シャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス。バルデスじゃシャクールに勝てへんよ。でも、シャクールも万能じゃなさそう。チャンスがあるとすれば尾川堅一一択【結果・感想】

シャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス。バルデスじゃシャクールに勝てへんよ。でも、シャクールも万能じゃなさそう。チャンスがあるとすれば尾川堅一一択【結果・感想】

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2022年4月30日(日本時間5月1日)、米・ネバダ州で行われた世界S・フェザー級王座統一戦。WBO同級王者シャクール・スティーブンソンvsWBC同級王者オスカル・バルデスの一戦は3-0(118-109、118-109、117-110)の判定でシャクール・スティーブンソンが勝利。無敗対決を制し2団体統一に成功した試合である。
 
 
4月中旬からスタートした怒涛のWOWOWエキサイトマッチ生中継ラッシュ。
DAZNやFITE.tv、Amazonプライムといった配信サービスに対抗してか、おととし、去年あたりから同番組も生中継回を一気に増やしている。
また番組公式Twitter開設やYouTubeチャンネルでの試合後雑談、本編とSNSの連動企画、などなど。視聴者の関心をつなぎとめるのに一生懸命である。
 
と言いつつ僕はこの生中継ラッシュにいまいちテンションが上がっていない。
 
・エロール・スペンスJr.vsヨルデニス・ウガス(4月17日)
→忙しくて手が回らん
 
・タイソン・フューリーvsディリアン・ホワイト(4月24日)
→ホワイトがフューリーに勝てるわけねえだろ
 
・シャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス(5月1日)
→バルデスがシャクールに勝てるわけねえだろ
 
・ジャーメル・チャーロvsブライアン・カスターニョ(5月15日)
→ コイツらは一回でお腹いっぱいですよ
 
・ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ(5月29日)
→これは楽しみ
 
正直、5月末のデービスvsロメロ戦までワクワクするものがない。
特に先週のタイソン・フューリーvsディリアン・ホワイト戦、今週のシャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス戦はたとえ100回やっても結果は変わらんだろうと。
 
てか、ま~たジョー小泉出演回なの?
それも単独で!?
 
バカなの?
舐めてんの?
 
コイツがいると音消さなきゃいけないからうっとーしいんだよ笑
ここ最近、まともにエキサイトマッチを視聴した記憶がねえんだけど、何とかせえよ(何がだよww)。
 
今のところ来週のサウル・“カネロ”・アルバレスvsディミトリー・ビボル戦だけだなぁ。僕の琴線に触れるのは。
 
吉野修一郎とシャクール・スティーブンソンの挑戦者決定戦? 中谷正義の次はシャクールかよ…。吉野修一郎「僕の世界戦を見たくないですか」←見たいに決まってんだろ笑
 
そんな感じで、ほぼ惰性で視聴をスタートした次第である。
 

まあそうなるよな。でも、バルデスも調子自体はよかったと思うぞ

試合の感想だが、展開的には「まあ、そうだよなぁ」と。
 
申し上げたようにオスカル・バルデスがシャクール・スティーブンソンに勝つのはちょっと難しい。
多くの方(僕を含めた)の予想通り? シャクールがアウトボクシングでさばききった試合である。
 
とは言え、バルデスのコンディションはそれなりによかったと思う。
前回のロブソン・コンセイサン戦では「おや?」という動きが目についたが、今回は別。
 
オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン感想。コンセイサンの作戦とピーキングの勝利()バルデスはベルチェルト戦をうまく参考にされたかな
 
それこそ2021年2月のミゲール・ベルチェルト戦にも匹敵する。あの試合は間違いなくバルデスのベストバウトの一つだが、それと同じくらいいい動きをしていた(気がする)。
 

