井上尚弥vsフルトン現地観戦。人外の超人がようやく人里に降りてきた? よくも悪くもノリと勝負勘の選手なんだろうな。“井上は強化版辰吉”説を久々に思い出した【結果・感想】

井上尚弥vsフルトン現地観戦。人外の超人がようやく人里に降りてきた? よくも悪くもノリと勝負勘の選手なんだろうな。“井上は強化版辰吉”説を久々に思い出した【結果・感想】

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2023年7月25日に東京・有明アリーナで行われたWBC/WBO世界S・バンタム級タイトルマッチ、スティーブン・フルトンvs井上尚弥戦を現地観戦してきた。
結果は8R1分14秒TKOで井上が勝利。S・バンタム級2団体統一とともに日本人2人目の4階級制覇を達成した試合である。
 
井上尚弥vsスティーブン・フルトン戦を視聴。戦力差を把握すると舐めプを始める横着さはヤンキー気質によるものだろうな。それでも無敵だけど
 
井上尚弥がスティーブン・フルトンに挑戦した今回。
 
この試合は当初5月7日の横浜アリーナ開催が決定していたが、井上の負傷によって延期に。
個人的に横浜アリーナは好きな会場&季節もいいのでウッキウキで抽選に申し込んだところ、まさかの白紙に「おおう…」となった経緯がある笑
 
で、後日7月25日の有明アリーナにリスケされたと聞いて「ええ? マジか」と。
あそこは横浜アリーナよりも一回り小さい上に駅からかなり遠い。7月下旬のクソ暑い中、あの距離を歩くのはシャレにならんぞと。
ここで現地観戦の熱が一気に冷めた次第である。
 
 
まあでも、一応申し込んでおくか。
どうせ当たらないだろうし、万一当たったらその時考えよう。
 
そんな感じで大した情熱もなく抽選結果を待っていたところ……。
おい、当たったよ笑
 
嘘だろ? どうすんだよ。
30度後半のクソ暑い中、ほぼ日陰がないあの道のりを歩くんかい。
 
当選した嬉しさよりも酷暑の時期に有明アリーナまで出向く憂鬱さが上回ったことをお伝えする笑
 
強かったロベイシ・ラミレス、厳しかった清水聡、期待通りの武居由樹、期待外れの今永虎雅。放置タイム約2時間、スポーツイベントとしてはクソ中のクソでしたね
 
てか、SNSで僕のことを井上アンチ呼ばわりしてくる方がいらっしゃいますけど、何だかんだで現地観戦の回数は井上が一番多いんですよね。
試合は毎回欠かさずチェックしてるし、井上への貢献度はそこそこちゃいます?
自分で言うのもアレですけど。
 
24時間365日SNSに張り付いてパトロールなさってる信者()さんよりもアンチ? の僕の方が貢献度が高いって、なかなかオツですよねw
 
 
そもそも何でアンチと信者の二択しかないの?
物事を0と1でしか判断できない人間があまりに多くないっすか?
 

試合前のゴタゴタがしょーもなさ過ぎた件。そんなことは最初に決めておけよとしか言いようがない

まず今回、試合前の会見でフルトン陣営から入った井上のバンテージの巻き方についてのクレーム? 質問? によってちょっとしたゴタゴタが起きている。
 
最終的に井上側が合わせることで落ち着いたものの、会見直後に本人が英語でSNSを更新するなど一時はだいぶピリついていた。
 
 
これについては両陣営ともしょーもない
 
そんな大事なことなら交渉段階で詰めておけという話。
数か月も交渉している割に何でそこの取り決めがされてねえんだよ? と。


以前にもカネロとサンダースがリングの広さで揉めたり、カシメロが英国のサウナ禁止ルールに違反して試合が中止になったりしたが、勝負の根幹に関わる部分のザルっぷりはガチで目に余る。
 
で、何?
「グダグダ言わさん」「ローカルルールに従う」と豪語してたのに、あっさり覆っちゃったの?


