尾川堅一がジョー・コーディナの狙いすました右で撃沈。距離の遠さとタイミングに慣れる前にもらったな。フラグになるから勝敗予想をしなかったのに笑【結果・感想】
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2022年6月4日(日本時間5日)、英・カーディフで行われたIBF世界S・フェザー級タイトルマッチ。同級王者尾川堅一vsランキング3位ジョー・コーディナの一戦は2R1分15秒KOでコーディナが勝利。初戴冠を果たした一戦である。
尾川堅一が負けた……。
この試合は日本時間早朝だったためにリアルタイム視聴はできず。
翌朝スポーツニュースで尾川堅一の敗北を知り、後追いで視聴してみたところ……。
う〜わ。
すっげえ右……。
遠い位置から左で小さいフェイントをかけ、尾川の視線が逸れたところに右をズドン。
あれをもらったら立つのは難しいし、コーディナがお見事でしたとしか言いようがない。
僕は以前から尾川堅一のボクシングが好きで、2021年11月に新王者となった際はめちゃくちゃ嬉しかったことを覚えている。
尾川堅一vsアジンガ・フジレ。2021年ベストバウト(僕の中で)出たか? 全盛期の動き、3度のダウンを奪っての判定勝利にクッソ感動しました
中でもサウスポーを切って落とす右ストレートの威力は特筆もの。
それこそ階級内でWBC/WBO王者のシャクール・スティーブンソンに辛うじて勝てる可能性があるとすればこの人だと思っている。
これは完全に希望的観測だし掌返しと言われたらその通りなんですが、階級内でシャクール・スティーブンソンに勝てる可能性があるとしたら辛うじて尾川堅一だと思ってる。
それくらい前回のアジンガ・フジレ戦での勝ちっぷりはインパクトがあった。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) December 29, 2021
ただ、今回の挑戦者ジョー・コーディナは割とやっかいな相手。
一見強そうには思えないがたぶん強い。
恐らく尾川堅一にとっても初めて遭遇するタイプで、手こずる可能性も高いのではないか。
という感じで「尾川堅一にはがんばってもらいたいけど、勝敗予想となるとよくわからん」状態のまま当日を迎えた次第である。
勝敗予想を明言しないでおいた。僕が予想すると負けフラグになるから。って、関係ねえじゃん笑
ただ、今回はあえて勝敗予想を明言しないでおいた経緯がある。
なぜならフラグになるから。
これまで僕が海外のリングに上がる日本人選手(日本のジム所属選手)の勝敗予想をした結果は下記。
左側が「コイツが勝つ」と宣言した側で、実際の勝敗は○×で表している。
×大竹秀典vsアイザック・ドグボエ○
○尾川堅一vsテビン・ファーマー×(後日無効試合)
○伊藤雅雪vsクリストファー・ディアス×
×伊藤雅雪vsジャメル・ヘリング○
×中谷正義vsテオフィモ・ロペス○
×亀田和毅vsレイ・バルガス○
○中谷正義vsフェリックス・ベルデホ×
×ホルヘ・リナレスvsデビン・ヘイニー○
×中谷正義vsワシル・ロマチェンコ○
×勅使河原弘晶vsマーロン・タパレス○
○亀田和毅vsヨンフレス・パレホ×
×ホルヘ・リナレスvsザウル・アブドゥラエフ○
思い出せるだけでも通算3勝8敗1無効試合。
海外のリングで勝つ難しさはもちろんだが、ここまで結果が出ないのはもはやフラグでしかない。
特に今回は期待感が高い尾川堅一の試合。
縁起の悪い勝敗予想はやめておこうと。
“座して待つ”ではないが、あれこれ言わずに応援することに決めた次第である。
関係なかった〜。
いや、関係なかったなオイ。
ガッツリ負けたよ尾川堅一。
僕が予想しようがしまいが、そりゃ結果は出るよね。
そんなことは当たり前だわ、うん。
だったらくだらんジンクスなど気にせず言いたいことを言って撃沈した方がよかったんじゃねえか?
