武居由樹がブルーノ・タリモの圧力に苦労しつつも11RTKO勝利。本人は納得いってないっぽいけど、これ系の相手なら誰でもこうなるよ。タリモは本当にいい選手だった【結果・感想】

武居由樹がブルーノ・タリモの圧力に苦労しつつも11RTKO勝利。本人は納得いってないっぽいけど、これ系の相手なら誰でもこうなるよ。タリモは本当にいい選手だった【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2022年12月14日に東京・有明アリーナで行われたOPBF東洋太平洋S・バンタム級タイトルマッチ。同級王者武居由樹がランキング14位のブルーノ・タリモと対戦、11R2分17秒負傷TKOで武居が勝利し初防衛に成功した試合である。


ボクシングの観戦熱がガチで減退しているここ最近の僕だが、その中でも楽しみにしていた数少ない一つがこの試合。
2021年3月のデビュー以降、5戦5勝5KOでOPBF王座戴冠を果たした武居由樹の初防衛戦である。
 
その他、有名選手の世界戦やそれに準ずる試合以外では12月11日に大阪で行われた下町俊貴vsジョー・サンティシマ戦、大晦日に井岡一翔vsジョシュア・フランコ戦のアンダーで予定されている堤駿斗vsペテ・アポリナル戦にも注目している。
 
下町俊貴がジョー・サンティシマを危なげなく完封。危なかったのは接近戦に巻き込まれた5Rだけかな。もしかしたら下町はホームで力を発揮するタイプ?
 
というわけで今回は井上尚弥vsポール・バトラー戦のアンダーで行われた武居vsタリモ戦の感想を言っていくことにする。
 

ブルーノ・タリモは武居由樹が遭遇したことのないタイプ。中谷潤人vsフランシスコ・ロドリゲスJr.戦とちょっと似てたかな

試合の感想だが、なかなかおもしろかった
 
対戦相手のブルーノ・タリモは前戦までは2階級上のS・フェザー級でリングに上がっていた&武居がこれまで遭遇したことのない豆タンク体型のファイター。
恐らくフィジカル面の優位性もない、ゴツゴツ懐に入ってくるタイプを武居がどうさばくか注目していた次第である。
 
で、全体の流れとしては2022年11月の中谷潤人vsフランシスコ・ロドリゲスJr.戦と近い。
遠い距離で対峙したいサウスポーvsどんな相手だろうがお構いなしに距離を詰めて腕を振るファイターの対戦。
多少の被弾は想定内、ひたすら追い回すスタミナと突進力、根気のよさでサイズ差をチャラにする突貫スタイル。
 
中谷潤人は階級離れした長身ながらも接近戦もできるオールラウンダーだが、ロドリゲスJr.の強引さには最後まで手を焼いた。特に「お、効いたか?」と思ったところからすぐに持ち直すしつこさは特筆ものだった。
 
吉野修一郎vs中谷正義現地観戦。凄みを感じさせた中谷、割り切りとタフネスの吉野。めちゃくちゃ感動したけど中谷敗北のショックも大きい
 
そして今回のブルーノ・タリモもそれと似た感じ。
 
ずんぐりの豆タンク体型で1発の威力自体はそこまでではない。
だが、どんな状況、体勢からでもMAXの圧力で襲い掛かることが可能。
 
頭が当たろうが後頭部を打たれようが知ったこっちゃない。力強いパンチを打つにはある程度のスペースを必要とする武居とは真逆のファイトで試合後半まで駆け抜けてみせた。
 
 
いや、すごかったですねブルーノ・タリモ。
ナチュラルにスイッチを繰り返しながら距離を取ろうとする武居をゴンゴン追い詰める。
で、ひとたびロープを背負わせれば多少のバッティングは仕方ない、強引に腕を振ることで武居に得意の右フックを打たせる余裕を与えない。
 
さらに武居がサイドに逃げようとすれば首に腕を回して通せんぼするなどのダーティさも兼ね備える。
 
不用意なグローブタッチにはいっさい付き合わず、最後まで集中を切らさずに。
 
 
キャリアを振り返ると、この選手は母国タンザニアからオーストラリアやセルビア、英国と様々な場所でリングに上がっていることがわかる。
 
どんな場所、どんな状況、どんな相手でも変わらず自分のペースに相手を引きずり込む泥沼感ww
こういうのを“数々の修羅場を潜り抜けた経験値”と呼ぶのだろうと。
 
下町俊貴vs石井渡士也戦すごい試合だった。全体の流れは石井。でも下町はよく踏みとどまった。よし、次は武居由樹と(しつこい)
 

得意な距離で対峙できない状況、ガードの低さなど。これまで指摘されてきた部分がどうなるかに注目してたけど…

一方の武居由樹だが、こちらはホントに疲れる試合だった。
 
試合前の僕の展望は
・ブルーノ・タリモはなかなかの難敵
・武居にフィジカル面の優位性はなさそう
・タリモの強引なプレスにどう対応するか
・以前から指摘されているガードの低さはどう影響するか
・いきなり飛び込んでの右フックは機能するのか
などなど。
 
武居由樹vsマリオ・ディアス。早い段階で「あ、武居勝つわ」ってなった。でも若干フワフワして見えたな。移籍して井上尚弥と真っ向勝負しちゃえ笑
 
これまで圧倒的な攻撃力と防御勘のよさでKOを量産してきた武居由樹。
 
だが、今回のブルーノ・タリモは今まで武居が遭遇したことがない突貫ファイター。
過去5戦ではやや前傾姿勢&右腕をブラブラさせた構えからいきなりゼロ距離に入って打ち込む右フックで相手をなぎ倒してきたが、そのスペースを潰された場合は?
 
