尾川堅一vsアジンガ・フジレ。2021年ベストバウト(僕の中で)出たか? 全盛期の動き、3度のダウンを奪っての判定勝利にクッソ感動しました【結果・感想】

尾川堅一vsアジンガ・フジレ。2021年ベストバウト(僕の中で)出たか? 全盛期の動き、3度のダウンを奪っての判定勝利にクッソ感動しました【結果・感想】

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2021年11月27日(日本時間28日)、米・ニューヨーク州で行われたIBF世界S・フェザー級王座決定戦。同級3位尾川堅一と2位アジンガ・フジレが対戦し、3-0(115-110、115-110、114-111)の判定で尾川が勝利。2018年12月の伊藤雅雪以来、約3年ぶりの日本人選手による海外での戴冠成功となった一戦である。
 
 
先日も申し上げたように僕はここ最近意味不明に忙しく、ボクシング観戦どころかスポーツ観戦自体あまりできていない。
 
尾川堅一vsジョー・コーディナ、中谷正義vsハルモニート・デラ・トーレ、亀田和毅vsウィリアム・エンカーナシオン。日本人選手全員勝つでしょ。なぜなら僕がそう決めたから
 
東京ヤクルトスワローズが優勝した日本シリーズも1秒も観ていないし、“オータムネーションシリーズ”と称して海外を転戦していたラグビー日本代表の試合も追いきれていない。
 
この日もテオフィモ・ロペスとジョージ・カンボソスによるライト級3団体統一戦やS・バンタム級の2団体統一戦、スティーブン・フルトンvsブランドン・フィゲロア戦が行われたが、当然のようにリアルタイム視聴はできず。
もっとも興味があった尾川堅一vsアジンガ・フジレ戦だけを後追いで視聴した次第である。
 
テオフィモ・ロペス陥落。カンボソスの研究と覚悟に無策のロペス。あれだけ顔面丸出しで攻めればw スペックの高さは文句なしだから復活を期待するよ
 
というわけで今回はこの尾川vsフジレ戦の感想を適当に言っていくことにする。
 
なお、結果をわかった上での視聴だったので少々新鮮味が足りないことを付け加えておく。
 

アジンガ・フジレは難敵っぽい? 最初はあまり印象に残らなかったけど

まず対戦相手のアジンガ・フジレについてだが、僕がこの選手を最初に観たのは2019年9月のシャフカッツ・ラヒモフ戦。8RTKOで敗れた試合だが、正直その際はあまり印象に残ることはなく。
あえて言うならラヒモフの圧力に押されてタジタジになるシーンが目に付いたくらい(ラヒモフを中心に眺めていたのもある)。
 
 
だが、尾川堅一との対戦が発表されたことを受けて改めて過去の試合を漁ってみると、いや、ちょっと待てよと。言うほど簡単な相手でもなさそうだぞと。
 
若干腕を下げたL字気味の構えと抜群の見切り、左右へのフットワークが持ち味のサウスポーで、いわゆる典型的な“やりにくい人”。
S・バンタム級あたりから一気に数が増える傾向があり、同時に日本人選手が苦手とするタイプでもある。11度の防衛を果たした元WBA王者内山高志も似たようなタイプのジェスレル・コラレスにKO負けを喫している。
 
内山高志は僕が心底カッチョいいと思った選手。中間距離でかなうヤツは誰もいないんじゃない? ウォータース戦は実現してほしかったよね
 
しかも戦績を見ると15勝のうちKO勝利が9。これ系の選手にしては倒し屋の部類に入る(コラレスは25勝10KO)。
 
試合内容もそんな感じで、カウンターの当て勘がよく左右どちらのパンチも殺傷力が高い。
 
遠間からのカウンターをチラつかせて相手の出足を鈍らせ、タイミングを掴んだところでスパっと1発で仕留めるのが必勝パターンっぽい。
 
逆にラヒモフの圧力にタジタジにされていたことを考えると、この選手を攻略するにはカウンターを打つスペースを与えないことが大事になる? のかな?
 

