矢吹正道vs拳四朗再戦。不毛な再戦に駆り出される矢吹を応援せざるを得ない。拳四朗は実はデカくて動ける人【予想・展望】

矢吹正道vs拳四朗再戦。不毛な再戦に駆り出される矢吹を応援せざるを得ない。拳四朗は実はデカくて動ける人【予想・展望】

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2022年3月19日に京都で行われるWBC世界L・フライ級タイトルマッチ。同級王者矢吹正道に前王者でランキング1位の寺地拳四朗が挑戦する試合である。
 
拳四朗の接近戦で矢吹正道陥落。そりゃ序盤から倒しにくるよ。ガードを上げた拳四朗を初めて観た。不必要な再戦を強いられた矢吹の不憫さ
 
この両者は2021年9月に対戦し、10RTKOで矢吹が勝利。8度防衛中の安定王者を下す大金星を挙げている。
 
ところが試合後に寺地陣営が矢吹のバッティングを故意ではないかと訴えたことにより、WBCからダイレクトリマッチの指令が出る異例の事態に。
 
ボクシングファンの間でも議論となった初戦を受けての再戦となる。
 
 
また前回は「カンテレドーガ」での有料配信が話題になったが、果たしてこの試合はどうなるか。
2021年12月の井上尚弥vsアラン・ディパイン戦の配信が4950円(税込)ながらも一定の成功を収めたこともあり、今後のボクシング中継のあり方にも注目が集まる。
 
井上尚弥はタイ人が苦手←案外ガチだと思う。アラン・ディパエンに8Rまで粘られる。武居由樹の超絶バランス感覚。今村和寛に1RKO勝利
 

矢吹vs拳四朗再戦正式発表。どちらが強いかではない、もはやどちらの言い分が正しいかを決める試合になっちゃってる

矢吹正道vs寺地拳四朗。
 
前回の試合後のゴタゴタがこじれまくった挙句、3月19日に再戦が行われることが正式発表されたわけだが。
 
 
まず申し上げておくと、僕はこの再戦にいまいち納得していない
前回は矢吹のTKO勝ちで文句はなく、たとえ再戦するにしてもダイレクトリマッチである必要性はまったく感じない。
 
 
試合後の両陣営の動きもそこまでおかしかったとも思わない。
 
問題になった矢吹のバッティングだが、試合を観直すと拳四朗がKO寸前まで追いつめた9Rの場面で起きていることがわかる。
 
ポイントでリードを許した拳四朗が自ら距離を詰め、真っ向からの打ち合いを挑んで迎えた9R。
疲労とダメージが蓄積した矢吹は見るからにフラフラの状態。あと一押しで倒れるのでは? という段階で拳四朗の顔面にゴッツン。
あの1発で拳四朗の動きはピタッと止まったし、直後の失速も明らか。アレがなければあのまま拳四朗がKOしていたとさえ僕は思っている。
 
もっと言うと、10Rにロープ際で矢吹に押し倒された場面もそう。
直前まで拳四朗は矢吹を激しく攻め立てており、もう少しでレフェリーストップか? という段階まできていた(と思う)。
 
なので、あのバッティングが故意だったかどうかの検証、バッティングを有効打とした誤審に対する反省は至極当然である。
一部から拳四朗陣営がゴネて強引に再戦までこぎつけたという声も聞こえてきたが、別にそこまで大げさなものでもない。
 
で、検証の結果「バッティングは故意とまでは言えない」という結論が出たのならそれでええやんけと。
僕は矢吹の中に「当たれば儲けもん」という思いが何割かはあったと思っているが、違うというのであれば異論を唱える気もない。
そもそも「わざとだったとして何がいかんの?」という話でもあるのだが。
 
