平岡アンディ、レイモンド・フォード、オースティン・ウィリアムズ他先週末振り返り。あと、何気に一番目を引いたのがノーマークのアイツ…
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先週末はロマゴンvsエストラーダの8年ぶりの再戦やシーサケット・ソー・ルンビサイの調整試合、日本ではS・ライト級の平岡アンディが登場するなど注目試合が多かったわけだが、残念ながらこれらの試合をリアルタイムでは視聴できず。
土曜日にバレーボール観戦、日曜日にハンドボール観戦と球技三昧だったおかげで、完全にボクシング観戦とは縁がない生活を送っていた。
FC東京vsサントリーサンバーズ現地観戦感想。バレーボールファンのマナーのよさにオドレエタ。町田市立総合体育館は大嫌いだけど
で、DAZNの見逃し配信や録画しておいた深夜放送の視聴をようやく終えたので、その感想を言っていこうと思う。
ちなみにバージル・オルティスJr.vsモーリス・フッカーのWBO世界インターナショナル・ウェルター級王座決定戦が間近に迫っていることをDAZNのラインナップを眺めていてようやく知った。
モーリス・フッカーがオルティスに勝つのは相当きついとは思うが、一応アップセットを期待しておく。
△レイモンド・フォードvsアーロン・ペレス△(判定1-1 ※76-76、77-75、74-78)
まずはレイモンド・フォードとアーロン・ペレスによるフェザー級8回戦。
レイモンド・フォードは先日ちょろっと申し上げたように今回の興行で僕が注目していた選手の1人。
オースティン・ウィリアムズとレイモンド・フォード。ウィリアムズはいいんじゃないですかね。ロマゴンvsエストラーダ興行に出場予定のプロスペクト
スピーディでセンス抜群のカウンター使いという、この辺の階級ではしょっちゅう目にする身体能力系の黒人サウスポーである。
ただ、過去の試合を観る限り、今のところそこまでピンとくるものはない。
確かにスピードはある上にボクシングセンスも抜群だが、全体的に手打ち気味で怖さは感じない。風貌が微妙に元S・フェザー級王者のハビエル・フォルトゥナに似ていることもあり、何となく調子乗りの不安定さを醸し出している気も……。
間違いなくいい選手だとは思うが、いまいちよくわからんなぁというのが率直な印象である。
試合を観た感想としては、相手のアーロン・ペレスがいい選手だったなと。
身長165cmと小兵ながらも突進力と連打の回転力には目を見張るものがあり、1発1発のパンチが異様に伸びるのも特徴的。
どことなくマイク・タイソンっぽさがあるというか、恐らく自分の特徴を知り尽くしている選手なのだろうと。
相手がどんなタイプであろうがやることは同じ。
怯まず前に出て懐に侵入し、全力で腕を振るだけ。
実際、レイモンド・フォードもアーロン・ペレスの圧力に面食らっていたし、序盤2Rは普通にペレスのラウンドだったように思う。
だが、そこでズルズルいかなかったフォードもよかった。
ペレスの圧力がやや落ちた3R以降、得意のカウンターを駆使して突進を寸断。
1発目の右に左を被せることでペレスを躊躇させ、ボディ、顔面にカウンターを次々合わせていく。
なるほど。ナチュラルにカウンターを合わせるこのセンスはさすがですね。
さらにロープを背負わされてもしっかりと反撃を見せるなど、接近戦もそこそこいけるっぽい。
確かに量産型身体能力系サウスポーとは少し違うのかもしれない。
正直、DAZN配信の初っ端の試合ということで軽い気持ちで観始めたのだが、思った以上の熱戦に驚いてしまったww
フェリックス・カラバロとかいう突然不相応なチャンスを得て強豪サウスポーの当て馬にされまくった男。倉庫でのフルタイムの仕事からわずか4週間でシャクールに挑んだけど…
○オースティン・ウィリアムズvsデニス・ダグリン×(判定3-0 ※79-73、79-73、77-75)
そしてもう1人、僕がこの興行で注目していた選手がミドル級のオースティン・ウィリアムズ。
相手のデニス・ダグリンは戦績こそ22勝7敗だが、過去にデビッド・ベナビデスやアンソニー・ディレルなどの強豪選手とも対戦している。
パッと見で肩周りがイカつく、オースティン・ウィリアムズと比べて身体も分厚い。
