井上尚弥vsマーロン・タパレス雑感。先人の残した情報を総動員して大健闘したタパレスがすげえ。井上の相変らずのヤンキーマインドにも安心した笑【結果・感想】

井上尚弥vsマーロン・タパレス雑感。先人の残した情報を総動員して大健闘したタパレスがすげえ。井上の相変らずのヤンキーマインドにも安心した笑【結果・感想】

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2023年12月26日に東京・有明アリーナで行われた世界S・バンタム級4団体統一戦。WBC/WBO同級王者井上尚弥がIBF/WBA同級王者マーロン・タパレスに10R1分2秒KOで勝利、史上2人目の2階級での4団体統一王者となったわけだが。
 
戦前の予想では井上の圧勝と言われていた今回。
ところが思った以上にマーロン・タパレスが粘り、井上と真正面から打ち合うなど大健闘と言えるパフォーマンスを披露した。
 
僕もタパレスのがんばりにめちゃくちゃ感動した人間で、何度か試合を観直して余韻に浸っている笑
 
タパレスの大健闘に感動が止まらん。井上尚弥攻略の糸口? 階級アップで人外の超人っぷりは薄れたよな。最強には変わりないけど
 
というわけで、再び井上尚弥vsマーロン・タパレス戦の感想を。
リアルタイム視聴では気が回らなかった部分、新たに「おお!!」と思ったことを申し上げていく。
 
 
なお、あくまで「最強王者の牙城をどう崩すか」の視点なので、感想もタパレス中心になることを付け加えておく(コレを言わないとめんどくさいヤツが沸くからなw)。
 

井上関連の感想には相変らず羽虫が沸く。時空を超えて説教されても困るんですよ笑

まず今回もX(旧Twitter)で感想をちょぼちょぼつぶやいたのだが、相変わらず井上関連のネタにはわけのわからん羽虫が沸く笑
 
基本、僕は井上の苦戦が見たい、最強王者の牙城をどう崩すか? に興味がある人間で、発言も当然そっち寄りになる。
 
ところがそれが気に入らない羽虫が一定数おり、ことあるごとにアンチ呼ばわりしてくる。
 
まあ、アンチ云々に関してはいいかげん聞き飽きたしそこまでイラつくこともなくなったのだが、とにかくブンブンとうっとうしい。
 
そして一番「めんどくせえな」と思うのが、試合直後の感想に時間が経ってから突っかかってくる羽虫である。
 
試合直後にコレ↓を申し上げたところ……


諸々の情報が出揃った段階で説教を垂れにくるバカが当たり前のように現れる。
 
 
前回の井上vsフルトン戦でもそうだったのだが、感情が溢れるままにつぶやいた刹那的な感想に対して、選手の会見やネット記事、評論家や元プロの意見がひと通り出たあとに勝負を挑んでくる。
 
井上尚弥vsスティーブン・フルトン戦を視聴。戦力差を把握すると舐めプを始める横着さはヤンキー気質によるものだろうな。それでも無敵だけど
 
「もう1回試合を観ろ」
「どう見ても井上の圧勝」
 
いやいやいやいや。
勘弁してくださいよ笑
 
とりあえず第一声から喧嘩腰、敵か味方かのノリで突っかかってくる非常識さについては5億歩譲って目をつぶってやる(それも十分おかしいけど)として。
 
情報が出揃った&時間が経って頭が冷えた段階で「君は間違ってる!!」と時空を超えて登場されてもこっちは知らんとしか言いようがない笑
 
 
そもそも140文字の吐き捨てツールですからね?
自分の金と時間を使って観た試合の感想を自分のアカウントでつぶやいてるだけですよOK?
 
瞬間瞬間の感情をぶちまけただけのものにどれだけの精度を求めてんのよ笑
 
目の前で起きた試合に感動する、感情が溢れるままに発言するってスポーツ観戦としてはめちゃくちゃ健全だと思うのだが。
そこに責任と正確性を要求されるとライブ観戦の醍醐味が半分以上失われてしまう。
 
ってコレ、何回同じことを言えばいいんですかね?
 
