フューリーvsワイルダー3。ポイント計算すら無粋な規格外バトル。ヘビー級だけは別枠であるべき。神々のお戯れに不純物はいらない()【結果・感想】

フューリーvsワイルダー3。ポイント計算すら無粋な規格外バトル。ヘビー級だけは別枠であるべき。神々のお戯れに不純物はいらない()【結果・感想】

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2021年10月9日、米・ネバダ州ラスベガスで行われたWBC世界ヘビー級タイトルマッチ。同級王者タイソン・フューリーに前王者デオンティ・ワイルダーが挑戦し、フューリーが11R1分10秒でKO勝利。第3戦目にして完全決着を果たした一戦である。
 
 
2020年2月以来3度目の顔合わせとなった今回。
 
開始直後から身体を大きく伸ばしてボディに左を打ち込むワイルダー。
対するフューリーは前回同様一回り大きな身体で圧力をかけるが、ワイルダーのボディ、ワンツーによってなかなか近づくことができない。
たびたび押し込まれてロープを背負わされるなど、万全の対策を練ってリングに上がったワイルダーを攻めあぐねる。
 
だが、2R後半から徐々にフューリーが前進し、ワイルダーを押しつぶすようにロープ際まで押し込むシーンが増える。
3Rにはワイルダーにロープを背負わせたところから右フックをヒット。この試合最初のダウンを奪う。
 
ところが続く4Rにはワイルダーの右がさく裂。
ガードの外側からフューリーの顔面を打ち抜き、試合の流れを一気に引き寄せる。
 
さらに立ち上がったフューリーに追撃の右を浴びせて2度目のダウンを奪ったワイルダー。これで勝負ありかと思われたが、驚異的な回復を見せるフューリーは次のラウンドから何ごともなかったかのように動き回る。
 
一方のワイルダーは6R以降徐々に失速。疲労困憊のまま10Rにフューリーの右フックでダウンを喫し、続く11Rにも同じ右フックで崩れるようにダウンし万事休す。
 
11R1分10秒。両者合わせて計5度のダウンの応酬の末、激闘を制したフューリーが初防衛に成功した。
 
カネロvsプラント4団体統一戦キター。プラント健闘もあり得る? かも? カネロの圧力にビビらずどこまで左が機能するかかな
 

興味のない、やる必要もない第3戦目だけど一応の展望を

タイソン・フューリーvsデオンティ・ワイルダーの第3戦目。
 
以前から何度も喚いているが、僕はもともとこの試合にあまり興味が持てずにいた。
交渉、駆け引きばかりでちっとも試合が決まらない展開の遅さに呆れかえっていたのはもちろん、2戦目で完全に決着がついた組み合わせをもう一度やる意味が理解できない。
 
旬を逃したヘビー級の最後っ屁でビジネス()に励むボクシング界に心底しょーもなさを感じていた次第である。


で、ファイトマネー以外にどんな意味があるの? という第3戦の展望を激低なテンションのまま考えてみたわけだが……。
 
まずタイソン・フューリーは何かを変える必要はない。
前回あれだけ完璧な試合運びで勝利したのだから、今回も同じことを淡々と繰り返すだけでいい。
コンディション調整さえミスらなければ十中八九勝ちは動かないだろうと。
 
じゃあ、ワイルダーはどうするの? という話。
 
遠い位置での差し合いで上回られ、近場では体格差とクリンチの巧さ、ショートパンチの精度で圧倒された。
 
一撃必殺の右があると言ってもあそこまで攻略されたらやりようがないんじゃないの?
かろうじて可能性があるとすれば、体力のある前半にフルスロットルで攻めて右をぶち込むくらいか?
 
あんまり興味ないけど。
 
 
そして、前日計量後の記事が下記。
 
「王者フューリーが地獄の墓掘人ハットで計量パス 10日にWBCヘビー級戦」
 
フューリー(277ポンド)、ワイルダー(238ポンド)ともに過去最重量で計量をパスしたとのこと。
 
ほほう、なるほど。
ワイルダーの増量は理解できるが、フューリーが増量した意味は?
何か根拠があってのことなのか、それとも不摂生によるものなのか。
 
仮に後者だった場合、ワイルダーにもワンチャン可能性がある? かも?
 
