井岡一翔vs福永亮次感想。福永は中間距離で勝負しちゃったか…。その位置の井岡は達人級。でも井岡が下降線に入ってるのは間違いなさそう【結果・感想】

井岡一翔vs福永亮次感想。福永は中間距離で勝負しちゃったか…。その位置の井岡は達人級。でも井岡が下降線に入ってるのは間違いなさそう【結果・感想】

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2021年12月31日、東京・大田区総合体育館で行われたWBO世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者井岡一翔にランキング6位福永亮次が挑戦した一戦は3-0(118-110、116-112、115-113)の判定で井岡が勝利。2022年春以降に開催が見込まれるIBF王者ジェルウィン・アンカハスとの統一戦に向けて弾みをつけた試合である。
 
 
当初IBF王者ジェルウィン・アンカハスとの統一戦が決定していた井岡一翔。ところが新型コロナウイルスの影響でアンカハスの来日が困難になり、急遽ランキング6位の福永亮次との対戦となったわけだが。
 
ホントに勝ちやがったよフェルナンド・マルティネス。アンカハスとの打ち合いを制して王座初戴冠&井岡一翔との統一戦が消滅。まいったなオイ。クッソ複雑じゃんよ笑
 
実を言うと僕はこの試合を現地観戦しようと思っていたのだが、チケット発売日にプレイガイドをいくら探しても見つからず。
 
よくよく調べてみたところ、「井岡の所属事務所に直接電話」というまさかのローテクっぷりに心がポッキリ折れた次第である。


後日プレイガイドでも取り扱いがスタートしたようだが、時すでに遅し。
チケット代に用意していた金額をトレーニングウェアや防寒着などに散財した結果、残りゲージが足りなくなり断念することに笑
 
 
夜ラン用に購入。カッチョいいので気に入っております。


 


 
別に誰と戦う予定もないけどw
 
 
で、RIZINのチケットが多少お安く買えたのでこちらを購入するという流れ。
 
 
結果としては大正解だった
年末のRIZINは安定の楽しさだったし、当のボクシングは例によって体重超過が発生したとか。


ああ、なるほどね。
そういうことならボクシングの方は井岡vs福永戦だけ後追いで視聴すれば十分だわと。
 
井岡一翔と井上尚弥のドリームマッチ? 困ったことに那須川天心と武尊のような奥行きを感じないのが…。ビッグマッチに飢える両者のキャリアは交差する?
 

僕の素人採点は117-111で井岡勝利。福永はまともに勝負し過ぎちゃったなぁ

まず最初に僕のクソ素人採点だが、117-111で井岡の勝利。福永亮次もがんばったし間違いなくいい選手だったが、井岡の牙城を崩すのは難しかった。
 
なお公式採点は118-110、116-112、115-113とバラつきが見られるが、これについてはよくわからない。僕の中で迷ったラウンドが2つあるのでブレるとしても118-110〜116-112までだと思っているが、別にそれが正しいと言うつもりもない。
 
 
そして試合を通しての感想だが、福永がまともに勝負し過ぎたなぁというのが率直なところ。
 
僕は前回の展望で「福永が勝機を見出すには先行逃げ切り」「井岡にキャパオーバーを起こさせる何かがあれば」と申し上げている。
 
福永亮次が井岡に勝つには? 先行逃げ切りしかないんじゃないか? 今回は福永のジャイキリに期待。井岡が前回の不調を引きずっていれば…
 
福永が勝つにはとにかく開始直後から飛ばしまくって中盤までに大量リードを奪うしかない。で、井岡が対応してくる(だろう)後半をひたすら凌いで鼻差でゴールテープを切れれば。
 
そのためには井岡が経験したことがないくらいの極端な戦術が必要になる。前回のフランシスコ・ロドリゲスJr.のような強引さ、もしくは2019年12月のジェイビエール・シントロンのようにとことん足を使ってのポイント戦。
 