やっぱり下等な羽虫には人間様の言葉は理解できねえってか?
 

井上への思いを僕にぶつけられても…。30男への切実な思いを語られてもリアクションのしようがない笑

ちなみに下等な羽虫の中で唯一おもしろかったのが、井上尚弥への個人的な思いをぶつけてきたヤツ。
 
もうね、どうすればいいのかわからんのです笑
呼びもしないのに突然現れて、30男への切実な思いを語られても。
 
君がどれだけ井上のことを好きだろうが知ったこっちゃないし興味もない。
無関係な僕にはリアクションのしようがない。
 
個人的な思いならぜひとも個人的にやっていただければ。
 
 
でも、ちょっとおもしろかったからまあいいや笑
 
別に悪くないんじゃないっすか?
30男に熱を上げるのも全然自由でしょ。
成就はしないと思うけど。
 
井上尚弥vsルイス・ネリ。ネリがんばれ。井上は階級アップで無敵感が薄れた? 相手が警戒しすぎるせいで雑になった? タパレス戦のモタつきを受けての今回
 

ディフェンス面はフルトン、攻撃面はドネア。タパレスは耐久力もトップクラスだった

余談が長くなったがそろそろ本題に。
 
上述の通り僕はタパレスのがんばりに感動したわけだが、改めて観てもやっぱりすごい。
 
広めのスタンス+後ろ重心は恐らくスティーブン・フルトンを参考にしたもの。
フルトンは意図的に井上の足を踏んでいたが、左構えのタパレスも井上が容易に入ってこられないようにポジションを調整していた(と思う)。
 
また追い込まれた際にあえて打ち合う、横軌道のフックを振り回すのはノニト・ドネアと同じ。
2019年11月の井上vsドネアVol.1では2Rにドネアのフックが井上の顔面を捉えたが、アレもピンチの局面で出た1発である。
 
井上が接近戦でガードが空く、顔面がお留守になるというのは結構前から言われていたことだが、実際にそこを狙える選手は皆無だった。
 
2018年5月のジェイミー・マクドネルもロープ際でカウンターを狙ったものの、井上の猛烈な連打に飲み込まれて撃沈した。
初戦で起死回生の1発をぶち込んだドネアも再戦ではテンプルに右をもらって致命的なダメージを負わされている。
 
フルトンのトレーナーのインタビューが興味深い件。フルトンの動きは悪かったのか。井上尚弥攻略にはポール・バトラーの作戦の進化版ってのはその通りだったんじゃないの?
 
だが、今回のタパレスは井上の攻撃に耐えながら距離を詰め、離れ際に右フックを当ててみせた。
初見だったことを差し引いてもこれは文句なしにすごい。ディフェンス面はもちろん、耐久力も過去一の挑戦者? だったと思う。
 

試合運びはポール・バトラー。あの試合のバトラーには心動かされるものがあった

そして全体的な試合運びはポール・バトラー。
 
以前から僕は
「井上は前半2Rがクソ強い」
「そこを超えて中盤に入るとやや雑になる」
「最終盤にもう一度ギアを入れ直す」
傾向があると連呼している。
 
そして2022年12月のポール・バトラーは井上の傾向を把握し、前半をディフェンシブにしのぐことで後半のワンチャンスにかけた。
 
バトラーのスペックで井上とまともにぶつかっては歯が立たない。
ただ、井上の失速癖をついて渾身のカウンターをぶち当てれば何かが起きるかもしれない。
 
結局バトラーが奇跡を起こすことはなかったが、少なくとも僕はバトラーのがんばりに感動した。
自分と相手の差を認めて限られたネタを総動員する。最強王者を相手に11Rまで粘ったバトラーのパフォーマンスは心を動かされるものがあった。
 