あんまり興味ないけど。
 

完全無欠のフューリーの唯一の懸念材料はムラっけの多さ。過去一の増量が不摂生によるものだとしたら…

第2戦目での完璧な勝利により、僕の中では“史上最強のヘビー級”に位置付けられたタイソン・フューリー。
2mオーバーのサイズでハイウエスト。めちゃくちゃ動ける上にリングIQも高い。完全無欠とも言える強さを見せつけたわけだが、唯一懸念材料があるとすれば精神面からくるムラっけの多さだろうか。
 
ワイルダー陥落! フューリーがヘビー級史上最強でいいよな。オラが町のごんたくれは“パーフェクトな2秒”を与えられず
 
過去「ボクシングは好きではないが、稼げるからやっているだけ」と豪語したり、ビッグマッチの直前に謎の引退を発表したり。
復帰直前のブヨブヨな身体つきを含め、精神面の不安定さがモロに影響するのがこの選手の特徴である。
 
・締結間近? だったジョシュアとの頂上対決が突然ポシャった
・そのジョシュアがクルーザー級上がりのウシクにコロッと負けた
・前回完全勝利したワイルダーとの第3戦を強いられる
 
今回に限って言えば、フューリーのテンションがダダ下がりになる要素は満載である。
 
この増量が不摂生によるものだった場合、ワイルダーにもマジでチャンスが生まれるかもしれん。
それこそ試合後半にガス欠を起こしたところでワイルダーの1発が火を噴くパティーンも……。
 
 
9割方フューリーの勝ちは動かない。
かろうじてワイルダーが勝機を見出すなら前半。
ただ、フューリーの増量が不摂生によるものならワイルダーの後半KOもあり得る?
 
あんまり興味ないけど。
 
僕の展望としてはだいたいこんな感じである。
 

山ほど研究してきたワイルダーと、前回とほぼ同じのフューリー。前半はワイルダーの作戦がハマった

だいぶ前置きが長くなったが、実際の試合について。
 
まず今回の試合、ワイルダー陣営がめちゃくちゃ研究してきたというのが率直な感想である。
 
体格差に飲み込まれた前回を受けての過去一の増量。さらに開始直後の身体を目いっぱい伸ばしたボディの多用はフューリーを近づかせない、意地でもロープに詰まらないという思いが感じられた。
 
ロープ際でうまく身体を入れ替えたり、力感のないワンツーを打ったり。
これまで比較的力任せで大雑把だった動きにも洗練さが加わっていた。
 
そして、そのすべては右をぶち当てるための伏線。
スペースのある位置で必殺の右を思い切り振り抜くために山ほど研究を重ね、自分の持ちネタを総動員した上で試合に臨んだことがよくわかる立ち上がりだった。
 
 
対するフューリーは基本的には前回と同じ。
 
遠間ではワイルダーのワンツーがギリギリ届かない位置で対峙し、カウンターをチラつかせながらプレッシャーをかける。
そこから一気に距離を詰め、ワイルダーのスウェイに合わせて上から覆いかぶさるように体重を預ける。うまく近距離を作れれば、さらに強引に押し込みショートのパンチで削る流れ。
 
極力中間距離には留まらず、近場では体格差、物量の差で圧殺する。
クリンチ際では頭をグリグリ押し付けつつリング中央では上からヘッドロック。ワイルダーに腰の入った態勢を取らせない狡猾さも健在だった(さすがに身体は少し重そうだったけど)。
 
 
だが、申し上げた通り序盤からワイルダーが距離をキープする戦術が機能したせいで、前回に比べて攻めあぐねるシーンが目についた。
 
井上岳志vsティム・チュー11月に!! こうなったらチューをぶちのめして「井上違いだよhahaha」とかほざいてるヤツらを全員黙らせちゃえよ
 

体力のある前半にすべてをかけたワイルダーの作戦は成功した。フューリーの超人的な回復力さえなければ

恐らくだが、今回のワイルダーは前半勝負を目論んでいたのだと思う。
 
過去一で体重を増やして当たり負けしない身体を作り、1発1発に力を込めてフューリーを遠い位置に釘付けにする。
で、スペースができたところで必殺の右をズドン。
 
増量したとは言っても20kg近く重いフューリーとの正面衝突では不利なことには違いない。
その差を埋めるために1発1発に力を込めつつ、序盤から身体を目いっぱい伸ばした左をボディへ。一回り大きい相手にこんなことをやっていればすぐに体力は底をつく。
 
どのみち長丁場になれば体力お化けのフューリーには歯が立たない。
勝負をかけるなら前半という覚悟? がワイルダー自身にあったと想像する。
 
 
そして、実際にその作戦は成功していたわけで。
 
3Rにダウンを喫したものの、まだまだ腕は振れるし1発の威力も落ちていない。
初回のボディ連打→ワンツーにより、フューリーに警戒心も植え付けた。
練習を重ねてきた分、ロープ際でのもみ合いもどうにかなっている。
 
その流れで迎えた4R。
直前のフルスイングによってフューリーの踏み込みがわずかに鈍ったところにワイルダーの右がクロス気味にさく裂!!
たたらを踏むようにフューリーが前のめりにダウンを喫する!!
 
