ディミトリー・ビボルvsヒルベルト・ラミレス。ビボルのうまさ、力強さがラミレスを凌駕する。ラミレスの重量級っぽくないスタイルは好きだったけど【結果・感想】

ディミトリー・ビボルvsヒルベルト・ラミレス。ビボルのうまさ、力強さがラミレスを凌駕する。ラミレスの重量級っぽくないスタイルは好きだったけど【結果・感想】

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2022年11月5日(日本時間6日)にUAE・アブダビで行われたWBA世界L・ヘビー級タイトルマッチ。同級スーパー王者ディミトリー・ビボルが指名挑戦者ヒルベルト・ラミレスと対戦し、3-0(118-110、117-111、117-111)の判定でビボルが勝利。9度目の防衛を果たすとともに戦績を21戦全勝11KOとした一戦である。
 
 
前戦でカネロに勝利し一気に知名度を上げたディミトリー・ビボルが迎えた指名戦。
対戦相手のヒルベルト・ラミレスは元WBO世界S・ミドル級王者で、2019年4月のL・ヘビー級進出以降5戦5勝5KOと波に乗る。
 
 
実を言うと僕はこの試合をころっと忘れており、当日ニュースを眺めて「あ!! 今日か」となった次第である。
本当は事前にあれこれ展望を考えようと思っていたのだが、ズルズルと先延ばししているうちに終わっていたという……。
 
だって地味なんだもん笑
 
アルツール・ベテルビエフvsディミトリー・ビボル。金の力は偉大やでw コバレフ、グヴォジク、ベテルビエフ、ビボルのL・ヘビー級4強時代のラストファイト
 

DAZNがついにPPVをスタート。いよいよ月額料金を払い続ける理由がなくなってきたな…

なおDAZNのラインナップを見ると、フロイド・メイウェザーとデジによるエキシビジョンマッチがPPVとして売り出されていることに気づく。
 
ほほう、ついにDAZNもそっち側に手を出すのか。
 
青田買いと雑な損切りを繰り返しているうちに(新型コロナの影響もあって)首が回らなくなってきたのか、それとも世界的な流れを汲んでの方針転換なのか。
どちらにしてもだんだんと月額料金を払い続ける必要性を感じなくなっている……。
 
いつの間にかバスケもラグビーも消えているし、コンテンツの多さが売りだったはずのサッカーもどんどん他所に取られているとか。
その割に月額料金は勝手に値上がりして。
今年は野球もつまらなくてほとんど観なかったしね。
 
で、とどめはPPV導入と。
 
マジで興味がある試合のときだけ入会するスタンスでいいのかな? という気ががが。
 

ジャブを起点に試合を組み立てるビボルと重量級っぽくないコンビネーションを打つラミレス。ビボルがサウスポーを苦手としたら…

前置きが長くなったが、試合の感想を。
まず今回はディミトリー・ビボルのうまさが山ほど詰まった一戦だったなと。
 
この選手は広いスタンスから打ち出すジャブを起点に試合を組み立てるタイプで、マイキー・ガルシアや日本の内山高志と少し似ている(と思う)。
 
基本的にジャブから攻撃を開始するスタイルなので、
・vsサウスポーの対応はどうかな?
・前手の差し合いでモタつくと結構危ないかも?
と漠然と思っていた次第である。
 
カネロが8年7ヶ月ぶりの敗戦。ビボルのジャブとガードを崩せず。“ロッキー・フィールディングの呪い”を解いたビボルに神の祝福を
 
対する挑戦者ヒルベルト・ラミレスは身長189cm、リーチ191cmと大柄なサウスポー。
L・ヘビー級階級進出以降も体格的な見劣りはせず、5勝5KOの戦績からもわかるようにむしろ力強さが増した印象すらある。
 
ただ、スタイル的には長身を活かすというより自ら前に出てコンビネーションを浴びせる流れを得意とする。
どちらかと言えば軽量級っぽい連打型のボクサーで、僕は以前この選手のことを「重量級の亀田興毅」などと呼んだこともある。
 
スムーズなコンビネーションに加えて前手のリードも多彩。
申し上げたようにビボルがサウスポーを苦手とするなら王者交代もあり得る?
地味強を地でいくヒルベルト・ラミレスだが、実は打倒ビボルの第一人者かもしれない。
 
そんな感じで両者の試合を楽しみにしていた(忘れてたけど笑)。
 

ビボルはサウスポー得意なんじゃないの? 打ち終わりを狙う作戦に切り替えて以降はほぼ危なげなし

そして、結果的にビボルはサウスポーをまったく苦にしなかった。
 
いきなり打ち出す右ストレートも機能していたし、前手の差し合いでも互角以上にやれていた。
サウスポー相手にあそこまでジャブを普通に出せるのならむしろビボルはサウスポーが得意なのでは? というくらい。
 
