小久保を無能呼ばわりしておけばいいだけの2017年WBC。侍ジャパンの進む道は? 4番中田? スモールベースボール? ロースコア?
2017年3月に開催される第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた強化試合が終了した。
「敗因は実力? 采配? 侍ジャパン敗退。アメリカに準決勝で2-1で敗れて世界一奪還ならず。小久保監督は退任の意向」
11月10日~13日の4日間にわたり、東京ドームで行われた4試合を
10日:×侍ジャパン3-7メキシコ○
11日:○侍ジャパン11-4メキシコ×
12日:○侍ジャパン9-8オランダ×
13日:○侍ジャパン12-10オランダ×
の3勝1敗という結果で終えた。
2015年11月に行われたプレミア12、そして今年3月のチャイニーズタイペイとの強化試合以来の召集となった侍ジャパン。
メキシコ、オランダに勝敗では勝ち越したものの、多くの課題が浮き彫りになった4戦だった。
特に日本のストロングポイントと捉えていた投手陣が崩壊したことは首脳陣やファンに少なからずショックを与え、世界一奪還に向けて暗雲が立ち込めたことは間違いない。
「侍ジャパンの今後は? プレミア12終了、韓国戦に敗北した侍ジャパン。小久保監督辞めろ? 采配と資質に疑問あり?」
本番まで残り3カ月強。
前回ベスト4で敗退した屈辱を晴らすため、小久保監督率いる侍ジャパンは最強の布陣で挑むことができるだろうか。
2017年も野球界から目が離せない。
「小久保が侍JAPAN史上最高の有能監督な件について。WBCで世界一を目指す日本野球にふさわしい采配の数々を語る」
国際大会でのアドバンテージは日本にはない。すべての国が強敵だということを強く認識するべき
とりあえず最初に申し上げておくと、「ろくにメジャーリーガーが出ないWBCに死に物狂いで挑むことに意味があるのか」「シーズン直後のこの時期に強化試合をやる意味があるのか」という議論に言及するのは止めておく。これはどこまで行っても不毛な議論にしかならないので。
「プレミア12なんてやる意味がない。メジャーリーガーが出ない大会に価値はない。こんな大会に本気になってるのは日本だけ」
まず今回の強化試合を観てわかったことは、メキシコもオランダもガチだということ。
今回の強化試合においても一切手抜きなし。全身全霊で日本を倒しにきていた。
そして、今の日本は世界の中でアドバンテージを持った存在ではないこともはっきりしたと思う。
昨年のプレミア12でもわかったことだが、「アメリカや韓国以外は雑魚。日本はどんな相手にも余裕で勝てる」というのはまったくの幻想である。
第1、2回の優勝国という実績はともかく、現状日本がWBCを断トツの強さで勝ち抜くことなど不可能。それくらい各国ともにレベルが上がり、実力が拮抗している状況である。
つまり、「世界第2位の野球大国である日本がなぜ弱小国の相手をしなくてはならないのか」「WBCなどという権威のない大会は大学生や社会人、二軍の選手を派遣すればいい」という理屈は完全に的外れということになる。
トップ中のトップの選手を招集し、全員が全力で挑んでも勝てる保証はない。それがWBCという大会だということを認識しなくてはならないのである。
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投手の「ボールへの適応」と「純粋な実力不足」が表面化した4試合
上述したように、今回の強化試合では日本の強みであるはずの投手陣が軒並み打たれたことが話題になっている。
世界でもトップクラスと言われる先発投手陣が4試合で27イニング31安打23失点。打線の奮起で何とか勝ち越したものの、WBC本番に向けて不安は募るばかりである。
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・滑るボールへの適応
・硬いマウンド
・シーズン終了直後という日程
不調の原因はいくつか考えられるが、僕の観たところ最も大きな要因は3つ。
「ボールへの適応」と「単純な実力不足」、そして「スカウティング不足」である。
この4戦で先発、第2先発として登板した投手は武田(ソ)、野村(広)、石川(ロ)、千賀(ソ)、増井(日)、藤浪(阪)、石田(De)、田口(巨)の8人。
この中でボールへの適応不足によって打たれたのが武田と千賀の2人。単純な実力不足によって打たれたのが野村、石川、石田、田口の4人。増井と藤浪に関しては普通に適応できていたし、実力的にも申し分なかったと思う。
まず武田だが、この選手は今シーズン、得意のカーブの変化がやや緩くなっている。それに加え、ボールが滑ったことで本来の力を出せていない感じが強く見受けられる。
また千賀については一目瞭然で、フォークがまったくダメダメだった。お化けフォークと呼ばれるウィニングショットが使えないようでは、千賀の実力の半分も発揮できないことは明白だ。
