朝倉海今季絶望、昇侍も今季絶望。ヤン・ジヨンが突然61kg→66kgに。強い責任感とやらで結論を先延ばしにしたら多大なる損失ががが。ホウレンソウは大事よ?【RIZIN36感想】
2022年7月2日に沖縄アリーナで行われたRIZIN36。
メインイベントでは2021年大晦日以来の復帰戦となる朝倉海とRIZIN初参戦のヤン・ジヨンが対戦予定だったが、直前に朝倉海が拳を負傷し欠場。急遽代役として抜擢された昇侍とヤン・ジヨンの一戦に変更となった。
また朝倉海の欠場によってセミファイナルの鈴木博昭vs平本蓮戦がメインに繰り上げとなり、昇侍vsヤン・ジヨン戦は第9試合に。
定額制サービス「RIZIN STREAM PASS」導入第一弾として開催されたイベントだったが、結果的には消化不良で終わった印象である。
伊澤星花vsフォントーラ、RENAvsアナスタシア、パク・シウvs浅倉カンナ、浜崎朱加vsジェシカ・アギラー。メインの仕事をした伊澤とカッコいいパク・シウ。やや低調だったRENA
朝倉海が“強い責任感”を発動→ヤン・ジヨンが無茶な階級変更&昇侍がぶっ壊れる&チケット収入も大幅減に
「RIZIN STREAM PASS」の第一段として注目されたRIZIN36だったが、メインへの出場を予定していた朝倉海の欠場により急遽試合順が変更に。
しかもRIZIN初参戦のヤン・ジヨンは直前で61kg(バンタム級)→66kg(フェザー級)に階級アップさせられるという。
先日のTHE MATCHでの成功を受けてスタートした配信イベントがいきなりグダる事態に陥ったわけだが……。
僕もこのドタバタっぷりは報道やSNS等で見聞きしていたが、詳細を知れば知るほど「うわぁ……」という思いしか湧いてこない笑
公開計量後の榊原信行代表のインタビューもなかなかの香ばしさ。
【RIZIN】榊原CEO「朝倉海の復帰は1年後でもいいから完治を」「選手たちに無理をさせてしまっている」ワンデートーナメントの見直しは否定 #RIZIN #朝倉海 https://t.co/XHq9wiRSi8
— ゴング格闘技 (@GONG_KAKUTOGI) July 1, 2022
榊原のおっさんが相変わらずなのはもちろんだが、おっさん曰く“責任感が強い”らしい朝倉海もだいぶキテいる。
朝倉の欠場&昇侍の代役出場が正式決定したのが6月29日(計量の2日前)。RIZIN側から昇侍にオファーがあったのが6月27日とのこと。
さらに下記を読むと、朝倉が拳を痛めたのは2週間ほど前だったとか。
RIZIN 7.2 沖縄アリーナ:朝倉海、右拳の激痛再発で欠場。盟友“どこでも”昇侍、急遽沖縄代役参戦。鈴木博昭×平本蓮のストライカー対決がメインに https://t.co/LlTYH6mEow
海のYouTubeでの談話を追加しました。「拳が陥没し関節の神経を圧迫し手術で形を戻さないと痛みが取れない」とのこと。 pic.twitter.com/ou0fONtgsO— BOUTREVIEW/バウトレビュー (@boutreview) June 30, 2022
そこからギリギリまで出場を模索したがどうにも痛みが引かず、運営側の説得もあってやむなく6月29日に欠場を決めたと。
朝倉欠場の判断が遅れた結果、
・朝倉海、今季絶望&全盛期での海外挑戦が実質絶たれる
・昇侍が過去一無茶な減量を強いられる
・昇侍が拳を負傷→今季絶望
・ヤン・ジヨンが直前で対戦相手を変更させられる
・ヤン・ジヨンが直前で契約体重を61kg→66kgに変更させられる
・試合順が直前で変更
・各プレイガイドでのチケット購入者に返金対応
・配信チケット購入者に返金対応
・PPVを急遽無料開放
・アーカイブを無料開放
無茶な減量を強いられた昇侍は長期離脱が決定し、RIZIN初出場のヤン・ジヨンはいきなり相手が変わった上に契約体重をバンタム級→フェザー級に変更させられる。
さらに見込んでいたチケット収入、配信での収入がすっ飛び各プレイガイドでの返金対応に追われるという。
朝倉が拳を負傷したのが2週間前とのことなので、その時点で動いていればもしかしたら……。少なくとも昇侍がぶっ壊れる確率を下げることくらいはできたのではないか。
“強い責任感”とやらで結論を引き延ばし、結果的に損害をデカくする典型的なパティーンである。
「ヤバいと思ったら早めに報告しろ」など社会人1年目のGW前に教わることだしそれを代表者が美談のように語るなど地獄でしかない。