まったく左が出ないバルデス。シャクールに右で好き放題引っ叩かれ、無理やり近づけば左を突き上げられる

ただ、まったくと言っていいほど左が出なかったのが……。
 
もともとオスカル・バルデスという選手は左右に動きながらのフックのぶん回しが得意で、左リードはあまり出さないスタイル。
 
だがカネロチーム入り以降は左リードと前後の動きの頻度が増し、上述のベルチェルト戦ではこの左がめちゃくちゃ機能した。
 
バルデスの左フック一閃。ベルチェルトに失神KO勝利。左リードとの緩急が絶妙でこれまでとは別人レベル。相当研究してきたんだろうな
 
打ち終わりを狙った左リードでスペースを確保しつつ、右フックを打ち込むタイミングを作る。その最中にスッと力の抜けた右を伸ばす。この右がいい感じのアクセントになっていたというか、フックのぶん回しとの強弱で相手を幻惑していた印象。
 
 
ところが今回はベルチェルト戦で攻撃の起点となった左リードがほとんど出ない。
基本はガードを上げてにじり寄るだけ。近づくタイミングにもいまいち工夫は見られず。
 
おかげでシャクールに前手の右で頭を抑えられ、ガードの間から好き放題に打たれまくる。
その割に前後の動きばかりが旺盛なせいで余計に狙われやすくなる悪循環。
で、頭を下げて強引に近づくと今度は左が下から飛んでくるという。
 
恐らくvsサウスポーに慣れていないのだと思うが、カネロチーム入りして一段レベルアップした? プレスをまったく活かせなかったのが痛かった。
 
いきなりの右が思った以上に機能していた(本人も途中から気づいたっぽい)ことを考えると、前手の差し合いでもう少しやれればもしかしたら……といったところか。
 

シャクールにとってはイージーゲームだったかな。本来は5Rに倒さなきゃいけない試合だったけど

一方のシャクール・スティーブンソンだが、こちらはさすがでしたとしか……。
 
相変わらずの距離感とタイミングのよさ、サイズ差を含めた自身の長所を全面に出したアウトボクシング。
試合がおもしろいとはまったく思わないが、とにかく“負けない”選手である。
 
シャクール・スティーブンソンvs幸薄コンセイサン。体重超過がなくても大差なかったんちゃう?(同意してくれとは言わん)。3Rにはだいたい見切られてたな
 
本来であればこの試合も5Rに倒さなきゃダメ。
序盤でバルデスの動きはほぼ掌握していたし、あとは派手にフィニッシュして会場を沸かせれば完璧だったのだが。
 
まあ、そこがメイウェザー二世(今度こそ)と言われる所以なのかもしれませんが。
 
 
なお今回は本人的にはかなりのイージーゲームだったと想像する。
 
前手の右でガードの間から好き放題に引っ叩いて安全圏をキープ。
バルデスが無理やり近づいてくれば左のカウンターで迎撃。
思いっきり飛び込んできた際は右側にサッと飛びのいて距離をリセットする。
 
基本的にやっていたのはこれだけである。
 
バルデス陣営としてはどうにかして近場での打ち合いに巻き込みたかったのだと思うが、さすがに一直線ににじり寄るだけでは……。
 
バルデスが元気なうちは右リードを中心に射程外に釘付けにし、勢いが落ちた瞬間に連打を浴びせて疲弊させる。
 
どこかでシャクールが終わらせるべき試合だとは言ったが、勝敗のみを考えるならアレが正解だったのかもしれない(全然おもしろくないけど)。
 
コーナーに帰る際に毎回ニヤついてたし、相手をいびるのが楽しくて仕方なかったんだろうな笑
 
デビン・ヘイニー案外危なそう? ジョージ・カンボソスのカウンターに回避が間に合うか、ジャブでどれだけアドバンテージを取れるかだけど
 

王座統一とともに全勝をキープしたシャクール。でも、そこまでの万能感はなかった気が…

これで戦績を18戦全勝9KOとしたシャクール・スティーブンソン。
同じトップランク所属のオスカル・バルデスの王座を吸収し、S・フェザー級でもやることがなくなりつつあるわけだが……。
 