普段はS・ミドル級を主戦場としていることもあり、これは案外苦労するんじゃないか? と思って視聴をスタートしたところ……。
案の定、タフな試合だったなと。
オースティン・ウィリアムズはガードを高く上げてどっしりと構えるサウスポーで、印象としてはS・ウェルター級のエリクソン・ルビンやウェルター級のエロール・スペンスJr.と少し近い。
ただ、ミドル級では身体が大きい方ではなく、どちらかと言えばスピード重視のカウンター使いに傾倒した方がいい気もしている。
今回のような試合を観ると特に。
デニス・ダグリンは強フィジカルを活かした馬力以外にも、キワキワでのうまさも発揮する選手。
近場で肩を使って押し込んだり、腕を絡めたりとあの手この手でウィリアムズの自由を奪い、極力スペースのある位置での打ち合いを避ける。
1発効かされた直後のごまかしも巧みで回復も早い。
前傾姿勢で構えるウィリアムズが自分のパンチを機能させるためには腕を振るスペースを確保する必要があるのだが、ダグリンの試合巧者っぷりを前になかなかうまくいかない。
何度かぐらつかせるシーンを作ったものの、結局最後まで倒しきることはできず。
本人的にはかなりフラストレーションのたまる一戦だった気がする。
エロール・スペンスがうまかったなオイ。ダニー・ガルシアにカウンターのチャンスを最後まで与えず。なお、おもしろい試合ではない
繰り返しになるが、この選手はミドル級でトップを狙うならカウンターに傾倒したディフェンス重視のスタイルの方がいい気がする。
また、一瞬の見切りや右の多彩さを観ると、本質的にはカウンター使いなのかな? とも思う。
今の段階ではわかりませんが。
○平岡アンディvs木村文祐×(3R2分15秒TKO)
2021年3月11日に東京・後楽園ホールで行われた試合で、3月13日の深夜にフジテレビでO.A.されたもの。
何度か申し上げているように平岡アンディは僕が日本の中量級で中谷正義とともに(勝手に)期待している選手。
今回1年8ヶ月ぶりに日本のリングに上がるとのことで、どんなパフォーマンスを見せるかに注目していた次第である。
平岡アンディいいね~w エドワーズを4RTKOで沈めてラスベガス2連勝。今のところ変なしがらみがないのがいいよな。今後もこの調子でがんがってね
うん、まあ……。
今回はものが違ったというか、ちょっと実力差があり過ぎたなと。
開始直後、前傾姿勢+広めのスタンスで構える平岡アンディは前後に小さく動きながら徐々に距離を詰める。
対する木村文祐は左腕を前に出して平岡を牽制するものの、その位置では明らかにパンチが届かない。
しかもカウンターの脅威を感じているのか、なかなか手を出すことができず。両者コンタクトがないまま開始30秒で早くも木村がロープを背負わされてしまう。
マジな話、多くの方がこの時点で平岡アンディの勝ちを確信したのではないか。
体格差はもちろん、ここまで圧力を感じて手を出せないのはめちゃくちゃキツい。
平岡アンディ攻略には上述のアーロン・ペレスのようにカウンターに怯まず距離を詰めて腕を振るのが手っ取り早いと思うが、今回の木村にそれができる気配はまったくない。
試合はそのまま平岡アンディが一方的にプレッシャーをかけ続け、3Rに滅多打ちにしたところでレフェリーストップ。このまま続けても逆転の芽はないと判断された感が強い。
本人も言っていたように平岡アンディはなるべく早くタイトルマッチを実現してほしい。というより、国内ではタイトルマッチくらいしかやることが残っていない気がする。
それこそ日本王者の永田大士かOPBF王者の内藤リッキーに挑戦するとかね。
個人的な好みを言えば、平岡アンディvs永田大士が観たい。
平岡アンディはプレッシャーをかけられるとバンザイの格好でパッと離れる仕草が目につくのだが、馬力とうまさを兼ね備える永田大士のプレスをどう捌くか。
てか、前にも言ったけど平岡アンディは顔面がいいんだよな。
主人公感満載の顔面偏差値に加えてマイキー・ガルシアっぽさのある頬骨。
僕が平岡アンディジャスティスに期待する3つの理由。ロヘリオ・カサレスに2RTKO勝利で米国デビューを飾る
これで何かのタイトルを獲得して自信をつければ徐々に貫禄も加わるはず。
井上尚弥も実績を重ねるごとに“怖いもの知らず”とは別種の自信に満ちた顔つきになっていったし、そういうのって大事ですからね。
