PKは運か実力か? それを議論するレベルに至ってないと思うぞ。「PK苦手なんですよねw」って舐め腐ってた結果が「人生最悪な日」なんだよ【2022年サッカーW杯感想】
カタールで開催中のサッカーW杯。
2022年12月15日現在、残す試合はクロアチアvsモロッコの3位決定戦とアルゼンチンvsフランスの決勝戦のみ。現地時間11月21日にスタートした一大イベントも大詰めを迎えている。
またご存じの通り日本代表は決勝T1回戦でクロアチアに敗れ、惜しくもベスト16で姿を消している。
目標に掲げていたベスト8進出は次回以降に持ち越しとなり、国内ではさっそく次期監督の話題が出るなど“次”に向けた動きも見られる。
そして、ここ最近でもっとも僕の印象に残ったのが「PKは運か、実力か」の話題。
2010年の南アフリカ大会でも日本はPK戦の末にパラグアイに敗れてベスト8進出を逃しており、一部からは「日本はPKが弱い」とすら言われているとか。
その一方で元日本代表の本田圭佑や元女子日本代表の丸山桂里奈が「PKは運」と発言したり、代表選手にPK1000本の練習を課したスペインがPK戦で敗れたりと“実力以外の要素”も強調されている。
「丸山桂里奈、日本のPK失敗に「PKは仕方ない。運だもん。魔物が味方しなかったね」…3本外し敗退」
これに関してはSNSや掲示板等でもあれこれ意見が飛び交い、個人的にも「へえ、おもしれえな」と思っていたところ。
というわけで、今回は「PKは運か、実力か。もしくはそれ以外の何かか?」についての僕の考えを。
日本vsクロアチア戦からだいぶ時間が経ってしまったのだが、ようやく自分の中でまとまってきたので。
- 1. PKはキーパーが圧倒的有利(メンタル面は)。キッカーは実力を半分も発揮できなくなる
- 2. PK戦はまったくの別競技。表裏、サヨナラ負け、シュート成功率70~80%。コンパクトでギャンブル性の高い野球じゃん
- 3. 「PKは運か、実力か」を議論するレベルに至っていない。やらなきゃうまくならないのは当然だよね
- 4. 中澤佑二「僕PK苦手なんですよね~、ハハハ~」←こういう舐め腐った態度が南野拓実の「自分が生きてきた中で最悪な日」につながるんだよ
- 5. PKだけなら木梨憲武の方がやれるまである。ろくに準備もしないで「運か、実力か」などわかるわけがない
- 6. どう考えてもPK戦対策は急務。森保監督「PK戦は準備の仕方が足りなかった」じゃねえんだよ笑
PKはキーパーが圧倒的有利(メンタル面は)。キッカーは実力を半分も発揮できなくなる
まずPK戦に対する僕の雑感を。
僕のPK戦の経験は小学校の球技大会くらいなのだが、思い返すと「PKはキーパーが圧倒的に楽」だった記憶がある。
基本「入れられて当然」のキーパーはキッカーよりもはるかにプレッシャーが少ない。
相手が蹴ってから反応するのでは間に合わない、一か八かでどちらかにヤマを張る以外に方法がない。
「これを決められたら負け」という状況以外、割と「いってまえ」の精神で臨めるのである。
逆にキッカー側に立つと一気に固くなるというか、実力の半分も出せなくなる印象。
僕などはもともと下手くそ&サッカーが嫌いな人間だったので、「しっかり足にヒットするか」が最大の課題となる。
僕がサッカーを嫌いな理由。「悩みがある人間はスポーツをやれば解決する」とかいうスポーツ万能クソ理論が反吐が出るほど嫌いです
とりあえず“いい場所”に当たってライナーで飛びさえすれば、あとは勝手に上下左右に散ってくれる。
ところがその“いい場所”に当てることがめちゃくちゃ難しい。生涯成績は恐らく4回中1回成功とか、そんな感じだったと思う。
もちろんトッププロと小学生の球技大会を同一で考えるのはナンセンスだが、
・メンタル面はキーパーが圧倒的に有利
・キッカーは普段の実力を出せなくなる
点については共通しているのではないかと。
一定以上の実力があれば枠内に強烈なシュートを打つことは可能。
だが、120分を走り切った直後に「負けたら終わり」の状況の中、左か右か、高いか低いかのコントロールを“ちょうどいい塩梅”でつけるのは至難の業。
極論、小学校の球技大会とW杯の成功率に大きな差はありませんでしたという結果すら出るかもしれない。
FC東京vsコンサドーレ札幌現地観戦。人生初のJ1観戦すげえ楽しかった。サッカーはゴール裏+高い位置から観るといいかもしれん。また行きたいな
PK戦はまったくの別競技。表裏、サヨナラ負け、シュート成功率70~80%。コンパクトでギャンブル性の高い野球じゃん
と同時に、PK戦は本番のサッカー(と呼ぶのが適切かは知らん)とはまったくの別競技である。
・5対5の団体戦
・3点先取
・表と裏で攻守がはっきり分かれている
・団体戦だが勝負自体は個人戦
・一瞬で勝負がつく
・120分を走り切った直後に行われる
特に“表と裏で攻守がはっきり分かれている”、“団体戦ながらもやっていることは個人戦”という部分はサッカーとは根本的に違う。
むしろ野球やカーリングに近いのではないか。
