西田凌佑すげえわ。比嘉大吾対策は堤聖也よりもはるかに上。比嘉はどこを基準にするかだろうな。相手を選んで王座戴冠を狙うか【結果・感想】

西田凌佑すげえわ。比嘉大吾対策は堤聖也よりもはるかに上。比嘉はどこを基準にするかだろうな。相手を選んで王座戴冠を狙うか【結果・感想】

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2021年4月24日、沖縄県宜野湾市で行われたWBOアジア・パシフィックバンタム級タイトルマッチ。同級王者比嘉大吾が日本S・バンタム級第5位の西田凌佑と対戦し、3-0(118-110、117-111、117-111)の判定で西田が勝利。
まさかの敗北を喫した比嘉大吾は王座から陥落するとともに、通算戦績を17勝2敗1分17KOとしている。
 
 
約3年2カ月ぶりの沖縄凱旋となった比嘉大吾。
対戦相手の西田凌佑は今回がプロ4戦目ながらも前戦で世界線経験もある大森将平を下すなど、豊富なアマチュア経験を持つサウスポーである。
 
試合はいつも通り開始とともにガードを上げてプレスをかける比嘉に対し、西田はスタンスを広くとる構えで応戦。
前手の右で比嘉の突進を寸断し、離れ際にはフックを引っ掛けてサイドに身体を入れ替える。
 
なかなか自分の距離が作れない比嘉だったが、中盤5Rに入ると一気にペースアップ。
近場で腕を振り回して西田を後退させ、得意にパターンに持ち込む。
 
ところがロープを背負わされても西田に焦りはない。
上から覆いかぶさるように比嘉の動きを封じ、腕を絡めてブレークを待つ。
 
西田の技巧の前に流れを掴みきれない比嘉は終盤9Rにも再びエンジンを吹かすが、ここでも西田のクリンチ、前手のリードに阻まれ失速。逆に攻められ後退させられる流れに。
 
試合は西田がペースを保ったまま12R終了のゴング。
文句なしの3-0の判定勝利で初戴冠に成功した。
 

両者ともに体調はよかった。そして挑戦者西田凌佑がうまかった。堤聖也の作戦をさらに進化させた感じか

比嘉大吾、約3年2カ月ぶりの地元凱旋でまさかの敗戦。
プロ4戦目の西田凌佑に3-0の大差判定負け。
 
 
まず今回の一戦、両者ともに体調はよかったと思う。
減量苦により体重超過→ブランクを経てバンタム級で復帰を果たした比嘉大吾も動き自体におかしな部分は見当たらない。
またS・バンタム級から階級を下げた西田凌佑も特に減量の影響は感じられなかった(観たのは初めてだけど)。
 
解説の内藤大助氏も言っていたが、どちらの選手も絶好のコンディションで当日を迎えていたのではないか。
 
 
そして、全体を通して西田凌佑が巧かったというのが率直な感想である。
 
高いガード+低い姿勢で突進してくる比嘉大吾に対し、右リードを中心に常に前で勝負する作戦。
スタンスを広くとって懐深く構え、前手のリード1発1発に力を込めた連打で迎撃する。
比嘉が近づいてくればその分バックステップで距離を取り、強引に前に出てきた際は体格差を活かしてクリンチに持ち込む。
 
2020年10月に比嘉と引き分けた堤聖也もこの作戦を実行していたが、今回の西田はそれをさらに進化させていた印象。
170cmの長身(堤聖也は166cm)というのもあったと思うが、それ以上にサウスポーなのが大きかった気がする。
 
比嘉大吾vs堤聖也感想。比嘉は強打と連打の両立を模索中? 堤聖也の動きがめちゃくちゃよかったですね。でも判定結果には文句ないかな
 
比嘉大吾のファイトスタイルは基本的に左からスタートする連打型。
ある程度遠い位置から踏み込んで一気に距離を詰め、その勢いのまま両腕を振り回す。初弾の左で相手をビビらせ、そこから流れを作り出すのが特徴である。
 