○シーサケット・ソー・ルンビサイvsクワンタイ・シッモーセン×(3R終了TKO)
何かアレっすね。
シーサケットさん、どうもパッとしないんですよね……。
謎の復帰を果たしたアムナット・ルエンロエンにかき回され、次戦で17勝17敗2分の相手を2RTKOに下したものの、今回はもともとL・フライ級のクワンタイ相手にクッソ微妙なパフォーマンス。
2019年4月にファン・フランシスコ・エストラーダに負けて以降、緩やかな下降線を描いている気がするのが……。
次回はロマゴンを下したエストラーダとの指名戦に進むとのことだが、いまいち興味がわかないというのが本音だったりする。
ロマゴンvsエストラーダ114-114かな。ロマゴンはやっぱりフライまでの選手。軽量級で重量級っぽい試合をするのが井上尚弥
○京口紘人vsアクセル・アラゴン・ベガ×(5R1分32秒負傷TKO)
京口紘人に関してはもともとあまり興味はなかったのだが、前回のタノンサック・シムシーの一件で完全に興味を失っている。
京口試合前日にコロナ陽性で全試合中止←センスのかけらも感じないぞ。タノンサックが気の毒過ぎるし…。つまりダナ・ホワイトは神
当然、今回のアメリカデビュー戦にも足の小指の先ほども興味がなく。
試合自体はベガの拳の負傷で唐突に終了したわけだが……。
何とも言えないけど、これは京口の劣勢だったんじゃないの?
5Rまでの採点でもリードされていたとのことで、普通に危ない試合だったでしょ。
と言っても、流して観ていただけなので実際のところはよくわからない。
その上要所で京口のボディもヒットしていたので、あのまま続いていたらベガの動きがどこかで落ちた可能性も?
まあ再戦ですよね。
アクセル・アラゴン・ベガもようやくたどり着いたタイトルマッチがあんな結末では納得いかないだろうし。
タノンサック・シムシーの件もケリをつけなきゃだし、統一戦以前にやることいっぱいありますなぁ。
興味ないけど。
○スレイマン・シソコvsダニエル・エチェバリア×(6R1分29秒TKO)
そして今回もっとも僕の目を引いたのが、このスレイマン・シソコである。
上述の京口vsベガ戦同様、メインへのつなぎとしてボーッと眺めていたところ……。
あれ?
何かコイツ強くね?
若干猫背気味+ナチュラルに上げた両腕。
自然なスタンス、構えからは身体全体のバランスのよさが感じられ、無造作に出した右ストレートは鋭く相手の顔面を揺らす。
またパリングとバックステップを駆使して芯を外しまくり、相手の踏み込みに合わせてカウンターで右ボディを突き刺す。
恐らくvsサウスポーが得意なのだと思うが、179cmの表記以上にリーチが長く見える。
うん、ちょっといいんじゃないっすかねこの選手。
立ち姿やバランスのよさからテレンス・クロフォードっぽさも少々。ここまで11戦全勝7KOの戦績も納得である。
僕のスレイマン・シソコ、カネロのアンダーキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! キーロン・コンウェイとの一戦、急遽決まったっぽいね
申し上げたように突然目を引いたスレイマン・シソコに「おや?」と思い大急ぎで調べてみると、案の定リオ五輪の銅メダリストとのこと。
名前と風貌からもわかるようにこの選手はアフリカ系フランス人で出身はセネガル。
ちなみに僕の中で“シソコ”と言えばプレミアリーグのトッテナムに所属するサッカー選手なのだが、あっちのシソコはマリがルーツらしい。
確かにアフリカ系フランス人の身体能力ってバカにならないですからね。
2018年サッカーW杯の優勝メンバーもムバッペを筆頭にアフリカ系フランス人の選手がたくさんいたし。
そういう意味でも、このスレイマン・シソコにはちょっと期待したくなってしまう。
チャーロ弟やブライアン・カスターノといった馬力とスピードを兼ね備えたトップ陣にあの技巧が通用するかは不明だが、少なくとも高い実力の持ち主であることは間違いなさそう。
どちらにしろ、今回のようなお腹タプタプの微妙な相手に無双している場合じゃない。
てか、よく見たらもう29歳じゃねえか。
頼むぜエディ・ハーン。もう少し気合いを入れてコイツのプロモートをだな……。
このクロフォード感ですよ()
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