タパレスの大健闘に感動が止まらん。井上尚弥攻略の糸口? 階級アップで人外の超人っぷりは薄れたよな。最強には変わりないけど【結果・感想】

タパレスの大健闘に感動が止まらん。井上尚弥攻略の糸口? 階級アップで人外の超人っぷりは薄れたよな。最強には変わりないけど【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2023年12月26日に東京・有明アリーナで行われた世界S・バンタム級4団体統一戦。WBC/WBO同級王者井上尚弥とIBF/WBA同級王者マーロン・タパレスが対戦し、10R1分2秒KOで井上が勝利。史上2人目の2階級4団体統一王者となった試合である。
 
 
 
井上尚弥が史上2人目の2階級4団体制覇をかけてマーロン・タパレスと対戦した今回。
 
今年7月のスティーブン・フルトン戦は現地観戦したが、正直この試合はそこまで行きたいとは思わず。
1回目の抽選に落選した時点で「うん、配信でいいや」となった次第である。
 
理由はタパレスが井上を何とかできるとは思えなかったのと、フルトン戦の興行があまりにクソだったから。
 
試合ごとに妙な休憩が入り、メインの井上vsフルトン戦の開始時間はいっさいお知らせがない。
つまらんPVを垂れ流すだけの賢者タイムが延々と続いてゲンナリさせられ、帰宅時間の問題で試合後インタビューも聞かずに会場を出た。
 
強かったロベイシ・ラミレス、厳しかった清水聡、期待通りの武居由樹、期待外れの今永虎雅。放置タイム約2時間、スポーツイベントとしてはクソ中のクソでしたね
 
確かに井上の試合はおもしろい。
だが、それにおんぶにだっこの舐め腐った進行はクソ以外の何ものでもない。
ここまでセンスのないスポーツイベントがほかに存在するの? と言いたくなるレベル。
 
わざわざ高い金と時間を使って不愉快な思いをするくらいなら家で鼻くそをほじりながら配信を眺めていた方が1兆倍マシ。
 
4団体統一王者誕生の瞬間に立ち会いたい欲求はあるが、あのゴミイベントがもれなくついてくるなら無理して行く必要はない。
 
それくらい前回はクソ・オブ・クソだった。
 

井上のvsサウスポーの絶望感。実は一番がんばったのはナルバエス?

まず僕の試合前の展望は下記。
 
マーロン・タパレスが井上尚弥に勝つ方法を考える会。井上のvsサウスポーを振り返って絶望した。タパレスは前半勝負しかなさそうだけど…
 
・井上のvsサウスポーの無双っぷりはやヴぁい
・辛うじて健闘したと言えるのは実はオマール・ナルバエス
・でも、タパレスにナルバエスと同じことができる感じはしない
・タパレスの理想は勅使河原弘晶戦
・パンチの威力を殺しながらプレッシャーをかけてコーナーでドカンを狙う
・ただ、井上相手にそれができるかは…
・タパレスが勝機を見出すなら下がったらダメ
・井上のパンチに耐えつつ前進→どこかで起死回生の1発をぶち当てれば…
・勝敗予想は井上の8RKOだけど
 
 
井上のキャリアを振り返るとvsサウスポーの絶望感がやヴぁい
 
ワンツーで瞬殺されたファン・カルロス・パヤノ。
ファーストコンタクトで委縮したマイケル・ダスマリナス。
上も下も効かされた上で計4度のダウンを喫したオマール・ナルバエス。
 
 
だが、改めて観ると実はナルバエスはそこそこやれていた(と思う)。
 
アングルを変えつつ井上の初弾にカウンターを合わせる。
高いガードと距離の調整で芯を外す。
 
圧倒的なスペック差でねじ伏せられたものの、一定の実力は発揮できていた(と思う)。
 
井上尚弥vsルイス・ネリ。ネリがんばれ。井上は階級アップで無敵感が薄れた? 相手が警戒しすぎるせいで雑になった? タパレス戦のモタつきを受けての今回
 

タパレスが井上をどうにかできる感じはしない。勅使河原弘晶戦を再現できればもしかしたら…

だが、マーロン・タパレスにナルバエスと同じことができるとは思えない。
むしろ自分から勝負に行って1発を狙う方が可能性があるのではないか。
 
理想は2021年12月の勅使河原弘晶戦。
 
前後の間合いを調整しつつ、パンチの威力を逃がしながら徐々に距離を詰める。
で、勅使河原をコーナーに追い込んだところで左をドカン。
 
バトラー怒りの撤退w カシメロ計量に現れず。勅使河原弘晶がタパレスにあんな負け方をするとは。亀田和毅がパレホに大差判定勝利
 
タパレスのここぞの勝負勘というか、瞬間的な踏み込み、爆発力は確かにすごい。
センス、一瞬の煌めきに関しては母国の英雄マニー・パッキャオを彷彿とさせる。
 
井上相手にあの試合を再現できれば、もしかしたらもしかする? かも?
 