ただ、この2人は実力的には間違いない投手なので、本番までに調子を上げることができれば十分戦力になるはずである。
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次に野村、石川、石田、田口の4人に関してだが、彼らについては残念ながら単純に実力不足。
田口はボールへの適応が不足していた部分もあるが、野村と石川はスペック的にも侍ジャパンで投げるにはちょっと厳しい。
普段はペナントレースでエース級の働きをしている投手なのになぜ? と思われるかもしれない。だが、これこそがまさに国際大会の厳しさである。
いつもは凡打になるはずの低めの変化球がスタンドインする。
いつもは押し込めているはずのストレートが楽々弾き返される。
つまり、国際大会に出てくる打者はペナントレースで対戦している日本の打者よりもレベルが高い。それを大前提として考えなくてはならない。
試合を観ていればわかると思うが、メキシコとオランダの中軸打者のスイングスピードはどれだけひいき目に見ても日本の打者よりも鋭かった。
特に第2戦に先発した広島野村の球がポンポンスタンドインする光景はなかなか衝撃的だったのではないだろうか。
あれはボールが滑るとか、マウンドが硬いとかそういうことじゃない。
ましてや球が高いとか、コースが甘いなどでもない。
単純に野村の球が通用していないだけなのだ。
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藤浪晋太郎という本物の化け物。NPB限定のスペック不足の投手とはやっぱりレベルが違う
だがそんな中、藤浪の化け物感はやはり群を抜いていた。
155kmのストレートに144kmの縦カッターに加えて140kmのフォーク。
この4試合で投げた全投手の中でも間違いなく断トツ。メキシコ、オランダ含め、全投手の中で頭1つ、2つ抜けていた。
オランダ第1戦の最終回に登板して同点を許した大瀬良と比べればその差は歴然である。
ストレート、カッター、フォーク。
軸となる球種はほぼ同じながらあっさり弾き返される大瀬良と、力で相手をねじ伏せて見せた藤浪。NPB限定の速球派で侍ジャパンでは明らかに役不足な大瀬良と、日本歴代トップクラスの才能を誇る藤浪。
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ここ最近、大谷翔平ばかり注目されて影が薄い印象の藤浪だが、この選手も凄まじい才能を持っていることを忘れてはならない。
持って生まれたポテンシャルは大谷やダルビッシュと同レベル。近い将来、必ずポスティングでメジャーに移籍しなくてはならない逸材である。
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2016年野村祐輔 16勝3敗 防御率2.71
2016年藤浪晋太郎 7勝11敗 防御率3.25
シーズン成績では野村にまったくかなわなかった藤浪だが、ワンランク上のレベルで通用するのは完全に藤浪。こういう振るい落としができるのも国際大会の見どころの一つといえる。
さらに、その藤浪の150kmオーバーのストレートを弾丸ライナーでスタンドに叩き込むオランダの主軸サムス。これこそが国際大会のレベルであり、今の日本が直面している現実である。
舐めとんのか? まさかスカウティングまで小久保に丸投げしてるわけじゃないんだろ?
そして何より問題が深刻なのが「スカウティング不足」である。
今回の投手陣崩壊の要因として、ボールへの適応とともに絶対に忘れてはならない部分である。
聞いた話によると、侍ジャパンの首脳陣は守備位置についての質問を受けた際、「データがないので中間守備で様子を見ている」と答えたという。
いやいやいやいや。
待て待て待て待て。
何してんのよ。
それじゃ、侍ジャパンを常設してる意味なくね?
少なくともメキシコチームはとことん日本対策を練った上で試合に臨んだことがはっきりと伝わってきた。
沈む系の変化球を持った投手を細かくつないで的を絞らせない。ある意味日本打線が一番嫌がる継投をしてきていた。
それぞれの投手は二線級でも、目が慣れる前に交代させてギリギリでしのぐ方法。これで第1戦はまんまとやられたではないか。
「広島がライアン・ブレイザー(ブレイジア)獲得? バース(元日ハム)っぽいのかな?」
打者に関してもそうだ。
凄まじいスイングスピードを誇るバッターは多いが、メジャー経験のある選手はほとんどいない。
恐らく外角の変化球にクルックルであるとか、高めに滅法弱いなど、どこかに穴がある選手たちなのだろう。パワーは一流だが、致命的な欠点を抱えているためメジャーに上がれない。そういう選手たちが各国の代表として名を連ねているのである。
そして、そんなことは、本番で当たる可能性を考えて真剣にスカウティングしていればおのずとわかるはず。
というより、優勝を目指すチームなら基本中の基本じゃないの?