さらに延長に入ると先攻側はサヨナラ負けの危険が伴う、シュートの成功率が70~80%(らしい)ことを鑑みると、マジで“野球をコンパクトにしてギャンブル性を高めた競技”と言っていいかもしれない。
キーパーは失敗して当たり前、3割成功すれば一流。
「相手が蹴ってくる(投げてくる)ボールをキャッチできるか(打てるか)」という受動性を含め、「極限まで無駄を削ぎ落してギャンブル性を高めた野球」と呼んで差し支えない(そんなことはない笑)。
申し上げたように一定以上の実力があれば枠内に強いシュートを打つことは可能。
あとはどこに蹴るか、極限状態でそれができるか否か。
そう考えると、本田圭佑や丸山桂里奈の言う「PKは運要素が強い」「できることが少なすぎる」説もその通りな気が……。
日本がドイツに逆転勝利。後半は完全に勝つ雰囲気だったな。攻めの形ができればあとは決めるだけ。采配のタイミングと判断力の勝利
「PKは運か、実力か」を議論するレベルに至っていない。やらなきゃうまくならないのは当然だよね
だいぶ前置き(序章)が長くなったが、そろそろ結論を。
僕が思う「PKは運か、実力か」に対する答えは“どちらでもない”。
というより、それを議論するレベルに至っていない。
である。
先日の日本vsクロアチア戦の感想記事でも申し上げたのだが、PKの成功率を上げる一番の方法は恐らく「場数」。
日本がクロアチアにPK戦の末惜敗。日本はいい出来だったしこれは接戦になるって思ったよね。後半頭からの三苫薫投入が正解だった気が…
極限状態でどこまで実力を発揮できるか、120分を走り終えて疲労困憊の中でも高い精度を保てるか。
ここを向上するには似たような状況を多く経験するのが手っ取り早い。
イメージトレーニングやメンタルトレーナーを起用してのケア等も結構だが、何だかんだで“やらないとうまくならない”のが真理なのだろうと。
だが、現状は欧州の各国や日本でもリーグ戦でPKを採用している国は少ない(存在しない?)。
試合中のペナルティによるPK以外に蹴る機会がなく、どの選手にとっても緊張感のあるPKはほぼぶっつけ本番になる(と思う)。
ちなみに2022年の天皇杯決勝がPK決着となり、これは実に32年ぶりの珍事だったらしい。
天皇杯決勝のPK戦決着は“超レア”。前回はいつ?ルヴァンカップ決勝と比較すると?https://t.co/46IGIvSk0n
— フットボールチャンネル⚽️ (@foot_ch) October 16, 2022
また同記事によると、JリーグYBCルヴァンカップでは過去29回のうち7回がPK戦までもつれているとのこと。
さらにどちらも決勝戦に限った話なので、実際にはもっと行われているはず。
ただ、それでも足りない。
まったく足りない。
クロアチア戦での失敗を見れば日本選手が場慣れしていないのは明らかだし、中心選手だった本田圭佑や丸山桂里奈が「運」と言ってしまう時点でろくな準備をしてこなかったことがわかる。
主力選手やチームにとって天皇杯やルヴァンカップがどれだけ重要なのかは不明だが、“負けたら終わり”“外したら終了”といった高い緊張を要するPK戦にはほど遠かったと想像する。
中澤佑二「僕PK苦手なんですよね~、ハハハ~」←こういう舐め腐った態度が南野拓実の「自分が生きてきた中で最悪な日」につながるんだよ
以前、元日本代表の中澤佑二が何かの番組で「僕PK苦手なんですよね~」「『お前、単純だからどっちに蹴るかすぐわかる』って言われるんスよ」「ハハハ~」と軽いトーンで言っていたが、要するにそういうこと。
代表レベルの選手ですら真剣に向き合っていない、サッカー界全体でPKを軽視してきた結果が南野拓実の「自分が生きてきた中で最悪な日」発言につながった。
クロアチア戦のPK戦で1番手のキッカー役を務めながら、GKに阻まれた南野は「きのうは間違いなく自分が生きてきた中で最悪な日だった」と振り返った。駆け寄ってきた仲間の励ましが「痛かった」。責任を痛感していた。#FIFAWorldCup#Qatar2022#サッカー日本代表#南野拓実https://t.co/xoSNC0ogmk
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) December 6, 2022
舐めた真似をするとしっぺ返しがくる典型的なパティーンである。
「PKは運要素が強い」説を主張した本田圭佑が「ある程度の質に到達してからはPKは運になる」と補足していたが、いや、安心しろって。君らはその”ある程度の質”とやらにすら達してないから。
「練習が必要」本田圭佑が“PK”に持論。「でもある程度の質に到達してからは…」 https://t.co/u2KVtQIOyz #日本 #日本代表 #サッカー #FIFAワールドカップ #fifaworldcup
— FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA (@fifawc_guide) December 6, 2022