でも、難しいだろうなぁ……。
井上のバックステップ→リターンの鋭さは凄まじいからなぁ。
タパレスの踏み込みスピードをさらに凌駕しそうなんだよな……。
 
 
とりあえず勝敗予想は井上の8RKOにしておくか。
 
前半に終わるパターンもあるかな? と思ったが、それではあまりにつまらない。
フルトンと同じラウンドまで粘れば「タパレスがんばった!!」になるんじゃないの?
 
だいたいこんな感じである。
 

タパレスがすごかった。勅使河原戦の再現は難しいって言ったけど、できてたじゃねえか笑

実際の試合だが、タパレスがすごかった。
めちゃくちゃすごかった。
 
僕は今回、勝敗にはあまり興味がわかなかったのだが、それらをすべて撤回させていただく笑
 
タパレスすげえよ。
マジですげえ。
本当に感動した。
 
上述の通りタパレスの理想は2021年12月の勅使河原弘晶戦。
パンチの威力を殺しながらプレッシャーをかける→コーナーに追い込んで左をドカンの流れ。
 
でも、恐らくそれをやるのは難しい。
両者のスペック、直近の井上vsフルトン戦、井上のvsサウスポーの戦績等、考えれば考えるほどタパレスには絶望感しかない。
 
 
やれてましたね。
勅使河原戦の再現、ちゃ~んとできてましたよね笑
 
ガードを上げて対峙、上体の柔軟性を活かしたクネクネディフェンスで芯を外しながら徐々に距離を詰める。
井上をコーナーに追い詰めフルスロットルの攻撃を発動……するには至らなかったが、少なくともおぜん立てまではたどり着いた。
 
アフマダリエフがゴンサレスに勝利しWBA挑戦権獲得。前回はタパレスがよかったのかもしれん。井上尚弥がフルトン以上に警戒するのもなるほどとオモタ
 

タパレスには「横の動きがあまりない」などと思っていた時期がありました

また「タパレスには左右の動きがあまりない」と思っていたのだが、まったくそんなことはなく。
 
背中が見えそうなくらいのL字で極力急所を隠す。
井上の攻撃を右ストレートに限定し、そこから左に回り込むことで直撃を避ける。
 
ファン・カルロス・パヤノはあそこでワンツーをもらって撃沈したが、タパレスはパヤノにはない柔軟性と見切りを兼ね備えていた。
 
後継姿勢で低く構えるスタイルで身長の割に顔面が遠く直撃を受けにくい。
それができるのも距離の遠さをチャラにできる踏み込みがあってこそだが、井上としても相当狙いが定めにくかったはず。
 
そのせいもあってか、今回の井上はフルトン戦に比べてやや前重心。
タパレスのいきなりの右や左ストレートをもらっていたのも距離の遠さを乗り越えるためのトレードオフだったのだろうと。
 

やっぱりポール・バトラーはがんばったと思うんだよな。自分のスペックでやれることを精いっぱい

以前から井上は
・前半が激強い
・中盤にややモタつく時間帯がある
・終盤にもう一度締め直してペースを上げる
傾向があると申し上げている。
 
なので、コイツ相手に勝機を見出すには
・前半はディフェンシブにしのぐ
・井上の勢いが落ち着く中盤に勝負をかける
・後半を互角もしくはリードして終わる
ことでギリギリ判定勝ちを狙うのがいいのではないかと絶叫し続けてきた。
 
まあ、「前半の時間帯に少しでもポイントを取っておく」「井上のタイミングを覚える」「体力の消耗は極力小さく」というクソ難解なミッションを並行してこなす必要があるのだが笑
 
 
僕は今でも2022年12月のポール・バトラーはがんばったと思っている(ひたすら延命した、逃げ続けただけと散々な言われよう)が、あの選手は少なくとも前半をディフェンシブにしのいで中盤~後半のチャンスを待つことには成功した。
 