だが、今回は相手がサウスポーということもあってこの左がなかなか機能せず。
1発目の右ストレートを空転させられてスルッとサイドに逃げられ、近場の攻防では西田の右リードが邪魔で得意の左フックを打つタイミングを見つけられない。
 
堤聖也戦では苦労しながらも中盤で流れを引き寄せたが、この試合では最後まで西田のペースを崩すことができなかった。
 

西田凌佑は狡猾さも兼ね備えていた。頭を押さえたり腕を絡めたり。ギリギリを見極める柔軟性、冷静さ

しかし、今回の西田凌佑は本当によかった。
長身で身体が強い+動けるサウスポーというのはそれだけでやりにくさ満載だが、この選手はそれを目いっぱい活かす巧さも兼ね備える。
 
懐を深く構えて右リードを中心に前で勝負、比嘉が出てきた分バックステップで距離を取る作戦はもちろんだが、ロープに押し込まれた際は無理に打ち合わずに上から覆いかぶさったり、腕を絡めて動きを封じたりと近場での狡猾さも随所に見られた。
 
序盤に右手で比嘉の頭を抑えてレフェリーに注意され、腕を絡めて比嘉のセコンドに「ホールディングだ!!」と怒鳴られたりもしていたが、本人はまったく動じることはなく。それ以降も要所で頭を抑え、腕を絡めて比嘉の突進を寸断し続けてみせた。
 
恐らく最初の何回かで「このくらいならOK、ここから先はダメ」という境界線を見極めたのだと思うが、こういうのは本当に素晴らしい。レフェリーの傾向を早めに掴んで対応を変える柔軟性、冷静さはさすがとしか言いようがない。
 
もしかしたらああいう行為を嫌うファンや関係者もいるのかもしれないが、僕個人としては全然問題ない。それどころか、敵地にも関わらずあらゆる状況を味方にできる対応力の高さには心底感心させられる。
 
自分が上から覆いかぶさって比嘉を抑え込んでいるのに、レフェリーのブレークの指示を聞いてからわざとらしくポンポンするとか、お前最高じゃねえかとww
 
 
上述の堤聖也と比べてどちらが強いかは何とも言えないところだが、少なくとも比嘉大吾対策に限っては西田凌佑の方がはるかに上だった(と思う)。
 
岩佐亮佑、敵地でアフマダリエフに5RTKO負け。レフェリーがストップのタイミングを探してたよね。セコンドが声をかけてもよかった?
 

比嘉大吾はどうするんでしょうね。実はインファイトは上手くない。苦手な相手に完全にやり込められた試合

一方、敗れた比嘉大吾に関しては、今後はどうするんだろう? と言ったところか。
 
まず以前から申し上げていたように僕はバンタム級の比嘉大吾にはあまり興味がない。
2020年10月の復帰戦(バンタム級契約)を現地観戦した際に「これはキツいぞ」と思ったわけだが、そのときから考えはあまり変わっていない。


もともとこの選手はバンタム級では明らかにサイズが足りず、なおかつインファイトも実はそこまで上手くない。
S・フライ級で再起させるのが具志堅用高氏の意向だったわけだが、結局本人はその前にジムを離れてしまった。
 
 
どなたかが比嘉大吾のことを「軽量級のマイク・タイソン」と称していた記憶があるが、確かにその通り。
 
踏み込みスピードやぶん回しの迫力は凄まじいものがあるが、それを発揮するにはある程度のスペースが必要になる。
今回の試合でもそうだったが、完全なインファイトの局面では窮屈そうに腕を絡める以外にできることがなく、逆に西田のボディ、顔面への細かい連打に翻弄されまくっていた。
 
5R、9Rの初っ端に意を決してエンジン全開で攻めまくったものの、西田の右リード、クリンチで体力を奪われあっさり失速。
前に出る馬力が残っているうちはいいが、少しでも勢いが落ちればたちまち西田のバックステップ+カウンターの餌食になってしまう。
 
