拳四朗vs久田哲也感想。久田には厳しい試合だったな。拳四朗攻略には待っちゃダメなんだろう。そして改めて具志堅用高の偉大さ【結果・感想】

拳四朗vs久田哲也感想。久田には厳しい試合だったな。拳四朗攻略には待っちゃダメなんだろう。そして改めて具志堅用高の偉大さ【結果・感想】

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2021年4月24日、エディオンアリーナ大阪で行われたWBC世界L・フライ級タイトルマッチ。同級王者寺地拳四朗にランキング1位久田哲也が挑戦し、3-0(119-108、118-109、118-109)の判定で拳四朗が勝利。約1年4ヶ月ぶりのリングで見事8度目の防衛に成功した一戦である。
 
 
開始直後から持ち前のフットワークとジャブでリングを旋回する拳四朗に対し、挑戦者久田はガードを高く上げてじっくり待ち構える。
時おり拳四朗のジャブがガードの間を通って久田の顔面を跳ね上げるものの、全体的には静かな立ち上がり。
 
続く2Rに入ると、序盤から久田が積極的に前に出てプレッシャーをかける。
拳四朗もバックステップからジャブのリターンで迎撃。久田を自分の距離に入らせない。
 
そしてラウンド中盤。
鋭い踏み込みから放った久田の左に拳四朗がサイドに動きながら右をカウンターで合わせる。
この1発で久田が尻餅をついてのダウン。
 
それ以降、一気にペースアップした拳四朗が次々に得意のジャブをヒットし試合の流れを掴む。
 
挑戦者久田も何とか突破口を見出そうと手を出し続けるが、最後まで拳四朗のフットワークを捉えられず。
試合はそのまま12R終了のゴングが鳴り、見事拳四朗が判定勝利を飾った。
 
 
なお、挑戦者久田哲也は試合後に現役引退を表明している。
 
西田凌佑すげえわ。比嘉大吾対策は堤聖也よりもはるかに上。比嘉はどこを基準にするかだろうな。相手を選んで王座戴冠を狙うか
 

久田には厳しい試合だったな。最初から最後まで拳四朗ペースが続いた

本来であれば2020年末に予定されていたこの試合。
ところが直前で拳四朗の不祥事が発覚し急遽試合は中止に。2021年2月に拳四朗の謹慎が開けたことにより、再度組み直されたのが今回の一戦である。
 
ただ、内容的には拳四朗の完勝としか言いようがない。
挑戦者久田も最後まで諦めずにがんばったが、何だかんだで王者の牙城は高かったというのが率直な感想である。
 
というより、当初からこの試合は拳四朗が絶対優位と言われており、久田にとってはかなり厳しい戦いになることが予想されていた。
 
僕自身も久田のがんばりには期待したいが、どちらが勝つか? と聞かれれば拳四朗と答えざるをえない。
久田が弱いとかではなく、ファイトスタイル的にこの両者はあまりに相性が悪過ぎる。
 
高山勝成がエルウィン・ソトに挑戦。どうせなら勝っちまえよ。ついでに京口にも勝っちゃえ。統一王者の最年長記録とかあんの?
 
だが前回の京口紘人との一戦を観ると、久田哲也という選手はめちゃくちゃ研究熱心なタイプ。
京口の特徴をうまく掴んだ試合運びを見せていたし、実際に序盤はあと一歩のところまで京口を追い詰めてみせた。
あの分析能力の高さがあれば、vs拳四朗でももしかしたら……。
 
その部分における久田の一発逆転に期待していたわけだが、残念ながらアップセットは起こらず。
最初から最後まで拳四朗ペースで試合が進み、ほぼ久田に勝機はなかったと言えるのではないか。
 

久田が勝つにはカウンターしかないと思っていたが…。アップセットは起こりませんでした

前回申し上げたように、僕がこの試合で久田が勝つにはカウンターの1発しかないと思っていた。
 
拳四朗vs久田哲也ついにやるってよ。久田の分析能力の高さなら一矢報いるかも? 拳四朗はとことんヒールに徹したらおもしろいけどなw
 
参考になりそうなのは、2018年末に行われた拳四朗vsサウル・フアレス戦。
あの試合のフアレスは拳四朗の踏み込みに合わせて自らも前に踏み出し、初弾の左リードと同時打ちでカウンターを狙いにいっていた。
さらにそのまま勢いをつけて身体を寄せ、近場でのもみ合いに持ち込む流れ。
 