いや、だから。
「グダグダ言わさん」じゃなくてグダグダ言われないようにあらかじめ明確にしておくんですよ。
“難癖”とかではなく、「契約通りでしょ」のひと言で終わるようにしておけって言ってんの。
 
 
フルトン側も「選手の安全のため~」「我々の常識では~」云々言うなら、なぜローカルルールを把握してねえんだよ。
遠征に出る際にいつものルーティンを維持できるか、普段と同じ道具が使えるか? はそこそこ優先順位が高い確認事項だと思うのだが。
 
 
そして、このゴタゴタに乗じて「フルトン側の難癖」「言いがかり」的な記事が散見されたが、相変わらずメディアの井上ヨイショが尋常じゃない。
 
改めてボクシングライターはこの世に不要な職業第1位だと確信させられた。
 

人外の超人がようやく人里に降りてきた。階級アップ後も井上の無敵感は変わらないけど“ヒトの領域”に収まってた気がするよ

前置きが長くなったが、試合の感想を。
 
表題の通りだが、今回井上が階級を上げたことで「人外の超人がようやく人里に降りてきた」印象を受けた。
 
バンタム級時代の井上は完全に頭三つほど抜けており、ガードの上からでも相手を委縮させる化け物っぷりを発揮していた。
 
マイケル・ダスマリナスやジェイミー・マクドネルはファーストコンタクトで気持ちが後ろ向きになり、ディフェンシブに振り切ったポール・バトラーやアラン・ディパエンは一定の粘りを見せたが最後はラッシュを浴びて嫌倒れしている。
 
井上尚弥がダスマリナスをボディで3RKO。でもダスマリナスよかったよね。左フック2発で萎縮しちゃったけど。また戻ってこいよオマイ
 
それに対してフルトンは井上のスピーディな踏み込みに対応しつつ、ガードの上からのパンチはほぼノーダメージ。ジャブを被弾してもはっきりとした動揺は見られない。
それどころかバランスを崩しながらもしっかりとパンチを返してきた。
 
井上の攻撃が終わるまでじっと耐えるのみだったポール・バトラーに比べて耐久力、フィジカルが一段上がっていた(気がする)。
 
 
要するに今回の階級アップで人間の手には負えなかった超人がようやく“ヒトの領域”まで降りてきた。
 
階級の壁などという大げさなものではなく、無敵感も変わっていない。
 
だが、少なくとも人間と人間の勝負には見えた。
ここが結構なインパクトだったなぁと。
 
もちろんフルトンが現状のS・バンタム級で最強+見切りと上体の柔軟性が持ち味という側面は大いにある。
また井上が階級アップ初戦だったことを考えると、2戦目以降は再び人間を辞めているパターンも考えられる。
 

ジャブで圧倒されたフルトン。12R立ち続けることは可能だけど、勝つならあそこで勝負をかけるしかない

フルトンとしては、やはりジャブで圧倒されたのが痛かった。
 
この選手はメイウェザーの下位互換と言えるタイプで鋭いジャブと見切り、スピーディな出入りが特徴。
 
L字気味の構えから打ち出すジャブで出足を鈍らせ、一定のスペースを確保したところでカウンターを返す。
強引に入ってくればさっとクリンチ、インファイトにも対応できるオールラウンダーである。
 
井上尚弥vsスティーブン・フルトン正式決定! フルトンのジャブとクリンチが通用するかが見どころ。がんがれフルトン、僕に井上の苦戦を見せれ笑
 
ただ、今回は前手のジャブでいきなり出鼻を挫かれた。
井上の鋭い踏み込み、スピードと重さを兼ね備えたジャブで顔を跳ね上げられ、開始早々後手に回らされる。
 
フルトンのジャブ、バックステップも十分速いのだが、井上の踏み込みはそれをさらに超えてくる。
序盤3Rはディフェンス重視でいく作戦だったと思うが、ジャブの差し合いで圧倒されたことで余裕を失ってしまった(気がする)。
 
 
それでもフルトン陣営の作戦は間違っていなかった(と思う)。
ディフェンシブに立ち回って序盤をしのぎ、ある程度戦力を把握したところでペースアップ。井上の動きがやや単調になる中盤に勝負をかける。
 
恐らくフルトンの能力なら12Rまで立っていることは可能。だが、ジャブの差し合いで負けた時点でそれをやっても勝つ確率はゼロに近い。
 
4Rから5Rにかけて「近いな~、近いぞ~」と思いながら観ていたのだが、勝機を見出すにはあそこで出る以外に方法はなかった。
 
結果的に撃沈させられたものの、リスクを負って勝ちにいく姿勢、それができる余力を残していたことがフルトンのすごさと言えるのではないか。


 