さらに打ち終わりを狙う作戦に切り替えてからはほぼ危なげなし。
序盤こそ中間距離の差し合いで互角の展開を強いられたものの、打ち終わりを狙い始めた4、5Rあたりから微妙に流れが変わった。
 
 
ヒルベルト・ラミレスは重量級とは思えないほどスムーズなコンビネーションを打つ選手で、これまでも前手のリードでスペースを作る→もう一歩近づいて連打を浴びせる流れで優位を確保している。
 
基本的に周辺階級であの連打に対応できる選手は少なく、相手は攻撃を防いでいるうちにいつの間にか防御で手いっぱいになる。
 
当然今回もその作戦でスタートしたのだが……。
 
今回はいくらコンビネーションを打ち込んでもビボルに怯んだ様子はない。
しかもそのつど前手のリードで前進を止められるせいでなかなか連打に移行できず。
 
得意の連打をビボルに防がれ、バックステップ→リターンの流れでカウンターを被弾。真正面からビボルの右を顔面にもらって動きが止まりさらに追撃を浴びるという。
 
もっとも得意とする中間距離で打ち負け、逆に打ち終わりにカウンターを被弾して効かされる悪循環。
 
バックステップからのリターンはビボルの定番の動きだが、正直ラミレスの追い足がここまで間に合わないとは思わなかった。
序盤の差し合いから打ち終わりを狙うBプランへの切り替えも鮮やかだったし、ビボルの引き出しの多さ、幅の広さが際立つ12Rだったのではないか。
 
ベテルビエフvsアンソニー・ヤードは僕がL・ヘビー級が好きな理由が全部詰まった試合。素で人間辞めてるヤツらが技術まで実につけちゃったw
 

ラミレスは得意のコンビネーションでビボルを怯ませられなかったのが痛い。ここまで“真っ当”なキャリアを歩んできた選手だったけど…

逆にラミレスとしては、いつものコンビネーションでビボルがまったく動じなかったのが……。
 
あの連打で相手を怯ませ、余裕を奪ってから追撃を浴びせるのがこの選手の王道だったのだが。
 
L・ヘビー級で5戦5勝5KOの選手に階級の壁云々言うのもおかしな話なので、要するに単純にビボルが強かった、一段上のレベルだったのだろうと。
 
 
てか、僕としても今回は残念でしたね。
個人的にヒルベルト・ラミレスの重量級っぽくないボクシングは嫌いではない&どこまでいけるかに期待していたので(試合の日を忘れてたけど)、ここまで圧倒されたというのは少々意外。
 
しかもこの選手は地味強なだけあってこれまでショートカット的なことはいっさいしていない。
メキシカンらしくキャリアも31歳で45戦と豊富。階級アップ後もきっちりと5戦をこなして指名挑戦者となり今回のタイトルマッチにたどり着いている。
 
同郷のカネロが知名度にものを言わせて即ビボルに挑んだり、次戦ではS・ミドル級に下げてゴロフキンと対戦したりとやりたい放題なことを考えると、ここまで真っ当? に段階を踏んだラミレスにはまたチャンスがきて欲しいと思っている。
 
まあ、実際にそのときがきたら試合を忘れるという噂もありますが笑
 
カネロvsゴロフキン3。金ヅル同士の3度目の遭遇。「割り切って儲けようぜ」的な乾いた同意があった気がした。ゴロフキンの追い上げに感動したよ
 

ディミトリー・ビボルvsアルツール・ベテルビエフ戦は実現しないんでしょうか。ビボルにとってはカネロVol.2よりもはるかにやるべき試合だと思うけど

あとはアレだ。
ディミトリー・ビボルとアルツール・ベテルビエフの頂上決戦はもはや実現しないと考えた方がいいのだろうか。ビボルにとってはどう考えてもカネロVol.2よりも(報酬面を除けば)やるべき試合だと思うのだが。
 
 
ベテルビエフがDAZNを離脱→トップランク所属となったのが2019年。
それ以降も両者は粛々と防衛戦を繰り返しているが、これだけ別リーグ状態が続くとすでに交渉する気すらない? のかも?
 
本来はセルゲイ・コバレフ、オレクサンドル・グウォジク、ディミトリー・ビボル、アルツール・ベテルビエフのL・ヘビー級四天王時代? の締めくくりとして絶対にやらなきゃダメなヤツなんですけどね。
 
2019年10月のベテルビエフvsグヴォジク戦の衝撃はいまだにはっきりと覚えてるし。
 
ベテルビエフvsグヴォジク何やコイツら気持ち悪っw フィジカルの暴力と超絶カウンター。あの打ち方であの効き方!?
 
待望されたウェルター級の統一戦、テレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.戦すらすんなりと決まらない(斜陽産業の)ボクシング界において、所属を超えたL・ヘビー級の統一戦などリスクがデカすぎてやる価値すらないということなのだろうか。
 
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