朝倉海は微妙? 井上直樹とんでもない。扇久保博正、元谷友貴、ベイノア、気の毒な那須川天心その他感想【2021.6.13 RIZIN28感想】

朝倉海は微妙? 井上直樹とんでもない。扇久保博正、元谷友貴、ベイノア、気の毒な那須川天心その他感想【2021.6.13 RIZIN28感想】

先日からRIZIN28(2021年6月13日、東京ドーム開催)の感想を言っているのだが、今回はバンタム級GP1回戦4試合について。
 
朝倉未来がクレベル・コイケに失神KOで敗れる。リングならではの決着だったな。勝負論のある好ファイト
 
その他気になった試合として、弥益ドミネーター聡志vs“ブラックパンサー”ベイノア戦、那須川天心vs大崎孔稀、HIROYA、所英男の1対3マッチの感想も併せて言っていきたいと思う。
 
 
ちなみに残りの2試合、シビサイ頌真vsスダリオ剛戦と斎藤裕vsヴガール・ケラモフ戦はいまいち興味が湧かなかったという理由で省かせていただいている。
 

○朝倉海vs渡部修斗×(1R3分22秒TKO)

まずはこの試合。
戦前の評判通り朝倉海が1Rで渡部修斗を下したわけだが。
 
正直、微妙だったというのが僕の感想である。
 
渡部修斗の狙いは開始直後からタックルのみ。朝倉の打撃をかいくぐることに集中しつつ、とにかく下半身に組みつきまくる。
 
対する朝倉はこのタックルを切りながら上から潰していくのだが、いや、割と危なかったんじゃないの? これ。
飛びつかれてギロチンに入られかけたときとか、かなりヒヤヒヤだった気がするけど。
 
渡部修斗が普通にハイレベルだったのかもしれないが、少なくとも朝倉のグラップリング能力がそこまで高いとは思えなかった。
 
抽選時から特別扱いを受けた上で、組し易しの相手を選んでおいて。
攻略の糸口を見せてしまった試合だったのかなぁと。
 
 
あとはまあ、渡部修斗は自分の得意分野に引き込もうとするのは結構だが、多少は打撃もないと厳しいといったところか。
あまりに作戦が偏っていたというか、さすがに攻めのバリエーションが少な過ぎた。
 
RIZIN33現地観戦感想。朝倉海、井上直樹を下して扇久保が優勝。元谷vs金太郎のリザーブファイト。予想外が山盛りの2021年大晦日
 

○井上直樹vs石渡伸太郎×(1R1分58秒TKO)

逆にめちゃくちゃ驚かされたのがこの試合。
朝倉海と並んで優勝候補の一角と言われる井上直樹がベテランの石渡伸太郎を粉砕した一戦である。
 
何が驚いたって、そらあなた。
井上直樹のハイレベルなスタンドにである。
 
開始直後から無造作にカーフを蹴りつつ、サウスポーの石渡に外側からプレッシャーをかける。
鋭角にリングをカットして逃げ場を奪い、いつの間にか石渡をコーナー付近に追い込んでいく。
 
遠間からの右を被弾してグラっときたものの、すぐさま打ち終わりにカウンターを合わせて逆にグラつかせる。
で、追撃の連打でダウン→サッカーボールキックでレフェリーストップという流れ。
 
サッカーボールキックの躊躇のなさはもちろん、カウンターをヒットして仕留めるまでの鮮やかさは言葉を失うほど。
井上直樹は基本的にはグラップラータイプだと思うが、スタンドでこれだけやれるのであれば期待値は相当高い。それこそ朝倉海に勝つ可能性も十分あると思う。
 
バンタム級GP答え合わせ&皇治vs白鳥、矢地vs川名、吉成vs誓。金太郎vs伊藤空也、倉本一真vsヤマニハ。地味におもしろい試合が多かった
 
これはもう、完全に優勝候補筆頭に躍り出ましたよね。
衝撃度としては2016年12月の中井りんvs村田夏南子戦に匹敵するレベル。
 
懸念材料があるとすれば、アクシデントによる負傷離脱orパワフルなファイターにゴリ押しされてコケるくらいか。微妙に虚弱体質っぽくも見えるので、連戦への耐性がどこまであるかには注目しておきたい。
 
