逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!感想。コロナ禍をそのまんまやるかね。現実逃避したい正月に現実に引き戻される後味の悪さが…

逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!感想。コロナ禍をそのまんまやるかね。現実逃避したい正月に現実に引き戻される後味の悪さが…

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ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」を観た。
 
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「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」(2021年)
 
給料が発生する雇用関係を前提とした契約結婚を経て、お互いがかけがえのない存在となった森山みくりと津崎平匡。
あれから4年が過ぎ、2人は共働き+適切な家事分担の中で幸せな日々を過ごしていた。
 
 
前職をリストラされ、新しい職場「リゼアス」で働く平匡は、上司である灰原の空気の読めない悪ノリに戸惑いながらも忙しい毎日を送っている。
 
一方のみくりもそれなりに充実した職場ライフを送りつつ、既婚の女子社員から産休が取りにくいせいで子づくりを躊躇する「出産の順番待ち」が起きていることを聞かされる。
 
 
そんな中、謎の眠気と気だるさに襲われるみくり。
珍しく仕事中に居眠りをする彼女を怪訝に思った同僚の女子社員が、妊娠なのでは? とみくりに声をかける。
 
帰宅後、試しに妊娠検査薬を使用したみくりだったが、結果はまさかの陽性。嬉々として平匡に妊娠を報告するも、なぜか平匡の反応は薄く……。
 
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感想としては「まあまあ」。様々な社会問題を取り入れたこともあり、世間的な評価は概ね好意的みたい

2016年に新垣結衣、星野源主演で放送され、大反響を起こしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」。そのドラマが約4年ぶりにスペシャル版として2021年正月O.A.された。
 
放送終了後に感想記事やSNS等での評価を一通り眺めてみたところ、おおむね好意的なものが多いように思える。


僕自身も2016年のレギュラー放送を楽しんだ人間なので、今回のスペシャルも普通に楽しみにしていた次第である。
 
そして、率直な感想としては「まあまあ」
前半はなかなかよかったものの、後半以降がちょっと微妙。全体を通してみれば悪くはないが、手放しで褒めるほどではなかったというのが本音である。
 
 
今回のスペシャルは契約結婚をきっかけに愛を育んだみくりと平匡が幸せな共同生活を送る描写からスタートする。
序盤でみくりの妊娠が発覚→2人が本当の夫婦となり、出産に向けて手を取り合って立ち向かう様子が描かれるわけだが、その過程で2人は様々な問題にぶち当たる。そして、問題を乗り越えるたびに家族としての絆を深め、成長していく流れとなっている。
 
作中で描かれる問題も多岐にわたる。
 
・男女ともに育児休暇の取得しづらい職場環境。
・時短勤務に移行しにくい法制度。
・空気を読めない上司の軽口に傷つく部下。
・まったく進んでいない夫婦別姓。
・法律上、パートナーとの結婚が認められない同性愛者たち。
・高齢化社会、晩婚化社会における独り身の辛さ。
・50歳を超えて健康を損なった際の心細さ。
・遠くて身近な病気である癌。
・家庭と仕事の両立、妊婦との役割分担。
・男の側に弱音が許されない風潮。
・現代と過去の父親像、母親像。
 
さらに新型コロナウイルスによる世界的なパンデミック。
 
感情のもつれやすれ違いはもちろん、多くの社会的な問題に直面しても2人は少しずつ歩みを進めていく。互いに手を取り合い、時には衝突し、周りに助けられながらも子を育てる“親”として成長していく。
 
マジな話、2時間半という制約の中でこれだけの内容を本当にうまく取り入れたと思う。
癌の手術を受けた土屋百合のその後や花村伊吹との関係性、風見涼太とのエピソードなど。若干説明不足に感じる部分もあったが、それでも納得いかないほどではない。
 
平匡の上司である灰原を演じた青木崇高のウザさもよかったし、7・3分けのナオト・インティライミというのもなかなか新鮮だった。
 
土屋と風見の関係が終わっていたことに関しては「おお、そっちかよ」という思いもなきにしもあらずだが、やっさんやみくりの家族を含めて4年前のノリがそのまま戻ってきたことは非常によかったと思う。
 
ただ一つ。
新型コロナウイルスのネタを現実世界からそのまま持ってきたことを除いては。
 
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新型コロナウイルスによるパンデミックをまんま再現するのはどうなのよ。緊急事態宣言とか、そういうのいらんって

表題の通りなのだが、今回の「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」において僕がいっさい受け付けなかったものが、新型コロナウイルスによるパンデミックを作中でそのまま再現したこと
 
