バンタム級GP答え合わせ&皇治vs白鳥、矢地vs川名、吉成vs誓。金太郎vs伊藤空也、倉本一真vsヤマニハ。地味におもしろい試合が多かった【RIZIN29感想】

バンタム級GP答え合わせ&皇治vs白鳥、矢地vs川名、吉成vs誓。金太郎vs伊藤空也、倉本一真vsヤマニハ。地味におもしろい試合が多かった【RIZIN29感想】

2021年6月27日に丸善インテックアリーナ大阪で開催されたRIZIN29。
6月13日の東京ドーム大会に続き、バンタム級GP1回戦の後半4試合や皇治、白鳥大珠らによるキックのワンナイトトーナメントなどなど。バラエティに富んだ大会となったわけだが、今回はその感想を。
 
 
なお前回同様、勝敗予想の答え合わせをしておくと、
 
●倉本一真vsアラン・ヒロ・ヤマニハ
予想:倉本一真
結果:アラン・ヒロ・ヤマニハ
 
●瀧澤謙太vs今成正和
予想:瀧澤謙太
結果:瀧澤謙太
 
●大塚隆史vs獅庵
予想:大塚隆史
結果:大塚隆史
 
●金太郎vs伊藤空也
予想:伊藤空也
結果:金太郎
 
4戦中当たりが2戦。
前回大会と合わせて10戦中当たりが6戦という結果に。
 
 
いや~、何とも微妙な……。
 
調子に乗ってバンタム級GP以外の2試合、朝倉未来vsクレベル・コイケ戦とトフィック・ムサエフvsホベルト・サトシ・ソウザ戦に手を出さなければ、8戦中6戦が当たりとそれなりに格好もついたのだが。
 
朝倉未来がクレベル・コイケに失神KOで敗れる。リングならではの決着だったな。勝負論のある好ファイト
 
まあ、わからないなりに楽しめたのでいいっちゃあいいんですけどね。
 

○アラン・ヒロ・ヤマニハvs倉本一真×(3R判定 ※3-0)

倉本一真は現地観戦した2020年末のRIZIN26での豪快な勝ちっぷりが気に入り、GP出場全16人の中でもっとも注目していた選手である。
一方のアラン・ヒロ・ヤマニハはホベルト・サトシ・ソウザ、クレベル・コイケと同門のボンサイ柔術所属の選手で、こちらもどんなパフォーマンスを見せるかに期待していた。
 
予想記事でも申し上げた通り、1回戦8試合の中で僕が一番楽しみにしていた試合がコレである。
 
RIZINバンタム級GP1回戦勝敗予想後編。倉本一真と岡田遼に注目。バンタム級“四天王”とどこまでやれるか。金太郎はやっぱり華があるよな
 
感想としては、思った以上にスタンドに差があったなと。
 
倉本一真は強フィジカルを活かしたレスリングベースの選手で、テイクダウンをチラつかせながらゴンゴン圧力をかけていくスタイル。
 
だが、今回はヤマニハの打撃を最後まで攻略できなかった。
 
 
遠い位置から両腕を振り回す倉本に対し、ヤマニハの打撃はコンパクトで最短距離を通過する。
 
1Rにヤマニハの左を何発も被弾したせいで倉本はあっという間に足が利かなくなり、得意のテイクダウンにも力が乗らない。
また、上のポジションをとっても極めを警戒するあまり思い切って攻められない。
 
正直、倉本の圧力に動じずあれだけ打撃を機能させたヤマニハにはかなり驚かされた。
パンチを出す際に顎が上がる倉本の癖は以前から気になっていたところだが、レスリング仕込みのフィジカルがすべてをチャラにすると思っていた(今までの試合はそうだった)ので。
 
どうやらヤマニハの打撃能力はサトシ・ソウやクレベル・コイケ以上。柔術の実力は彼らには及ばないが、身体の強さと打撃に関してはぼちぼち期待できそうである。
 
応援していた倉本一真が負けてしまったのは残念だが、満足度の高い試合だった。
 

○瀧澤謙太vs今成正和×(3R判定 ※3-0)

“足関十段”の異名を持つ今成正和と空手ベースの瀧澤謙太が対戦したこの試合。
 
瀧澤謙太勝利ということで一応予想が当たったわけだが……。
内容自体は斜め上を行っていたというか、正直瀧澤があそこまでコンタクトを避けるとは思わなかった。
 
“足関十段”の異名が示す通り、今成は完全にグランドメインの選手。
相手の足に絡みつき、そのまま寝技に引き込む流れを基本とする。
 
ただ、過去の試合を観るとなかなか相手を捕まえられずにヒット&アウェイで逃げ切られるシーンも目につく。
相手は当然足技を警戒するし、年齢的にもアジリティ面が落ちてきているのかもしれない。
 
