黒木優子vsモンセラット・アラルコン。黒木優子は王座統一ヨカタ。結構際どかったけど。女子ボクシングは男子とは別競技だよね【結果・感想】
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2023年8月5日に神戸市立中央体育館で行われたWBO/WBA女子世界アトム級王座統一戦。WBO同級王者黒木優子とWBA同級王者モンセラット・アラルコンが対戦し、2-0(96-94、96-94、95-95)の判定で黒木が勝利。2団体統一を果たした試合である。
#プロボクシング の女子世界アトム級王座統一10回戦は5日、神戸市立中央体育館で行われ、世界ボクシング機構(WBO)チャンピオンの #黒木優子 (真正)が世界ボクシング協会(WBA)王者のモンセラット・アラルコン(メキシコ)を2―0の判定で下し、2団体の王座を統一した。https://t.co/ImLgw4hDLk
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) August 5, 2023
真正ジム主催イベントで行われたこの試合。
U-NEXTでの配信を後追いで視聴したわけだが、黒木優子が拠点を神戸に移していたことを僕は初めて知った。
ちょろっと調べたところ、2022年から神戸と福岡半々の生活をしていたとか。しかもその時期から連勝がスタートしているので環境や相性がマッチしていたのだと思われる。
実は際どい勝負だった。実況、解説は黒木よりだったけど
黒木優子vsモンセラット・アラルコン。
たまたまU-NEXTの配信で見つけた試合だが、なかなかおもしろかった。
結果は判定2-0(96-94、96-94、95-95)とかなり際どいもの。
序盤から足を使ってヒットを重ねる黒木優子だが、アラルコンのボディやフックをもらうシーンもちょくちょく見られる。
本人が初回の右フックが効いたとコメントしていたように危ない角度、タイミングでアラルコンのフックが再三顔面をかすめていた。
また4、5Rとボディをもらって中盤に足が止まったのも……。
アラルコンはずんぐり体型の選手で上背があるわけではない。だが、身体全体を使って「足を使う相手を崩すには下から」の定石? をうまく踏襲してきた印象。
この選手は過去2度来日していずれも勝利しているとのこと。さすがはWBA王者という実力の持ち主だった(と思う)。
解説や実況は完全に黒木寄りだったが、いや? そこまでか? と。
実は結構接戦なんじゃねえか? と思いながら観ていたのだが、マジでその通りだったなと。
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黒木優子の叩き上げ感。本家がフェードアウトしても“ボクシング界のゆうこりん”と言われ続け…
改めて見ると、黒木優子のキャリアは「ザ・叩き上げ」の印象。
デビューから3戦で1勝2敗、世界初挑戦で多田悦子に敗れて再起戦でも敗戦を喫する。
2014年に初の世界王座戴冠を果たし、2017年12月に陥落するまで防衛5回。
そこからコロナの影響もあって3年半でわずか4試合、1勝2敗1分と黒星が込む。
で、拠点を神戸中心に変えて以降は今回を含めて4連勝という。
本家がフェードアウトしても“ボクシング界のゆうこりん”と言われ続け、30歳を超えて第二? の全盛期に入った。
そこまで興味があるわけではないが、かなりの苦労を重ねていることは想像に難くない。そういう意味でも今回の王座統一は本当によかった。マジでナイスファイト。
そこまで興味があるわけではないが。
アブドゥラスル・イスモリロフは勝てる試合だった。左構えで勝負した方がよかった気が。井上浩樹vs佐々木尽が観たいけど、ないんだろうな
女子ボクシングは男子とは別物。吉田実代vs小澤瑤生戦が初めての女子世界戦現地観戦だった
なお2022年5月の吉田実代vs小澤瑤生戦は僕が初めて現地観戦した女子ボクシング世界戦なのだが、その際に思ったのが「これは男子ボクシングとは別物」ということ。
吉田実代vs小澤瑶生戦。露骨なローブローが大ごとにならない女子ボクシング? 男子だったら悶絶もののアレが下腹部に何発も入ってたけど