そして、それができそうなのが朝倉海というのが何とも……。
 

○扇久保博正vs春日井“寒天”たけし×(3R判定 ※3-0)

この試合はある程度想像した通りの展開だった。
 
RIZINバンタム級GPのガチ感に思いのほかワクワクしておる笑。わからないなりに勝敗予想をしてみる。井上直樹、朝倉海ほか
 
予想記事でも申し上げたように春日井“寒天”たけしはどちらかと言えばケージファイトが得意な選手。過去の試合を観ると、背中でケージをうまく使いながらの攻防に長けた印象である。
 
一方の扇久保博正は比較的中央で勝負できるタイプ。
どっしり相手を待ち構えて打撃で応戦し、チャンスがあればグラップリングに持ち込むスタイル。射程自体は短いものの、リングorケージの影響は受けにくい。
 
また基本はグラップラータイプの扇久保だが、仮に打撃で勝負しても春日井よりは上に見える。
 
 
で、実際の試合もそんな感じ。
リング中央で待ち構える扇久保に対し、出入りを繰り返しながらチャンスを探る春日井。
だが、なかなか攻略の糸口を見つけられずにグランドに引き込まれ、上をキープされたまま時間が経過していく。
 
スタンド、グランドの各局面で扇久保が春日井を上回った試合と言えるのではないか。
 

○元谷友貴vs岡田遼×(3R判定 ※3-0)

1回戦8試合の中でも特に注目を集めた試合。
前評判の高かった岡田遼のRIZIN初参戦が話題となった一戦である。
 
この試合はもう、完全にリングファイトができるかどうかの違いだったなと。
 
元谷友貴はグラップラーではあるが、スタンドの差し合いからきっかけを作る流れを得意とする。
逆にスタンドで優位を作れない場合はあっさり負けるパターンが多く、パトリック・ミックスや井上直樹といった一段スケールの大きな相手には何もできずに一本負けを喫している。
 
そう考えると、今回の試合もスタンドでの攻防が勝負を分けるのではないか。岡田遼の打撃が扇久保博正以上でなければ元谷に分があると思っていた次第である。
 
 
で、結果的にスタンドを支配した元谷に軍配が上がったわけだが、敗れた岡田遼はこれでもかというくらいにケージファイトの選手だった(気がする)。
 
岡田遼の過去の試合を観ると、春日井“寒天”たけし以上にケージファイトのうまさが目に付く。
ケージに背中を預けて休んだり、相手を押し付けた状態から引き倒したり。細かい技術はよくわからないが、とにかく壁際での攻防、IQの高さが印象的だった。
 
だが、RIZINのリングファイトではその長所がまったく発揮できず。
クラッチで元谷をロープに押し付けてもその先の手がなく、あっさり身体を入れ替えられてしまう。
スタンドへの対応で手一杯になり、テイクダウンを仕掛ける余裕もない上にコーナーを背にして休憩することも許されない。
2Rからは開き直ってスタンド勝負に切り替えていたようだが、その部分でも上回られて万事休す。
 
RIZINに継続参戦する元谷とは“慣れ”の部分での差もあったとは思うが、とにかくリングファイトでのスケールの小ささ(このレベルにおける)はどうにもならなかった。
 
予想外だらけのRIZIN33。八百長? あり、純粋なMMAあり、最強幻想あり、ベラトール表明あり。シバター、天心、パク・シウ、サトシ、カズJr.その他振り返り
 

○弥益ドミネーター聡志vs“ブラックパンサー”ベイノア×(3R判定 ※2-1)