これによって拳四朗は追撃の右を出すタイミングを奪われ、自分が手を出すたびにカウンターが飛んでくるせいでなかなか積極的に前に出られない状態が続く。
 
サイズ差、リーチ差に加えて1発1発の精度の差で惜しくも敗戦を喫したものの、ここ何戦かの中ではもっとも拳四朗を苦しめたと言えるのではないか。
 
今回の久田があの作戦を踏襲できれば、ひょっとしたら勝利の芽も生まれる? かも?
 
・拳四朗と同じリズムでのステップ
・拳四朗の顔面にパンチが届くくらいの踏み込み
・それを12R継続するスタミナ
 
無尽蔵の体力に加えてリスクも伴う作戦だが、冗談抜きで久田が勝つにはそのくらいの思い切りが必要になると思っていた。
 
 
だが、結果的にはアップセットは起こらず。
拳四朗のフットワークに翻弄されまくり、最終的には文句のつけようのないくらいの完敗を喫してしまった。
 

開始直後に「久田、これは厳しいかな」と思ったよね。拳四朗相手にブロック&リターンじゃ間に合わない

ガードを固め、上体を振りながらじりじりと前進。
微妙に腕を動かしながら左ジャブで牽制し、踏み込みのタイミングを測る。
 
ああ……。
やっぱりそれでいくのか。
 
正直、開始直後の久田を観て「これはちょっと厳しいかな?」と思ってしまったことを報告しておく。
 
 
防御を固めてブロック&リターンで距離を潰し、近場の打ち合いに巻き込む。
しつこく追いかけ回して拳四朗の足を止め、ロープを背負わせた状態でボディ、顔面に〜。
というのが久田陣営の作戦だったと想像するが、いや、それはちょっと難しいぞと。
 
久田の過去の試合を観ると、この選手が得意なのは間違いなく接近戦。
だが、残念ながら拳四朗のフットワークに追いつく足があるようには思えない。京口紘人戦のように距離の合う相手とはいい勝負ができたが、動き回る相手を追い込むほどのプレスは観たためしがない。
 
しかも、これは拳四朗対策として誰もが思いつく作戦でもある。
当然拳四朗もそれに備えてくるわけで、久田が自分の土俵で勝負するには拳四朗陣営のプランをさらに上回る必要がある。
 
 
時おり大きく踏み込んでの左をヒットしていたものの、そこから先が続かない。
拳四朗のバックステップについていくことができず、どうしても離れた間合いからやり直しを強いられてしまう。
 
いや、そうなんだよな。
拳四朗は1発もらうと無理に打ち合わずにサーっと距離を取る癖がある。
 
足を止めての打ち合いに応じる局面もあるが、今回のように追い足のない+パンチのある相手に危険を犯すことはほとんどない。相手に力が残っている序盤ならなおさらである。
 
山中慎介のような鋭い踏み込み+アホみたいに伸びる左を兼ね備えた選手にとってはああいうバックステップは絶好の的になると思うが、べた足のファイターが同じことをやるのは難しい。
 
繰り返しになるが、久田のような選手が拳四朗を攻略するには「ガードを固めて〜、被弾覚悟で前に出て〜」などとやっていては、あっという間に置いてきぼりを食ってしまう。
被弾覚悟で前に出ているうちに本当に被弾しまくり、後に引くダメージ(左目の眼窩底骨折)を抱えるという最悪のパティーンである。
 
カルロス・ゴンゴラめちゃくちゃいいw アムナットとかホプキンス的な巧さ。相手の嫌がることをやるって楽しいだろ? 不変のテクニシャンがピアーソンをKO
 

3R序盤の久田はよかった。拳四朗の初弾にカウンターを被せる。でも、可能性を感じたのはそこだけだった…

とは言え、3R序盤の久田はなかなかよかったと思う。
 
拳四朗のリズムに合わせて身体を揺らし、初弾のジャブにカウンターを被せる。
 
実際あのラウンドは拳四朗がなかなか連打に移行できずにいたし、わずかながらも久田に流れが傾きつつあった。
 
恐らく3Rの50秒過ぎあたりの左で眼窩底を負傷してしまったのだと思うが、仮に負傷せずにあのペースを続けられていれば。
 
 
てか、4R以降の久田は明らかに距離感がおかしくなってましたからね。
視界が悪く拳四朗の動きをまともに追えない状態だったのだと思うが、中盤からは先に打たせる→打ち終わりを狙う以外にできることがなくなっていた。
 
