拳四朗陥落。矢吹正道に10RTKO負け。舐め腐ったことをすると因果が巡るってことだろな。矢吹はガチのタマの取り合いができるヤツ【結果・感想】

拳四朗陥落。矢吹正道に10RTKO負け。舐め腐ったことをすると因果が巡るってことだろな。矢吹はガチのタマの取り合いができるヤツ【結果・感想】

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2021年9月22日、京都市体育館で行われたWBC世界L・フライ級タイトルマッチ。同級王者寺地拳四朗にランキング1位の矢吹正道が挑み、10R2分59秒で矢吹が勝利。初戴冠に成功するとともに寺地の9度目の防衛を阻止した一戦である。
 
 
8度防衛中+具志堅用高の防衛記録更新を公言していた安定王者、寺地拳四朗の陥落。
しかも勝利した矢吹正道は試合後に「軽量級はファイトマネーが安いからこの試合で辞めるかも…」とコメントするというまさかの展開。
 
記録更新が確実と言われた絶対王者の陥落。
勝った新王者が「このまま続けていても稼ぎが悪いから引退する」旨の発言。
 
字面だけ見れば、ボクシング界にとっては今年No.1と言っても過言ではないほどの大事件である。ポジティブ方面にもネガティブ方面にも。
 
だが、残念なことにこれだけの事件でもボクシングファン以外に話題になることはなく。
 
翌23日に神奈川県のぴあアリーナMMで行われたRISE WORLD SERIES 2021に関しては、少なくとも翌日朝までTwitterのトレンドに“那須川天心”が挙がるくらいには注目されていたのだが……。
 
ボクシングの世界タイトルマッチは完全に一部のマニアを喜ばせるコンテンツになったんだなぁと、少々寂しい思いを感じた次第である。
 
まあ、どちらの試合も存在自体を忘れて大谷翔平のホームランダイジェストを眺めていた僕が言うのもアレですが笑
 
 
アンダーカードを無料で配信→有料のメインへの導線とするやり方自体はパーフェクトでしたけどね。

肝心のメインが「え?」と一瞬時が止まるほど微妙なラインのお値段だったのがね……。


 
勅使河原弘晶ならタパレスには勝つだろ。士別市立博物館で輪島功一特集を見てきた僕が言うんだから間違いない。11月27日にIBF挑戦者決定戦だって
 

矢吹正道ってそこまで簡単な相手じゃないでしょ。拳四朗の絶対有利と言われてたけど

この試合は当初から拳四朗有利と言われ、僕が見て回った範囲でも矢吹が勝つのは難しいという意見がほとんどだった。
中には拳四朗の圧勝、相手になるわけがない的な強めの言葉も見られるなど、拳四朗の9度目の防衛は確実視されていた印象である。
 
 
だが、矢吹正道の過去の試合を観るとそこまで簡単な相手だとは思えない。
 
L・フライ級では異質とも言える長い腕、それを目いっぱい使った変なタイミングのパンチ。勝負どころでの思い切りのよさ、その他。
特に右ストレートのカウンターには妙な当て勘があり、いくら拳四朗でもこれだけ射程の長い相手を捌ききるのはかなり難しいのではないか。
 
しかも試合直前に新型コロナウイルスに感染して休養したばかり。復帰後わずか2週間ちょいで迎えうつには危険すぎる相手じゃないの?
などなど。
 
拳四朗のコンディションがあまりに不確定だったせいで予想のしようがないまま当日を迎えた次第である(試合の存在を忘れてたけど)。


 

矢吹が拳四朗を研究しまくっていた。長いリーチを活かした左と妙な当て勘の右ストレート

というわけで後日WOWOWエキサイトマッチでO.A.されたものを視聴したわけだが。
 
率直な感想としては、矢吹正道が拳四朗をめちゃくちゃ研究していたなと。
 
拳四朗の持ち味は何と言っても左ジャブの精度と抜群のフットワーク。
射程の一歩外からスルスルと近づき、押し出すようなジャブで顔面を揺らしてパッと離れる。
この距離をとる際のバックステップに鋭さがあり、相手が反撃姿勢に入ったときにはすでに手が届かない位置にいる。
 