とは言え、瀧澤がここまで露骨な持久走作戦に徹するとは……。
3R中盤あたりで一度今成が瀧澤の足に絡みつく場面があったが、あの瞬間の瀧澤の慌て方といったら。
 
相手の土俵にいっさい付き合わずに勝利だけを目指すやり方が悪いとは言わないが、決しておもしろい試合ではない。
 
 
まあでも、アレですよね。
加齢によって横の動きについていけなくなるというのはどんな競技でもあるあるですよね。
 
ついでに言うと、朝倉海に敗れた渡部修斗同様、何をやってくるかが丸わかりな選手はどこかの段階で壁にぶつかるというのも真理なのだろうと。
 
朝倉海は微妙? 井上直樹とんでもない。扇久保博正、元谷友貴、ベイノア、気の毒な那須川天心その他感想
 

○大塚隆史vs獅庵×(3R判定 ※3-0)

この試合は比較的予想がしやすかったというか、「まあ、そうなるよな」的な一戦だった。
 
勝利した大塚隆史はグラップラー寄りのオールラウンダーで、射程はやや短めの“待ち”中心のスタイル。東京ドーム大会で春日井寒天たけしに勝利した扇久保博正と少しタイプが似ている(と思う)。
 
一方の獅庵はほぼ打撃のみの選手と言っても過言ではなく、あまり引き出しが多い方ではない。
 
なので、展開としては当然「リング中央で待ち構える大塚vs踏み込みのタイミングを測りながら打撃勝負を挑む獅庵」という構図となる。
 
テイクダウンを意識させながらプレッシャーをかける大塚と、打撃を警戒する相手に打撃で勝負せざるを得ない獅庵。
 
純粋な打撃だけなら獅庵の方が上だったかもしれないが、これはMMAの試合である。グランドを含めた総合力で大塚に分があったなと。
 

○金太郎vs伊藤空也×(3R判定 ※3-0)

そして、バンタム級GP1回戦8試合の中でもっとも尖った予想をしてみたのがこの一戦。
金太郎勝利予想が大半を占める中、あえての逆張りで伊藤空也にベットしてみたところ……。
 
結果は3-0の判定で金太郎勝利。
残念ながら大金星とはならず。
 
だが、試合自体はめちゃくちゃおもしろかった。
この試合をベストバウトに挙げる方が多いことを考えると、伊藤空也も初めてのRIZINの舞台で爪痕を残したと言えるのではないか。
 
 
とは言え、内容は予想と真逆だったことも事実。
 
遠間からの踏み込みを狙う金太郎に対し、ジリジリと前進しながら打撃勝負を挑む伊藤。
 
僕自身、じっくり距離を詰めて間合いに入ろうとするのが金太郎、遠い位置から打撃をチラつかせつつテイクダウンを狙うのが伊藤空也と予想していたが、実際の両者の立ち位置は完全に逆。
 
むしろ打撃寄りだったのは伊藤の方で、打撃とグランドの割り合いが8:2くらいだった印象である。金太郎のオールラウンダーっぷりに最後まで伊藤が苦められた試合だったなと。
 
 
てか、ちょっと成長しましたかね金太郎。
何となくだが、過去の試合に比べてグランドの技術が上達していた気が……。
 
上体の固さもなく適度にリラックスできていたようだし、全体を通していいパフォーマンスだったと思う。
 
あと、やっぱりこの選手は華がありますよね。
姿を見せるだけで場の雰囲気が変わるというのは完全に天性のもので、地元大阪で人気があるのもめちゃくちゃ理解できる。
 

○矢地祐介vs川名TENCHO雄生×(3R判定 ※3-0)

この試合はもう、矢地祐介の別人っぷりに驚かされたというのがファイナルアンサーである。
 
小刻みに動いて常にアングルを変え、コンパクトな右で牽制。
川名が組み付いてくればスルスルっとコーナーに背中を預けて相手の動きを封じ、身体の力を抜いて休憩する。
時おり踏み出した右足の反対側の死角から左ハイをヒットしたり、場面場面でやるべきことをやり通した印象である。
 
カウンターを狙っている相手の懐に左右のぶん回しで特攻→撃沈させられた朝倉未来戦とはまったくの別物。
足を止めずにアングルを変えまくる動きは前戦までの矢地にはなかったものだし、ハイテンポな流れを川名に押し付けたのもよかった。
 
 
試合前に本人が「これまでの自分とは違う」としきりに言っていたらしいが、なるほど、確かにそんな感じ。しっかりとリング仕様にも特化していたようだし、ポテンシャルに依存した脳筋ファイトからの脱却が感じられた。
 
