映画「Slam(スラム)」でポエトリー・リーディングの雨に降られろ。ソウル・ウィリアムズの魂の叫びがメロウでトラディショナル【感想】
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「Slam(スラム)」(1998年)
低所得者住宅「ドッジ・シティ」で暮らすレイは貧困から抜け出すため、ヒップホップのレーベルを立ち上げることを夢見ていた。
そんなある日、少量の薬物所持で逮捕され刑務所へ送られてしまう。
刑務所内での派閥抗争に加わることを拒否したレイは、激高した囚人グループに包囲されてしまう。絶体絶命の状況に追い込まれたレイは、突然機関銃のごとく詩を叫ぶ。
マグマのように沸き上がるコトバの数々で周囲を圧倒し、絶体絶命のピンチを切り抜けたレイ。
同時に、レイの発したコトバに影響され、刑務所で無駄な小競り合いを繰り返していた若者たちの意識が少しずつ変わっていく。
そして、刑務所の更正プログラムで講師をしていた女性ローレンと出会い、ポエトリー・リーディングの存在を知ることになる。
仮釈放後、ローレンに促されたレイは生まれて初めて聴衆の前で自作の詩を披露する……。
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「コトバの力」で人を動かす。世界を動かす
「世界を変える、言葉がある」のキャッチフレーズの通り、「心を震わせるコトバ」が大きなテーマとなっている作品である。
壮大な社会的矛盾に苦しめられながら、自己のアイデンティティを表現する場を求めて足掻く若者の姿はファンタジーであり、リアルでもある。発せられるコトバの数々に圧倒され、逃れようもない現実を直視させられる。
自分のコトバが、ほんの少し世界を変えた。
矛盾だらけの世界に飲み込まれる自分がいた。
「何年かかっても待っている」と言ってくれる女性がいた。
そして、コトバの力が若者自身を変えた。
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ポエトリー・リーディングを題材にした映画「Slam(スラム)」だが、これを音楽映画と呼んでいいかどうかは定かではない。
スラム生まれの若者が貧困から抜け出す方法は「音楽」か「スポーツ」のみ。その状況の中、主人公のレイは音楽で成り上がるために詩を書き続ける。
まあ、要はスラム街で足掻く若者の姿を描いた映画だ。
「オススメのHIPHOP映画」として紹介されることもあるようだが、それが正しいかは不明である。
「ポエトリー・リーディング」と言えば日本では故不可思議/wonderboyや狐火などが有名だが、この映画内で行われるそれはより自由度の高いものとなっている。
韻を踏んで言葉を紡いでいくスタイルに違いはないが、音楽に乗せているわけでもなく一定のリズムがあるわけでもない。まさしくフリーな詩のリーディングである。
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映画のジャケットを読むと「ラップが進化した新しい言葉のパフォーマンス」と書いてある。恐らく原点回帰の意味合いが強いのではないかと思うのだが、どうだろうか。
いたるところでラップが流れる映画ではあるものの、決してそれを中心に据えているわけではない。そういう意味で、これを「音楽映画」と呼べるかどうかは何とも言えないところである。
ポエトリー・リーディングのパフォーマンスをぜひ観てください。そしてソウル・ウィリアムズのリリックに圧倒されてください
主演はポエトリー・リーディングの第一人者であるソウル・ウィリアムズ。そして恋人役のローレンを演じるのはソーニャ・ソーン。
有名な俳優が出ているわけでもなく、ストーリーに大きな起伏があるわけでもない。言ってみれば「コトバの持つ力」のみで視聴者を釘付けにするパワフルな作品である。
特にストーリー前半、囚人に囲まれたレイが機関銃のようにコトバを発して周囲を圧倒するシーンはこの映画のハイライトの一つである。
僕はあのシーンを観て「パブリック・エネミー・No.1(社会の敵ナンバー1)」という言葉を初めて知った。
「俺には今しかないんだ」
「本当は優しいのに、みんなはあなたたちを『モンスター』と呼ぶ」
「私は……奴隷だった……!!」
ドキッとするフレーズの数々も含め、全編通して心を揺さぶられる映画。HIPHOP風に言うのであれば、いわゆる「リアル」というヤツである。
とまあ散々語ってきたが、正直そんなことはどうでもいい。
この映画の最大の見どころは、何と言ってもソウル・ウィリアムズのポエトリー・リーディングである。
具体的には上述した囚人を黙らせる前半のシーンと、聴衆の前で初めて自作の詩を披露するラスト。つまり、ソウル・ウィリアムズのポエトリー・リーディングこそが、この映画そのものである。
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単語を聞きながら字幕で意味を拾い、韻の流れを追う。
いろいろな作業を同時進行で行う集中力が必要になるが、実際それだけの価値はある。
もちろん英語を理解できるに越したことはないが、わからなくても大した問題ではない。
切れ味鋭い韻、抑揚、言葉の流れ。
そのすべてが心に深く突き刺さること請け合いである。
