クリチコに勝ったタイソン・フューリーがおもろすぎる件ww ここまで全方位的に隙だらけなヤツだと逆に気になるぞ

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海辺の夕焼け
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クリチコ陥落。タイソン・フューリーに判定で敗れ、11年ぶりの黒星。

2015年11月28日にドイツのデュッセルドルフで行われた世界ヘビー級タイトルマッチ。3団体統一王者のウラジミール・クリチコが、挑戦者のタイソン・フューリーに0-3で判定負けで11年ぶりの黒星を喫した。

「タイソン・フューリーさんは何をなさりたいんですかねぇww」

サイズで圧倒してきたクリチコがまさかのサイズ負け……

クリチコが負けた。
実に11年ぶりの黒星である。

「ワイルダーがスピルカを衝撃KOで下して防衛成功!! ヘビー級戦線注目のワイルダーがスピーディな挑戦者に引導を渡す

試合内容としては完全にサイズ負け。
自分の体格の優位性を活かして勝ち続けてきたクリチコが、自分よりも大きい相手に距離で負けた試合だった。
絶対王者のクリチコも39歳。確かに衰えもあったのかもしれない。フューリーのスピードについていけないシーンが目についたし、フットワークでは完全に負けていた。

「ジェシー・バルガスvsサダム・アリ予想!! 期待のサダム・アリが初のタイトル挑戦!!」

ただ、どちらかといえばそれは副次的な要素で、やはり自分より大きな相手に距離の長さで負けたというのが正解だろう。
 
「新旧超人対決クリチコvsジョシュア予想。ヘビー級最強決戦の行方は? ジョシュアはクリチコに引導を渡せるか?」
 
守りを重視した後傾姿勢で出すパンチには威力も迫力もなく、しかもその体勢でもフューリーのパンチが先に当たるという状況。
見上げるほどの体格を持った相手に対して何とか前に出ようとするものの、完全にプレッシャーに気圧されて踏み込んでいけないクリチコにははっきり言って勝ち目はなかった。

つまり、これまで数多くの相手を苦しめてきた自分のスタイルをそのままフューリーにやられたのである。

「長谷川穂積、カルロス・ルイスを迎えての再起2戦目をクリアできるか?」

もしかしてクリチコやばくないか? と思っていたらホントにフューリーが勝っちゃった

後だしになってしまうのだが、実はこの試合、ひょっとしたらクリチコはやばいのではないかと思っていた。
柔らかい動き。クリチコを超える体躯。そして大きな身体に似つかわしくないフットワーク。タイソン・フューリーの体格とボクシングスタイルを一目見て「これはクリチコは苦戦するかもしれない」と感じたのだ。
さらに、ここ数試合で見られたクリチコの衰えもあり、ひょっとしたらがあるかもと思っていたのである。

とはいえ、まさか本当にクリチコが負けるとは考えていなかった。苦戦するかもしれないとは言ったが、最後は結局クリチコの判定勝ちだろうと予想していた。

しかし、そのまさかが起きてしまった。

以前の記事で「ボクシングという競技は高身長の人間が最低限のスピードで動ければ絶対勝てる」と申し上げたことがある。
そして、クリチコは人間がパワーとスピードを最高水準で両立できる限界ギリギリに近い肉体を持っているとも申し上げた。
ヘビー級のボクサーをも見下ろすほどの高身長、打ち下ろし一発で相手をマットに沈めるだけのパワー、そして最低限のスピードを兼ね備えた完全無欠のボクサーであると言いきってしまっている。

「メイウェザーとクリチコはボクシングを終わらせた? 結局、格闘技の基本は防御である」

だが、違った。
タイソン・フューリーはクリチコよりも大きく、クリチコよりも動けるボクサーだった。クリチコの体格こそ、人間がパワーとスピードを維持できるギリギリのラインだと考えていたが、フューリーはその上をいっていた。
これだけデカい身体ではクリチコ相手に12R動き回れるわけがないと思っていたが、その予想も外れた。クリチコをさらに凌ぐサイズを持て余すことなく、フューリーはフルラウンド動ききってみせたのである。

「ジェイコブス、クイリンを瞬殺!! 初回の壮絶ラッシュでTKOに下し、見事防衛成功」

クリチコに勝つには、クリチコよりもさらにデカい選手が距離の違いで勝つしかない。だが、あれ以上大きなサイズではまともにフルラウンド動くことはできない。つまり、理論上クリチコに勝つのは不可能。

僕の中ではこう結論が出ていたのだが、今回のタイソン・フューリーがそれを見事に覆してくれたのである。

「パレナスよ、井上尚弥をダウンさせろ!!」

眠気との戦いに終始したヘビー級の統一戦

今回の試合、かなり注目はしていたのだが、勝敗予想するのは止めておいた。
先ほど申し上げたとおりクリチコの苦戦は十分考えられたし、予想が難しかったというのはある。
だが、一番の理由は「この試合は絶対つまらない」と思ったからである。