だが福永の過去の試合を観る限り、この選手に井岡を慌てさせるほどの突き抜けた“何か”は見当たらない。
何とかがんばってもらいたいところだが、やはり井岡勝利が順当かなぁと思っていた次第である。
 

中間距離で井岡を上回るのは至難の業。それができたのはアムナットとドニー・ニエテスだけ

申し上げたように今回は福永亮次がまともに勝負し過ぎたというのが僕の感想である。
 
開始直後から中間距離にとどまり、細かい右をボディ、顔面に伸ばす福永。
対する井岡は前後のステップを交えながら福永の動き出し、打ち終わりを狙ってジャブを伸ばす。
 
左回りでポジションを変えつつ左ストレートを打ち込むチャンスを待つ福永だが、井岡の高いガード、前手の左に阻まれもう一歩近づくことができない。
 
ああ、なるほど。
ここでの勝負を選んだわけね。
 
上述の通り僕は福永が勝つにはフランシスコ・ロドリゲスJr.のようにガツガツ前に出るか、ジェイビエール・シントロンのように足を使いまくるか、どちらにしても極端な戦術が必要になると思っていたが、実際に福永が選択したのは中間距離での差し合い。
 
正直、この位置で井岡を上回るのは相当難しい。
2020年末の田中恒成もまったく歯が立たなかったし、過去を振り返ればファン・カルロス・レベコ、フェリックス・アルバラード、マックウィリアムス・アローヨなど、多くの強豪が井岡との駆け引きに敗れ去っている。
 
それこそ中間距離で井岡を明確に上回ったのは2014年5月のアムナット・ルエンロエン、2018年12月のドニー・ニエテスだけ。
達人と言っても差し支えないレベルの選手でなければ、この距離で井岡とまともに対峙するのは困難を極める。
 
井岡は実質負けかな…。ロドリゲスの踏み込みと圧力に大苦戦。勝ちはしたけど衰えも見えたような。判定に物議を醸した時点でアウト
 
で、案の定、ラウンドが進むごとに差をつけられ、中盤から後半にかけてボディを効かされ空いた顔面につるべ打ちを食う流れ。
序盤2Rこそ「お、福永も負けてないぞ?」と思わせたものの、要所要所での的確さや強弱、押し引きのうまさにはかなりの差があった(気がする)。
 
アムナットさんのベストバウトは井岡一翔戦で間違いない。今振り返っても好きすぎる試合。人生の厳しさを教えたゾウ・シミン戦も捨てがたいけどね
 

ネジが一本飛んだ躊躇のなさを見せられなかったのが…。頭がぶつかろうがローブローが入ろうがお構いなしに暴れる思いきりのよさがあれば

もしかしたら福永陣営はもっと前に出てゴリゴリ打ち合う作戦を立てていたのかもしれない。
 
それこそフランシスコ・ロドリゲスJr.がやったように、打ち終わりを狙う余裕もないくらいに密着して井岡のペースを乱してやろう的な。
 
ところがいざリングで対峙してみると、カウンターを狙われているのがわかるせいでもう一歩が踏み出せない。気持ちの中では行く気満々なのだが、何度トライしても本能的に足が止まってしまう。
何となくだが、福永陣営の作戦はいきなり頓挫していたような気もする。
 
そしてこの一歩を踏み出せるかどうか、吹っ切れるかどうかが大きな差になる(のかもしれない)。
頭がぶつかろうがローブローが入ろうがお構いなしで腕を振れるか、相手の懐で大暴れできるかどうか。
 
踏み込んだ勢いのまま体重を預けてしまえば打ち終わりを狙われる心配もない。
流れの中で頭が当たる可能性もあるし、近場で腕を振り回せば低い位置を殴ってしまうこともある。
 