 
うん、これは結構いいかもしれませんね。
あとはサトシ・ソウザやムサエフなど、相手のレベルが一段上がったときにどうなるか。
 
サトシ・ソウザがムサエフに速攻一本勝ち。ムサエフが「ヤッパリUFCダヨ! RIZINクソダヨ」にならないといいけど…
 
一時期YouTubeチャンネルをチェックしていたこともあって矢地祐介には期待していたのだが、ちっとも結果が出ないせいで最近は興味も薄れていたところ。
 
だがこういう試合ができるのであれば、もう一度注目してみようかな? という気になっている(何様?)。
 

○吉成名高vs誓×(1R終了TKO)

お次は日本人初のラジャダムナン/ルンピニー統一王者・吉成名高の試合。現地観戦した2020年末のRIZIN26でもっとも衝撃を受けた選手の1人である。
 
吉成名高、井上直樹、クレベル・コイケ、倉本一真。RIZIN26で衝撃を受けた試合振り返り。やっぱり2週間の隔離は影響デカいよな
 
そして今回もまた……。
俺たちの吉成名高、すご過ぎやしませんかね笑
 
真正面から対峙できないどころの話じゃない。
相手がまともに立っていられないって、どう考えても異常でしょ。
 
開始早々、組みの状態から誓を引き倒した瞬間の表情見ました?
 
うんざりしたような、がっかりしたような。
「ああ、またこのパターンか……」と言わんばかりの……。
 
言葉にならない複雑な心境が思わず出てしまった感じ。
 
2020年8月のvs優心戦同様、力の差が大き過ぎて逆に吉成名高のすごさが伝わらないという。
 
 
マジな話、これはどうしましょうかね。
 
現状、相手になるとすれば石井一成くらいか?
53kgでvs那須川天心という話もあるようだが、どちらにしても吉成名高にとっては適正を超えた体重となる。
 
今回のように力の差が大きければどうにでもなるが、実力が拮抗する相手の場合はそうもいかない。
 
そもそもこれだけの選手が純粋なフィジカル差で押し切られてしまうというのはあまりよろしくないような……。
 

○皇治vs白鳥大珠×(3R判定 ※3-0)

で、ラストはワンナイトキックトーナメントの決勝戦、皇治vs白鳥大珠について。
 
この試合は皇治のバッティングにより1回戦が無効試合になったにも関わらず、その皇治が決勝進出を許されたことでケチがついた経緯がある。
しかも1Rにまたしても皇治のバッティングとローブローが発生したせいで火に油を注いでしまったという。
 
・試合前の大口
・1回戦が自身のバッティングで無効試合に
・勝ってもいないのに決勝進出
・その試合でもバッティングとローブロー
 
これだけやらかした上で3-0の判定負けを喫したために今の皇治は完全にアンチのオモチャ状態。
皇治のための大会だったはずが、結果的に皇治の評価が著しく低下するという摩訶不思議な結末を迎えている。
 
那須川天心vs皇治感想。リスクを背負ったのは那須川天心だし、皇治はホントにおいしい試合だった。K-1を離脱した行動力は素晴らしいけど
 
ただ、冷静に観直してみると実はそこまで悪い試合ではない
長身の白鳥相手にガードを上げて接近戦に巻き込む作戦は間違いではないし、実際に皇治のパンチも再三ヒットしている。
 
近場でのボクシングテクニック、ハンドスピード、バックステップなどなど。総合力で白鳥大珠に上回られたものの、やろうとしていたことはめちゃくちゃ正しい。
 
1回戦の無効試合+2度のバッティングのインパクトでバイアスがかかってしまったが、試合自体は両者が持ち味を発揮した好ファイトだった(と僕は思う)。
 
 
まあ、梅野源治はね……。
頭を下げて突進してくる皇治とモロにかち合っちゃいましたよね。
 
もともとがムエタイベースなせいで構えがアップライト気味+バックギアもない。低い姿勢で中に入るスタイルの皇治と対峙すれば、ああいう事故が起きるのも想定内だったのかもしれない。
 
 
僕は別に皇治のファンでも何でもないが、ここぞとばかりに吊るし上げる風潮はどうなのよ? とも思ったり。
 
そもそも論として、どんな状況に陥っても必ず主語で語られる存在というのは文句なしにすごい。
 
“本物のキック”とやらが観たければ吉成名高の試合を観ればいいだけの話だが、現実的には再生数にこれだけの差があるわけで(RIZIN FIGHTING FEDERATIONチャンネルから引用)。

 
注目度の高さ=選手の価値とまでは言わないが、少なくとも皇治には純粋な実力以上のプラスアルファがある。
RIZINをはじめとするプロ格闘技が興行である以上、そこを無視することができないのも事実なのだろうと。
 
 
なお、申し上げたように僕は皇治のファンでも何でもないし、この選手がどうなろうがどうでもいい。
 

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