カネロvsゴロフキン2戦目を久しぶりに視聴。両者が憎悪とプライドをバッチバチにぶつけ合った白熱の試合。全3戦に流れがあっておもしろいよね【結果・感想】

カネロvsゴロフキン2戦目を久しぶりに視聴。両者が憎悪とプライドをバッチバチにぶつけ合った白熱の試合。全3戦に流れがあっておもしろいよね【結果・感想】

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先日行われたサウル・“カネロ”・アルバレスとゲンナジー・ゴロフキンによる世界S・ミドル級4団体統一戦。
大方の予想通りカネロが判定勝ちを収めたわけだが、ご存じの通りこの両者は過去2度の対戦がある。
 
2017年9月の初戦は大接戦の末に1-1(118-110、113-115、114-114)の判定でドロー、2018年9月の再戦はこちらも大接戦の末に2-0(114-114、115-113、115-113)の判定でカネロが勝利している。
 
以前、初戦についての感想をあれこれ申し上げたことがあるのだが、今回は第2戦について。
DAZNの公式チャンネルにこの試合がアップされていたので久しぶりに観てみた次第である。

 

初戦のドローからのいざこざによって両者の関係が悪化した中で迎えた再戦

まず2017年9月の第1戦を再視聴した感想は下記。
 
物議を醸したカネロvsゴロフキンVol.1から3年。改めて観てみたけどおもしろい試合。ゴロフキンのジャブのすごさとド派手なカネロのカウンター
 
僕の素人採点では114-114のドロー。
 
ゴロフキンの猛攻をギリギリでしのぎながらカウンターを返すカネロのディフェンスに目を奪われ、両者のテクニカルさに感動させていただいた。
それこそ激しい打ち合いが展開された2戦目よりもこの試合の方がお気に入り。
判定が大いに物議を醸したものの、個人的にドローという結果に文句はない。
 
 
そして迎えた2018年9月の再戦である。
 
初戦の直後にカネロが禁止薬物陽性となり、そこから両者の関係は一気に悪化。お互いが公の場で相手を罵るドロ沼状態が続き、険悪なムードのまま再戦が決定する。
 
計量の場で久しぶりに顔を合わせた両者は初戦とは打って変わって相手への嫌悪感を隠そうともしない。カネロがゴロフキンの額に無遠慮に自分の額をこすりつければゴロフキンも真っ向から受けて立つ。今にも殴り合いが始まりそうな雰囲気の中、両者は計量会場を後にする。
 
試合当日も両者はリング上で目も合わせず、レフェリーに促されるままおざなりのグローブタッチ。
異様な雰囲気の中でついに試合がスタート……。
 

ゴロフキンと真っ向から打ち合ったカネロ。ボディと見せかけて顔面に打ち込む左フックがよく機能した

感想としては、初戦と打って変わってゴロフキンと真っ向から打ち合ったカネロがめちゃくちゃ印象的だった。
 
申し上げたように初戦はゴロフキンの猛攻をカネロがギリギリで受け流すテクニカルな展開が続き、全体を通してゴロフキンが優勢だったと言っても過言ではない。
 
それを受けての2戦目。
ゴロフキン相手に下がったらマズいと判断したのだと思うが、リング中央で足を踏ん張って打ち合うカネロにあっという間に釘付けになってしまった。
 
お互いが腕が伸びる位置で前傾姿勢のまま対峙、両者の鋭いパンチが交錯する。
ゴロフキンのジャブがカネロの顔面を揺らせば、カネロがゴロフキンの右にカウンターの右を合わせる。
さらにそこから半歩踏み込んだカネロが左ボディを打つと見せかけ、ゴロフキンの頭が下がった瞬間に軌道を変えて顔面をヒット。
 
ボディ→顔面へのフェイントはカネロの得意のパンチだが、この試合ではこれが特に機能していたように思う。
 
打ち終わりのカウンターで左ボディを突き刺し、ゴロフキンに下を意識させる。
そこからボディへのフェイントでゴロフキンに腰を引かせ、ちょうどいい位置に顔がきたところで軌道を変化させて側頭部をドカン。
 
これができたのもゴロフキンの圧力に下がらずリング中央で互角以上にわたり合えたことが大きいのではないか(「FULL FIGHT | Canelo Alvarez vs. Gennadiy ‘GGG’ Golovkin 2」から引用)。

 

カネロとの打ち合いに一歩も引かないゴロフキン。1試合で数十億稼ぐ男2人が感情むき出しでどつき合う異様な光景

一方のゴロフキンもカウンター主体で攻め込むカネロと真正面からどつき合う。
 
1発1発に力を込めるカネロの強打をうまく外しつつ、ジャブの連打→右ストレートの王道パターンで迎撃。精度と馬力を兼ね備えたコンビネーションで一歩も引かない打ち合いを展開する。
 