アレだと拳四朗の調子はどんどん上がる+反撃の芽はますます薄くなっていくわけで。
 
振り返ってみると、唯一可能性を感じさせたのが3Rの出だしのみでしたというのは本当にキツかったなと。
 
 
と同時に、何だかんだで拳四朗はすげえ
 
・鋭い左リード
・和製ロマチェンコ(と僕が勝手に呼んでいる)なフットワーク
・近場での右カウンター
・12Rを戦い抜いても動きが落ちないスタミナ
 
中盤の連打とかはガチでロマチェンコっぽかったですからね。
さすがは僕が2020年のPFP第7位に選出しただけのことはある()
 
僕のパウンド・フォー・パウンド(P4P)2020年4月バージョンを考えてみる。思いっきり好き嫌いに影響された独断ランキングだよん
 

具志堅用高の13度防衛記録の偉大さ。すべてのタイミングが揃わなければ達成できない記録に意味がないわけがないんだよ

この試合で拳四朗は現役最多の8度目の防衛に成功したわけだが、改めて具志堅用高の13度防衛の偉大さに驚かされる。
 
これは以前から何度も言っているのだが、13度の防衛記録に意味がないはずはない
 
「防衛記録に大した意味はない」
「誰と戦ったか、誰に勝ったかの方がよっぽど大きい」
という意見はアホほど聞くが、だからと言って13度防衛記録が軽んじられていいわけがない。
 
 
具志堅用高の戦績を見ると、1976年7月の初戴冠から1981年3月の陥落までの約4年7ヶ月の間にノンタイトル戦を含む16試合をこなしていることがわかる。
単純計算で1年で3〜4試合となるわけだが、これはそこまでハイペースなわけではない。
 
だが歴代の名選手がいまだにその記録に並べていないことを考えると、大きなブランクを作らずに勝ち続けることがどれだけ大変かがよくわかる。
 
11度の防衛を果たした内山高志は初戴冠が30歳だった上に拳や肘の怪我が多くブランクが目立った。
12度の防衛を果たした山中慎介も初戴冠は28歳と遅く、2015〜2016年あたりにははっきりと下降線に入っていた。
 
ムザラネ専用機と化したサニー・エドワーズ。ここまで塩に振り切って徹底する覚悟ってのもお見事ではある。どホームの試合とはいえ
 
拳四朗に関しては初戴冠が25歳と比較的若かったものの、新型コロナウイルスや不祥事の影響で約1年4ヶ月のブランクを作っている。
 
そして、2021年4月現在の年齢が29歳。
フットワークとスタミナが生命線の軽量級ということを考えると、残された時間は決して多くはない。
 
本人は2021年は3試合やりたい、統一戦もしたい、減量は問題ないと強気の姿勢を崩さないが、遠くない未来にピークアウトがくるのでは? という不安の裏返しな気がしないでもない。
 
 
さらに歴代の名王者と違い、拳四朗には知名度がない
内山や山中が地上波放送のメインで堂々と試合を組めたのに対し、拳四朗は誰かのバーターもしくは動画配信のみ。必ずしも地上波が正義とまでは言えないものの、売り上げを考えれば自分の望むペースで試合を消化することすらままならないという噂も……。
 
・戴冠の年齢
・怪我をしない強い身体
・ダメージが少なく長持ちするファイトスタイル
・外的要因(コロナや不祥事など)に邪魔されない運
・世間的な知名度
 
すべての要素が絶妙なタイミングで揃わなければ、13度の防衛記録達成は難しい。
この先拳四朗のキャリアがどうなるかはわからないが、どこかの段階で再び具志堅用高のすごさを実感させられるときがくるのかもしれない。
 
こないかもしれない。
 
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