2017年までの尾川堅一なら勝てると思ったけど…。復帰後のパフォーマンスにピンとこない。僕の勝敗予想は「わからない」

一方の尾川堅一だが、こちらは2019年に復帰して以降いまいちピンときていない。
 
2017年12月のテビン・ファーマー戦までの鋭い踏み込み、出入りが影を潜め、そのせいで必殺の右がなかなか機能しない。直近の西谷和宏戦では3Rにダウンを奪われたりと、「これはちょっと鈍ったか?」と思わせるパフォーマンスが続いていた。
 
踏み込みのスピードと“クラッシュライト”と呼ばれる右、近場での思い切りのよさは尾川堅一の一番の持ち味であり、これがvsサウスポーにめちゃくちゃ機能する。中でもテビン・ファーマーのような日本人選手が苦手とするクネクネしたカウンター使いを苦にしないのは大きい。
 
なので、2017年までの力を発揮できるなら今回のアジンガ・フジレにも負けることはないのではないか。
 
 
逆に復帰以降のパフォーマンスが現時点でのMAXだった場合はちょっと危ない。
それこそフジレの左右どちらかのカウンターでガクッと膝をつく可能性すらも……。
 
いや、でも直近の相手がオーソドックスだったことに加えて今回は念願の世界戦なので、相当気合いも入っているはず。しっかりとコンディションを戻してくる? かも?
 
とは言え、フジレのカウンターはかなり強烈。危険度だけならテビン・ファーマーよりもはるかに上だし、あの強打を警戒して出足が鈍ることもあり得る?
などなど。
 
あれこれと考えた結果、結論としては「わからない」
 
尾川堅一が本来の力を発揮すれば有利だとは思うが、そうでなかった場合は……。
堂々巡りを繰り返した末に“よくわからん”という答えに着地した次第である笑


ついでに言うと、この両者の対戦はたぶん頭が当たる。
内藤律樹との第1戦、2019年12月のジョー・ノイナイ戦もバッティングによる負傷判定で終わっているし、頭を下げて突っ込んでいくのは尾川堅一の常とう手段でもありvsサウスポーを得意とする理由でもある。
 
寺地拳四朗vs矢吹正道戦のゴタゴタのせいで日本のボクシングファン? はだいぶバッティングに神経質になっているが、できれば今回も負傷で終わることがないようにと願っていた。
 
尾川堅一がジョー・コーディナの狙いすました右で撃沈。距離の遠さとタイミングに慣れる前にもらったな。フラグになるから勝敗予想をしなかったのに笑
 

尾川堅一は復帰後一番の出来。初回の動きを観て調子のよさを確信したよ

当日の試合だが、はっきり言って素晴らしかった。
 
この試合の尾川堅一は間違いなく復帰後一番の出来。
「復帰後の尾川にはいまいちピンとこない」「ちょっと鈍ったか?」などと申し上げたが、まったくそんなことはなく。僕の勝手な意見をすべて覆してくれた。
 
1Rの序盤、前後の軽快なステップから鋭く踏み込み右ストレートをヒット。
コレを観た瞬間に今回の尾川はめちゃくちゃコンディションがいいと思ったし、フジレのカウンターを過剰に警戒することなく前に出る思い切りのよさも感じられた。
 
足を使ってサイドに逃げるフジレに対し、すぐさま方向転換して距離を詰める追い足も健在。クネクネしたサウスポーとの相性のよさも最初のラウンドで山ほど見せつけてくれた。
 
 
てか、尾川堅一はどれだけパンチをかわされても気にせず追撃できるところがいいですよね。
 
近場であれだけクネクネ動かれれば大抵は相手を見てしまうと思うが、この選手は当たるまでひたすら手を出し続けることが可能。あの躊躇のなさ、物怖じしないメンタルはガチで大舞台向きなのだろうと。
 
結果を知った状態での後追い視聴だったが、1Rの時点で勝利の確率は相当上がっていた気がする。
本人も自分の右が通用することを確信しただろうし、序盤にある程度やれたことで自信もついたはず。もしかしたらどこかの時点でダウンを奪えるイメージすら沸いていたのではないか。
 

覚悟の量が凄まじかった。カウンターを何発浴びても意に介さず。圧力と気迫でフジレを追い詰め、最後は戦意喪失気味に

いや、ちょっとすごかったですね尾川堅一。
申し上げたようにこの試合の尾川はテビン・ファーマーに勝利した頃の踏み込みスピード、出入りの鋭さが戻っていたし、フジレの強打に対する覚悟も相当なものだった(と思う)。
 