井上尚弥がポール・バトラーをKOして4団体統一。“持たざる凡人”が超人攻略を目指した。これをもっと高次元でできればと思わせるバトラーの動き
 

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タパレスもバトラーの作戦を踏襲して7、8Rに流れを掴みかけた。でも、その時点で疲労困憊だったのが…

今回のタパレスもバトラーの作戦を踏襲、前半はディフェンシブにしのぎつつ中盤に勝負をかけた。
4、5Rに迎えたピンチでは、ドネア同様前に出て打ち合うことで井上の勢いを真正面から受け止めた。
 
で、井上の動きが雑になる7、8Rに流れを掴みかけた。
 
バトラーはディフェンスに注力しすぎたせいで井上を失速させることはできなかったが、少なくともタパレスは井上のスタミナを削ることには成功した。
 
 
先人の残した情報を総動員+左構えの特性を取り入れ最強王者に対抗する。
 
事前の準備と試合当日の粘り。
今回のタパレス(と陣営)は間違いなく大健闘だった。
 
「がんばっただけで賞賛されるのはおかしい」と突っかかってきたバカがいたが、試合ごとの細かい機微を感じ取る能力すらないなら口を開かないでもらいたい笑
 
 
と言いつつ7、8Rのタパレスはすでに疲労困憊。
正直、あそこから逆転できる雰囲気は皆無だった。
 
やはり唯一チャンスと呼べるのは5Rだったなぁと。


 

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井岡一翔vsホスベル・ペレス現地観戦。12度目の大晦日は具志堅の13度防衛にも匹敵する偉業。でも、井岡の出来自体はそこまでよくなかった?
 

井上のヤンキーマインドが変わってなくて安心したw やられたらムキになってやり返す姿は嫌いじゃない

井上の話をしておくと、こちらは相変らずのヤンキーマインドで安心した笑
 
計量ではあまり調子がよさそうではなくフルトン戦でみせたヤンキーっぷりもなりを潜めていた。


ところがいざ試合が始まると、そこはやはり座間のヤンキー。
5Rに仕留めに行った際に思わぬ反撃を受け、ムキになってぶん回す姿は本人の性格がよく表れていた。
 
また8Rにノーモーションの右をもらって顔を跳ね上げられた直後に右でやり返そうとしていたのも嫌いじゃない笑
 
前回のフルトン戦後に「井上はよくも悪くもノリと勝負勘の選手」「強化版辰吉丈一郎」と申し上げたが、階級アップで若干人外感が薄れた今、その特徴が再び顕在化しつつある(気がする)。
 
井上尚弥vsフルトン現地観戦。人外の超人がようやく人里に降りてきた? よくも悪くもノリと勝負勘の選手なんだろうな。“井上は強化版辰吉”説を久々に思い出した
 

階級アップによる歪みが出る? 今回のような力みかえったぶん回しが常態化すると…

まあでも、こういうところから歪みが生まれるのかな? とも思うが。
 
S・バンタム級進出以降、井上のフィジカル的な優位は薄れつつある。
 
オーバースペックだったS・フライ級時代から一段スケールアップして無双しまくったバンタム級。
 
ところがS・バンタム級ではパンチが届かない(フルトン)、当たっても打ち返してくる(タパレス)シーンが目につく。
 
それでもファンやマスコミが期待するのは常に前半KO。
極論、すべての試合でファン・カルロス・パヤノ戦の再現を求められていると言っても過言ではない。
 
しかも本人は“やられた分をすぐにやり返したい”性分である。
 
 
一方で対戦相手は井上の実力をわかった上で長所短所を山ほど研究してくる。12R立ち続けるだけでも「健闘」と言われるなら、今後はそこに注力してくるパターンもあるかもしれない。
 
諸々を加味すると、今回の4、5Rのような力みかえったぶん回しが常態化する可能性もある? ない?
 
S・ミドルで無双していたカネロもL・ヘビー級に上げた途端にカクカクしましたからね。
もちろんまだ2戦目&相手も統一王者なので結論を出すには早いですが。
 
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