そもそも僕ごときが何を言おうが何の影響もないんだから。
などと思いつつ尾川のダウンシーンをリピートしまくっている。
あ、でも「日本人選手全員勝つでしょ」って言っとるなコイツ……。
尾川堅一vsジョー・コーディナ、中谷正義vsハルモニート・デラ・トーレ、亀田和毅vsウィリアム・エンカーナシオン。日本人選手全員勝つでしょ。なぜなら僕がそう決めたから
尾川堅一の調子はよかった。スペック的にも互角以上だったと思う
前置きが長くなったがそろそろ本題に。
試合の感想だが、この日の尾川堅一は調子自体はぼちぼちよかったと思う。
・ジョー・コーディナは初めて遭遇するタイプ
・vsオーソドックスの動きがどうか
諸々の懸念はあったものの、動きを観る限り全然大丈夫。
シャクール・スティーブンソンvsオスカル・バルデス。バルデスじゃシャクールに勝てへんよ。でも、シャクールも万能じゃなさそう。チャンスがあるとすれば尾川堅一一択
また、完全な敵地&コーディナの地元開催という部分についてはまったく問題ない。
以前から何度か申し上げているが、この選手は神経が図太く調子乗りの側面もある(気がする)。
尾川堅一は調子乗りなヤンキー気質に加えて堀口恭司とか野茂英雄と同種の図太さというか、自分の手の及ばないことを気に留めない鈍感力があるよな。
上り調子のヤンキーってのは何よりも怖いからな。
これだけアウェイ向きのヤツもそうそうおらんでしょ。
でもジョー・コーディナは強敵だと思う。 https://t.co/LZArf4vvoi
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) May 4, 2022
本人は試合後に「のまれた」とコメントしていたが、いや、そんなことはないでしょと。
どんなシュチュエーションでも普段通りの力を出せるのが一番の強みといっても過言ではなく、この試合でもそれは十分に発揮されていた。
スペック的にも互角以上にやれていたと思う。
短い時間だったが、パッと見の両者の印象は下記。
・左の精度:尾川
・右の威力:尾川
・距離の長さ:コーディナ
・スピード:尾川
・スタミナ:不明
・ディフェンス:コーディナ
お互いにガードが低くディフェンスは距離と見切りが中心。
1Rはかなり拮抗していたが、どちらかと言えば尾川寄り。あのままラウンドが進めば徐々に尾川に流れが傾いたのではないか。
距離の遠さはコーディナ。1Rから割と危険なもらい方だったかな
申し上げたように尾川堅一とジョー・コーディナはどちらも低いガードに距離と見切りのディフェンスが中心の選手。さらに遠い位置から鋭く踏み込んで打ち込む右など、比較的共通点が多い。
試合前に尾川が「自分と少しタイプが近い」とコメントしていたが、これを聞いて「ああ、なるほど」とめちゃくちゃしっくりきた。
ジョー・コーディナvsシャフカッツ・ラヒモフすげえ試合。コーディナはこんなに接近戦がうまいんだな。尾川堅一との再戦あるか?