再開直後、リング中央でもみ合う両者。
ところが足に力が入らないフューリーは思ったようにクリンチにいけない。
わずかなスペースができた瞬間、ワイルダーの右打ち下ろしがテンプルにヒットしフューリーが2度目のダウンを喫する。
 
 
開始直後から全力でフューリーの圧力を受け止め、早い段階で必殺の右をぶち込む。
ワイルダー陣営の作戦はパーフェクトに近い形で成功したと言っていい。
 
フューリーの超人的な回復力を除けば。
 
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ワイルダーの右が一撃必殺ではなくなっていた。初戦の最終Rにしれっと立ち上がった時点で結論は出ていた?

マジな話、フューリーのあの回復の速さはどう考えてもおかしい。
 
3Rのダウンを最後まで引きずったワイルダーに対し、4R終盤に2度のダウンを喫したフューリーは続く5Rには普通に動いていた。多少足の運びはおかしかったものの、疲労困憊のワイルダーとは雲泥の差。6R開始直後にはほぼ元に戻っていたと言っていい。
 
で、最終的には「ちょっと遊んだか?」というくらいの余裕を持ってのKO勝利である。
 
 
体重差によってワイルダーのパンチの効きが悪いのか。
フューリーの柔軟性ゆえのものなのか。
サイズ的にワイルダーのパンチが打ち下ろしにならないからなのか。
 
様々な要因があるとは思うが、要するにワイルダーの右が一撃必殺ではなくなったことがすべてだろうと。
 
どんな劣勢でも右の1発ですべてを覆してきたワイルダー。
42勝のうちKO勝利が41と、破壊力、天才的な当て勘に文句をつける部分は見当たらない。
 
だが、唯一タイソン・フューリーだけはこの右でも倒しきれていない。
 
初戦の最終Rと今回の4R。必殺の右を計3度食らったフューリーはそのすべてを耐えきってみせた。
 
もしかしたら、初戦の最終Rに完全に失神したと思われたフューリーがパチッと目を開け、「おお、いかんいかん」と立ち上がった時点でいろいろな答えが出ていたのかもしれない。


 

全階級の中でヘビー級だけは別枠。神々のお戯れを我々凡俗は黙って眺めていればいい

表題の通りだが、今回のような試合を見せられると改めてヘビー級だけは別枠だなと思わされる。
 
散々「興味がない」「旬を逃した」「3戦目をやる意味がわからない」「ワクワクしない」と喚き続けた+リアルタイム視聴すらしていない僕だが、それでも今回の試合はおもしろかった。
 
ヘビー級史上最強(僕認定)のフューリーの完璧に近い強さはもちろん、絶望的な状況でも最後まで折れなかったワイルダーの精神力、意志の固さは文句なしに素晴らしい。
 
エキサイトマッチの実況が言うには、今回のワイルダーは絶対にタオルを投げない約束をトレーナーと交わしていたとのこと。
それが正しいかどうかはともかく、10R終盤の最後の力を振り絞ってのラッシュは心動かされるものがあった。
 
それこそポイント計算すら無粋に感じるほどの規格外なバトルだったと断言できる。
 
 
全17階級(ブリッジャー級を入れれば18階級?)で唯一体重制限のないヘビー級。
減量苦でスッカスカなヤツもいなければ、90kg以下のチビどもには足を踏み入れることすら許されない。PFPランキングも関係ない。
 
聖域とも言えるこの場所で史上最強(僕認定)を誇るタイソン・フューリーこそ、まさしく神と呼ぶにふさわしい。
 
これは我々のような凡俗が口を出せるような戦いではない。
おとなしく現世に降臨した神々のお戯れを崇め、奉っていればいいのである。
 
 
そういう意味でも、アンソニー・ジョシュアは何があってもオレクサンドル・ウシクに負けてはいけなかった。
 
ウシクがジョシュアを翻弄して偉業達成。凄まじい勝利なのはもちろんだけど、ウシクがちっとも僕の視界に入ってこない…。ヘビー級の不純物
 
クルーザー級王者がヘビー級王者を倒すロマン、元金メダリスト対決云々も知ったこっちゃない。
 
選ばれし者のみが立ち入ることを許された領域に不純物を混入させた罪は神々への冒涜と言えるほど重いのである(ウシクに興味がないだけ)。
 
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