WBAが暫定王座廃止? いや、暫定王座はいるだろw ここまでビジネスが肥大化すれば王座乱立も仕方ない? L・フライ級の上位ランカーに注目してみた

WBAが暫定王座廃止? いや、暫定王座はいるだろw ここまでビジネスが肥大化すれば王座乱立も仕方ない? L・フライ級の上位ランカーに注目してみた

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2021年8月25日(日本時間26日)、ボクシングの主要王座認定団体の一つであるWBAが暫定王座廃止を発表している。
 
これまでWBAにはスーパー王座、レギュラー王座、ゴールド王座、暫定王座と4つの王座があり、各階級に最大4人の王者が存在する状況となっていた。
 
これについては以前からメディアやファンの批判を受けており、今回その是正の一環として暫定王座廃止に踏み切ったとのこと。
 
記事によると暫定王者は今後指名挑戦者となり、将来的にはレギュラー王座の廃止も検討しているとある。


 
カシメロvsバトラー戦決定間近? Oh…入札額…。ボクシングには4団体とプロモーターを統括する界王神様みたいなヤツが必要だよな笑
 

いや、暫定王座はいるだろw 正規王者に何かあったらどーすんのよ

主要王座認定団体の一つ、WBAが王座乱立に対する批判を受けて暫定王座の廃止を発表した。
 
上記の記事を読むと、先日アンソニー・イギットに勝利しWBA暫定王座の防衛に成功したローランド・ロメロも今後は「元王者」の肩書きになるとのこと。
 
アリムハヌリさんミドル級最強説。アンドラーデより強いんちゃうか? アリムハヌリvsディグナム、ヘリングvsオルティス、ロペスvsエンカーナシオン振り返り
 
以前から繰り返し言われていたボクシングの王座乱立。今回、ついにWBAが重い腰を上げて暫定王座の廃止に乗り出したわけだが……。
 
 
これに対して僕個人の意見を言うなら、
「いや、暫定王座は必要だろ」
である。
 
何らかの理由(負傷や病気など)で正規王者が長期離脱を強いられるケースは必ず発生するし、その際にランキングを停滞させないために上位ランカー同士で暫定王座戦を組むのはごく普通のこと。
 
そこを廃止しちゃったら、今後正規王者に何かが起きたときにどーすんの?
復帰のめどが立たない王者を年単位で待ち続けるの?
全盛期の短いスポーツなのに?
 
問題は正規王者がピンピンしている&試合枯れしているわけでもないのに並行して暫定王座戦が組まれることであって。
廃止すべきは暫定王座そのものではなく、先日のローランド・ロメロのような“暫定王座の初防衛に成功”といった目がチカチカする試合が普通に開催されていることでしょと。
 
ルイス・ネリvsアザト・ホバニシャンは興味深い組み合わせ。連打型のホバニシャンはネリの苦手なタイプっぽい。でも、応援するのはネリかな?
 

王座乱立も仕方ないのかな? ビジネスを肥大化させまくった結果、より多くの選手にチャンスを与えるために…

と言いつつ、実はここ最近「王座乱立も仕方ないのかな?」と思うようになっている。
 
世界各地に競技者が存在するボクシングだが、競技人口の多い国、経済力のある国の選手はどうしても有利になる。
 
軽量級なら日本、メキシコ、タイ、英国。近年では中国の台頭も著しい。中量級以上になると北米で巨額のファイトマネーが動くが、その反面、軽量級の試合は見向きもされなかったりする。
 
そして、それ以外の国、自国にファンベースを持たない選手にチャンスが回ってくることは非常に少ない。小さな興行で勝利を重ねながらワンチャンスにかける、世界各国のリングを転々とするなど、自国に対戦相手を呼べる選手に比べてはるかに不利な状況を強いられる。
 
スポーツにおける地域格差、経済格差の不平等是正を目指すのは大事だけど、それありきで観るのも楽しい。身体能力抜群の地味強黒人ファイター3人出場のPBC興行おもしろかった
 
そう考えると、ボクシングの中心地とは呼べない国、大手プロモーターの目に留まることのない選手にチャンスを回すためにも王座の数を増やすことは悪くないのかなと。
 
一定の“ゴール”を示すことでより多くの選手にモチベーションを与え、競技の活性化を図る。
もちろん認定団体が承認料を稼ぐためというのもあるとは思うが、それ以外にも「世界王者」の肩書きは選手にとって大きな意味を持つはず。
 