だが、距離の遠さに関してはジョー・コーディナの方が上というか、そこに慣れる前にやられてしまった印象。
若干前傾姿勢で構える尾川堅一に対し、懐が深くやや後ろ体重のジョー・コーディナ。
尾川は中間距離では細かい連打をパパパッと打ち込むスタイルだが、コーディナはじっくり狙いを定めてスパッと1発を放つ。回転力、復元力では尾川に劣るものの、間合いの外からいきなり飛んでくる分対応は難しい。
実際1Rの尾川はコーディナの左で何度か顔を跳ねあげられていたし、頭を下げた瞬間に打ち下ろし気味の右を被弾していた。
スピードで上回る尾川の方が好印象だったものの、その反面危険なもらい方が目についた。
まあ、もともと尾川堅一は左のガードが低く右クロスをもらいやすい選手ではあるが。
試合後の感想で尾川のディフェンスの甘さ、ガードの低さを指摘する声をいくつか見かけたが、それをやると尾川のよさが失われる可能性もあるわけで。
懐の深いコーディナを捕まえるにはある程度低く構える必要もあったと想像する。
那須川天心公開スパーリングと尾川堅一の復帰戦。どちらもよかったんじゃない? 尾川は僕の知る限り過去一の出来かな
狙いすました右一閃。左の軌道を意識させ、下と見せかけての右をズドン。アレをもらったら立てん
そして勝負を決めた2Rの右だが……。
いや〜、狙ってましたね〜。
もう一度観直してわかったのだが、このラウンドのコーディナは中間距離での右は1発も出していない。
尾川が強引に前に出てくれば無理に打ち合わずに距離を取り、逃げきれないとわかればクリンチで時間稼ぎ。
で、再びリング中央で対峙。
左をおもむろにスッと下げ……。
低い位置からボディに伸ばすと見せかけ、尾川の頭が下がった瞬間に側頭部に右をズドン。
マジな話、あんなもらい方をしたら立ち上がれるわけがない。
本人的には「自分のタフさには自信があった」らしいが、正直そんなレベルの話ではない。
それこそ2022年5月28日(日本時間29日)のジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ戦のKO劇に匹敵するインパクト。
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ。デービスの動きがちょっと悪かった? ロメロの作戦がハマったけど、タイミングを覚えられてからが…
あのパンチを打たれたら仕方ない。
ジョー・コーディナがお見事でしたとしか言いようがない結末だった。
あとはアレだ。
エディ・ハーンは喜びすぎだよ笑
同郷の選手が地元でこんな勝ち方をすればはしゃぎたくなるのはわかるが、一応尾川堅一もお前がプロモートする選手だからなww
無駄にタッパがあるからどこにいても目立つんだよお前笑
中谷正義が復帰戦でハルモニート・デラ・トーレを1RKO。左ジャブ→右打ち下ろし→左ボディでフィニッシュ。短い時間で持ち味が全部出た完璧な勝利っすね
尾川堅一は今後どうするんだろうな。すぐにチャンスがくればいいけど、そうでないなら…
惜しくも王座から陥落し、戦績を26勝2敗1分18KOとした尾川堅一。
ただ、動きを見る限り衰えはまったく感じないし、まだまだ階級屈指の力を残していると思う。vsサウスポーであれば再び“Crush Right”が火を吹くはず。
と言いつつ、ここからもう一度チャンスが回ってくるかといったら……。
2022年6月現在で34歳。
2019年2月の復帰戦から2021年11月のアジンガ・フジレ戦まで約2年9ヶ月。
新型コロナウイルスの影響があったとはいえ、もう一度後楽園ホールから出直すとなれば相当な覚悟が必要になる。
マッチルームとは複数試合契約とのことなのでどうなるかは不明だが、今後どの程度のオファーがくるのか、こないのか。
ジョー・コーディナは間違いなく英国にこもっての防衛路線だろうし、WBC/WBOのシャクール・スティーブンソンはトップランク所属。チャンスがあるとすればWBAのロジャー・グティエレスだと思うが、恐らくそんなに簡単な話ではなさそう。
それとも三浦隆司のように帝拳パワー&プロモーターからの寵愛(三浦はデラホーヤのお気に入りだった)によってすぐにチャンスがくる? かも?
ヘイニーがPFP1位で異論ないよな? “あの”カンボソスを塩漬けにしたんだぞ。井上尚弥、カネロがはるか彼方にふっ飛ぶ偉業。ジャブ、ダッキング、クリンチが最強。以上!!
個人的には尾川堅一には現役を続けてもらいたいが、仮にこの試合が最後になったとしても仕方ないかなとも思っている。
前日計量でブーイングを浴びながら入場→耳栓ポーズで「聞こえないよ」アピールは世界一カッコよかったですよね笑