井上尚弥がポール・バトラーをKOして4団体統一。“持たざる凡人”が超人攻略を目指した。これをもっと高次元でできればと思わせるバトラーの動き
 
1発の怖さがなく手を出さなすぎたせいで井上が失速することはなかったが、やろうとしていることはめちゃくちゃ伝わってきた。
 
自分のスペックでやれることを精いっぱいやり続ける姿勢は冗談抜きで心を打つものがあった。
 

スティーブン・フルトンの7R、前半に井上に力を使わせたタパレス。各選手が対策を更新していく感じがおもしろい笑

前回のスティーブン・フルトンは開始直後から能力の高さを発揮したものの、正面に立ちすぎた&ジャブの差し合いで歯が立たなかったことで8Rに力尽きた。
 
だが、同時に井上の勢いが落ちる中盤のペースアップで流れを掴みかけてもいた。
特に7Rはポール・バトラーの作戦をフルトン方式にアップデートさせたものだったと思う。
 
井上尚弥vsスティーブン・フルトン戦を視聴。戦力差を把握すると舐めプを始める横着さはヤンキー気質によるものだろうな。それでも無敵だけど
 
そして今回のタパレスは前半に井上に手を出させることである程度体力を使わせた。
 
中でもダウン直後の5Rのがんばりはすごかった。
反撃を受けた井上がムキになってヘッドハンター気味に振り回していたことを考えれば一目瞭然。“耐えるだけ”だったポール・バトラーとの違いは明らかである。
 
耐久力、攻撃力、見切り……。
近場の打ち合いでドネア以上にやれていたのは本当に驚いた。
 
 
井上が前半鬼強い+中盤に息切れする(傾向がある)ことを把握していたのだと思うが、最強王者の牙城を崩すべく各選手が対策を更新していく様子はなかなか興味深い笑
 

Advertisement

 

井上のコンディションもよくなかった? 計量で「おや?」と思ったんだよね。苦戦したまでは言わないけど

また井上のコンディションもそこまでよくなかった気がする。
 
これまでに比べて被弾が多い、まともにもらうシーンが目に付いた上に反応もいまいちだった印象。
前傾姿勢で対峙したのもあると思うが、調子自体が微妙だったのではないか。
 
完全に後出しなのだが、コレ↓を見たときに「あれ? 井上そこまで調子よくないのか?」と思ったことを報告する。


完全に僕の主観なのであえて言うこともなかったのだが(変なのに絡まれるしw)。
 
 
前回のフルトン戦を観て
「井上はバンタム級時代の方が強そう」
「人外の超人がようやく人里に降りてきた」
「少なくとも人間vs人間の試合に見えた」
と申し上げたが、その意見はこの試合でも変わらない。


井上の調子の悪さ(?)も相まって、今後はひたすら相手を蹂躙する試合ばかりにはならないかも? と思い始めている。
 
井上尚弥vsフルトン現地観戦。人外の超人がようやく人里に降りてきた? よくも悪くもノリと勝負勘の選手なんだろうな。“井上は強化版辰吉”説を久々に思い出した
 
まあ、だからといって井上が苦戦したなどという気はないのだが。
 
 
間違いなくタパレスは強かったし陣営の対策も素晴らしかった。
 
ただ、勝てる雰囲気があったか? と聞かれれば完全にNOである。
 
柔軟性の高いサウスポーがどう戦えばいいか、ペースの上げ下げをどこでやればいいか等、可能性は感じさせたが、勝負自体は一方的。
 
ゼーハー言いながら(ちょっと効かされた?)もほぼポイントを失うことなく後半KOにこぎ着けた。
 
人外っぷりは薄れたが、最強であることに変わりはない。「階級の壁」と呼ぶにはちょっと無理があるというのが僕の意見である。
 
井上尚弥vsマーロン・タパレス雑感。先人の残した情報を総動員して大健闘したタパレスがすげえ。井上の相変らずのヤンキーマインドにも安心した笑
 

Advertisement

 

今後の対戦候補を見渡しても全員決め手に欠ける。何だかんだで井上スゲーは続きそう?

むしろタパレスはもっと早く勝負をかけた方がよかったかもしれませんね。
タイプ的にポイント勝ちするのは難しいし、1発逆転を狙うなら体力がある前半しかない。
 
そう考えると、唯一チャンスと言えるのは5Rだろうか。
思わぬ反撃を受けた井上がムキになって大振りのヘッドハンターと化したラウンド。
あそこで1発カウンターをぶち当てれば何かが起きたかもしれない(できるとは言ってない)。
 
 
ちなみに今後の井上の対戦候補を見ると、
・ルイス・ネリ
タパレス並みの柔軟性とカウンターはあるが、サウスポーの方が得意
 
・ムロジョン・アフマダリエフ
タパレス並みの爆発力と踏み込みスピードはあるが、正面に立ちすぎ&柔軟性が足りない
 
・サム・グッドマン
強化版ジェイソン・モロニー。総合力で井上に対抗するのは難しい
 
井上尚弥vsルイス・ネリ、日本開催決定的? 井上は2度の北米進出失敗が響いてるんだろうな。JBCが音速で処分を解除。わかってるじゃねえかJBC笑
 
正直、どの選手も決め手に欠ける。
打倒井上の可能性を感じさせたとは言ったが、現状それをやれる選手は見当たらない。
 
何だかんだで「井上スゲー」は今後も続くと予想する。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 


 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!