井岡一翔vsドニー・ニエテス再戦。地味強で苦手なニエテスと地獄の防衛戦。鋭い左リード&懐が深いタイプが不得手なんだろうな。がんがれ井岡。何でもいいから勝て【展望・予想】
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2022年7月13日に東京・大田区総合体育館で行われるWBO世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者井岡一翔がランキング1位ドニー・ニエテスと対戦する。
井岡一翔vsドニー・ニエテス再戦。井岡のニエテス対策が素晴らしかった。ニエテスも相当落ちてたね。最後かも? と思って現地観戦したけど勝ってよかった
2018年12月以来、約3年半ぶりの再戦となる両者。
前回の決定戦では神経をすり減らすような技術戦の末に2-1の判定でニエテスが勝利。今回は王者井岡、挑戦者ニエテスと立場を変えての再戦である。
なお井岡はIBF王者ジェルウィン・アンカハスとの統一戦が内定していたものの、今年2月の防衛戦でアンカハスがまさかの敗戦。念願の統一戦が白紙となり、今回は他団体王者とのビッグマッチに向けての仕切り直しの意味合いも強い。
地味強ニエテスとの再戦。キャリア後半にもっとも旨味のない相手がきちゃったよ
井岡一翔vsドニー・ニエテス。
2018年12月以来の再戦、5度目の防衛を目指すとともに約3年半前のリベンジを果たすための一戦となるわけだが。
僕個人の意見を言わせていただくと、この試合はかなり邪魔くさい。
2021年末にIBF王者(当時)ジェルウィン・アンカハスとの統一戦が正式発表されたものの、新型コロナウイルスの影響で延期→対戦相手が福永亮次に変更に。
アンカハス陣営が希望した防衛戦を挟んでの対戦が内定していたが、その試合でアンカハスがまさかの陥落。統一戦自体が白紙となり、またしても防衛路線に逆戻りという。
しかも相手は約3年半前に判定負けを喫したドニー・ニエテス。キャリア2敗のうちの1敗を喫した相手で井岡本人も苦手なタイプだと公言する選手である。
さらに井岡が対戦を希望するローマン・ゴンサレス、ファン・フランシスコ・エストラーダに比べて知名度は一段劣る。
苦手な上に勝ってもいまいち旨味がない地味強マン、キャリア終盤で対峙するには何とも面倒くさい挑戦者である。
しかも現WBO世界フライ級王者中谷潤人が近い将来の階級アップを宣言しているので、仮に今回のニエテス戦をクリアしても今度は中谷との指名戦に駆り出される可能性も……。
ニエテス同様、中谷潤人も今のところは知る人ぞ知る選手。2020年12月に対戦した田中恒成よりも知名度は劣るがスケール感は上回る。まさに地味強タイプというヤツである。
中谷潤人vsアンヘル・アコスタ。「中谷強かったね」しか感想がないんですよね。井上尚弥に次ぐスター候補と言われてもピンとこない
アンカハスの陥落により、井岡の地獄の防衛ロードがスタートした感が強い。
井岡一翔vsニエテス再戦て。考えられる中で最悪の1人だろ。
その次は階級上げた中谷潤人?