ラウンド数は男子の12Rに対して女子は10R。
1Rの時間も3分ではなく2分が採用される。
ラウンド数はともかく、1R3分と2分の違いはめちゃくちゃ大きい(と思う)。
3分間×10Ror12Rを全力で動くのはほぼ不可能だが、2分なら案外いける。さすがにフルスロットルで動き続けるのは難しいが、8割前後をキープすることは可能。
というより、両選手ともにそのくらいのペースで動き続けていた気がする。
今回の黒木優子vsモンセラット・アラルコン戦も同様で、足を使う黒木も追いかけるアラルコンも相当なカロリーで動き続けていた(と思う)。
様子見をしていたらあっという間に時間がなくなる。
2分しかないので連打を浴びせてダメージを蓄積させることが難しい。
女子+軽量級ではパンチ1発で勝負がつくケースは少ない。
必然的にポイント勝負、各ラウンド先行逃げ切りを狙う勝負になりやすく、それだけアクションの多い試合が生まれやすい(気がする)。
解説の長谷川穂積が「3分の場合は残りの1分が大事になるが、2分はその部分で難しい」と言っていたが、確かにそんな感じである。
・1R2分なので間延び感がない
・動きの多い試合になりやすい
・2分10Rはかなり早く終わる
特に世界タイトルマッチになれば両者ともにハイレベル。見るに耐えないピコピコパンチに遭遇することはまずない。
全体的にスピーディでコンパクト、グダグダになりにくいルールだと思った次第である。
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ローブローが大ごとにならないのが女子ボクシング。売り方を工夫すれば優良コンテンツになるかも?
そして何よりローブローが大ごとにならないのが大きい。
男子の場合、あまりにも低いローブローはそのまま股間の破壊につながる。長時間の試合中断や最悪ノーコンテストのケースもあるわけだが、女子にはそれがない。
上記の吉田実代vs小澤瑤生戦では吉田のローブローが何度も小澤の下腹部に当たっていたが、小澤はそこまで痛がるそぶりを見せず。レフェリーの注意も男子ほどではなかった記憶がある。
男子の3分12Rは組み合わせによってはグダグダの地獄が展開される。
また、申し上げたように露骨なローブローは試合をぶっ壊す危険性も孕む。
一方、女子ボクシングにはそれがない。
男子に比べれば選手層も薄くマイナーな印象だが、とりあえず言えるのはこれは男子ボクシングの下位互換ではない。マジで別のスポーツであると。
もしかしたら、売り方を工夫すればかなり優良なコンテンツかもしれない。
じゃあどうするの? と聞かれてもろくなアイディアは出ませんが。
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女子アトム級のさらなる統一戦? WBCのファビヤナ・ビティチはともかくIBFの岩川美花ならいけるんじゃない?
ちなみに女子アトム級の他団体王者を調べたところ、WBC=ファビヤナ・ビティチ、IBF=岩川美花となっている。
WBCのファビヤナ・ビティチはチェコで初の世界王者とのことで、キャリア21戦のほとんどをチェコで戦っている。
試合をちょろっと漁ってみたが、
あれ? 結構強そうだぞ?
黒木の直近の相手、鈴木菜々江、モンセラット・アラルコンと同様、ガードを上げて前に来るスタイル。黒木にとっては慣れたタイプかもしれないが、ファビヤナ・ビティチは一段レベルが上に思える。
IBFの岩川美花はちょっとよくわからない。
パッと見不器用そうな感じも受けるが、よく眺めるとヌルヌルとごまかしながらパンチを当てている。
頭を脇の下に突っ込んで休憩したり、相手の腕が伸びない位置まで近づいてクリンチしたり。
めちゃくちゃやりにくそうな泥仕合生産マシーンである笑
と言いつつ岩川美花なら統一戦も組めるんじゃないの? と思ったり。
チェコのファビヤナ・ビティチはわからないが、同じ関西が拠点の岩川美花と黒木優子なら……。
などと事情も知らない部外者が勝手な妄想をしてみた。
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