長谷川穂積辛勝!! カルロス・ルイスに2度のダウンを奪われながら僅差判定勝ち【結果】

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2015年12月11日、WBC世界フェザー級9位の長谷川穂積がWBO世界S・フェザー級5位のカルロス・ルイスとノンタイトル10回戦で対戦し、3-0の判定勝利を飾った。

序盤は優勢に試合を進める長谷川だったが、3Rと5Rにカルロス・ルイスの強烈な右ストレートでダウンを奪われるまさかの展開。
それでも冷静に戦況を見極め、会場からわき起こる「穂積コール」を背に効果的なパンチを積み重ねて見事勝利を手にした。

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カルロス・ルイスはやっぱりパンチもあったし強かった

まず初めに申し上げておくと、今回の相手であるカルロス・ルイスは弱くない。
この試合を見て、この程度の相手に苦戦しているようでは厳しいという感想を持ったのであれば、それはまったく違う。

カルロス・ルイスは身体の強さもあるし、思ったとおりパンチも強い。戦績だけ見て「パンチはない」と判断する風潮が見られたが、案の定強力な右拳を持った危険なファイターだった。
特別スピードがあるわけではないが、前に出る圧力もあるしダウンを奪った右のカウンターはなかなかのタイミングだったと思う。十分世界レベルと言って間違いない選手だろう。
ただ、パンチの正確性や当て勘にはやや難があったことは確かで、いまいち突き抜けられない理由はこの辺りにあるのだろう。

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1R開始早々、長谷川の左を被弾するカルロス・ルイス。だが、びくともしない。
このパンチで「長谷川のパンチなら耐えられる」と確信したのだろう。細かいパンチをもらうことは気にせず、自分の距離を測ることだけに集中していた。
4Rの終了間際にアゴにもらった左がほんの少し効いたようだが、目に見えるダメージは試合を通じてそこだけだったのではないだろうか。

長谷川の出入りに合わせて右のカウンターのタイミングを測り、打ち終わりのカウンターをずっと狙い続けていた。そのため、長谷川はいっさいのミスが許されない状況に追い込まれていた。ポイントを奪うかわりに常にKO負けのリスクを背負いながらの打ち合いを余儀なくされていたのだ。
そして距離感を掴まれた3R、5Rに強烈なカウンターを被弾したのである。
前回の記事で「カルロス・ルイスのカウンターは恐るるに足らず」と言ってしまったが、全力で訂正したいと思う。十分すごいパンチだった。

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確かにサウスポーにはやや苦手意識があったのだと思うが、身体の強さで圧倒してうまくその差を埋めていたのである。

序盤の単調な動きを狙われたカウンター

前から気にはなっていたのだが、長谷川のボクシングにはやや強弱が足りない。
出入りのスピードやパンチの見切りは確かにピカイチなのだが、攻撃のパターンがいつも同じでタイミングがとりやすいのだ。モンティエル戦のKO負けの原因も実はそのせいだと今でも思っている。

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あの試合は序盤は長谷川が優位に進めていたものの、一瞬の隙をつかれせいで負けてしまったと言われているが、実は違う。モンティエルは前半3Rを使って長谷川の距離とタイミングを測っていたのだ。そしてその距離感をインプットし終わったのが4Rだったのである。
技術力、スピードに差がある相手であれば圧倒できるが、モンティエルのように同程度の技術がある相手だとそうはいかないということなのだ。

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今回のカルロス・ルイスに関しては、先ほども言ったとおり体格差によって長谷川との技術とスピードの差を埋めていた。パンチを多少もらってもどうってことはない。落ち着いて自分のカウンターを合わせれば倒せる。試合開始早々の攻防でそう思わせてしまったのである。

右のジャブをチョンチョンと突いて、そこから踏み込んで左。相手が打ってきたらパッと飛び退く。これが長谷川の基本的なスタイルだ。ひとことで言えば攻めが単調なのだが、今回の試合は特にその傾向が顕著だったように思う。
これだけ単調な出入りを繰り返していれば、いずれタイミングは合う。しかも相手は長谷川のパンチを受けてもどうということはないと思っているのだ。
3Rも5Rも右ジャブの打ち終わりを狙われた右のカウンターだが、あれだけ同じタイミングで踏み込んでいれば、合わせられるのも必然と言える。

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スピードが落ちたとか打たれ弱くなったというのももちろんあると思うが、この日に関しては動きが単調すぎて相手に読まれたというのが一番の原因だろう。

試合後半はかなりいい動きをしていた長谷川穂積。全盛期の動きを取り戻していたか?

ただ、6R以降の動きはよかったと思う。
ややディフェンシブに距離をとって右に回り、相手がカウンターを打てない位置取りを意識することでペースを掴むことができていた。
だいぶスロースタートではあったが、このラウンドがきっかけと言えばきっかけだったのだろう。

そして7R以降は完全に長谷川本来の動きが戻っていた。
相手の右に合わせた得意の左クロスも炸裂していたし、相手より後に打っても自分のパンチが先に届くほどのスピード差を見せつけることができていた。
相手の踏み込みに対してまっすぐ下がるのではなく、左にステップしながら距離をとるような足の運びも見られたし、試合後半は十分全盛期に近いボクシングだったと思う。

8Rの終了間際に見せた左のカウンターなど、かつてウィラポンからダウンを奪ったパンチそのものである。往年のファンはあのパンチにゾクゾクしたのではないだろうか。

さらに相手が圧力を強めてきた9R。
あのラウンドの長谷川は本当によかったと思う。この日一番の動きをしていたのがあのラウンドだ。
確かに有効打は少なかったが、カルロス・ルイスの強力なパンチをクロスで迎撃するシーンが随所に見られたのもこのラウンドである。
前に出ようとするカルロス・ルイスだが、長谷川の動きの速さにどうしても最後の一歩が出ない。ポイント的には微妙なラウンドだが、動きそのものはこの試合の中でも最高のものだったと思う。

あれだけの動きを初回からできていれば、ここまで僅差の試合にはならなかったのではないだろうか。まあ、相手の動きを見切るまでに5Rを擁するほど相手が強かったとも言えるのだが。

最終10Rに入ってようやく相手の弱点がボディだということに気づいたようだが、これはさすがに遅すぎた。もっと早いラウンドからボディを中心に攻めていけばKO勝ちもできたのかもしれないが。

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結果的には95-94、95-93、96-93の3-0で長谷川穂積の勝利

今回の試合を見た僕の感想としては「長谷川穂積はまだ終わってない」である。
繰り返しになるが、試合後半の動きは本当にすばらしかった。あれだけの動きができるのであれば、まだまだ十分トップ戦線に食い込めるのではないだろうか。

しかも身体の大きい上の階級の選手を相手にあれだけの動きができたのだ。精神的にどうかわからないが、ボクシングの実力だけで言えばここで立ち止まる必要はないように思える。

世界タイトル挑戦までにはもう1試合挟むとの話だが、果たしてどうなるだろうか。今後も長谷川穂積の最終章に注目である。

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ちなみに長谷川穂積の父親を初め、「即引退してほしい」という声はかなり多いことは確かで、次回はその点について自分なりの意見を書いてみようと思う。

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