木村翔が五十嵐を根元から粉砕。大振りで恐怖を植え付けて真ん中を右でドーン。圧巻の五十嵐対策でしたね木村翔【結果・感想】

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破壊イメージ
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2017年12月31日、東京・大田区総合体育館でWBO世界フライ級タイトルマッチが行われ、同級王者木村翔がランキング1位五十嵐俊幸に9R2分34秒TKO勝利。初防衛に成功した。
 
 
ガードを上げて前に出る木村に対し、サウスポーの五十嵐は足を使ってカウンターを狙う。
対照的なスタイルながら、両者が自分の持ち味を発揮する一進一退の展開が続く。
 
だが、徐々に木村の圧力に五十嵐が押され始め、再三木村の右ストレートを被弾。流れを変えたい五十嵐は中盤から足を止めての打ち合いに応じるが、木村の強打にガード一辺倒になる場面が目立つ。
 
8Rには木村の左フックで強烈なダメージを負い、コーナーでダウン寸前まで追い詰められる。
続く9Rにはギアを上げた木村のワンツーで棒立ちになり、再びコーナーでラッシュを浴びたところでレフェリーが試合を止める。
 
9R2分34秒、木村翔がTKO勝利で初防衛を飾った試合である。
 
「木村翔がサビーリョに2RKO勝利で再起に成功。左構えのアウトボクサーが得意な木村はvs中谷潤人がいいんじゃないか?」
 

木村翔圧勝じゃねえか!! 2014年の長谷川穂積vsキコ・マルチネス戦に匹敵するほどの完璧な試合

まずはアレだ。
木村翔ナイスファイト。
 
前回のゾウ・シミン戦は中国開催ということで、タイトルをとったにも関わらず完全に知る人ぞ知る状態。
それに比べ、今回は抜群の注目度の中、あれだけのKO勝利を見せれば文句なし。知名度も爆上げなのではないか。
 
そして、試合の感想としては五十嵐対策がすごかったなぁと。
試合前に「木村はサウスポーが苦手」という話を聞いていたので、てっきり相当苦労するのかと思っていたが、まったくそんな雰囲気はなく。
 
左フックを豪快に振り回し、圧力をかけて右ストレートを顔面に叩き込む。
自分の得意パターンをそのまま対五十嵐に当てはめた感じだろうか。
 
イメージ的には、2014年の長谷川穂積vsキコ・マルチネス。
長谷川穂積がキコ・マルチネスのプレスを真正面から浴び、何一ついいところなく敗れた試合。アレに匹敵するほどの圧勝劇だったように思える。
 
雑草とかエリートとかいう話はどうでもいいが、経験も実績もはるかに上の相手をあそこまで完膚なきまでに叩きのめしたのはすごいとしか言いようがない。
 

サウスポー対策というより、五十嵐対策と呼んだ方が正解か? 相手の長所短所を見極め、自分の土俵に引きずり込んだ木村

今回の試合、申し上げたように木村の五十嵐対策がすごかったように思う。
 
サウスポー対策というより、どちらかと言えば五十嵐対策。
相手の長所短所をよく研究し、「ここまでなら大丈夫」「ここから先に立ち入るのは危ない」という線引きが完璧だったのではないか。
 
僕が思う五十嵐という選手の特徴は、
 
・足はよく動くが、踏み込みの鋭さやサイドステップのレンジはない
・バックステップが得意ではなく、サイドへの動き中心
・なので、強引に前に出て空振りしても、リターンが返ってくる恐れはない
・カウンターのタイミングはいいが、パンチ力はない
 
全体的には、見切りもよく足は動くが、びっくりするような踏み込みやバックステップはない。和氣慎吾同様、鋭いリターンへのケアは必要ない。
またタイミングのいいカウンターや左ストレートを打つが、パンチ力はそこまでではない。そもそもフィジカル面では木村の相手ではない。
 
なので、木村としてはあまり打ち終わりに気を使うことなく、躊躇なく腕が振れる相手。
左フックのマン振りで五十嵐の右回りをストップし、いきなりの右ストレートを顔面に叩き込むパターンに持ち込みやすい。
 
間合いを詰めて左右のボディや右フックで五十嵐をガード一辺倒にさせ、カウンターのチャンスを作らせない。
そもそものパワーが違うので、至近距離での被弾はある程度OK。最初の交錯で致命打さえもらわなければ、あとはフルスイングでどうにでもなる。
 
実際、3Rあたりで五十嵐はまともに右回りができなくなっていたし、かなり早い段階で五十嵐は木村の術中に落ちていたのではないか。
解説の山中慎介が「五十嵐は足を止めての接近戦に切り替えましたね」と言っていたが、どちらかと言うと僕には「木村に接近戦にさせられた」ように思えた。
 