これが僕が今作で唯一“ない”と思った部分であり、このドラマを「まあまあ」「後半がいまいち」という評価に落ち着かせた最大の要因にもなっている。
 
もともと僕の中でドラマは「日常を忘れるために気楽に観るもの」という位置づけであり、今作「逃げ恥」はレギュラー放送時からその条件にモロに合致していた。
 
そして、当然今回も同じノリで視聴していたのだが……。
 
みくりに子どもが生まれた後半以降、ガラッと流れが変わる。
 
新型コロナウイルス感染拡大の影響で平匡の育児休暇がすっ飛び、緊急事態宣言の発令によってみくりが子どもを連れて実家に疎開。
日常生活では手洗いうがいは必須。マスクや消毒液が慢性的な品薄となり、インターネットの掲示板では罵詈雑言が飛び交う始末。
テレワークで他人と話す機会もなく、孤独な生活を続ける平匡の心は徐々に蝕まれていき……。
 
いやいやいやいや。
 
いらんって。
そういうのいらんって。
 
ここまでぼちぼちうまいことやってきたじゃん。
日常の問題をバッサリと切りまくる爽快感と、現実世界ではあり得ない主人公たちのメルヘンなやりとり。
このバランスの秀逸さが今作の魅力を底上げしていたはずなのに。いきなり進行形の現実世界とリンクさせてどうするよ。
 
“ムズキュン”だか何だか知らんが、リアルで口にしたらクソ寒い言動や鳥肌が止まらなくなる行動も「ドラマの中」という非日常だからこそ。我々の世界とは別のパラレルワールドとして俯瞰で見ているからこそ、ああいうデフォルメ表現が成り立っていたのに。
 
そういうのは求めてねえんだって。
 
ドラマ「未来への10カウント」がおもしろい。キムタクが相変わらずキムタクしてる安心感。よくここまで復活したよな。でも不幸自慢マウント合戦は違うぞ?
 

現実世界との線引きがなされていたのに、突然WHOのテドロスが出てきて頭をガツンと殴られた

・マクドナルド→ワクドナルド
・Google→Goodluck
・LINE→LIME
・毎日新聞(朝日新聞)→毎朝新聞
 
その他、カップラーメンや トイレットペーパーのメーカーなど、現実世界とは境界線を引いて別世界の出来事であることを表現していたはずが。
 
突然、WHOのテドロス事務局長が新型コロナウイルスを世界的なパンデミックに認定し、COVID-19という正式名称も頻出。
お笑い芸人の志村けん氏がコロナで命を落とし、1都7県を対象とした緊急事態宣言が発令されて多くの企業がテレワークに切り替える……。
 
都心が完全にゴーストタウン化したり、平匡が帰宅直後に入浴と衣服の洗濯、ドアノブを肘で開けたりと若干オーバーな描写はあったものの、現実世界で起きたことがほぼそのまま再現されていた。
 

嫌でもあと数日で現実に戻らなきゃいけないのに、あえてそれを前倒しする必要が? しかも作中では収束してる世界線だしね

いや、もう勘弁してくれと。
何を思いっきり現実に戻してくれとんねんと。
 
1月2日の夜であれば、多くの方は嫌でもあと数日で現実に戻らなくてはならない。
本来1年でもっとも現実逃避したい時間帯なのに、なぜわざわざこのタイミングでリアルとフィクションをリンクさせるのよ? と。
 
一般企業の名称をそのまま使うのが難しいことは理解できるが、それなら最後まで貫けよという話。
 
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申し上げたように中盤までは比較的いい雰囲気だったのに、いきなり「TBS」のテロップの入ったテレビ画面から感染者数の上昇グラフを見せられたせいで、横からガツンと頭を殴られた感が尋常じゃない。
 
挙句の果てに、作中のラストはパンデミックが収束してマスクが必要なくなった世界線が描かれるというおまけつき。
 
もう最悪である。
我々は明日からも外出時や人が集まる場所でのマスク着用が必須だし、他人との距離をとれ、会話を控えろと耳タコレベルで聞かされる生活が待っている。
 
アイツらは幸せで平凡な生活に戻ったが、こちらはたっぷり現実を痛感させられた上に間もなくマスク必須の日常に立ち向かわなくてはならない。
こんな投げっぱなしジャーマンのような終わり方で「ガンバレ人類!」もあったもんじゃない。
 
「ただいま」「おかえり」
じゃねえんだよww
 
現状のコロナ禍を完全にスルーするのはあまりに不自然ではあるが、せめて何かのパロディで代替するくらいの気配りがあってもよかったんちゃうの?
 
ドラマとしてはおもしろかったが、後味はすこぶる悪い。本当に「まあまあ」という表現がピッタリのスペシャルだった。
 
まあ、冒頭で官房長官に扮した新垣結衣が「令和」のパネルを掲げた時点でそこは受け入れるべきだったのかもしれないが。
 
 
ついでに言うと、さすがの新垣結衣もちょっと老けたよね(小声)。
 
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