拳四朗陥落。矢吹正道に10RTKO負け。舐め腐ったことをすると因果が巡るってことだろな。矢吹はガチのタマの取り合いができるヤツ
 
・バッティングは次から気をつけましょう
・誤審に関しては何か対策を考えましょう
はい、おしまい。
 
だと思っていたら……。
 
まさかの再戦決定。
 
これはもはやどちらが強いかではない。“どちらの言い分が正しいか”を決めるための試合と化している。
 
要するに僕の中では非常にモヤッとした再戦発表だったことをお伝えしておく。
「今度こそすっきりした決着を」と言われても、いや前回で十分すっきりしとるわ。みたいな。
 
と同時に今回ばかりは理不尽に再戦に駆り出される矢吹を応援せざるを得ない。
 

前回は矢吹が拳四朗をよく研究してきていた。軽量級離れしたサイズと思い切りのよさで前半を支配

再戦に際して前回の試合をもう一度観直してみたところ、改めて思ったのが矢吹が拳四朗をめちゃくちゃ研究していたということ。
 
フットワークとジャブを駆使したアウトボクシングが得意な拳四朗だが、その分手の位置は低く防御はサイドや後方へのステップとダッキングがほとんど。
腕を上げて顔面を隠すシーンは皆無と言っていい。
 
そして、これまではそのスタイルで十分圧倒することができていた。
 
要するにヘビー級のタイソン・フューリーと同様“デカくて動ける人”というヤツ。
身長164cmながらも40kg台までの減量が可能で、なおかつ試合当日も持ち前の機動力、フィジカルを維持できる。同体格の相手が少ないL・フライ級だからこその長期政権だったのだろうと。
 
フューリーvsワイルダー3。ポイント計算すら無粋な規格外バトル。ヘビー級だけは別枠であるべき。神々のお戯れに不純物はいらない()
 
ところが前回の矢吹正道はひと味違った。身長166cm、リーチ166cmと拳四朗よりもさらに大柄で身体の強さもある。1発1発の思い切りのよさ、上体を目いっぱい伸ばして打ち込むストレートの伸びは拳四朗の想定を完全に超えていた。
 
矢吹本人も自身の長所を自覚していたのだと思うが、初戦ではそのサイズを活かしたカウンターと逆ワンツーがとんでもなく機能していた。
 
遠間ではガードを上げてどっしり構え、拳四朗のジャブに合わせてカウンターの右を被せる。
中間距離ではいきなりの逆ワンツー。矢吹の長いリーチ、伸び上がるように打ち込む右は拳四朗のアウトボクシングを楽々踏み超えていく。
 
また、要所で打ち出す左リードはどことなく薬師寺保栄っぽさがあり、連打型の拳四朗とは別種の的確さを感じさせる。
 
序盤4Rがすべて矢吹のポイントだったか? と聞かれると何とも言えないが、
・矢吹の研究の成果がふんだんに発揮されていた
・拳四朗が実はデカくて動ける人だった
ことがよくわかる立ち上がりだったなと。
 

再戦では拳四朗が序盤から倒しにいきそう。手の届く位置での打ち合いでは拳四朗が一枚上かな?

そして再戦についてだが、今回の拳四朗は早い段階から倒しにくると予想しておく。
 
前回は持ち味のジャブがポイントにならずに5Rから慣れない打ち合いを強いられたものの、純粋な戦闘力では矢吹を上回っていたように思う。
 
申し上げたようにこの選手はガードをほぼ使わないために近い距離ではどうしても被弾が増える。
矢吹ほどの思い切りのよさ、サイズを兼ね備えた相手が初体験だったこともあり、5R以降もポイント的には一進一退の状態が続いた。
 
だが、それでもダメージを与えていたのは拳四朗の方。
矢吹も薬師寺ばりのジャブや逆ワンツー、カウンターを駆使してヒットを重ねていたが、9Rの時点でだいぶグロッキーにさせられていた。問題となったバッティングがなければ拳四朗がKOしていたのでは? というほどに。
 