「スラム街に住む若者が抱える問題」や「リアルな現実」というテーマは非常に興味深い。
だが、そんなことよりも要はソウル・ウィリアムズである。ぜひともこの人の圧倒的なパフォーマンスを観てほしい。ホントにすげえから。
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「リアル」ってよく聞くけど、何なの? HIPHOPは好きだけど
まあ「黒人社会が~」や「貧困層が~」とは言っても、しょせんは遠い世界の物語である。
僕自身、信号待ちでいきなり発砲されるような場所に行ったこともないし、人生観が変わるような差別を受けたこともない。
いくら「リアル」と言われても、結局は映画の中だけの話である。
そんな現実感のないものをわかった風に語るより、普通に「ソウル・ウィリアムズがすごいよ」と言う方がよっぽど健全ではないかと思っている。
というか、そもそも「リアル」って何よ。
僕もHIPHOPは好きでよく聴くのだが、彼らの言う「リアル」というのがいまいち理解できていない。
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調べてみると、どうやら「嘘偽りなく自分を表現すること」という意味合いが強いようだが、それでもはっきりとした定義があるわけではない。
しかも、リアルなHIPHOPというのは、
・ポップに走ってはいけない
・商業主義に媚びる歌詞は邪道
・アングラでなんぼ
であるべき(日本だけ?)らしく、オリコンチャートにランクインするような曲は、ストロングスタイルを標榜するラッパーからdisの標的にされるとのことである。
ちなみに僕がHIPHOPを一番聴いていた時期はNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの中期から後期で、確か2000年の半ば~辺りだった記憶がある。まあNITROというよりS-WORDが好きだったのだが。
とはいえ、特別ストロングスタイルへのこだわりもなかったので、普通にKICK THE CAN CREWやSOUL’d OUTも並行して聴いていた。
はい、ウェカピポ言ってましたよ?
だってめっちゃいいじゃんアレww
そして、そのせいで「リアル」を標榜する自称「リアルヒップホッパー」にバカにされるのである。
「SOUL’d OUTなんてまがい物のクズ曲聴いてどうするんだよ。あんなのマジねえし!!」と「悪そうなヤツはだいたい友だち」面で言われるわけである。
めんどくせえなぁ。
だから何なんだよ「リアル」って。
どうせ「狂気の桜」辺りのK DUB SHINEに影響されたんだろ?
自称「リアルヒップホッパー」にブチ切れた話。だって絶対そいつ「リアル」じゃないもん
実は昔、一度だけ自称「リアルヒップホッパー」にブチ切れたことがある。
やたら「リアル」を連呼する割に「キモいヤツはこっちくんな」「ヘタレは失せろ」「うぜえ」といちいち他人を見下すので、さすがに堪忍袋の緒が切れてしまったのだ。
「リアルリアルうるせえよ」
「HIPHOPってスラムの人間が成り上がるための手段だったり、自分を鼓舞するところから発生してるものじゃないの?」
「ってか、むしろ貧困層の人間が権力に立ち向かうために団結する意味合いも持ってるんじゃないの?」
「少なくとも自分が気に入らない人間を貶すことじゃないってのは確かでしょ」
「お前がやってんのはリアルでも何でもない」
「そもそも、自分のスタイルを自由に表現するのがHIPHOPの本筋だろ? だったら好きな曲を聴くのも自由じゃんか」
「お前のやってるのってHIPHOPじゃなくて、単なるリズミカルな悪口だよ」
コイツとはその場で大ゲンカになり、以後まったく口を聞くことなく疎遠になってしまったことは言うまでもない。
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メロウでトラディショナルな癒しが止まらないYo!!
これは余談だが、僕はゆうべからこの記事にどハマリしている↓
「タレントMEGUMIさん、金沢に「cafe 多聞」 地元食材使ったパンケーキ主力に」
タレントのMEGUMI女史が金沢にカフェをオープンしたとのこと。
まあ、それ自体はどうでもいいのだが、MEGUMI女史のコメントが何とも香ばしくてイカすのである。
「金沢のメロウな雰囲気や日本のトラディショナルな部分が残る街の様子に癒やされていた」(記事引用)
なるほどww
メロウでトラディショナルな金沢にやられちゃったわけですね。
そりゃあカフェオープンしますわ。
確かに金沢はそういう街ですからね。
MEGUMI女史のようなメロウでトラディショナルな方にはピッタリだと思いますよ? 行ったことないけど。
「刃牙(バキ)シリーズベストバウトランキング。名勝負7選第3位と2位を発表。最強を決める男たちの狂想曲ww」
いやホントにおもしろい。
昨夜からもう30回くらい読んでます。
「メロウでトラディショナル」ってめっちゃ言いたいww
でも言う場面がないww
「観終わった後に何も残らない「遊びの時間は終わらない」。これを防災の日に観る映画に認定したい」
写真が和服で直立ってのもいいですよね。
横文字リリックとのギャップですよね。
ドラゴンアッシュ嫁サイコーっすww
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