 
要するにビジネスを肥大化、複雑化させすぎて手に負えなくなった結果、“ゴール”を増やすことでどうにか均衡を保っているというか。
 
 
というわけで本題。
今回は上記のローランド・ロメロ同様、WBA暫定王座廃止の煽りをモロに受けた選手、ボクシングの中心地とは言えない国の選手を取り上げてあれこれ言ってみようと思う。
 
具体的にはL・フライ級の上位ランカー。「ランキング表を見るとそろそろ王座戦に絡みそう」「でも、日本人選手に先を越されるかも?」という選手を適当に挙げていくことにする。
 
オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン。バルデス有利に見えるけどアマ時代にコンセイサンが勝ってるのね。って、中止じゃないんかい笑
 

ダニエル・マテヨン(キューバ)

12勝2分6KOの戦績を持つ選手で2021年9月現在33歳。
今年6月に元ミニマム級王者ホセ・アルグメドに勝利してWBA暫定王座の初防衛に成功したものの、暫定王座の廃止によりランキング1位に格下げされている。
 
 
この選手はローランド・ロメロ同様、WBA暫定王座廃止の被害者と言っていい。
Boxrecによるとアマチュア戦績が60勝29敗1分で、キューバの国内王座戦? では2011年に決勝、2014年に準々決勝でそれぞれ負けているとのこと。
 
拠点をパナマに移して2016年にプロキャリアをスタートしていることを考えると、キューバ国内ではトップになれずに亡命→そこから地道にキャリアを重ねてきた選手なのだろうと。
 
またプロ転向後も2017年9月にWBAフェデレーション王座(11R制)を獲得、ノンタイトル戦を挟みながら同王座を2度防衛するなど、戦績もなかなかややこしい。
 
 
実際の試合を観てみたが、ぼちぼちいい選手だと思う。

ホセ・アルグメドの圧力をうまくさばいているし、2018年9月に日本の矢吹正道に勝利した実績もある。
 
距離とアングルの調整、左ジャブに長けており、ポイントピックの能力はなかなか高いのではないか。
 
漠然とだが、プロモーターの手腕とタイミング次第ではキャリアで一度くらい世界王者になれそう? な選手(暫定王者になったしね)である。
例えば2015年11月にペドロ・ゲバラに勝利してWBC王座を戴冠した木村悠とどっちが強い? みたいな。
木村悠のアマチュア戦績も65勝15敗なので、だいたい似たような感じかなと。
 
ただ、木村悠のようにチャンスに恵まれるかと言ったら微妙なところ。
日本人選手+帝拳所属の木村には世界戦の順番がうまく巡ってきたが、ダニエル・マテヨンはどうなるか。
 
 
指名挑戦者ということなら標的はスーパー王者の京口紘人になるわけだが、現在京口は正規王者エステバン・ベルムデスとの統一戦が有力視されている。
さらにそのあとはWBO王者エルウィン・ソトとの2団体統一戦を模索するとか。
 
平岡アンディいいね~w エドワーズを4RTKOで沈めてラスベガス2連勝。今のところ変なしがらみがないのがいいよな。今後もこの調子でがんがってね
 
33歳のダニエル・マテヨンにチャンスが回ってくるのは相当先になりそうな気配。まさしく暫定王座を取り上げられたことによる弊害と言えそうである。
 

シベナティ・ノンティンガ(南アフリカ)

10戦全勝9KOの戦績を持つ選手で2021年9月現在22歳。
今年4月にクリスチャン・アラネタに12R判定勝利を収め、IBF王者フェリックス・アルバラードへの挑戦権を獲得した選手である。
 
この選手は2019年4月にIBFインターナショナル王座を獲得、2度の防衛を経てプロ10戦目で挑戦者決定戦を迎えた経緯がある。こうして見ると、ここまでは比較的順調にキャリアを重ねていると言えそうである。
 
ただ、王者アルバラードは2021年8月にノンタイトル戦をクリアしたばかり。
過去に一度WBC王者寺地拳四朗との2団体統一戦が決定したことを考えると、すんなり指名戦が決まるかどうか。
 
