは?」と申し上げたが、マジでそんな感じ。
 
オスカル・バルデスvsジェイソン・ベレス感想。これって仮想ベルチェルトか? ベルチェルトに勝つにはこれしかないって試合だったな
 
ただ、この試合のバルデスはスイングに力みも残っている上に左リード自体も少ない。階級アップ直後で適応しきれていなかったのもあると思うが、まだまだ完成には至っていない印象が強い。
 
だが、本番のベルチェルト戦ではその部分が一気に洗練された。
もともとバルデスはマン振りのフックの合間に突然ノーモーションのストレートがスッと出ることでうまく緩急をつけていた選手。
 
ところが今回の試合ではその割合がまったく逆だった(気がする)。
大振りのフックの残像を残したまま力感のない左をスパスパと打ち込んでベルチェルトの度肝を抜き、相手がその軌道に慣れたタイミングで今度は外旋回のフックをドカン。
 
また7、8Rあたりに強引に距離を詰めてきたベルチェルトに対し、頭を下げてコーナーから脱出するシーンが何度も見られたが、ああいう動きもすべて練習の成果だったのだろうと。
 
 
階級への適応とファイトスタイルのチェンジを並行して行い、大一番に向けてベルチェルトを山ほど研究。自らを対ベルチェルト用に最適化させる。
 
コロナ開け直後のエレザール・バレンズエラ戦でクッソ微妙な試合を披露し、恐らく“普通にやれば得意の連打が機能して勝てる”と考えていただろうベルチェルトとは試合に向けた準備の分厚さが大違いである。
 
ベルチェルトvsバレンズエラ感想。ベルチェルト遅過ぎる。ボクシングはそれでいいのかビバ・メヒコ。調整不足を見せるための調整試合
 

あらゆる面でバルデスがベルチェルトを圧倒した。すごい試合だったね

逆にベルチェルトとしては、ダメージを抱える前に7、8Rのラッシュが出せていればという感じか。
あのラウンドのベルチェルトは懸命に腕を振っていたものの、ダメージのせいで足が動かず最後までバルデスを捕まえることができなかった。
 
まあ、実際には序盤からあれだけ攻略されてしまえばそこからの切り替えはかなり難しかったのかもしれないが。
 
 
申し上げたように僕はバルデスが勝つならカウンターの左フック1発でのKOしかない。ただ、それをやるのは相当難しいと思っていた。それこそ一か八かのレベルと言えるほどに。
 
だが当のバルデスは左フックをぶち当てるまでのプロセスをしっかりと準備し、見事に実行してみせた。
 
研究、準備、成長その他。あらゆる面で今回はオスカル・バルデスがミゲール・ベルチェルトを圧倒した試合だったなぁと。
 
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