ただ、そんなことは関係ない。
井岡の緻密さをぶっ壊すには中間距離でまともに勝負していては話にならない。頭ごと突っ込むくらいの勢いで暴れる必要がある。
 
前回のフランシスコ・ロドリゲスJr.はその部分において完全にネジが一本飛んでいたし、実際最後まで井岡に食い下がってみせた。
 
この試合の福永も両腕で井岡を押したり足を踏んだりとそれなりの荒っぽさが見られたが、井岡のアピールにいちいち動きを止めてしまったのが……。
頭が当たった直後に井岡が目を切っているのだから、そこを狙って連打を浴びせるくらいのダーティさがあってもよかったと思うのだが。
 
 
ちなみに日本人選手で一本ネジが飛んだ躊躇のなさ、荒々しいファイトができるのは尾川堅一と矢吹正道だと思っている。
 
特に矢吹の「命のやり取りしちゃるけえ、黙って見とけ」と言わんばかりのファイトは本当に素晴らしい。拳四朗戦でのバッティング騒動が拗れに拗れたものの、僕としては「え? わざとだとしてそれの何がいかんの?」である。
 
拳四朗陥落。矢吹正道に10RTKO負け。舐め腐ったことをすると因果が巡るってことだろな。矢吹はガチのタマの取り合いができるヤツ
 

中間距離での井岡はさすがの職人芸。全盛期は過ぎつつあると思うが、動きのつなぎ、わずかな“間”を狙い撃ちするのが本当にうまい

一方、勝利した井岡についてだが、こちらはさすがとしか言いようがない。
 
正直、パフォーマンス的には下り坂に入っているというか、前回も感じたように全盛期は過ぎつつあるのだと思う。
 
この試合でも普通にパンチを被弾していたし、「リスクを負わずにディフェンシブに徹した」はずの後半3Rに福永の猛攻でタジタジさせられてもいる。
 
パンチに対する反応? 反射速度? いわゆる純粋な身体能力はフライ級時代に比べて落ちているのだろうと。
 
 
ただ、それでも中間距離の差し合いでは相変わらず世界屈指の強さを発揮する。
 
今回の福永はあえての左回り(井岡に誘導されていた?)で右リードを内側からボディ、顔面に伸ばしていたが、その分被弾も多くなった印象。
 
身体をかがめて斜に構える福永に対し、井岡は正面にスルッと回り込むと同時に右アッパー、右ショートフックを次々顔面にヒット。外側から左ボディを突き刺し近場での差し合いで圧倒する。
 
ラウンド序盤は相手の出方をうかがい、中盤からギアをアップ。必ず自分が攻めてラウンドを終わることで“制圧した感”をより増幅させる周到さも兼ね備える。
 
井岡一翔vsドニー・ニエテス再戦。井岡のニエテス対策が素晴らしかった。ニエテスも相当落ちてたね。最後かも? と思って現地観戦したけど勝ってよかった
 
さらに動き出し、打ち終わりのわずかな“間”を狙って細かいパンチをヒットし流れを寸断。
この合間、合間のフッと気持ちが切れる瞬間? 次に移行するわずかな隙をパパッと狙うのが井岡は本当にうまい。
 
申し上げたように今回は試合を通してラウンド前半は福永、後半は井岡の流れで進んでいったわけだが、どこで差が出たかと言えばやはり動きと動きの“間”を狙った井岡のヒット数。
試合後に福永が「井岡のパンチは見えないと聞いていた」旨のコメントを出していたが、要するにこれがわずかな“間”を狙う井岡の的確さなのだと思う。
 
 
そういう意味でも福永が勝機を見出すには何としても井岡にキャパオーバーを起こさせる必要があった。頭がぶつかってもOKなくらいの勢いでガツガツいくか、とことん離れてポイントゲームに徹するしかなかったのかなと。
 
 
「うっせぇわ」の作者syudou氏が井岡一翔をイメージして作った新曲「たりねぇ」。

びっくりするくらい気に入ってなくてワロタw
 
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