さらに相手が怯めばジャブを2発、3発と重ね、サイドに動いてアングルを変えながら蜂の巣にしていく流れ。
で、強引に出てきたところにとどめの右をカウンターでズドン。
 
2018年10月のミラン・メリンド戦などはお見事以外の言葉が出ないほど素晴らしいKO勝利だった。
 
ウシクがジョシュアを翻弄して偉業達成。凄まじい勝利なのはもちろんだけど、ウシクがちっとも僕の視界に入ってこない…。ヘビー級の不純物
 
だが、今回の矢吹正道はリーチの長さを活かして拳四朗のジャブに対抗してみせた。
 
1発目のジャブを高いガードで防ぎ、すぐさまリターンを返して顔面を跳ね上げる。
 
拳四朗としては、これまでは鼻先でかわせていたはずのパンチがそこからもう一段伸びてくるのでバックステップ、スウェイが間に合わない。
しかも単発に限れば矢吹の左は拳四朗のリードに負けない鋭さ、スピードを兼ね備える。
 
この時点でいつもの勝ちパターン、「ジャブでペースを掴む→打っては離れる流れ」がいきなり頓挫してしまった。
 
加えて、申し上げたように矢吹には妙なタイミングの右とそれを躊躇なく打ち込む思い切りのよさがある。
 
拳四朗がリング中央でタイミングを測っているうちに動き出しの一瞬を狙っていきなりの右をヒットし、さらに身体を投げ出すように追撃の連打を浴びせる。
 
リーチの長さはもちろん、足と手がバラバラになってもお構いなしで追いかけてくる矢吹の強引さに、さすがの拳四朗もバックステップが間に合わない。
MMAやキックボクシングで言うスーパーマンパンチのようなフォームで飛びかかり、拳四朗を何度も腰砕けにしていく。
 
射程の長さを活かした左リード。
いきなりの右ストレートから意味不明な追撃の連打。
 
軽量級離れした体格(身長166.4cm)、リーチの長さに加え、あれだけ体勢が崩れてもパンチの威力が失われない体幹の強さ。
矢吹正道はこれまでの拳四朗の相手とはひと味もふた味も違った。
 
ジョナサン・ゴンサレス初戴冠。ソト陥落は普通にあり得た結果か。矢吹正道がマッチルームと契約。拳四朗側から興行権も買い取る太っ腹
 

最後まで右カウンターを出し続けたのも素晴らしい。拳四朗がリズムに乗りそうな局面でそのつど勢いを寸断

また4Rの公開採点以降、前に出てきた拳四朗の勢いを止めまくった右のカウンターも素晴らしい。
 
矢吹正道の根本はカウンター中心のアウトボクサーなのだと思うが、恐らく拳四朗にとってはそれも未知の領域。
 
2017年5月のガニガン・ロペス戦での王座戴冠以降、防衛戦の相手はペドロ・ゲバラ、ヒルベルト・ペドラサ、ミラン・メリンド、サウル・フアレス、ジョナサン・タコニン、ランディ・ペタルコリン、久田哲也と、基本的に中間距離〜近い位置での差し合いが得意なタイプばかり。
 
拳四朗vs久田哲也感想。久田には厳しい試合だったな。拳四朗攻略には待っちゃダメなんだろう。そして改めて具志堅用高の偉大さ
 
矢吹のように自分の距離感をあっさりと踏み越えてくる相手との遭遇は初めてだったと想像する。
 
 
これまでの勝ちパターンではポイントが取れないとわかり、自ら前に出て打ち合いを挑んだ5R以降。
得意のジャブの連打とボディ、右ストレートで攻め立てるが、リズムに乗りかけたところで矢吹の右カウンターで毎回動きを止められてしまう。
 