 
上述の通り、僕はフジレのカウンターで尾川がダウンを喫するパターン(タイミングによってはそのままKO負けすら)も十分あると思っていた。
実際フジレの強打はしっかり機能していたし、カウンターを被弾した尾川の動きが止まる瞬間もあった。どちらのパンチでも倒せるフジレの能力の高さは僕が漁った試合と同様のものだった。
 
ポイントも11Rの時点でジャッジ1人が104-104をつける大接戦。5Rのダウンがなければ負けもあり得た微妙な試合である。


だが、この試合の尾川はフジレのパンチを何発もらってもいっさい怯まず。
 
動き出しを狙うフジレのカウンターを真正面から再三被弾するも、意に介さずに前進を続けた。結構なクリーンヒットを許していたと思うが、動きが止まるのはほんの一瞬。最後まで圧力を落とすことなく攻め続けてみせた。
 
試合後のトレーナーのインタビューでも「最後のチャンス」という言葉が出てきたし、年齢的にもギリギリ。マジでそういう覚悟を持ってリングに上がっていたのだと想像する。


逆にフジレは終始尾川の気迫に押されっぱなしだったというか、5Rのダウンで気持ちが一気に後ろ向きになった感が強い。
 
最終回の2度目のダウンなどは典型的。
最初はなぜ倒れたのかがよくわからなかったのだが、恐らくあのまま立っていたらKO負けすると感じたのではないか。
 
いったん膝をついて休憩→ある程度回復させてから仕切り直しと考えたのだと思うが、あの局面でそれをやる理由は完全に「???」である。
 
シャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス。バルデスじゃシャクールに勝てへんよ。でも、シャクールも万能じゃなさそう。チャンスがあるとすれば尾川堅一一択
 
1度目のダウンを喫した時点でポイントアウトするのは難しくなったはずで、あそこからフジレが勝利するには逆転KOしかない。本来、わざとダウンして時間を消費する余裕などどこにもなかったのだが……。
 
要するに最終回にダウンを喫したところで気持ちが折れたというか、KOされないためのモードに切り替わったのだろうと。
 
 
マジな話、ラストチャンスの舞台で対戦相手を戦意喪失寸前まで追いつめた尾川堅一の圧力、覚悟の強さは文句のつけようがない。
 
今回の試合は僕の中での2021年ベストバウトとなりそうである。


 

今回の尾川は“持っていた”。分が悪そうなラヒモフから対戦相手がフジレに代わり、開催地もMSGに。モチベーション爆上がりの要素だらけ

あとはまあ、今回の尾川堅一が“持っていた”というのもありそう。
 
正直、当初対戦が予定されていたシャフカッツ・ラヒモフとは少々分が悪かったと思っている。
 
尾川堅一ピンチか? ラヒモフは強敵だし尾川はボクシングが上達しちゃったんだろな。あと、金髪は似合わんよw
 
同じサウスポーでもラヒモフは自分からゴリゴリ出てくるタイプで、ラフファイトも辞さないメンタルの持ち主。すべての面でジョー・ノイナイよりも一段上の選手と言える。
 
クネクネしたサウスポーを追いかけて右を当てるのが得意な尾川だが、ラヒモフの圧力、左右の動きにはだいぶ苦労させられるのではないか。
 
しかも復帰後の尾川堅一には若干の陰りが見られるのが……。
日本拳法をベースとしたいい意味での粗削り感、ボクシングっぽくない動きが持ち味だったはずが、左の多彩さが増した分、荒々しさが目減りしたというか。肝心の右の殺傷力が落ちてしまったような……。
 
 
ところがラヒモフの負傷によって相手がフジレに変更となり、開催地もドバイから米・ニューヨーク州のMSGに。
憧れ? の舞台での世界戦ということでモチベーションも爆上がりだったはずだし、対戦相手も比較的得意なタイプのアジンガ・フジレ。
 
テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソス戦のアンダーにこの試合をねじ込んだカイチョー本田の有能さはもちろんだが、尾川にとっても絶妙すぎる巡り合わせだったなと。
 
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