 

久しぶりに思い出した“井上=強化版辰吉”説。刹那的な試合運び&凄まじい勝負勘。試合に向けての準備は段違いだけど

僕は以前井上尚弥のことを“強化版辰吉丈一郎”と呼んでいたのだが、バンタム級での強さ、完成度の高さを目の当たりにしてからはすっかり忘れていた。
 
だが、今回の一戦で久しぶりにそれを思い出した次第である。
 
序盤のクソ強い時間帯から中盤のわずかな中だるみ、そして終盤にもう一度ギアを入れ直す流れ。
勝負を決めたボディジャブからの右ストレートを含めてすべてが刹那的&ここぞの勝負勘は文句なしに凄まじい。
 
瞬間的な踏み込みスピード、タイミングは桁外れだが、プレスをかけて追い詰めるスタイルではないためポール・バトラーのように左右に動かれると少々モタつく。
その反面、ドネア戦やロドリゲス戦のように中間距離での差し合いで負けることはまずない。
 
井上尚弥のリアル鷹村守化完了。さすがのドネアもこの日の井上には勝つのは難しい。悔しすぎてインタビューも聞かずに会場を出ちゃったけど
 
エマヌエル・ロドリゲスのトレーナーに父親を突き飛ばされた、計量に遅れてきたジェイミー・マクドネルから謝罪がなかった等、リング外の怒りをそのまま試合に持ち込むヤンキーマインド。
たとえば井岡一翔のように12Rを3分割して配分するアスリートタイプとは真逆である。
 
いい意味で(悪い意味でも)ノリと勢いの脳筋タイプなのだと思う。
 
基本ベースが高次元すぎて目立たないが、今回“超人が人里に降りてきた”ことでそれが再び顕在化した。ムラっけの多さや気分屋的な部分は辰吉丈一郎と被るものがある。
 
そうそう、井上ってやっぱり“強化版辰吉”だよねと。
 
 
まあでも、試合に向けての準備は段違いですけどね。
階級アップにはめちゃくちゃ慎重な上に後ろ重心で急所を遠ざける、ボディストレート(ジャブ)で下を意識させる、そもそもクリンチをさせない、掴ませない等、フルトン対策も万全。


相手を研究して反復練習で身体に染み込ませ、当日は本能全開で勝負する。
ロクな準備もせずに階級を上げまくって撃沈した長谷川穂積やノニト・ドネアとはひと味違う。
 

中盤にモタつくと言っても全然強いからねw 階級最強の2団体統一王者がKO負け覚悟で勝負をかけてようやく五分

もっと言うと、井上が中盤にモタつくと言っても全然強い。
 
スコアカードを確認したところ、5、6、7Rの採点が
5R:井上2-1フルトン
6R:井上3-0フルトン
7R:井上0-3フルトン
とのこと。
 
僕はフルトンの勝ち筋は前半4Rまでをディフェンスに徹して5R目から勝負をかける、そこから後半に向けて逆転を狙うくらいしかないと思っていたが、その勝負の3Rの採点は「井上5-4フルトン」という。
 
階級最強&無敗の2団体統一王者がKOされるリスクを負って勝負をかけてようやく五分。
しかも井上は階級アップ1発目である。
 
フルトンのトレーナーのインタビューが興味深い件。フルトンの動きは悪かったのか。井上尚弥攻略にはポール・バトラーの作戦の進化版ってのはその通りだったんじゃないの?
 
フルトン陣営の想定、勝負をかけるタイミングはばっちりだったが、それを成功させるハードルが桁違いに高い。
 
 
 
ちなみに僕が「井上は中盤にややモタつく」と言うとイラつく人もいるようだが、これで井上の能力を否定していると感じるならガチでヤバい。
 
 
ん?
井上が試合後の会見で「4Rはあえて打たせた」って言ってたって?
 
ごめんごめん。
その時間は帰りの電車で居眠りしてたわ笑
 
すべての情報が出揃う前に現地観戦のテンションのまま勝手な発言をして本当に申し訳ない。
 
今後はあらゆる情報を精査した上で自分の感情を差し挟まず、事実だけを簡潔明瞭に伝えることを誓います。
140文字の吐き捨てツールに最大限の責任感と誠意で向き合うことを宣言させていただきます。
 
 
日本って独裁国家だっけ?
 
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