あの右は身体に染み付いたパンチなのだと思うが、とにかくすごかった。
拳四朗のジャブによって中盤から矢吹の目はどんどん塞がっていったが、右のカウンターだけは最後まで衰えを見せず。
9Rには視界が狭まりボディを効かされて身体がくの字に曲がる状態まで追い込まれたものの、下を向いたままノールックで右をヒットしまくりラウンド終了まで立ち続けてしまった。
 
 
序盤から左リードで拳四朗の距離感を狂わせ、ピンチの局面では身体に染み付いた右カウンターで連打を寸断。
拳四朗の勝ちパターンをここまでガタガタにした研究の成果と根性は文句なしにとんでもない。
 

9Rのバッティング? まあ、わざとだろうな。頭から突っ込んでこられると身体が一瞬硬直する

そして問題になっている? 矢吹のバッティングについてだが、アレははっきり言ってわざとだと思う。
 
9Rに拳四朗の右まぶたがざっくり切れたところばかりが注目されているが、それまでにも矢吹が頭から突っ込むシーンは何度も確認できる(たぶん都合4、5回くらい)。
 
故意に当てに行くと言うより、要するに相手の動きを止めるための常套手段なのだろうと。
 
どんな競技でもそうだが、相手が頭から突っ込んでくると一瞬身体が硬直する。
想定外の動きに反射的に身構えるのだと思うが、特に真正面から顔面めがけて相手の頭が飛んでくる状況に瞬間的に対応するのは難しい。
 
恐らく矢吹は経験上? それを知っていて、ピンチの際に流れを変えるための方法として用意していたのではないか。
 
 
で、公開採点でリードされていると知って倒しにきた拳四朗との距離が近くなり、9Rに見事にヒットしてしまったと。
 
 
まあ、結局のところレフェリーが注意しないとダメなヤツでしょうね。
申し上げたように矢吹が頭から突っ込むシーンはそれまでにも何度もあったし、実際9Rの1発で拳四朗は流れを止められてしまった。
 
 
とは言え、再三バッティングを受けても集中を切らさなかった拳四朗はめちゃくちゃよかったと思う。
 
以前にも申し上げたが、僕は流れの中での過剰なバッティングアピールが大嫌いである。
 
ロープ際で打たれている真っ最中に相手から目を切ってレフェリーにアピールするなど、はっきり言ってお話にならない。
 
過去、無駄にバッティングやローブローに神経質な選手にゲンナリして視聴を止めたこともあるくらい。
 
シャクールvsナカティラ、鈴木雅弘vs永田大士、赤穂亮vs杉田ダイスケ振り返り。地獄のシャクールにあの名選手とそっくりな鈴木雅弘
 
ああいうぬるま湯に肩まで浸かったような選手がいる中、ラフファイトに動じることなく集中を保ち続けた拳四朗はガチのプロフェッショナルだった。
 
それだけにレフェリーは早い段階で注意を促すべきだったし、セコンドからのバッティングアピールがあってもよかった(していたのならすみません)。
 

矢吹正道はガチのタマの取り合いができる人間。本気の切った張ったをする覚悟でリングに上がれるヤツが一定数存在する

表題の通りだが、矢吹正道という選手はガチのタマの取り合いができる人間なのだと思う。
 
試合後に本人が「この試合で死んでもいいと思っていた」「遺言として家族の名前を〜」云々をコメントしていたが、冗談でも何でもなく“そういう”気概でリングに上がれるヤツなのだろうと。
 