終盤3Rなどは逆に押し込まれるシーンが目立っていたくらいで、比嘉大吾のよさは完全に消されていた。
 
解説の内藤大助氏は気を使って「もう少し手を出したい」「比嘉のいい部分がなかなか出ない」等、オブラートに包んだコメントをしていたが、実際には身体が大きく技術もある相手にうまくやり込められた試合としか言いようがない(アイツ、優しいからなw)。
 
吉野修一郎vs富岡樹at「ダイヤモンドグローブ」最高過ぎワロタw 比嘉大吾の復帰戦もあったよ
 

比嘉大吾の基準をどこに定めるかなんだろうな。今でも国内トップ戦線の強豪には違いないが、フライ級時代と比べてしまうと…

表題の通りなのだが、要は比嘉大吾の基準をどこに定めるかによるのだと思う。
 
今回の西田戦や2020年10月の堤戦のように、バンタム級の比嘉大吾を攻略するには「懐を深く構えて前で勝負+強引に近づいてくればカウンター+ロープ際では上からのクリンチで体力を奪う」方法が有効なのはある程度証明された。
しかも動ける長身サウスポーという付加価値があれば、完封に近い形で退けることも不可能ではない。
 
だが2020年末のストロング小林戦のように、得意な距離で打ち合うことさえできれば比嘉の圧力、パンチ力はこの階級でも十分通用する。
 
井岡一翔vs田中恒成。井岡の重ねてきたものの重さが桁違い。ホントに勝ってよかった。黙して語らぬ視聴率大正義時代の最後の生き残り
 
つまり、いかに自分の距離に入れるかが比嘉大吾の生命線になるわけで、この部分をどう判断するかなのだろうと。
 
申し上げたようにバンタム級の比嘉大吾は相性のいい相手には十分以上の強さを発揮する。
だが、長身で身体が強い+動けるサウスポーには手も足も出ないほど翻弄されてしまう。
スタイル的に得手不得手がはっきりしている分、今回のような負け方はある程度受け入れるしかない。
 
 
相手を選んで勝利を重ねつつ、タイミングが合えば組し易しの王者に照準を定める。もしくは勝ったり負けたりを繰り返しながら身体づくりを進め、29、30歳前後の年に勝負をかける。
 
こういう路線で行くなら再び戴冠を果たす可能性もあるとは思うが、じゃあそれで周りが納得するの? という話。
 
 
恐らく多くの方はフライ級時代の比嘉大吾の印象が強いはず(僕も含めて)で、あの圧倒的なパフォーマンスと比較してしまうのは仕方がないことである。
 
フライ級時代の比嘉大吾は相性が悪かろうが相手がサウスポーだろうがいっさい関係ない。持ち前の突進力と連打ですべてを飲み込むことができた。
僕自身もあの頃の比嘉はS・フライ級時代の井上尚弥以上の傑出度だったと思っていて、それこそ個人的なPFPの上位にもランクインしていたくらい。
 
 
バンタム級の比嘉大吾が弱いなどと言うつもりはまったくない。
だが、それはあくまで“国内トップクラスの1人として”であって、フライ級時代のパフォーマンスを基準にするとどうしても物足りなさを感じてしまう。
 
さらに、ここから階級に適応すると言っても果たしてそれが比嘉大吾にできるのかどうか。メイウェザーや井岡一翔は階級を上げるごとにディフェンシブに傾倒していったが、比嘉にああいう器用さがあるとは思えないのが……。
 
距離の詰め方がわからず遠間で“クイッ、クイッ”とフェイントをかけるしかできない比嘉大吾など、フライ級時代にはあり得なかったわけで。
 
ムザラネ専用機と化したサニー・エドワーズ。ここまで塩に振り切って徹底する覚悟ってのもお見事ではある。どホームの試合とはいえ
 
逆に勝った西田凌佑はこの勢いのまま突っ走るのも全然アリだと思う。


現状、王者はだいたい予定が埋まってるが、たとえばレイマート・ガバリョvsエマヌエル・ロドリゲスの勝者に挑戦するとか。
勝てるかどうかはともかく、「暫定王座の防衛戦」などという謎が許されるボクシング界のユルさがこの選手に味方するかもしれないw
 
 
まあ、さすがにリップサービスだとは思いますが。
 
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