何のために侍ジャパンを常設してるの?
小久保がさんざん無能呼ばわりされてるけど、さすがにアイツにそこまで押しつけてるわけじゃないんだろう?
小久保の影に隠れて仕事をさぼってる場合とちゃうぞ。
「プレミア12開催に先立ち、日本野球の国際化と国内リーグの強化を同時に実現する方法を考えてみる」
中田の4番固定は仕方ない。侍ジャパンの存在意義を考えれば答えが見えてくる
野球ファンからさんざん無能呼ばわりされている小久保監督だが、その象徴的な采配はやはり4番中田固定だろう。
「4番は筒香がいい」
「中田は下位打線に置いた方が活きる」
「山田を4番にすればいいんじゃないか?」
「いろいろ試す強化試合なのに、中田を動かさないのは理解できない」
とにかく4番中田固定についての否定的な意見は枚挙にいとまがない。
一部では、小久保が意固地になっているのではないかという邪推までされており、4番中田固定は侍ジャパンの大きな癌となっている。
これについては僕も同意見なのだが、実を言うとある程度理解できる部分もある。
侍ジャパンというのはWBC制覇を目指すための事業であるとともに、野球の広告塔としての意味合いも強い。
野球人気の低下や競技人口減少が著しい中、NPBの唯一のドル箱コンテンツと呼べるものが侍ジャパンである。
「侍ジャパンの今後は? プレミア12終了、韓国戦に敗北した侍ジャパン。小久保監督辞めろ?」
日本のトッププロが結集し、代表チームとして世界と戦う。
各チームの4番打者がズラッと並び、各チームのエース級が次々と出てくる豪華リレー。野球ファンが思い描いたドリームチームを結成し、その上で圧倒的な強さを見せつける。
これこそが侍ジャパンの理想であり、小久保に課せられた使命である。
つまり、そのトップチームの顔である4番打者は当然日本を代表する選手でなくてはならない。一般層への知名度、カリスマ性、実力、キャラクターを含め、すべてを兼ね備えたスター選手が4番を打つ必要がある。
そういった意味でも、4番中田の固定は仕方ないのである。
本来、中田は代表入りするにはギリギリ及第点というレベルの選手である。
所属チームの日ハムではお山の大将でいられるが、各チームの精鋭の中に入ればそこまで突出したものはない。
ワンランク上のレベルでも変わらぬ実力を示した筒香や鈴木誠也に比べれば格落ち感は否めないし、そのレベルでもやっぱり異次元だった大谷とはそもそも生まれ持ったポテンシャルが違い過ぎる。
「大谷翔平2016!! 二刀流に大賛成の僕が今さらだけどその理由を語ってみる。マジで二刀流でメジャーに行っちゃえよ」
ただ、ライト層への知名度を考えれば中田の右に出るものはなく、筒香や鈴木ではどうしても弱い。身体の負担を考えると大谷にやらせるのは難しい。
となると、必然的に中田に背負わせるしかないという答えに行きつくのである。
知名度と本来の実力が乖離して、要求レベルが不相応に上がってしまうのは本人にとっては不幸以外の何物でもない。当然それは小久保もわかっているのだろう。
だがそれを踏まえた上で、中田には野球の広告塔としてがんばってもらうしかない。
ダメだったら小久保が無能。
うまくいけば自分の手柄。
それでええんちゃうか?
冗談抜きで、そのくらいの開き直りでバットを振ってもらえればと思う。
そして、小久保には批判すべてを引っかぶる覚悟で本番に臨んでいただきたい。
もはや批判することが目的化しているほど意味不明な批判も増えているが、それも代表監督の運命である。
というかアイツ、WBC後の待遇まできっちり保証されてるんだろうか。
今のままじゃマジで割に合わないと思うが。
アイツってまだ40代だろ?
その若さで自分のキャリアが傷つく可能性を省みずに引き受けた人間をあそこまで追い詰める必要あるのか?
そんなことをやってると、今後ますます監督を引き受けてくれる人間が減ると思うのだが。
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