THE MATCHの地上波中継をフジテレビに切られた際に「そりゃそうだろ」「格闘技関係者が疎ましく思われてるんだよ」と喚き散らしたが、改めて“お前らそういうとこだぞ”と。
天心武尊のTHE MATCH地上放送中止の理由? フジテレビ内部に格闘技関係者を疎ましく思っている勢力がいるんだろうな。選手側も「命を懸けて~」とかほざく割に矛先がテレビ局…
榊原氏の相変わらずの常識のなさ。“ホウレンソウ”は大事ですよ? でも、返金対応のスピード感はよかったよ
以前にも申し上げたが、榊原のおっさんのバイタリティ、脂ぎったバブリーさは文句なしにとんでもない。
2022年4月でのキック引退→ボクシング転向を明言していた那須川天心を引き留めて武尊との頂上決戦を実現させたり、フロイド・メイウェザーを2度も日本に呼べるプロモーターなど恐らくこの人以外には存在しない。
メイウェザーvs朝倉未来戦が思いのほか楽しみなんだがw “気軽に会いに行けるスター”と化したメイウェザーさんの親しみやすさ。未来がこの試合で爪痕を残すには?
その反面、自分の思い通りにならないとあっという間にパワハラ上司化する沸点の低さを含めて醜悪な行動、耳を疑うような言動があまりに多い。
いや、“ホウレンソウ”はガチで大事だぞ。
朝倉海は自分が替えのきかない存在だと思ってるのならなおさらだよ。
応援よろしくお願いします👊 pic.twitter.com/n8lw46Rr1f
— 昇侍 (@shou0424) June 30, 2022
一方、不満の声を受けての返金対応、配信の無料開放までのスピード感はなかなかよかった。
僕も「RIZIN STREAM PASS」の加入はいまだに迷っているが、今回に限っては会員価格550円のみでアーカイブ視聴できたのでぼちぼち納得している。
ちなみにボクシングの場合だと、現地観戦した興行でメインイベントが中止になったにもかかわらず「セミファイナルのカードがよくて助かった」などとファンが言っていたり(返金対応はなし)、PPVを購入した興行のメインイベントで体重超過が発生→体重を守った方の選手が「○○君は練習熱心で本当にいい子。だから責めないでやってください」と意味不明な擁護をおっぱじめたり(返金対応はなし)。
「冗談だろ?」と思うようなクソっぷりが目立つ。
平岡アンディvs佐々木尽、栗原慶太vs中嶋一輝。数日遅れで視聴したので感想を。さすがの平岡アンディと栗原慶太の圧勝っぷり
というわけで、ここからは僕の興味をひいた試合の感想を適当に言っていくことにする。
○ヤン・ジヨンvs昇侍×(3R1分46秒一本)
まずはRIZIN初出場のヤン・ジヨンと朝倉海の代役・昇侍による一戦。
展開としては、やや小柄で射程が短い昇侍が後ろ重心で懐深く構えるヤンを追いかける流れ。
左構えで両腕を前に掲げたヤンに対して昇侍はなかなか得意の打撃戦に持ち込めない。何度かお互いの打撃が交錯するものの、目立った動きのないまま1R終了のゴングが鳴る。
2Rも1R同様、小刻みにリズムを取りながら前に出る昇侍。
一方のヤンは左右に動きながら前手のジャブをつきつつカウンター狙いに終始。時おり昇侍の右がヒットするが、ラウンドを通して見ればヤンのペースで進んでいる印象。
だが残り1分を切ったところで昇侍のインローが相打ち気味にヒット。ヤンが大きくバランスを崩すと、それを見た昇侍がプレッシャーを強める。
ところが3発目のインローをヤンにキャッチされ、コーナーに押し付けられたところで2R終了。
何となくだが、この試合は2R終了間際にインローをキャッチされたことで流れがヤンに傾いたような……。
3Rの昇侍は若干出足が鈍っていたし、ヤンの右もあまり見えていなかった。
結果的に前蹴り→膝からの左で尻餅をつかされグランドに移行。そのままバックから首を極められ失神KO負けを喫してしまった。
2Rのヤンは明らかにインローを嫌がっていたし、パンチ中心の攻めから蹴りに切り替えた昇侍の判断もよかった。
ただ、それ以上にヤンの対応が早かったなぁと。
この選手はストライカーという触れ込みだったが、バックチョークで一本勝ちしたのを観るとむしろオールラウンダータイプなのかもしれない。
また抜くところは抜く、行くところは行くといったメリハリもうまい。今回でMMA5戦目とのことだが、ポテンシャルは相当高い?