それでも今回はちょっと攻略法が見えた(何様?)というか、そこまで万能なわけではなさそう? と思ったりもした。
 
最初に「タイソン・フューリーvsディリアン・ホワイト戦とシャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス戦は100回やっても結果は変わらん」と申し上げたが、シャクールvsバルデス戦に関しては手も足も出ないほどではない。やりようによっては奇跡が起きる可能性もあるのかな? と。
 
タイソン・フューリーにディリアン・ホワイトが勝てるわけねえだろ。誰が興味あんねんこの試合→き、9万人!? 実況の絶叫が聞こえて気づいたらホワイトが大の字で寝てた
 
一番の要因としては、バルデスの右がそこそこ機能していたから。
 
シャクールの右で射程外に釘付けにされ、最後まで自分の距離で対峙させてもらえなかったバルデスだが、その中でもいきなりの右だけはぼちぼち当たっていた。
 
申し上げたようにバルデスの右はフックのぶん回しの合間に突然力感なくスッと出るのが特徴。この右がサイズ以上に伸びるというか、ほとんど溜めがない状態からスパッと出るせいで非常に反応しずらい。
今回もクリーンヒットとまではいかないまでも、再三シャクールの顔面を揺らしていたのが印象的だった。
 
 
バルデス陣営の作戦は近場での打ち合いだったと想像するが、正直それはあまり有効ではなかったと思う。
 
シャクール自身、右で何度もバルデスの頭を抑えていたことを考えるとそこまで接近戦が得意なわけではなさそう。
 
ただ、サイズ差、リーチ差があるので距離を詰められても上からのしかかってしまえばどうにでもなる。
バルデスが近場でガチャガチャする前にさっさとクリンチで動きを止めればいいという安心感があったのだろうと。
 

この人に勝つには1発で仕留めるしかなさそう。サウスポーが得意な槍の一手の使い手と言えば…

なので、シャクールをどうにかするにはやはり1発で仕留めるしかなさそう。
 
バルデスの右に対する反応を見るに、この選手のバックギアはどうやらメイウェザーほどではない。
サイドへの動きに長けていると言っても、それを超える踏み込みスピードがあれば十分追いつける。
 
・vsサウスポーが得意
・シャクールの反応を凌駕する踏み込みスピード
・身体能力系のクネクネディフェンスに惑わされない思い切りのよさ
・バルデスの右を超える槍の一手
 
要するに尾川堅一である。
 
現状、周辺階級でシャクール・スティーブンソンに勝てそうな選手は見当たらないが、唯一可能性があるとすれば尾川堅一。
あの日本拳法仕込みの右が通用すればマジで勝機を見出せる? かも?
 
以前にもシャクールに勝てるとすればかろうじて尾川堅一じゃないの? と申し上げたが、この試合を観てさらにそう思った次第である。


でも、尾川堅一は若干フィニッシュ力が足りないのがね……。
前回のアジンガ・フジレ戦でも2度のダウンがなければかなり際どかったし。
 
尾川堅一vsアジンガ・フジレ。2021年ベストバウト(僕の中で)出たか? 全盛期の動き、3度のダウンを奪っての判定勝利にクッソ感動しました
 
などと言っているが、現実的にマッチルーム&DAZNの尾川堅一とトップランク所属のシャクールが交わる確率は低い。
 
そもそもジョー・コーディナ、シャフカッツ・ラヒモフと尾川堅一が超えなくてはならない壁が……。
階級内でシャクールに勝てる可能性がある唯一の選手であるとともに、その前にコケるパターンも十分あるのがしんどいですよね。
 
 
いや、頼むぞお前マジで。


消音で観てたから中継で何を喋ってたのかはまったく知らんけど笑
 
尾川堅一がジョー・コーディナの狙いすました右で撃沈。距離の遠さとタイミングに慣れる前にもらったな。フラグになるから勝敗予想をしなかったのに笑
 
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