だって、やってないんだもん。
うまくなるわけないよ。
対策としてパッと思いつくのはリーグ戦にPKを導入することだが、欧州リーグの状況を考えると恐らくそれは難しい。
だったらPKオンリーの大会を創設するとかね。
優勝チームはリーグ戦をホームでスタートできるとか、賞金をがっぽり出す等のメリットを提示して。
すぐには妙案が思いつかないが、とにかく「緊張感のあるPK戦」を経験する場を無理やりにでも作るしかないと思う。
FC東京vs鹿島アントラーズ現地観戦感想。観客52772人はすげえ。レギュラーシーズンの1試合で国立競技場が95%以上埋まる…
PKだけなら木梨憲武の方がやれるまである。ろくに準備もしないで「運か、実力か」などわかるわけがない
極論中の極論だが、PKに限って言えば毎年正月の番組でプロ選手や元プロ選手としのぎを削ってきた(笑)木梨憲武の方がうまい可能性すらある。
木梨憲武、クロアチアの2試合連続PK勝ちに本音!? 「何でオレに蹴らしてくれねえかなぁ」【カタールW杯】:中日スポーツ・東京中日スポーツ https://t.co/IZZDuVX2SZ
— 中日スポーツ芸能 (@ChuSpo_Geino) December 10, 2022
PK戦とサッカーは完全に別競技なのだから、“それ用”の対策が必須なのは当然である。
は?
PKは運だ?
笑わせんなよ。
ろくに準備もしてないのに「運か、実力か」なんてわかるわけねえだろ。
できる限りの準備をして本番を迎えて、全力を尽くした上で最後の最後に運を天に任せるんだよ。
そこまでやって初めて「運か、実力か」の議論がスタートするんだよ。
それには結局場数を踏むしかないんですよ。
成功率がどうとか、どこに蹴れば~、何番目のキッカーが〜、みたいな話はずーっと後ですよ。
「プレッシャーのない中でやっても意味がない」のではなく、無理やりにでも「プレッシャーのある状況」に自分を持っていくんだよ。
別に怪我の心配もないんだからメンタルさえ整えばできるでしょ。
協会も選手も首脳陣もみ~んなトッププロなんだし。
なので、親善試合でのPK戦実施を検討するのはマジで悪くない。
日本代表、親善試合でPK戦実施へ。新強化策の議論活発化「絶対にやらないよりやった方がいい」「プレッシャーも無い練習に意味ある?」 https://t.co/BqPM9O9b46 #日本 #日本代表 #サッカー #FIFAワールドカップ #fifaworldcup
— FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA (@fifawc_guide) December 12, 2022
本当はJリーグにPK戦を導入すればいいのだが、それができないのであれば。
日本がイニシアティブを取れる国にお付き合いいただく感じで。
日本がコスタリカに1-0で敗戦。絶対に勝たなきゃダメな試合だったけど不穏な空気は流れてたよね。支配し過ぎたせいで守備陣の集中が切れたっぽい
どう考えてもPK戦対策は急務。森保監督「PK戦は準備の仕方が足りなかった」じゃねえんだよ笑
いやもう、この部分の対策は本当に急務だと思いますけどね。
上述の通り日本は過去4大会中2大会をPKで落としている上に今大会の決勝Tでは14試合のうち4試合(12月15日現在)でPKが発生している。
特に日本チームは「0-0の状況をいかに長く作れるか」「120分をトータルで考える」と宣言してロースコアでのカウンター作戦を選択したわけで。PK戦までを織り込んで準備するのは当たり前である。
日本がスペインに逆転勝利。三苫薫のすごさと能力の高さを見せた久保建英。でもスペインのゆったりなパスサッカーは案外やりやすかったかも?
【W杯】森保監督がPK戦反省「準備の仕方が足りなかったかなと」敗退一夜明けフジ番組出演 #W杯 #FIFAWorldCup #QatarWorldCup2022 #森保一 #PK戦https://t.co/bVSezJwppI
— 日刊スポーツ (@nikkansports) December 6, 2022
森保監督「PK戦は準備の仕方が足りなかった」
ワロタww
絶対アカンやんけ。
そういうところだぞ。
繰り返しになるが、こういう舐め腐った積み重ねの先に南野拓実の「自分が生きてきた中で最悪な日」発言があったことを忘れてはダメ。
そもそも強豪国を出し抜きたい日本にとってどんぐりの乗せ比べ状態のPK戦は絶好機だと思いますけどね。
そういう意味でも代表選手に1000本のPK練習を課したスペインはさすがだった。
結果的に数を重ねても大きな効果は得られなかったが、だからと言ってそこで「やっぱりPKは運」と思考停止するのは違う。
「PKは反復練習では向上しない」というノウハウを得たと考えて次に進むべき。
ちなみに僕は次回のW杯までの向こう4年間、ほぼサッカーを観ないことを確信している()
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