何だかんだでお互いの腕が届く距離では拳四朗が一枚上なのだろうと。
 

勝敗予想は拳四朗の9RKO勝利。矢吹はもう一段底を見せられるかどうか。前回ですべて出し切った感じもするんだよな…

今回の見どころとしては、矢吹にもう一段底があるかどうかではないか。
 
 
初戦の矢吹は拳四朗を十分に研究した上でリングに上がり、それを見事に実践してみせた。
 
と同時に、すべてを出し切ってしまった印象も……。
試合後に引退を真剣に考えていたようだし、準備してきたものを出せた満足感は間違いなくあったのだろうと。
 
持てる力をすべて出した上で後半にはKO寸前まで追い詰められた。そう考えると、しっかりコンディションを作った状態で序盤から倒しにくる(はずの)拳四朗を跳ね返すのはかなり難しい作業になりそう。
 
 
拳四朗が前回以上に仕上げてくれば断然拳四朗有利。
矢吹が勝機を見出すには前回以上の“何か”を発揮する必要がある。
 
どちらにしてもKO決着の可能性が高いとは思うが、どちらが勝つかと聞かれればやはり僕は拳四朗と答える。
 
というわけで、今回は拳四朗の9RKO勝利を予想しておく。
 
応援するのは矢吹だけど。
 
ノニト・ドネアの次戦以降を予想(希望)してみる。ドラマ・イン・サイタマ2はあまりそそられないし、カシメロの停滞が邪魔で仕方ないw
 

改めて矢吹の条件が厳しすぎる。一期一会の勝負をノーカンにされる理不尽さ。あの思い切りのよさが消えなければいいけど

しかし、改めて今回は矢吹側の条件が厳しすぎる。
 
初戦で矢吹が勝利した主な要因は
・矢吹の射程の長さ、思い切りのよさが拳四朗の想定を超えていた
・矢吹が拳四朗をよく研究してきていた
・逆に拳四朗は防衛回数を焦るあまり矢吹の戦力を見誤った
ことが大きいと思っている。
 
さらにレフェリーがラフファイトに寛容だったこと、拳四朗のコロナ感染による2週間の延期が矢吹側にプラスになったことが重なり、安定王者が陥落する事態が発生した。
 
要するに両者が初遭遇だったことが矢吹に有利に働いたわけで、勝負は完全に一期一会だったと言える。
 
ところが今回の拳四朗は矢吹の戦力、作戦をある程度インプットした状態で対策を立てることが可能。
日本人ジャッジがあまりジャブを評価しないこともわかった。
防衛回数にこだわる必要もなくなり、じっくりコンディションを整えてリングに上がることもできる。


逆に矢吹は丸裸に近い状態でリングに上がり、なおかつ勝利にはプラスアルファが必須。
 
ところがゴタゴタがあった分、向けられる視線は確実に厳しいものになる。
その結果、持ち前の思い切りのよさに躊躇が生まれる可能性すらも……。
 
少なくともレフェリングに関しては前回よりもはるかに厳しくなることが予想される。
 
本人は「今回も気にせずガンガンいく」とコメントしていたが、それでもどこかでブレーキがかからないとも限らない。
 
「王者は試合を重ねるごとに研究される」「それを乗り越えてこそ」なのはもちろんだが、少なくともあれだけきっちり勝負がついた試合でダイレクトリマッチというのは……。
 
考えれば考えるほど矢吹の大金星がノーカンにされているようで「何じゃそりゃ」という思いが止まらない。
 
 
せっかくマッチルームとの契約が決まりかけていたのに、それも破断? 保留? になったみたいだし。
 
ジョナサン・ゴンサレス初戴冠。ソト陥落は普通にあり得た結果か。矢吹正道がマッチルームと契約。拳四朗側から興行権も買い取る太っ腹
 
反則ギリギリのラフなファイトも偶然のバッティングも誤審も全部ひっくるめての勝負ですからね。
前回はせっかくその部分におけるプロフェッショナルを両選手が見せてくれたのに。
 
バッティングが故意かどうか、それを有効打としたのが誤審だったかの検証、反省が済んだのなら「はい、おしまい」でよかったんだよ。
 
普通に「次からは気をつけましょうね」でいいのに、何で「おるあぁぁぁ!!! 再戦じゃああああぁぁぁ……!!!」になっちゃうんだよw
 
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