これまでのクリチコの試合、そして何試合か見たタイソン・フューリーの試合。
この2人が試合をしても絶対おもしろくはならん。確実に眠気に襲われる。そう思ったのだ。

「アブラハム、マーティン・マレーに判定勝利で防衛成功!! 攻防分離型のカウンターパンチャーは今日も健在だったぞ」

結果的には本当にその通りだった
勝敗は予想外だったが、試合自体は予想通り。ほとんどエキサイトすることのない退屈なものであった。
見る人が見ればそんなことはないのかもしれないが、少なくとも僕には大男2人がお互いのパンチを過剰に警戒し合い、距離が近づくたびにクリンチするという退屈極まりないものだった。

「アンソニー・ジョシュアがチャールズ・マーティンに圧勝!!」

たとえば1R、2Rを見て、中盤をすっ飛ばして10Rから見てもまったく一緒。同じような光景が延々と繰り返される、まばたきし放題の子守唄のような試合と言えば言い過ぎか。
とにかく試合をしている当人同士と同じくらい、僕は画面の前で壮絶な戦いを繰り広げていた。瞼の重みとの

しかもダイレクトリマッチ?
勘弁してくれよ。

「バルテレミーがシャフィコフに判定勝ち!! IBFライト級王座獲得で2階級制覇!!」

もう一度やってクリチコに勝ち目なぞあるのか?
11年間築き上げた自分のスタイルを今さら変更できるものなのか?
また足を使われて遠い距離からペチペチ、近づいたらクリンチの繰り返しで終わりじゃないのか?
フューリーが調整を失敗するか、色気を出して倒しにいかない限りクリチコに勝ち目は薄いように思えるが。

「ヘビー級No.1候補ジョシュアがデカイだけの人ブリージールを屠って勝利!! そりゃそうだろ」

絶望的に試合はつまらないけど、人間としてはおもしろいぞタイソン・フューリー

クリチコを下して新王者となったタイソン・フューリーのスキャンダルが止まらない。
歯に衣着せぬ発言というより、デリケートな問題に無遠慮かつ不用意な発言を繰り返して自ら墓穴を掘っている印象だ。

・禁止薬物を合法化してみんなでドーピングするべき
・試合中にボードを持って歩きまわるラウンドガールは最高だ
・女性の最高の居場所は台所、そして寝る所
・悪魔が帰還するために必要な3つの条件は「同性愛の合法化、中絶、小児性愛」。1950~60年代に最初の2つが合法化されるなどと考えた人がいただろうか

やらかしまくりである。
 
「ジョシュアがクリチコを粉砕!! 圧倒されながらも逆転勝利。怪物元王者を沈めたジョシュアの次戦はクリチコ再戦か、フューリー戦か」
 
この男の主張が絶対間違っているとは言わないが、こんな発言をしたらどんなことになるかくらいわかりそうなものだが。曲解されているのかもしれないが、絶望的に想像力が足りないと言うか、あまりに不用意過ぎる。

「ウォータースがソーサにまさかのドロー!! S・フェザー級転向初戦で連勝ストップ」

チャンピオンになって注目が集まったおかげで顕在化したのか、クリチコに勝って調子に乗ってしまったのか、もしくはその両方なのかはわからないが。
たとえ本音では思っていたとしても、公の場で口に出すのがまずいことくらいはわかりそうなものだが。

嫌いじゃないけどな!!
個人的に、こういう「言っちゃう」ヤツは嫌いじゃないww

せっかくクリチコに勝つという快挙を成し遂げたのに、その直後にこういう発言をしてしまううかつさ、思慮の足りなさ。
引っ込みがつかなくなったのかはわからないが、「この考えを変える気はない」「みんなが俺に憧れている」と言い切ってしまうふてぶてしさ。

デリケートな部分の境界線がわからない人間性はバカバカしくもあり、はっきり言って憎めない。
基本的にスポーツ選手の人間性にはまったく興味がないのだが、こういう「ちょっと抜けてるヤツ」は好きだ。

どうもスポーツ選手に聖人君子であることを求める人が多いように思えるのだが、僕は正直どうでもいいと思っている。
ボクシング界の顔であるヘビー級のチャンピオンには強さだけではなく尊敬される人格も必要だと言われることに対しても「別に?」という思いしかない。

スポーツ選手に人格を求めること自体あまり意味がないと思っている人間なので、誰がどんな発言をしようが、奇抜なパフォーマンスをしようがリング上で実力を示せばそれでいいんじゃね? という感想しか出てこないのである。

だが、このタイソン・フューリーのように本能のままに突き進むタイプは、逆に気になるww

見ていて不快であるとか性格が悪いとか、そんなことはどうでもいい。「これから何をしてくれるんだ? こいつはどこに向かってるんだ?」というワクワクとハラハラの方がはるかに強いのである。

タイソン・フューリー。
11年間負けなしの絶対王者に勝つという快挙を成し遂げたばかりでさっそく迎えた大ピンチ。この状況をどう収束させるつもりなのだろうか。

そのうちメンタルが折れて、涙ながらの謝罪会見という流れまでがワンセットだろうか。
このまま強気をごり押しすれば問題が大きくなるだろうし、どこかで対策を打ってくるとは思うが、その動向にも注目である。

試合よりもはるかにおもしろいと言ったら悪趣味か?

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