躊躇なく頭から突っ込む振り切ったスタイルを含め、本気の切った張ったができるというか。それだけの覚悟を決められる側の人間。
 
でなければ、あれだけフラッフラのボロッボロ状態から逆転できた説明がつかない。
 
 
なお、似たような雰囲気の選手として思いつくのは元S・フェザー級王者の三浦隆司だろうか。現役時代をあまり知らないが、映像で観る限りはライト級の坂本博之もそんな感じ。
現役選手で言えば、S・フライ級の田中恒成も少しだけ同種の匂いがする。
 
三浦隆司はやっぱり天才だよな。理解不能なボンバーレフトと圧倒的な詰めの甘さが激闘を演出する
 
単なるスポーツに「命を懸ける」などと発言することが正しいとは思わないが、とにかく格闘家には“そっち側”のタイプが一定数存在する。間違いなく存在する。
 

拳四朗は完全に因果応報ですよ。舐め腐ったことをすると自分に返ってくる。堂々と休んでおけばよかったんだよ

なお、まさかの敗戦を喫した拳四朗については因果応報としか言いようがない
 
 
新型コロナウイルス感染からの復帰後、2週間ちょいでリスケしたことを“禊”だの何だのと言われていたが、たぶん違う。
 
要は、年内にもう1試合ねじ込むための強引な措置だったのだと思う。
 
具志堅用高の記録を抜くには残り6回の防衛が必要になる。
ところがコロナの影響+本人のやらかしによって2020年は試合ができず。計画が大幅に狂った中で自らもコロナに感染し、再度のスケジュール調整を余儀なくされた。
 
拳四朗の減量がキツくなっているのはこれまでも言われていたし、本人的にもL・フライ級にとどまれる時間が長くないことを自覚していたのだと想像する。
 
2021年内に防衛回数を二桁に乗せ、2022年に3試合、あわよくば4試合をこなして記録を更新しようという算段があったのだろうと。
 
つまり、矢吹正道をナメていた
万全の調整ができなくても勝てる相手だと判断し、豪快に撃沈させられた。
 
拳四朗にとっては1/13(1/9)の防衛戦かもしれないが、矢吹正道にとっては人生をかけた一戦。
王者に君臨し続けるには矢吹のように“自分のすべて”をぶつけてくる相手を上回り続けなくてはならないのに、防衛記録に目が眩んで目の前の相手を軽んじた結果がコレである。
 
カネロvsプラント4団体統一戦キター。プラント健闘もあり得る? かも? カネロの圧力にビビらずどこまで左が機能するかかな
 
もっと言うと、異様に短い謹慎期間もだいぶ意味不明だった。
僕自身、公務執行妨害で逮捕された宮崎亮が年単位で干されていたことを考えると、拳四朗も最低1年は試合ができないだろうと漠然と思っていたところ。
 
それがまさかの3ヶ月での復帰である。
 
「免停中に運転、私道に乗り入れて警察に止められる→逃亡」の宮崎亮と、「泥酔して他人の家に不法侵入→車を破壊」した拳四朗。この両者のやらかしにどの程度の差があるかはわからないが、年単位でキャリアにダメージを負った宮崎亮に比べて拳四朗の扱いはあまりにヌルい。
 
で、下手に防衛記録更新に希望が残されたせいで大慌てで試合を組み、おかげで矢吹正道の戦力を見誤ってしまった。
 
自粛期間中に泥酔して他人の家に不法侵入→器物損壊などという舐め腐ったマネをした結果、巡り巡って4年以上継続してきた防衛が絶たれる。
 
まさしく因果応報と呼ぶにふさわしい結末である。
 
 
いや、もうアレなんだよな。
コロナは自分の責任じゃないんだから、堂々と休んでおけばよかったんだよ。
 
「これ以上周りに迷惑をかけられない」という罪悪感もあったのだと思うが、実はめちゃくちゃ人間臭いヤツなんだよな拳四朗って。
負けたあとの控え室で号泣だったらしいしね。
 
サイコパスなどと言われているが、こういうヤツに限って「実は誰よりもボクシングが好きでした」パティーンもあるんじゃないの?
 
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