接近戦に持ち込まれると、連打とパワーの差で五十嵐はガードを下げる余裕がなくなる。
逆に木村は左右ボディとフック、右ストレートのパターンで、いくらでもチャンスを作れる状況。
 
「木村翔がサルダールをボディでKOして2度目の防衛に成功。中国の英雄がまたやったぜ!! 次は田中恒成戦か?」
 
しかも、左をマン振りした直後に最短距離の左をスパッと放り込むなど、細かい強弱をつけていたのもすばらしい。あのタイミングは、ちょっとオスカル・バルデスっぽくもある。
 
相手の長所短所をしっかり見極め、強引に自分の得意分野に引きずり込む。
五十嵐対策としては、完璧過ぎるくらい完璧だった(と思う)。
 
まあ、5Rにちょっとサボったのはおもしろかったけどww
 
「バルデスvsクイッグ!? またおもしろそうな試合を組みやがって…。今回ばかりはバルデス大ピンチじゃない?」
 

木村の妙な左右フックはいいと思うんです。ああいう変なタイミングのパンチを打つ選手って結構いるし

恐らくだが、木村翔のようなタイプをあまり好きではない方は多いように思える。
 
顔面を晒したまま腕を振り回し、打ち終わりにも大きく身体が流れる。
今後、このスタイルがどこまで通用するかに懐疑的な意見もボチボチ聞こえてくる。
 
ただ、個人的な意見を言うなら、これはこれでアリだと思っている。
ああいう変なタイミングのパンチは意外と攻略が難しく、実際王者まで上り詰めた選手も多い。
 
たとえば元IBFライト級王者のミゲル・バスケスや、元IBFミニマム級王者のホセ・アルグメドなど。
日本人でいうと、パッと思いつくのが元WBCフライ級王者の内藤大助。また、元日本フェザー級王者の梅津宏治などは、妙なタイミングの左右フックと天性の打たれ強さで日本タイトルまで上り詰めた希有な選手である。
 
見たことのない軌道のパンチに相手が戸惑っているうちに、自分のペースに引き込んでそのまま押し切るというのは普通にあるし、決して悪くないと思うのだが。
 
そして、アルグメドのペースに巻き込まれずに地道な試合運びを見せた京口紘人はさすがだった。
 

やっぱり躊躇のないフルスイングってのは大正義ですよね。木村のフックのマン振りは問答無用で相手に恐怖を与える

しかも、あれだけ躊躇なく腕を振れるメンタルというのはやはりすばらしい。
 
「小さく小さく」
「コンパクトに」
「下から下から」
 
よく聞く「コンパクトなパンチを最短距離で〜」というのは絶対的に正しい言葉だとは思うが、それでも「躊躇のないマン振りで相手に恐怖心を与える」ことも、同じくらいの大正義だと思っている。
 
ナジーム・ハメド、マニー・パッキャオ、エドウィン・バレロやダニー・ガルシア、オスカル・バルデスなど。何だかんだで躊躇のないフルスイングに対する恐怖は絶大だし、今回の五十嵐も木村の左フックに明らかに身体を硬直させていた。
 
「ガルシアvsサーマン感想!! 才能の塊キース・サーマンがパワーでダニー・ガルシアを置き去りにする。まあそうなるよな」
 
キコ・マルチネスが左の細かい連打で長谷川の右を封じ、サイドへのフットワークで進路を塞いで徐々に手詰まりにしていったが、木村はその過程をすべてを省略。左フックの風圧で五十嵐の右回りを封じ、スパッとど真ん中にストレートを通して後退させてしまった。
 
好みの問題もあるとは思うが、個人的にはどちらも正解な気がする。
 

木村は今後どうするの? いつか田中恒成の挑戦を受けるんだろうけど、その前の試合は?

なお勝利した木村だが、今後はどうするのか。
階級アップした田中恒成の挑戦を受けることになるのか、それともゾウ・シミンとの再戦になるのか。といっても、田中恒成は調整試合を挟むだろうし、ゾウ・シミンは目の手術をしたばかりで現役を続けるのか自体が不透明。
 
また、自主興行ではなくほかの王者との抱き合わせになるはずで、スケジュール的にもいまいち読めない。今回の試合も7月の戴冠から期間が空いていたし、何とも言えない感じである。
 
「田中恒成ええじゃないですか! バルドナドを9RTKOで下し、フライ級初戦を飾る。木村翔戦は…全然わからん」
 
個人的には、誰でもいいから日本人がドニー・ニエテスとやってくれないかなと思っているのだが。アイツももう35歳で、体格的にもフライ級ではそこまで恵まれているわけではない。決して勝ち目はないこともない気がするが。
 
「拳四朗4RTKO!! ペドロサ手も足も出ず。いいですね拳四朗。ホントに期待できるぞこの選手。まあ、今回は相手が微妙だったけど」
 
てか、何気にキービン・ララもランキングに入ってるんだな。
 
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