今後もRIZINに継続参戦するなら個人的には元谷友貴との対戦が観たい。
RIZIN33現地観戦感想。朝倉海、井上直樹を下して扇久保が優勝。元谷vs金太郎のリザーブファイト。予想外が山盛りの2021年大晦日
○平本蓮vs鈴木博昭×(判定2-1)
そして朝倉海の欠場でメインイベントに繰り上げとなった平本蓮vs鈴木博昭戦について。
平本蓮が2-1の僅差判定ながらもMMA転向後初勝利を飾った一戦である。
感想としては、平本蓮が早い段階でスタンドオンリーの展開を押し付けたのがよかった。
1Rに鈴木博昭がタックルを仕掛けるシーンが何度かあったが、平本は腕を切りつつコーナーに背中を預けて立ち続ける。で、膝を入れながらうまく身体を入れ替え体勢を立て直す。
鈴木博昭のテイクダウン、組み力がこれまでの相手よりも一段落ちるのか、平本の実力が上がったのか、もしくはその両方なのかは不明だが、とにかく1Rで鈴木に「テイクダウンに力を使い過ぎるとマズい」と思わせたのが大きい。
それを受けて2Rからは中間距離での打撃勝負がスタート。平本にとってはMMA転向後初めて自分の得意分野で対峙できる状況が生まれた。
しかも前手のジャブ、距離感で上回ったおかげで鈴木は左のオーバーハンドを打ち込む以外にできることがなくなる。
早めに相手の戦術(テイクダウン→グランド勝負のプラン)を封じ、自らの得意分野に引き込む。あとは万一に注意しながら慎重にヒットを重ねて判定勝利。
結果は2-1の僅差判定だったが、実質平本がスタンドで漬けた試合と言えるのではないか。
うん、やっぱり打撃はすごいっすね平本蓮。
倒されない技術、倒されても立ち上がる技術を高いレベルで身につければこのパターンに持ち込める証明になったというか。
「退屈な試合」「メインイベントらしくない」などネガティブな声が多く聞かれた一戦だったが、僕は案外楽しめた。自分の土俵で勝負するように仕向けた平本がお見事だったのはもちろん、何よりMMA初勝利を挙げたことが大きい。
“クララが立った!!”的なノリで“レンレンが勝った!!”とでも言っておけばいい? のかな?
平本蓮vs弥益ドミネーター聡志感想。まさかの平本覚醒。“待ち”に徹することで得意の打撃を最大化。次戦の相手はアイツしかいないんじゃない?
今後もしばらくはストライカー相手に勝ったり負けたりを繰り返すのだと思うが、ようやくMMAファイターとしての平本蓮に興味が湧いてきた次第である。
ちなみに次戦の相手は昇侍かなぁと漠然と思っていたのだが、残念ながら長期離脱が決定してしまった。今年中に萩原京平とのリマッチが組まれるとしてもどこかで芦田崇宏戦は必要ですよね。