アニメ映画「SAND LAND」クッソおもしろい。結局冒険活劇はベタでいい。メカもめちゃくちゃカッコいい。世界が未知のロマンに溢れていた頃【感想】
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アニメ映画「SAND LAND」を観た。
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「SAND LAND」(2023年)
魔物の王子ベルゼブブが生きるのは人間と魔物が共存する世界。
ところがいつしか世界は深刻な水不足に見舞われ、人間も魔物もわずかな水を求めて苦しんでいる。
町で保安官を務めるラオはいつも通りタバコを買い、パトロールへと出発する。
ところが町は相変わらずの水不足。広場では干上がった井戸の前で困り果てる町人たちが数人。
そこに通りかかったラオは彼らに「水不足を何とかしてくれ」と頼まれ、思わず「何とかする」と約束してしまうのだった。
苦し紛れに水を確保すると約束したラオだが、もちろん当てなどはない。
いい考えが浮かばないまま何気なく空を見上げると、ちょうど飛び去っていくウォーターフィンチが目に入る。
ウォーターフィンチは水辺で餌を探す習性がある鳥。
つまり、そう遠くない場所に泉が存在していることになる。
ほんのかすかな希望を感じたラオは、思い切って魔物に協力を仰ぐことを決め……。
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ドラゴンボールDAIMAがダルい。と思ったら第6話で悟空の超サイヤ人化にテンション爆上がり。そうだよ、すべてを暴力で解決すればいいんだよw
「SAND LAND」を観に劇場に行ってきた。原作は未読だけど、鳥山明作品ならハズレはないよね
週刊少年ジャンプで2000年23号〜36、37合併号までに全14話で連載された鳥山明作「SAND LAND」。鳥山明の代表作であるドラゴンボールの連載が1995年で終了し、そこから約5年後に短期集中で描かれた作品である。
僕は今作をリアルタイムでは読んでおらずコミックスも未読。何となくキャラクターに見覚えがある程度のクソニワカである。
で、今回「伝説の名作」と呼ばれている(らしい)「SAND LAND」が映像化、劇場公開されたと聞いて「じゃあ、行ってみるか」と。
経験上、鳥山明の原作ならまずハズレはない(はず)。
前回の「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」もなかなかおもしろかったし、最低限75点くらいは取ってくれる(はず)。
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しかも全編1時間46分と長さも手頃で、気楽に観て楽しめる作品っぽい。
そんな感じで映画館に足を運んだ次第である。
めちゃくちゃおもしろい。「ONE PIECE FILM RED」なんか目じゃない。早く配信されないかな
率直な感想だが、めちゃくちゃおもしろかった。
いや、何だこれ。
めっちゃくちゃおもしれじゃん笑
次々に画面が切り替わるテンポのよさ、悪役が一目でわかる清々しさ、適度に挟まれるギャグパート。
またガサツで乱暴、猪突猛進な世間知らずだけど、死ぬほど優しい主人公。
鳥山明のキャラに現代の技術で命が吹き込まれ、その彼らが巨大スクリーンをウネウネ動き回る。
間延びする部分がいっさいない、コンパクトでダイナミック、大満足の2時間弱だった。
マジな話、ほとんど話題になっていないのがもったいないレベル。
今年初めに終了した「ONE PIECE FILM RED」が10月に再上映されるらしいが、僕の中ではあの作品よりも「SAND LAND」の方がはるかに上。
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僕の行った映画館ではすでに1日1回のみの上映となっているが、何とももったいない話である。
なるべく早くサブスクで配信されることを期待しておく笑
ストーリーに目新しいものはない。使い古されたというか、むしろこっちが元祖かな
はっきり言って今作のストーリーに目新しいものはない。
人間と魔物が共存する世界において、生きる上での根幹となる「水」が致命的に不足している。
人間社会では水不足の原因を作ったのは魔物だと考えられ、彼らにとって魔物は敵そのもの。
保安官ラオもその通説を疑わず、かつて自らの手で魔物を大量虐殺した行為も正しいと信じていた。
ところが彼らと行動を共にし言葉を交わすうちに、ラオは彼らが言われているような悪者ではないと気づき始める。
それどころか、水不足の原因に彼らは無関係だったことを知らされる。