逆にブルーノ・タリモが武居の攻撃力を警戒して前進を躊躇するようならもはや武居に残された仕事は世界戦のみ。東洋王座の防衛戦すら「停滞」と呼ぶレベルに成り下がる笑
 
そして僕は後者のパターンに期待する。
“ボクサー”武居由樹の快進撃を楽しみにしている人間としては、この程度? の相手にモタモタするようでは困るのである笑
 
そんな感じで勝敗予想は武居由樹の7RKOとさせていただいた。
 

武居由樹苦労したね~。たびたび顔を跳ね上げられる光景はなかなかのインパクト

ところが簡単にはいかず。
タリモの絶え間ないスイッチと前に出る馬力、被弾をものともしない思い切りのよさを持て余し、得意の距離が作れないままラウンドを重ねる武居。ロープで防御一辺倒になるシーンすらも目に付いた。
 
上述の
・距離を潰された際の対応
・ガードの低さ
・攻撃力で圧倒できないときの動き
等、未知数だった部分が表出したと言えるのではないか。
 
 
中でもタリモが左構えにスイッチした際、前手の右を再三もらっていたのが……。
 
もともと腕を下げてリラックスした構えからスパッと右を打ち出すのが武居の持ち味だが、今回はその逆をやられてしまった印象。
 
個人的に武居の右フックはサウスポーとの対戦で機能しやすいと思っているのだが、自分の右が当たりやすい分、相手の距離でもあったのかもしれない。
 
強かったロベイシ・ラミレス、厳しかった清水聡、期待通りの武居由樹、期待外れの今永虎雅。放置タイム約2時間、スポーツイベントとしてはクソ中のクソでしたね
 
タリモが1発KOのタイプでなかったので大ごとにはならなかったものの、たびたび顔を跳ね上げられる光景はなかなかのインパクトだった。
 
あとはアレか。
接近戦でタリモのパンチが最短距離を通過するのに対して武居は若干自分のリーチを持て余す。打ち合いの中でもややオープン気味に手首の部分が当たっていた。
 

これ系の選手は日本にはいないよね。北米のリングではしょっちゅう見かけるけど日本では希少種

恐らくだが、これ系の選手を日本で探すのは相当難しい。
 
2021年大晦日に井岡一翔に挑戦した福永亮次も試合前は「ガンガンいく」と宣言していたものの、当日は井岡のカウンターを警戒して動きが止まる場面が多かった。
フランシスコ・ロドリゲスJr.のような強引さを目指していたのだと想像するが、残念ながらああいう思い切りのよさにはほど遠い。
 
その他、ジェルウィン・アンカハスに2度勝利したフェルナンド・マルティネスも似たタイプと言えそう。
 
フェルナンド・マルティネスがアンカハスに再び勝利。これでアンカハスはトップ戦線から脱落かな。組みし易しな選手になっちゃったよね。マルティネスは2023年に来日しれ
 
性格? 骨格? 人種?
諸々の要因はあると思うが、ブルーノ・タリモやフェルナンド・マルティネスJr.のような前傾姿勢のファイターを国内で探すのは本当に難しい。
 
北米のリングでは比較的よく見かけるタイプが国内では見当たらない。L字のクネクネサウスポーなどもそうだが、今回のブルーノ・タリモはいろいろな意味で希少な存在だった。
 

あまり気にすることはないんじゃないの? 圧勝には違いないし、タリモ相手なら誰でもこうなるよ。本人は納得いってないみたいだけど

ただまあ、武居由樹としてはそこまで気にしなくてもいい気はする。
 
何だかんだで11Rでストップ勝ちしている上にポイントも一方的(110-89、99-90、99-90)。
動き出しやキワの部分でしっかりと強いパンチを当てていたし、タリモが失速した8R以降は遠間からの右フックも何発か見せていた。
 
得意のパターンに持ち込めずに苦労したことは確かだが、圧勝であることも間違いない。
 
 
もっと言うと、ブルーノ・タリモのような追い足のスペシャリスト相手には誰でも(井岡一翔も中谷潤人もジェルウィン・アンカハスも)こうなる。
本人は納得いっていないようだったが、難敵をクリアできたことは普通によかったのではないか。
 
那須川天心vs与那覇勇気はバチクソ熱い。南出仁戦でアウトボクシングされたのを受けて選んだかな。5戦目でOPBFを王座獲得武居由樹も意識してる? かも?
 
なので、来年こそは下町俊貴とのタイトルマッチをだな……(しつこい笑)。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 


 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!