 
ちなみに実力的には「いい選手だけど、王者クラスからはワンランク落ちるかな?」という印象である。
 
ガードを上げて圧力をかけ、長いリードジャブから右ストレートを打ち込むファイタータイプ。
 
だが、正直そこまでぶっ飛んで強いようには見えない。
リーチが長く身体能力の高さも感じるものの、荒削りで穴も多そう。
 
パッと思いついたところでは、2020年9月にWBO世界バンタム級王者ジョン・リエル・カシメロに挑戦したデューク・ミカー、2020年12月にWBA世界S・フェザー級王者クリス・コルバートに挑戦したハイメ・アルボレダと同じくらいか。
 
まだ22歳と若く伸び代もあるとは思うが、チャンス自体はあまり多くなさそうな気が……。
 
クリス・コルバート、コイツ何でスーパースターの態度なんだよw 地味強のくせに。ハイメ・アルボレダを地味にKOして地味に防衛成功
 
というか、よくよく見たらクリス・コルバートも思いっきり暫定王座廃止の被害者じゃねえかww
 
大丈夫なんですかねコレ。
正規王者のロジャー・グティエレスさん、この前GBPプロモートのDAZN興行に出場してたばかりだけど。
PBC所属のクリス・コルバートがロジャー・グティエレスの王座に挑戦するのは結構面倒臭そうな……。
 

アグスティン・ガウト(アルゼンチン)

16戦全勝11KOの戦績を持つ選手で2021年9月現在23歳。
 
2017年のデビュー後、2018年9月に南米フライ級王座、同年10月にWBOラティーノフライ級王座、2019年4月にIBFユースL・フライ級王座、2019年9月にWBOインターナショナルL・フライ級王座と各団体の地域王座を獲得し、着実に世界ランキングをアップさせている選手である。
 
なお、現在はWBO3位にランクインしており、下記の記事によると2021年5月のカネロvsビリー・ジー・サンダース戦のアンダーで王者エルウィン・ソトへの挑戦が有力視されていたとのこと。


結果的にこの日は日本の高山勝成がリングに上がったわけだが、恐らく調整期間の短さを理由に拒否したのだろうと。
 
高山勝成vsエルウィン・ソト感想。突然のストップに驚いたけど、ソトはまだ精神が若いんだろうな。矢吹正道なら勝てたんじゃないの?
 
戦績を見るとこの選手は上記2人よりも期待値が高いようで、ここまでのキャリアは2試合を除いてすべて自国でのもの。対戦相手の国籍も自国以外ではメキシコ、ベネズエラ、コロンビアと多岐にわたる。
 
 
実際の試合をいくつか観てみたが、はっきり言って強いと思う。
L字気味の構えと見切りのよさ、足運びのスムーズさを兼ね備えたアウトボクサー寄りのタイプで、パンチのタイミングと当て勘はかなり高い。
 
パッと見ではライアン・バーネットやカール・フランプトンと同系統というか。ジェイソン・モロニーの風味も少し入っている印象である。
 
割と冗談抜きで、これは現時点でも王者クラスの実力があるのではないか。それこそエルウィン・ソトになら勝てた可能性も?
 
 
38歳の高山勝成は不利を承知でチャンスに飛びついたが、この選手はまだ23歳。年齢的にも期待値的にもまだまだチャンスがあると踏んだのだと想像するが、果たしてどうなるか。
 
現状ソトはランキング1位ジョナサン・ゴンサレスとの指名戦が濃厚とのことで、それをクリアしたあとは京口紘人との統一戦に進む公算が高い。
正直、すぐにタイトルマッチの順番が回ってくるとは思えないのだが……。
 
エルウィン・ソトvsジョナサン・ゴンサレスは結構いいよな。京口とソトの統一戦よりそそられる。WBOが両陣営に指名戦を指令だって
 
またWBA6位にもランクインしていることを考えると、暫定王座さえ健在ならダニエル・マテヨンvsアグスティン・ガウト戦のパティーンもあった? のか?
 
 
うん、やっぱりアレだな。
どう考えても暫定王座は必要だな
 
 
ちなみに日本には1年半以上試合をしていないのにいつの間にかスーパー王者に格上げされ、元4団体統一王者のレジェンド、ゲンナジー・ゴロフキンとの対戦話が持ち上がっているヤツがいるらしい()
 
すげえだろ?
だって、6階級制覇王者のマニー・パッキャオでさえ正規王者→休養王者に格下げされてるんだぜ?
 
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