はちゃめちゃな冒険活劇+ベタな逆転劇の今作だが、メインのテーマは保安官ラオが自分の過去に決着をつける部分である。
いわゆる「敵だと思っていたヤツがいいヤツだった」「本当の敵は味方の中にいた」パターン。
申し上げたようにストーリーに目新しいものは何もない。使い古されたやり方というか、2000年の作品なのでむしろここが元祖なのかな? という気もする。
ドラゴンボール好きなエピソード(編)ベスト3。懐古厨と言われるかもしれないけど、やっぱり僕は…。鳥山明はキャラのポイ捨てがうまいんだよな
冒険活劇はこれでいい。気楽に観られてハッピーが最高。鳥山明が適度に肩の力が抜けてる
ただ、それがいい。
冒険活劇はこれでいい。
“いいモノ”と“悪モノ”がはっきり分かれ、誰が暗躍しているのか、何を企んでいるのかが一瞬でわかる。
しかも最後は間違いなく大団円。何がどう転んでもハッピーエンドに着地する、中ボスやモブたちも途中で正義に目覚め、“悪モノ”の大ボス以外は全員が幸せになる。
この辺の安心感と安定感が尋常じゃない。
最初に申し上げた「気楽に観て楽しめる作品」そのものである。
しかもアレなんですよね。
鳥山明が適度に肩の力が抜けてるのがいいんですよ。
上述の通り2000年というのはドラゴンボールの連載終了から約5年後。作者が週刊連載の激務から解放され、数年の充電期間を経て「そろそろ動くか」というテンションで描いた感じがありありと伝わってくる。
鳥山明氏の訃報に驚いた。他のことに気持ちがいかないくらいに。声に出したい、アクションを真似したい技の数々。原点はやっぱりドラゴンボールのかめはめ波なんだよな
未知のロマンに溢れた世界。インフレの進みまくったドラゴンボールでは実現できないモノ
特にいいのが世界が未知のロマンに溢れていること。
インフレが進みまくったドラゴンボールではすでに地球に秘境と呼べるような場所はない。
海の底でも山奥でも一瞬で行ける、それどころか少し力をこめれば星ごと破壊できてしまう意味不明な化け物がうじゃうじゃいる。
それに比べて今作「SAND LAND」はごく普通? の人外止まり。
顔を真っ赤にして戦車を持ち上げたり、10数メートルの高台にジャンプで登ったり。
一般ピーポー(ラオ)の目でも動きを追える程度にとどめられている。
時速180kmで走る人間に追いついたりもするけど笑
さらに世間知らずの野生小僧(ベルゼブブ)が人間(ラオ)との旅を通して成長する姿には問答無用でワクワクさせられる。初めて触れる世界に驚き、困難をあっけらかんと乗り越える様はブルマと出会った頃の孫悟空を思い起こさせる。
「セクシー田中さん」の作者・芦原妃名子氏の件がキツい。漫画原作の映像作品を純粋に楽しめなくなる。でも、実は逆のパターンもあったり…
いつしか守るべきものが“地球”となり、より強い相手に勝つことが目的となった悟空とは違う。無邪気にいろいろなものを吸収していた頃の素直な悟空。それと似た感じがベルゼブブにはある。
なお、今作の前にも「COWA!」(1998年)や「カジカ」(1999年)があるが、恐らく似たようなノリの作品だと想像する。
ちなみに砂漠を根城にする小悪党「スイマーズ」のリーダー、スイマーズ・パパのセリフ「みんなのためにいいことしようなんてヤツが信用できるか!!」は結構刺さった笑
こういう三下丸出しのモブが芯を食ってくる感じは嫌いじゃないw
メカがカッコいい。丸みを帯びたフォルムのマシンがヌルヌル動き回るのがたまらない笑
そして忘れてはいけないのが、登場するメカのカッコよさ。
鳥山明の描くメカが個性的でカッコいいのは周知の事実だが、今作でもそのカッコよさは至るところに散りばめられている。
下記によると、ベルゼブブ一行が乗る戦車の描写、ギミックには相当こだわったとのこと。
確かにあの戦車が砂漠をヌルヌル走るシーンには男心を鷲掴みにされた笑
その他、ラオが乗ってきた車やアレ将軍の飛行船、ゼウ大将軍の乗るカプセル。
丸みを帯びてデフォルメされたフォルムに細かい部分まで描き込まれた部品の数々。
ページから飛び出しそうな躍動感を放っていたメカたちが実際に動き回り、ミサイルを撃ちまくる。
この部分も今作の大きな見どころとなっている。
というより、このメカの造形だけでも今作を観る価値はある(と言ったらいいすぎか?)。
ちなみに僕は「鳥山明 THE WORLD SPECIAL」(1990年)を持っており(中古で購入した)、
今でもたまにパラパラめくるのだが、やっぱりカッコいい笑
中でもメカのページはずーっと見ていられる。
何というか、こういう人間を“天才”と呼ぶんでしょうね。
みなさんがおっしゃってますけど。
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