非常に申し訳ないのだが、この組み合わせを聞いた瞬間に僕はドミネーターの1R一本勝利を確信していた。
 
さすがにMMA未経験の空手家をいきなり日本最高峰の舞台に上げるのは……。
 
それも朝倉未来と渡り合った弥益ドミネーター聡志と?
階級違いとはいえ、どう考えても弱いものいじめにしかならんでしょ。
開始早々にテイクダウン→スルスルと一本負けっていうありがちなパティーンじゃないの?
などと思っていたところ……。
 
ベイノア、ガチでMMAへの適正あるわww
 
身体能力は高くフィジカルも強い。
ナチュラルなスイッチに加えてタックルへの対処も素晴らしい。
 
恐らく距離感がいいのだと思うが、ドミネーターのフェイントにそのつど“クイックィッ”と反応し、鋭いバックステップでタイミングを潰していたのが印象的。
 
この選手の試合は以前RISEで現地観戦したことがあるのだが、とにかく馬力とスピードが凄まじい上にスタミナもある。身体全体のバネを活かした野生的なファイトをフルラウンド継続できる選手というのが率直な感想だった。
 
RISE ELDORADO 2021現地観戦。那須川天心が苦戦。原口健飛クッソ強い。相内誠ががが。格闘技ハァンやっぱりすげえw
 
いや、マジでMMAでがんばって欲しいっすね。
年齢もまだ25歳だし、今からMMAに集中すればライト級のマネル・ケイプになれる可能性もありそう。
 
少なくとも、平本蓮よりははるかに期待感の持てる試合だった。
 
 
まあでも、ドミネーターが打撃勝負を挑んだ理由はいまいち不明ではあるが。
第1試合ということもあって爪痕を残そうと考えたのだとは思うが、立ち技のスペシャリスト相手にスタンドで真っ向から打ち合うというのは……。
 
おかげで余計なダメージ(眼窩底骨折)を負ってしまった。
 

△那須川天心vs大崎孔稀、HIROYA、所英男△(3R時間切れ)

最後はコレ。
那須川天心vs大崎孔稀、HIROYA、所英男の3人による変則マッチ、1Rごとに対戦相手が変わる1対3(パンチのみ)のスタンドルールで行われた一戦である。
 
この試合に関しては賛否両論あったようだが、僕はそもそもの興味が湧かず。
茶番どうこう、ボクシングへの冒涜どうこうの声も聞こえてきたが、それ以前に「どうでもよかった」というのが本音だったりする。
 
 
で、地上波で放送されたものを一応観たわけだが、
 
大崎孔稀→パンチうまい。これはいいね!!
HIROYA→お、おう……。
所英男→お前アレだな。完全にネイト・ディアスみたいな立場に収まったな。
 
ラウンドごとに相手が代わる那須川天心がしんどそうだった以外はだいたいこんな感じである。
 
 
というか、今回の那須川天心は本当に大変だったと思う。
 
本来、相手が見つからなかったのならリング上で「武尊との試合は絶対に実現させます!!」と言うだけでよかったのだが、RIZINの事情を考えるとそうもいかない。
那須川天心の試合が地上波放送の条件だったことは容易に想像がつくし、本人としても苦肉の策だったはず(全然そそられなかったけど)。
 
那須川天心vs武尊予想。やるなら2021年末のRIZINか? どっちでもいいからさっさと結論を出せよ。契約体重次第だろうけど、有利なのは…
 
それを茶番だなんだとバカにされ、当日まで公表されなかった「ミスターX」を引退ボクサーだと邪推されてボクシングファンに謎にキレられる始末。
 
本人が納得しているのなら全然構わないが、いろいろと損な役回りを押し付けられた印象である。
 
 
ついでに言うとアレなんですよね。
那須川天心の動きを観ると、ボクシングよりもMMAに適性がありそうなんですよね。
 
フジテレビ「戦闘中」でのパフォーマンスもそうだが、平面で勝負するボクシングよりも広い空間を立体的に使えるMMAに向いてそうな……。
 
以前はさっさとボクシングやれよ! と思っておりましたが、今はUFC目指せばいいじゃんに変わってたり……。
 
 
まあ、今さらどうにもならないですが。
 

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