 
何というか、めちゃくちゃおもしろい。
試合前から相手への憎しみを隠そうともしなかった両者がリング外でのいざこざをそのまま持ち込みクソ意地を張り合う。
 
ムカつく相手をイワせてやりたい。
叩きのめして跪かせた上で“ざまぁ”と吐き捨てたい。
 
1試合で数十億稼ぐ男2人が狭量な感情むき出しでどつき合う光景はある意味異様である意味貴重。
 
スポーツは喧嘩とは違う、リングは相手に復讐する場所じゃないというキレイごとは大いに結構だが、この両者のようにこじれにこじれた怨念とプライドをぶつけ合うのもそれはそれで見応えがある。
 
特にボクシングを始めとした格闘技は自己顕示欲の塊のようなヤツらの巣窟なわけで。
「舐めたヤツをひれ伏せさせたい」「他人を見下したい」といったドロっとした感情は自分勝手なエゴイストにとっては間違いなくプラスに作用する。
 
パッキャオの敗者の弁、言い訳振り返り。グッド・ルーザーなんぞクソくらえ。自分勝手なエゴイストが生み出すカタルシスが大好きです
 

後半以降は余計な負の感情がそぎ落とされて“俺が一番強いんだ星人”同士のどつき合いだけが残る

だが、後半に入ってからは両者ともある程度吹っ切れた印象。
怨念と憎悪をバチバチにぶつけ合っていた前半と違い、純粋にどちらが上かを決める戦いになっていったというか。
 
特にすごかったのが8〜10Rあたり。前半飛ばしたカネロがやや失速、それを見たゴロフキンがペースアップし両者の打ち合いはますます白熱……。
 
一歩も下がらない、リング中央で打ち負けないという気合いは前半と同じだが、怒りや憎しみといったネガティブな感情はだいぶ薄れていたように思う。
 
むしろどちらも真っ向からの意地の張り合いを楽しんでいた感が強い。
試合前からの溜まりに溜まった負の要素がそぎ落とされ、“俺が一番強いんだ星人”同士のどつき合いだけが残った状態。
 
終了のゴングが鳴った瞬間はどちらかと言えば清々しさが充満していた(気がする)。
 
 
ちなみに僕の素人クソ採点では115-113でカネロの勝利。
申し上げたように初戦は114-114のドローで先日の第3戦は僅差でカネロの勝ち。
何だかんだで全3戦の判定はすべて妥当だと思っていて、初戦の118-110のインパクトに引っ張れている部分は大いにあるのかなぁと。
 

全3戦を通した流れが見えておもしろい。お互いに相手の狙いがわかる3戦目は地味だが味わい深さがある

初戦で終始ロープを背負ったせいで負けの印象を植え付けてしまったカネロが2戦目ではそれを覆すためにリング中央での真っ向勝負でギリギリ勝利。
その試合でボディを効かされたゴロフキンが3戦目では立ち上がりからアウトボクシングを選択し、追い足のないカネロを出入りで揺さぶりつつ終盤のペースアップで逆転を狙う。
 
1戦目:ゴロフキンの前進、カネロのアウトボクシング
2戦目:リング中央での真っ向勝負
3戦目:ゴロフキンのアウトボクシングをカネロが持て余す
 
改めて振り返ると、すべての試合がつながっていてそれぞれに味わいがある。
 
中でも先日の3戦目は
・打ち終わり狙いのカネロが前に出てこないゴロフキンに戸惑う
・ボディを打たれたくないゴロフキンは足を使って距離を取るが、その分右が出ない
状態が続いた。
 
お互いに相手のやろうとしていることがわかるせいで身動きが取れず、結果的に1、2戦目に比べて地味な内容に。
盛り上がりという意味ではイマイチだったものの、僕的には両者の膨大な積み重ねが伝わるおもしろい試合だった。
 
カネロvsゴロフキン3。金ヅル同士の3度目の遭遇。「割り切って儲けようぜ」的な乾いた同意があった気がした。ゴロフキンの追い上げに感動したよ
 

近距離でしかボディを打てないカネロと遠い位置から右の打ち下ろしをボディに伸ばす村田諒太。足を使う相手への対応はカネロ<<村田だよね

なおこれは余談だが、カネロは基本的にボディを打つにはある程度近い距離まで入る必要がある。ところが先日の3戦目ではアウトボクシングに徹するゴロフキンを持て余してなかなかボディを打つ状況が作れずにいた。
 
一方、2022年4月の村田諒太は序盤からガッツリボディを効かせてみせた。
 
あの試合を軽く観直してみたのだが、村田は遠い位置から打ち下ろしの右をボディに伸ばしていることがわかる。
 
村田諒太以外にゴロフキンをここまで追い詰められるヤツがどれだけおるの? でも引き出しの多さ、経験値の違いが顕著だった。改めてブランクが…
 
ガードを固めて距離を詰め、いつも通り左手で相手の頭を押さえてから右の打ち下ろし。この右を顔面orボディのどちらかに打ち込むことで距離の遠さをチャラにしている。
 
村田の階級屈指のフィジカルとサイズあってのものだとは思うが、足を使う相手を攻略する術に関しては改めてカネロ<<村田諒太だなぁと。
 
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