現役終盤でニエテス、中谷と連戦とか地獄でしかない。ロマゴン戦発表はどこいったんだよ笑
結局オフのパツパツな顔面を見せにきただけじゃねえかアイツw相変わらずクソの役にも立たねえな事情通(笑)。
— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) April 14, 2022
4階級制覇王者同士の再戦←字面だけ見れば最上級の一戦のはずが、何ともテンションが上がらない組み合わせである笑
前回は井岡の完敗だった。左リードと深い懐、カウンターが得意なタイプが苦手なんだろうな
まず2018年12月に行われた初戦についてだが、僕の素人クソ採点では117-111の判定でニエテスが勝利。公式では2-1(116-112、110-118、112-116)とジャッジ1人が井岡を支持したわけだが、改めて観直してもアレはニエテスの完勝だったと思っている。
井岡完敗やな。ニエテスが凄すぎた。個人的には111-117かな。インファイトで歯が立たないのは予想外だった
また井岡のもう一つの敗戦、2014年5月のアムナット・ルエンロエン戦を再度眺めてみたところ、ああ、なるほどと。
ニエテスとアムナットに共通しているのは長い左リードと懐の深さ、打ち終わりを狙うカウンター。
鋭い左リードで出足を挫き、強引に近づいてきても長いリーチと懐の深さを活かして井岡にボディブローを打たせない。さらに近場の差し合いでは打ち終わりを狙うことでそのつどコンビネーションの発動を抑え込んでいく。
前手のジャブと接近戦での連打を得意とする井岡だが、射程自体はそこまで長くない。持ち前の緻密さを発揮するにはある程度近づく必要があるが、その位置に到達するまでに左リードで動きを止められる→中に入っても打ち終わりのカウンターによって連打を封じられるせいで思い通りの試合運びができない。
数値上は井岡の方がリーチも上背も上だが、両者とも身体の使い方がうまくクネクネしたつかみどころのなさがある。
要するに井岡は
・鋭い左ジャブ
・深い懐
・カウンターが得意
なタイプを苦手としているっぽい。
しかも終盤必ずスタミナ切れを起こすアムナットと違ってニエテスは12Rを通して一定のペースをキープできる。
アムナットさんのベストバウトは井岡一翔戦で間違いない。今振り返っても好きすぎる試合。人生の厳しさを教えたゾウ・シミン戦も捨てがたいけどね
なおこれは余談だが、僕は井岡のボクシングは若干カネロっぽさがあると思っているのだが、先日カネロがディミトリー・ビボルのジャブに苦しめられたことを考えると案外間違ってなさそうな気が……。
ニエテスはパワフルに振り回してくる大柄な相手を持て余す。でも井岡はそういうスタイルじゃないしここ最近下降線に入ったという噂も…
逆にニエテスが苦手とするタイプははっきりしていて、中間距離での差し合いに付き合ってくれない人。
2013年3月のモイセス・フェンテス戦、2018年9月のアストン・パリクテ戦、2021年12月のノルベルト・ヒメネス戦。ドローで終わった試合を振り返るとどの試合も比較的高身長&左リードをもらってもお構いなしで振り回してくる相手ばかり。
自分の間合いをキープできているうちはめっぽう強いが、相手の馬力が許容量を超えると途端にバタバタし始める。井岡戦の直後にパリクテとの指名戦を回避して王座を返上した理由がいまいちわからなかったのだが、もしかしたらパリクテとは2度と対戦したくないと思った? のかも?
あとはまあ、自分の商品価値を読み違えたとかね。バンタム級で一旗揚げてやろうと目論んだものの、思ったほどのオファーがなかったのかもしれない。
その一方で2021年4月にはコロンビア出身のパブロ・カリージョなる選手に判定勝ちを収めているのだが、この試合は中間距離でニエテスの左リードが機能しまくっていた。それこそは昨年大晦日に井岡が福永相手に発揮した以上の安定感。
井岡一翔vs福永亮次感想。福永は中間距離で勝負しちゃったか…。その位置の井岡は達人級。でも井岡が下降線に入ってるのは間違いなさそう
もちろん井岡はパリクテやヒメネスのように馬力でねじ伏せるタイプではない。前回同様ニエテスのジャブをかいくる→ボディを中心に中間距離~近い位置で勝負するしかないのだが、長々と申し上げてきたようにあまり相性がよくなさそうなのが……。
しかもここ数戦の井岡は下降線に入っているというか、いまいち調子が上がらないのも懸念材料の一つ。
2018年12月のニエテス戦と2021年12月の福永戦を比べてみると、フットワークが落ちて左右への動きが鈍っているように思える。
40歳のニエテスがどこまで力を維持しているかは不明だが、仮に3年半前と同じレベルまで仕上げてきた場合は相当手強い。
勝敗予想は井岡の判定勝利。マジでがんがれ井岡一翔。何でもいいから勝て
いや、もうマジでがんばれよ井岡一翔。
キャリア的にも年齢的にも今回は絶対に勝たなきゃダメな試合だし、仮に負けたらいろいろなものが終わってしまう。
他団体王者との統一戦はもちろん、唯一残った地上波中継も恐らく終焉を迎える。いつになるかは不明だが、堤駿斗と那須川天心がメインを張れるようになるまでは第一線で踏ん張ってもらいたい。
というわけで勝敗予想は井岡の判定勝利。
「ニエテスは苦手なタイプ」「井岡とは相性がよくない」などと散々ほざいたが、そんなことは知ったこっちゃない。
何でもいいからがんばれ。
そして勝て。
どんな手を使ってでも勝て()
ニエテスの力が落ちていることを期待して。
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